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約99万円のヘッドフォンCAMERTON「Binom-ER」登場、Questyleから高音質BTトランスミッタ

CAMERTON「Binom-ER」が

フジヤエービックによるイベント「冬のヘッドフォン祭 mini 2025」が8日、東京・丸の内のステーションコンファレンス東京で開催。ここでは飯田ピアノやMUSINブースをレポートする。

飯田ピアノ

飯田ピアノのブースでは、CAMERTON(カマートン)というブランドが手掛けた、初のヘッドフォン「Binom-ER」が注目を集めている。価格はオープンで、市場予想価格は990,000円前後。受注生産となる。

CAMERTONは、1999年にウクライナで創業し、2019年にドイツで新たなスタートを切ったブランド。スピーカーを開発しているブランドで、ドライバーユニットから自社で手掛けているのが特徴。他社製品の分析や既存の常識にとらわれず、「本当に良い音とは何か」という根本的な問いから開発をスタートさせているのが特徴だという。

Binom-ERは、アイソダイナミックドライバー「BINOM-E」を搭載。ドライバーの寸法は直径99mm×厚さ7.5mm。アイソダイナミック型とは、振動板全体に導体を配置し、磁場の中で均一な駆動力を発生させる方式。振動板の動作が安定し、歪みの少ない自然な音響再生が可能という。

振動板は、非常に薄いポリエチレンテレフタレート(PETE)。これに、特殊な接着剤で高純度アルミニウム導体を貼り付け、その後フォトエッチング技術を用いて不要な金属部分を精密に除去。専用製造された高純度アルミニウム導体による均一な結晶構造により、従来のスプレー方式と比較して大幅に電気伝導率を向上させ、信号伝送ロスを最小化している。

振動板が非常に軽量なため、高速で正確なレスポンス特性を実現。音楽の微細なニュアンスとディテールの忠実な再現ができるとのこと。

イヤーパッドが肉厚なので大きく見えるが、ハウジング部分は非常に薄い

会場では、オプションの銀線を使ったケーブルで試聴が可能(付属ケーブルは銅線を使っている)。さらに、USB DACを搭載したケーブルもオプションとして用意する。

USB DACを搭載したケーブルもオプションとして用意

MUSIN

SHANLING「EH2」

MUSINのブランドでは、7日に発売されたばかりの、SHANLINGの自社開発24bit R2R DACを搭載したデスクトップDACアンプ「EH2」が注目を集めている。価格はオープンで、実売は63,360円前後。

SHANLINGが自社開発した初のR2Rラダー型D/A回路を搭載。従来の一般的なΔΣ型DACと比べ「極めてピュアなアナログタイプの変換を実現しており、ダイナミックで力強いサウンドから、余韻の響きが気持ちの良い美しいサウンドまで、まるでその場で体験しているかのような没入感を与える」という。

左がonixの新DAP「waltz XM10ltd」、右がポータブルプレーヤー/ストリーマープラットフォーム「XM10」

onixの新DAP「waltz XM10 ltd」を参考出品。非常に薄型な筐体が特徴で、素材はステンレススチール。DACはAK4499EX + AK4191を採用。薄型だが、ステレオミニに加え、4.4mmバランスイヤフォン出力も備えている。

このDAPは型番からもわかるように、ポータブルプレーヤー/ストリーマープラットフォーム「XM10」、デスクトップDAC/アンプ「XP10」、12~24V可変対応リニア電源「XPS10」の3基で構成するハイエンドオーディオシステムから、プレーヤー/ストリーマー部分を分離しつつ、単体DAPとして筐体などをブラッシュアップしたものとなる。

「XM10」、P「XP10」、「XPS10」の3基で構成するハイエンドオーディオシステム

iBassoの「Nunchaku」は、小型DAC兼ヘッドフォンアンプ。名称の由来は、RAYTHEONのJAN6418という細長い真空管を2本搭載しているのが、ヌンチャクを連想させるため。スマホなどと短いUSBケーブルで接続した姿も“ヌンチャク”に似ている。

この真空管を使ったサウンドと、オペアンプのサウンド、2つの出力を選ぶことができるのも特徴。

iBassoの「Nunchaku」

さらに、縦と横に配置されたスリットとスタンドプレートを組み替えることで、オーディオ機器からガジェットまで幅広い製品に対応できる「MUSINマルチスタンド」も注目を集めている。ポータブルオーディオ機器、特にイヤフォンやケーブル類は形状の関係でバランスよくディスプレイすることが難しいが、スリット部分を活用することで、バランス良くディスプレイできるという。

Questyle

Bluetoothトランスミッター「QCC Dongle PRO」

Questyleのブースでは、ドングル型のBluetoothトランスミッター「QCC Dongle PRO」を出展している。3月末発売予定で、価格は未定。

USB-Cでスマホなどに接続するトランスミッターで、Qualcommの最新Snapdragon S5オーディオプラットフォームを採用。Windows、Mac、Android、Linuxだけでなく、iPhone/iPadでも使用可能。さらに、AppleのMFi認証も取得した世界初のSnapdragon搭載トランスミッターであり、Appleデバイスとの高い互換性を実現している。

コーデックはSBC、LE Audio(LC3)、aptX、aptX HD、aptX Adaptive、AAC、LDACをサポート。iPhoneでも高音質Bluetoothオーディオを楽しめる。PS5やNintendo Switchでも利用可能。

また、コストパフォーマンスに優れた下位モデル「QCC Dongle」もラインナップ。Snapdragon S3を採用しており、AAC、LDACには対応していない。

どちらも外形寸法は25.2×10×15.25mmと非常にコンパクトで、重量も3gと軽量。Android/iOS向けに無償提供される専用コントロールアプリを使うことで、機能を最大限に活用できる。

非常にコンパクト

会場ではさらに、独自の電流伝導モデルアンプテクノロジーSiPモジュールを2つ内蔵したスティック型ヘッドフォンアンプ「M15i」や、Cirrus Logic製「CS43198」を搭載した「M15C」なども参考展示している。

「M15C」

オリオラス

NiPOの「N2」

オリオラスのブースでは、中国・深センの新しいオーディオブランド「NiPO(ライポ)」の取扱い第一弾製品であり、NiPOの最上位ポータブルオーディオプレーヤー「N2」を出展。価格はオープンで、実売は410,300円前後。

NiPOは、古典パズル「Nine-dot Puzzle」の“9つの点(Nine Point)”に由来する新興オーディオブランド。N2は、4年の歳月をかけて開発したというフラッグシップモデルで、全分離アーキテクチャや10層シールドPCB設計などの独自技術を搭載。音質劣化を抑え、また緻密な電流操作によって原音の忠実再現を目指したという。

さらに、NiPOの「A100」というカードサイズのDACアンプも参考出展。付属ケーブルの長さなどを調整中との事で、今後日本での展開も想定されている。

NiPOの「A100」

また、オリオラスの新イヤフォンも参考出展。BA×2基を搭載するもので、外観はまだ最終ではないが、サウンドは既に仕上がっているとのこと。オリオラスのイヤフォンを身近にする製品として、展開予定だ。

オリオラスの新イヤフォン

さらに、ハンダ付け不要な簡単な工作で、誰でも手軽にオーディオを楽しめる「JOYCRAFT DIY series by Oriolus」の新製品として、デジタルオーディオプレーヤーと、イコライザーも参考展示。いずれも真空管を使っているのが特徴だ。

デジタルオーディオプレーヤー
イコライザー

Dan Clark Audio

NOIRE-X

Dan Clark Audioのブースでは、7日に発売されたばかりのヘッドフォン「NOIRE-X」が注目を集めている。価格は187,000円。

同社の密閉型ヘッドフォンとしては価格を抑えているのが特徴。それでいて自社製の平面次回ドライバー、v Planar(第五世代)を、このモデルのために再開発して搭載。密閉型のハイエンドモデル「Stealth」で採用された、AMTSも、このモデルようにカスタマイズして搭載している。

Audeze

Audezeのコーナーでは、2月末に発売予定「LCD-2」(オープン/実売194,000円前後)と、「LCD-3」(実売363,000円前後)が登場。LCD-2は、リスニング向けモデルのベーシックライン、LCD-3はミッドハイモデル。LCD-3はゼブラウッド仕上げのリングを採用し、他のLCDシリーズよりもボイスコイルが長く、表現力とレスポンスの両立を狙っている。

LCD-2
LCD-3

CRBM2は、CRBMの第2世代モデル。価格は未定で、3月中旬発売予定。SLAMテクノロジーを新規開発し、静電型で課題と言われる低域のレスポンスと量感を改善したという。

CRBM2

ピクセル

ピクセルのブースでは、発売されたAcoustuneブランド初となる完全ワイヤレスイヤフォン「HSX1001 Jin -迅-」を紹介している。さらに、このTWSはワイヤレスモジュール「M:01」と音響チャンバー「C:01」が分離でき、それぞれを交換できるのが特徴。

ブースでは、この交換に対応した真鍮チャンバー(C:02)と有線モジュール(M:02)を参考出展。例えば、ワイヤレスモジュールのM:01と、真鍮チャンバー(C:02)を組み合わせると、TWSながら、真鍮チャンバーによる音の変化が楽しめる。

ワイヤレスモジュールのM:01と、真鍮チャンバー(C:02)を組み合わせたところ

さらに、有線モジュール(M:02)と真鍮チャンバー(C:02)を組み合わせれば、有線イヤフォンとして活用できる。

有線モジュール(M:02)と真鍮チャンバー(C:02)の組み合わせ

STAXなど

SRM-T8000

STAXのブースでは、イヤースピーカーを駆動するためのドライバー・ユニット最上位モデル「SRM-T8000」のオプションとして、背面のスロットに挿入できるUSB DACを参考出品。詳細はまだ発表されていないが、デュアルDAC仕様の本格的なUSB DACになるという。

SRM-T8000の背面に、USB DACが挿入されている

Conclusionのブースでは、GREEN FUNDINでクラウドファンディング中の単体DAC「D-10VN[16BIT VINTAGE]」を紹介。1980~90年代のCDプレーヤーで人気のあったDACチップ3種類の音を、基板を差し替えて楽しめるというユニークなもの。

D-10VN[16BIT VINTAGE]

「最新のハイレゾDACは音がキレイだけど物足りない……」という人に向けた単体DACで、DACチップの基板を差し替えられるようになっており、TI「バー・ブラウンPCM53JP-V」、「ソニー CX20152」、「フィリップス TDA1541A」のDACチップセットボードも用意。これらを差し替えて、音の違いが楽しめる。

DACチップセットボードを差し替えて、音の違いが楽しめる