エイベックス、ケータイ向け独自番組配信サービス「BeeTV」
-5月開局。和田アキ子、益若つばさ、香椎由宇など出演
エイベックス・エンタテインメント株式会社(AEI)と株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)の合弁会社であるエイベックス通信放送株式会社は、携帯電話向けの映像配信サービス「BeeTV」(ビーティービー)を5月1日より開始する。
利用料金は月額315円(パケット料金除く)で、ストリーミング配信での見放題となる。曜日と時間ごとに配信番組が異なり、配信時間は朝、昼、夜の3つの時間帯で分けられている。配信終了した番組は1週間後にアーカイブ化。アーカイブ番組は、月額料金のほかに1話50円を追加することでダウンロード視聴できる。当初は、NTTドコモの10M iモーション対応端末のみで視聴が可能となっており、「パケ・ホーダイ ダブル」などのパケット定額サービスへの契約が必要となる。
この配信サービスの特徴は、「モバイル放送局」としてオリジナルコンテンツを中心に携帯電話向けに配信する点。原版権を確保することで、ヒット作品のDVD化や書籍化、インターネット配信などマルチユース展開が見込めるという。なお、ドコモ以外のサービス展開については現状では未定。
ドラマやコメディなど8ジャンルを用意 |
BeeTVのネーミングの由来は「携帯インターネット上を忙しく飛び回り、プレミアムなエンタメ映像のみを収集してきてくれるミツバチ(Bee)をイメージした」という。
配信番組のジャンルとしては8種類をラインナップ。「DRAMA」、「MUSIC」、「COMEDY」、「TALK」、「VARIETY」、「EDUTAINMENT」、「ANIMATION」のほか、動画ブログ風の「MOOLOG」も用意する。作品は1つ2~3分のものが多く、ドラマでも10分以内となっている。
開始時は21番組を予定。そのなかから、7番組の出演者19人がゲストとして登場する豪華な発表会を開催。取材陣も400媒体、500名が集まった。
開始当初の配信予定番組 | 発表会では、エイプリルフールにちなんだ“ウソ広告”のポスターが | 司会はDJ Taroと中田有紀さんが務めた |
■ ドラマ
水曜夕方の「KOI☆AGE~恋するアゲハ~」は、31歳のフリーライター伊佐美遥(小西真奈美)が、キャバクラに潜入取材し、ママである村尾マリア(杉本彩)にインタービューしているうち、自分が「クララ」という源氏名で店に出ることが決まってしまうというストーリー。制作はフジテレビ。
発表会には小西真奈美さんと杉本彩さんのほか、雑誌編集長役の森本レオさん、キャバクラ嬢として出演する木下優樹菜さん、大桑マイミさん、杉本有美さん、桃華絵里さんが登場。
キャバクラ嬢という役に体当たりで挑んだという小西さんは、作品について「心の底から笑えるところと、切なくなるような人生観が描かれたドラマ」と紹介した。木下さんは、「キャバ嬢のときとそうでないときの“白黒”みたいなものをがんばった。セリフが長かったです」と笑顔を見せた。“いい加減な雑誌を作っているいい加減な編集長”という森本レオさんは、パワフルな女性陣に圧倒されてか、女性に囲まれている環境ながらも「うれしくないよ~」、「大変でした~」と苦笑いしていた。
左から、桃華絵里さん、杉本有美さん、杉本彩さん、小西真奈美さん、木下優樹菜さん、大桑マイミさん、森本レオさん | 小西真奈美さんは、この撮影のため、実際のキャバクラに初めて客として行ったという。小西が演じるキャバ嬢の源氏名は「クララ」 | 31歳の女性フリーライターが、個性豊かなキャバクラ嬢たちに翻弄されつつ奮闘する |
女性に人気の「スイーツ」と「パリ」の要素が詰まったドラマという「とっても甘いの~C'est très doux」(金曜夕方配信)は、大手企業の受付嬢である田中実花(香椎由宇)が、夢を追いかけてパリに行ってしまった恋人、村上真哉(鈴木一真)を追いかけ、渡仏費用の引き換えとして姉から課せられたスイーツの取材をしながら、街の風景や、出会う人々との交流を描くという内容。制作はホリプロ。
来場した香椎由宇さんはこの作品について「パリの素敵な街並みのほか、毎回素敵なスイーツが出てきます。ストーリーは甘いだけでなくほろ苦い、キュンとできる要素が詰まっています」とコメントした。
「パリ」と「スイーツ」が詰まったドラマだという | 「恋人を追ってパリに来てから、様々な経験をして成長する女の子を演じた」と話す香椎由宇さん | 実花を残してパリに発った恋人の村上真哉を演じた鈴木一真(さん左)と、パリでキュイジニエ見習いと働き、実花と出会う涼太役の阿部力さん(右)も来場 |
月曜夕方に配信されるドラマ「40女と90日間で結婚する方法」は、カリスマ美容師である独身アラフォーの大庭琴音(飯島直子)の前に現れた、大手広告代理店に務める23歳サラリーマンの早坂翔(市原隼人)が結婚を前提に付き合って欲しいと告白するという恋愛ドラマ。制作はフジテレビ。
会場に主演の市原隼人さんと飯島直子さん、飯島演じる琴音の友人である陽子役の杉田かおるさんが来場。市原は「20代男性目線でも、40代女性目線でも、年齢問わず楽しめる」とアピールし、BeeTVの試みには「この企画でしかできないこともあると期待しています」とした。
「バージンロード」や「恋愛偏差値」などの栗原美和子プロデュース/脚本。監督は「101回目のプロポーズ」、「Age,35 恋しくて」を手掛けた光野道夫氏 | 左から杉田かおるさん、市原隼人さん、飯島直子さん | そのほか、ドラマでは海外作品としてワーナー制作の「ソロリティφフォーエバー」を月~金曜の夕方に配信する |
■ バラエティやトーク、「ムーログ」など
さまぁ~ずの2人とあびる優さんが来場した |
バラエティでは、さまぁ~ずとあびる優さんによる「トゥルルさまぁ~ず」を月/水/金曜の昼に配信。この番組は、「新感覚体当たりバラエティ」と題し、“私だけの気持ちいい”、“私だけの楽しい”、“私だけの○○”を3人が体験、検証するというもの。「痛気持ちいい」、「すっきり気持ちいいい」、「エロ気持ちいい」などのジャンルに分類し、最終的には「トゥルさま 気持ちい辞典」を作るという。
「気持ちいいもの」の例としては、「フラフープを手に持って3分間“グリグリ”して、その後“何か”を持つ」というものや、「カラのダンボールを“何か”する」といった、気になる内容。あびる優さんは「シュールで無駄にならない内容」、三村さんは「ラーメンの行列でならんでいるときにちょっと観られる」。大竹さんは「これを観て気持ちよくなって欲しい」とそれぞれ語った。
トーク番組では、和田アキ子さんが大物ゲストと対談するという「和田アキ子最強バトル」(土/日曜の朝)や、デーブ・スペクターさんと前田忠明さんが芸能人の素顔をイニシャルトークでこっそり教えるという「前忠×デーブの芸能都市伝説」(木/土曜の朝)などを配信。
最初の収録として翌日にみのもんたとの対談を控えている和田アキ子さんは、「20年やっていた番組を辞めて寂しくないか?」、といったことなどを聞くという。「今までテレビあった、“オンエアではちょっと…”というのをナシにしたい。“和田だから言ってくれる”ことを聞きたい」と意欲を見せた。
デーブ・スペクターさんも、「テレビでいろんな芸能ニュースをやっているけど、いいにくい状況がある。モバイルは誰の管轄か知らない。1週間で打ち切られるのでは」というほど過激な内容になるとのことで、「とりあえずエイベックス所属タレントのことをバラしたい」と、タブーも恐れない様子だった。
益若つばささん |
有名人のプライベート映像などを動画でブログのように配信する「ムーログ」では、東方神起(月曜朝)と、益若つばささん(木曜朝)、安田美沙子さん(金曜朝)を予定。
モデルとして活躍し、ブログで紹介する商品が即完売することから“経済効果100億円”といわれる益若つばささんが来場し、「ドラマやバラエティは完成されたものが出るので、ムービーならではの、失敗した映り方や、普段のグダグダなものでもそのまま見せられたら、と思う。(髪型の)おダンゴの作り方など、誌面や言葉では伝えられないことを見せたい」と語った。
そのほかの番組。左から音楽番組の「Bee MUSIC」(左)、撮り下ろしコントなどの「ジャマ・ジャマ ホンジャマカ」(中)、よゐこの有野晋哉さんと「ゲームセンターCX」のスタッフによる「有のめ」(右) |
高田純次さんが経営コンサルタント、スザンヌさんが秘書として企業訪問する「高田スザンヌ」 | 動物の赤ちゃんの映像を集めた「BABEE ZOO」 | 笑いのセンスを「HQ」という指数で測定するという「あなたのHQ(ユーモア指数)」 |
個性豊かな先生や生徒、謎の留学生などの日常を描いたアニメ「麻布十番学園」 | 「眠れないあなたに最強の睡眠導入剤」という「しあわせのひつじ」 | 「神社の鈴の3兄弟」が過ごすゆるくシュールな日々を描く「鈴3太郎」 |
小倉智昭さんが“喜怒哀楽”に溢れたトークを繰り広げるという「週刊 小倉智昭 ~担当者でてこい! ~」 | 史上初(?)という「線が1本」のキャラクターによる「いっぽんぽん」 | そのほか、EXILEが登場する番組も予告された |
(c)BeeTV |
■ 松浦社長「映像のパーソナル化を見越した」。新しい収益分配モデルも発表
エイベックスの松浦社長 |
サービス開始の経緯についてエイベックスの松浦勝人社長は、「2年ほど前、ゴールデンウィークに『蒼き狼』という映画で大失敗してしまった。千葉(副社長)と2人で、映像でこれからどうすればいいだろうと考えていた。これまで20年間、音楽を通していろんな経験をした。20年間で音楽はパーソナル化して、聴き方のスタイルが変わってきた。映像にもパーソナル化が来ると考えて、BeeTVを設立した」と説明。
今回の発表会を「(小室被告の)公判と違って緊張した」という松浦氏は、サービス開始にあたり最も心配していたという“番組内容の評価”について、「(エイベックス通信放送の最高顧問に就任予定の)幻冬社の見城徹社長にほめられ、自信が付いた」という。「いつでもどこでも誰でも携帯電話だけで100%満足できる映像コンテンツを作るBeeTVにこれからも期待してほしい」と述べた。
コンテンツ制作やマルチユース展開なども一括して行なうことで、収益分配についても独自のモデル「Good Share」を採用することも発表。コンテンツの人気度に応じてエイベックスと制作者がシェアするというもので、具体的には月会費(税抜き300円)からキャリア手数料の12%を引いた額に、会員数を乗じた総売上の11%を上限として、各番組の視聴占有率に応じて、キーキャストやキースタッフに対して定率で分配するという。なお、出演料は別となる。また、DVD化などのマルチユースが決定した場合も同様に印税を分配するとしている。
(2009年 4月 2日)
[AV Watch編集部 中林暁]