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ソニー、1型CMOSと有機ELファインダー。ツァイスレンズの高級コンパクト「RX100III」。XAVC S動画も

RX100 III

 ソニーは、コンパクトデジタルカメラながら、1型のCMOSセンサーを搭載した「RX100」シリーズの新モデルかつ、最高峰のモデルとして、35mm換算24~70mmでF1.8-2.8のツァイスレンズや、XAVC Sの動画撮影機能、有機ELのビューファインダーなどを搭載した「DSC-RX100M3」(RX100 III)を5月30日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は88,000円前後。

 1.0型(13.2×8.8mm)のExmor R CMOSセンサーを搭載。有効画素は約2,010万画素。コンパクトデジカメで多い1/1.7型センサーなどと比べ、受光部の表面積比は約2.8倍で、裏面照射型でもあるため、暗所に強く、高感度で低ノイズな撮影ができるという。

 レンズはツァイスのバリオ・ゾナーT*、35mm換算で24~70mm。F1.8-2.8と明るく、ボケを活かした撮影が可能。望遠マクロにも対応し、最短撮影距離はRX100 IIが焦点距離70mm時で55cmのところ、RX100 IIIは30cmに抑えている。NDフィルタも内蔵。

「DSC-RX100 III」
上から見たところ
左からDSC-RX100、DSC-RX100M3、DSC-RX100M2
奥からからDSC-RX100、DSC-RX100M3、DSC-RX100M2
奥がDSC-RX100M2、手前がDSC-RX100M3。レンズのリング部分の厚みが若干異なる
モデル名DSC-RX100M3DSC-RX100M2DSC-RX100
発売年2014年2013年2012年
センサー1型 Exmor R
(裏面照射型)
1型 Exmor R
(裏面照射型)
1型 Exmor
ISO感度
(静止画)
ISO 125~12800ISO 125~12800ISO 125~6400
画像処理エンジンBIONZ XBIONZBIONZ
レンズ24~70mm F1.8-2.828~100mm F1.8-4.928~100mm F1.8-4.9
ファインダー
動画記録方式XAVC S
AVCHD 60p/60i/24p
AVCHD 60p/60i/24pAVCHD 60p/60i
無線LAN/NFC
PlayMemories
Camera Apps
XAVC S動画撮影も可能

 画像処理エンジンはBIONZ X。動画撮影はAVCHDとXAVC Sに対応。撮影モードはXAVC Sで1080/60p 50M、1080/30p 50M、1080/24p 50M、1,280×720/120p 50Mを用意。AVCHDでは28M PS(1,920×1,080/60p)、24M FX(1,920×1,080/60i)、17M FH(1,920×1,080/60i)、24M FX(1,920×1,080/24p)、17M FH(1,920×1,080/24p)を用意。MP4で、12M(1,440×1,080/30fps)、3M VGA(640×480/30fps)も用意する。

 動画撮影時の手ブレ補正には、フレーム解析技術を用いた「インテリジェントアクティブモード」が利用可能。5軸補正に対応する機能となる。また、フルHD動画と共に、軽いMP4動画を同時記録する事も可能。Webアップロード用などに活用できる。ただし、XAVC S 120/60/50pと、AVCHD 60/50pで撮影する場合、同時記録は利用できない。

 動画撮影中も全画素超解像ズームが利用可能。HDMI出力も備え、アイコンなどを映像に表示せず、映像のみをHDMI端子から出力する事もできる。

RX100 III

 撮影補助機能として、ロックオンAFや、瞳AF、フォーカスエリア設定、オートフレーミング機能などを搭載。MFアシスト、ピーキング機能、ゼブラパターンの表示、ピクチャーエフェクトなどにも対応する。

 液晶モニタは3型、約122.9万ドットで、エクストラファイン液晶を採用。180度チルトに対応し、自分撮りも可能。さらに、ポップアップ式の有機ELファインダーも搭載。0.39型、144万画素のファインダーで、ツァイスのT*コーティングを施している。ファインダー表示と背面モニタの表示を自動で切り替えるアイセンサーも搭載。

チルトも可能な液晶モニタ
自分撮りも可能
ポップアップタイプの有機ELファインダーを搭載している

 ポップアップ式の有機ELファインダーは、側面にポップアップ用のスイッチを装備。それを下に下げると飛び出し、その後、接眼部分を指で手前に引き出して固定する。電源OFFの状態から、この動作を行なうだけで電源がONになり撮影でき、逆にファインダーを仕舞うと電源がOFFになる。つまり電源ボタンを使わず、ファインダーの展開・収納だけで撮影が開始・終了できる。

側面のスイッチでファインダーをポップアップ
ポップアップしたファインダー。接眼部を手前に引き出すと準備完了

 コントロールリングなど、RX100シリーズで培った操作性は踏襲。カスタムキーやコントロールリングなどには様々な機能が割り当て可能。カスタムキーも増加している。

 無線LANを搭載。NFCにも対応し、対応するスマートフォンとワンタッチで連携可能。PlayMemories Camera Appsにも対応。ピクチャーエフェクト+やスマートリモコンなど、撮影機能などを追加する様々なアプリが利用できる。HDMIや無線LANを使い、カメラから4K対応テレビに静止画を転送する事も可能。

 外形寸法は101.6×41×58.1mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は本体のみで263g。記録メディアはSD/SDHC/SDXC、メモリースティックPRO デュオ/PRO-HG デュオに対応する。

アクセサリとして、専用ジャケットケース「LCJ-RXF」も5月30日に8,400円で発売する。RX100シリーズにフィットし、ケースを装着したまま液晶チルトの動作が可能

コンパクトの市場は縮小するも、高級コンパクトは右肩上がり

ソニーマーケティング デジタルイメージング MK部の伊藤秀樹氏

 ソニーマーケティング デジタルイメージング MK部の伊藤秀樹氏は、国内民生用デジタルカメラの台数ベースでの市場推移について、「レンズ交換式は堅調な成長軌道にあると見込んでいるものの、コンパクトデジタルカメラは縮小傾向。二桁%の縮小を見込んでいる」という。

 しかし、1/1.7型以上のイメージセンサーを搭載したレンズ一体型カメラ、いわゆる“高級コンパクト”の国内市場は伸びており、2012年は28万台、2013年は41万台、2014年は49万台と、前年比約120%の伸びを予測。伊藤氏は「レンズ交換式カメラのサブ機としての需要が高まっている」と見ている。

 また、高級コンパクトの実売平均単価推移では、ソニーを除く他社のカメラの平均単価が4万円程度であるところ、ソニーのRXシリーズはこれまでのモデルで平均単価約7万円を維持、「非常に高い付加価値を獲得できている」という。

国内のデジタルカメラ市場推移、台数ベース
高級コンパクトは右肩上がり
高級コンパクトの実売平均単価推移

 RX100シリーズは今回のモデルで3機種のラインナップ展開となるが、伊藤氏は「RX100 IIIは、レンズや画像処理エンジン、ビューファインダー、動画撮影機能など、一眼カメラを使っている人にも十分に楽しんでいただけるコンパクトなサブ機」と特徴を紹介した。

発表会場に展示された作例。35mm換算24~70mm F1.8-2.8の明るいレンズと、大型センサーを活かし、ポートレート撮影やボケ味を活かした撮影、広角撮影が可能な点などが紹介された

(山崎健太郎)