パナソニック、テレビ事業で「インチ戦略」の見直しも

-収益性を重視。2011年度は微増収減益を見込む


2011年度の連結業績見通し

 パナソニックは、2011年度の連結業績見通しを発表した。

 連結売上高は前年比0.1%増の8兆7,000億円、営業利益は11.5%減の2,700億円、税引前純利益は44.1%減の1,000億円、当期純利益は59.5%減の300億円と、減益計画とした。

 同社では、2011年4月28日の2010年度決算発表の席上で、2011年度の業績見通しを参考情報として開示し、連結売上高を8兆8,000億円、営業利益は3,100億円、税引前純利益は1,400億円、当期純利益は500億円としていたが、震災影響を織り込んだ結果、いずれもそれを下回る計画とした。


パナソニックの上野山実常務取締役

 パナソニックの上野山実常務取締役は、「売上高は震災影響の1,600億円のマイナスをカバーして、前年並みの実績を確保。営業利益は震災影響に加えて、円高の影響もあり減益となるが、三洋電機を除くすべてのセグメントで増収増益となる。一方で、事業構造改革費用の1,100億円は予定通りに実行し、経営体質強化に取り組む」とした。

 震災影響による販売減は、液晶テレビ、自動車関連商品および部材、携帯電話。これらは生産拠点の被災、サプライチェーンの影響、納品先の被災などによるもの」としており、液晶テレビ関連での販売減は約200億円、オートモーティブ関連で100億円、自動車やテレビ向けのデバイス関連で200億円、三洋電機で100億円の影響があるという。

 また、復旧ならびに復興需要による販売増は、LED照明、乾電池、ソーラー、燃料電池、住宅関連とした。

 「住宅関連ではパナホームに対して仮設住宅で1,200戸のオーダーがあり、これら製品で250億円の増収が見込める。また、これ以外にも節電対策でのエアコンの新規需要、蓄電池需要、安全対策などでの情報通信システム需要などもある。さらに、震災によって一部エコポイント需要がずれこみ、新年度に入ってもテレビやレコーダが好調であり、家庭向け商品でも200億円の増加があるなどのプラス要素がある。LED照明や乾電池は金額としては影響は小さい」などとした。

 なお、営業利益に対する震災の影響は900億円。復興需要などによる利益増は500億円としている。

 「4月28日時点では、売上高への震災影響は数1,000億円程度としていたが、それに比べると半分以下の影響に留まっている。月を追うごとに震災の影響は低下している」と語ったほか、「とくに下期は、消費者の環境・エナジーに対する関心が高まるとみており、下期はもっと販売が増加することを期待している。ホームアプライアンス、電工、システム関係、三洋電機のソーラーなどの販売増が見込まれるが、これらについては下期の業績見通しに十分な織り込みができていない」と、さらなる増収に意欲をみせた。

営業利益に影響した主な要因税引前利益の主な要因

 上期の売上高見通しは4兆円、営業利益は100億円だが、下期は売上高見通しが4兆4,000億円、営業利益は2,600億円と大幅な増収を見込む。

 「下期には新興国を中心とする海外での売上げ増加、テレビ用パネルの外販を昨年から大きく伸ばしており、それが下期に集中すること、携帯電話のスマートフォンシフトを計画しており、これが第4四半期にはすべてスマートフォンとなり、販売を大きく伸ばせること、部品の納品先である自動車メーカーが下期には100%以上の生産稼働率になることなどが要因」と語った。



■ 来年度以降の黒字化に向け、液晶の大型化も視野

 通期のセグメント別業績見通しは、デジタルAVCネットワークが前年比1.1%増の3兆3,400億円、営業利益が5.3%増の1,210億円。

 2011年度における薄型テレビの販売台数の2,500万台の計画は、4月28日の公表値からは変更はない。内訳は、プラズマテレビでは750万台と横ばい。液晶テレビでは38%増の1,750万台を計画している。

 同ドメインの主要会社であるAVC社の売上高は前年比1.6%増の1兆7,281億円、営業損益は281億円の赤字から、ブレイクイーブンを見込む。AVC社では、液晶パネル生産を行なう茂原工場が被災したことで、営業利益で200億円の震災影響、部材の調達で百数十億円の震災影響があるという。

 テレビ事業に関して、上野山常務取締役は、「今年度の黒字転換は難しい。だが、来年度には少なくとも、プラスが見える形にしなくてはならない。それに向けてはまだ詰めなくてはならないこともあるが、まずは大規模な設備投資がこれ以上ないこと、収益性の悪い低インチの製品は外からのパネル購入を広めていくことで改善を図る」としたほか、「液晶とPDPの境を取り払って、液晶テレビも高インチを開始するようにした。また、収益重視のなかでは限界利益率がない製品は無くしていかなくてはならないと考えている。赤字を解消するためには、インチ戦略も変えていかなくてはならないだろう。今年は大胆にプランを作り、来年には実行したい」と、薄型テレビ事業のさらなる構造改革に乗り出す姿勢を示した。

セグメント別見通しAVC社の営業損失改善を見込む

 なお、アプライアンスの売上高は前年比3.5%増の1兆3,200億円、営業利益は12.7%増の1,040億円。電工・パナホームは、売上高が4.3%増の1兆8,100億円、営業利益が4.1%増の760億円。デバイスの売上高が前年比2.0%増の9,450億円、営業利益は6.1%増の350億円。三洋電機は、売上高が14.5%減の1兆3,350億円、営業損失が前年の80億円の赤字から、550億円悪化のマイナス630億円の赤字。その他事業では、売上高が1.0%増の1兆2,100億円、営業利益が4.0%増の550億円とした。

 上野山常務取締役は、「家まるごとや、ビルまるごとといった『まるごと』のコンセプトは理解が進んでいるだろうが、それが業績として反映されている金額が低い。また、テレビ事業における課題解消をはっきりと断言できていないところが、いまの株価に反映されているのではないか」などとした。



(2011年 6月 20日)

[ Reported by 大河原克行 ]