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JVCケンウッド、高級スポーツカー「マクラーレン650S」で運転支援+エンタメ。新カメラも

 米国ラスベガスで1月6日~9日(現地時間)まで開催されている「2015 International CES」において、JVCケンウッドは英マクラーレン・オートモーティブのスポーツカー「McLaren 650S Spider」に、デジタルコックピットシステムのコンセプトモデルを搭載したデモカーを出展した。

McLaren 650S Spiderにデジタルコックピットを搭載した特別仕様のデモカー

 JVCケンウッドは米国時間の7日にプレスカンファレンスを行ない、今回のCESにおけるマクラーレンとの協力を発表。両社は1991年にオフィシャルサプライヤー契約を締結して以来、23年間に渡ってマクラーレン・ホンダ F1チームへの無線システムの供給を続けている。

 CESで展示されたショーカーは、'14年モデルの「McLaren 650S Spider」(650S)に、運転手の視界確保支援に着目したi-ADAS(革新的先進運転支援システム)を搭載。i-ADASは、ヘッドアップディスプレイ(HUD)や車載用フルHDカメラ、電子メーター、電子ミラーなどを組み合わせることで、サイドミラーなどを不要にしつつ、ドライバーが安全確認のために見たい映像や情報などを確認しやすくするもの。カーナビなどのインフォテインメント(情報+エンタテインメント)システムとも融合している。

前方へ持ち上がるディヘラルドアを開け、車内へ
運転席の前にコンパクトに集約されたディスプレイ

 これまでCESやIFAなどのショーで行なってきたデモ展示は、実際の車両ではなく運転席をイメージして作られた大きな特別シートだったが、今回の採用は実車であり、しかも650Sは日本で購入した場合は約3,000万円を超える高級スポーツカー。ドライバーの視線移動を少なくするなど運転のしやすさをさらに重視した配置でディスプレイなどを使用している。また、画角180度の4つのフルHDカメラからの映像を合成することで、駐車時などに使えるトップダウンビューも新たに撮影可能になった。

トップダウンビューも可能に
側面のカメラ(写真はドアを開けた状態)

 メインとなるディスプレイは、フロントガラス前方に浮かんで見えるHUDと、ミラーの役割を持つ3面の映像、メーターなどインパネ表示による3段構成。今回のショーカーでは3段をドライバー前方にまとめているが、自動車メーカーの要望に応じてレイアウトは変更可能だという。スポーツカーに搭載したことで、ディスプレイの表示は、ノーマルモードとスポーツモード、(サーキットなどの)トラックモードの3種類を用意。メーターなどをそれぞれのシーンに最適化して表示する。そのほか、運転席と助手席の間には、ナビや音楽再生などの表示を行なう縦長のディスプレイを配置している

ノーマルモード
スポーツモード
トラックモード

 さらに、新たなアップデートとしてJVCケンウッドの音質マイスターの監修により音質面も強化。スピーカーは、フロントドアにウーファ、フロントピラー(フロントガラス両脇の柱)にツイータ、後方にサブウーファを装備している。アンプ部は車両前方に備え、ツイータとウーファはバイアンプで動作する。

 ショーカーの運転席へ座ったところ、何より印象的なのは、これまでの展示に比べて、運転に必要な情報がコンパクトにまとまっているところ。表示する情報が増えてくると安全面は気になるが、ミラーなどの確認も視線移動が少なく行なえる。運転だけでなくエンタメ機能についても、例えば音楽再生のアルバムアート表示は運転に必要な情報を妨げず前面の脇の方に行なうなど、各要素を最適に表示することができる。将来、自動運転技術など車の最新トレンドとの組み合わせも期待でき、従来とは全く違う運転の体験が可能になりそうだ。なお、今回のMcLaren 650S Spiderへの搭載はCES用のもので、実際の車両に採用すると決まったわけでは無いとのことだが、早く対応車両が登場することに期待したい。

シート脇のディスプレイで音楽再生などの操作を行なう
運転席のディスプレイ脇にも、アルバムアートが表示された

35mmセンサーのマイクロフォーサーズビデオカメラや、新XXヘッドフォンも

 '14年のInter BEEで出展した4K対応のスーパー35mmセンサー搭載ビデオカメラ「GY-LS300」も参考展示。同社が子会社化したAltaSensのイメージセンサーを備え、マイクロフォーサーズマウントを採用しているのが特徴。動画記録は4K(3,840×2,160ドット)のQuickTime(MOV)で、ビットレートは150Mbps。SDHC/SDXCカードに対応し、本体にデュアルスロットを装備。フルHD 4:2:2の50Mbps記録も可能。今回のCESでは、展示だけでなくその場で実機の操作感なども試せるようになっている。米国での発売は3月で、価格は4,450ドル。

GY-LS300

 マイクロフォーサーズレンズやスーパー16mmレンズなどを使用する場合の機能として、「Variable Scan Mapping(VSM)」も搭載。レンズによるケラレ部分が記録されないように、あらかじめ中央部分に寄って周囲を切り取った上で撮影するもので、センサー全体のうち、80%まで寄る(外側20%を切り取る)ことが可能。

マウントはマイクロフォーサーズ
側面にデュアルSDスロットを装備
4K 150Mbpsで記録可能
Variable Scan Mappingのメニュー画面
80%にした状態
Rokinon製のスーパー35mm用レンズも展示

 JVCブランドのヘッドフォン新製品では、重低音を強化するXX(ダブルエックス)シリーズの「XX ELATION」(HA-SR100X)を展示。独自形状の「Xダンパー機構」により、低音の豊かさだけでなく、キレやスピード感も向上した、“クラブサウンドモデル”としている。米国で4月に発売し、価格は99ドル。

XX ELATION(HA-SR100X)

 そのほかにも、XXシリーズではアラウンドイヤーモデル「HA-MR60」や、オンイヤー「HA-SR60」などを4月に発売。スポーツ向けのIPX2防滴カナル型(耳栓型)イヤフォン「HA-ECX20」もラインナップする。

アラウンドイヤー型「HA-MR60」(右)と、オンイヤー型「HA-SR60」(左)
スポーツイヤフォン「HA-ECX20」
ケンウッドブランドのコーナーでは、アップルのCarPlayや、GoogleのAndroid Auto対応モデルなどを説明している

(中林暁)