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ソニー、心拍数に応じ選曲するランニング音楽プレーヤー

「Smart B-Trainer」。アプリで効率的にトレーニング

 ソニーは、音楽再生や心拍計などの機能を備えたランニング用デバイス「Smart B-Trainer SSE-BTR1」を3月7日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は27,000円前後。16GBのメモリを内蔵する。カラーはブルー(L)、ブラック(B)、ピンク(P)、ホワイト(W)の4色。

Smart B-Trainer SSE-BTR1の装着例

 音楽再生機能付きBluetoothヘッドセットに、心拍、GPS、加速度、ジャイロ、電子コンパス、気圧の各センサーを搭載し、ランニング時の使用に特化したデバイス。1月の「2015 International CES」で参考出展されていた。

 ネックバンドを備えた耳掛け型で、重さは43g。IPX5/8相当の防水仕様で、スポーツ中に汗をかいたり、雨の中でも利用でき、水洗いも可能。後述するスマホアプリと連携し、センサーで計測した心拍数などをスマホに表示できるが、デバイスのSSE-BTR1単体でも音声でリアルタイムにデータを確認できるため、ランニング時にスマホを持たずに計測し、後でログデータをアプリに転送してチェックするといった使い方も可能。スマホとの接続はBluetooth 4.0で、NFCペアリングに対応する。

スマートフォンと連携してトレーニングに活用できる。NFCでペアリング可能
ブルー
ブラック
ピンク
ホワイト

 トレーニングの目標を設定し、音楽を聴きながら走ると、現在の心拍数に応じて、ペースを上げる/下げるべきかなどを音声で案内。言葉だけでなく、再生中の曲よりもBPMの速い/遅い他の曲に変えることで、ペースを変えることを促すのが特徴。製品名「Smart B-Trainer」のBは“BPM”を指し、心拍と音楽のテンポをトレーニングに活かした製品であることを意味している。

 なお、実際に計測するのは「心拍」ではなく、耳に装着したイヤフォンで測る「脈拍」だが、不整脈や期外収縮などがない場合、脈拍数と心拍数はほぼ同じとされている。脈拍を計測することで、運動量の計測や心拍数を目安にしながら心拍トレーニングを手軽に行なえることから、ソニーは「心拍」に統一して表現している。

イヤフォン部で心拍数(脈拍)を測定

 トレーニングには専用のiOS/Androidスマートフォンアプリ「Smart B-Trainer for Running」を使用。アプリは無料で、ランニングログの取得や、「ベーシックメニュー」はデバイスのSSE-BTR1を購入しなくても利用できるが、SSE-BTR1を組み合わせることで、心拍数のデータも合わせてログに残せるほか、音声による案内や、「プレミアムメニュー」なども利用可能になるなど、フル機能が使えるようになる。アプリの対応OSはiOS 7以降のiPhone/iPod touchとAndroid 4.1以降のカメラ搭載スマートフォン。タブレットは対象外。iOS版とAndroid版は機能が一部異なり、詳細は後述する。

ケーブルを耳に掛けて装着
スマートフォンアプリ「Smart B-Trainer for Running」と連携
アプリのメニュー画面

 スマホアプリのみで行なえるベーシックメニューは、時間や距離などの目標値を設定できるものや、デバイスのSSE-BTR1で計測する心拍数を活用した「効率的に脂肪燃焼」、「持久力アップ」などのトレーニングが可能。

距離表示
心拍数表示
時間表示

 アプリとデバイスを使ったトレーニング中は、心拍数に応じて楽曲が自動で選曲されて再生。「ダイエットには心拍数が低めが良い」、「持久力向上には心拍数は高めが良い」といった心拍トレーニングの考えに基づき、音楽のテンポに合わせて走るだけで効率的にトレーニングできるという。なお、楽曲の自動変更をしたくない場合は、通常のシャッフル再生のみを行なう「通常モード」も利用できる。このほか、トレーニング中に内蔵マイクでボイスメモ録音も行なえ、トレーニング後の振り返りなどに利用できる。

 音楽再生には手持ちの楽曲を利用できるほか、ソニーミュージックパブリッシングと協力して制作した、ランニングに適した様々なBPMの楽曲を30曲プリインストール。手持ちの曲が速い/遅いBPMばかりに偏っている場合も、プリイン楽曲を使うことで、上記のような様々なテンポのトレーニングができる。なお、楽曲転送には12音解析を行なう「Media Go」の利用が推奨されているが、ドラッグ&ドロップで転送した場合も、デバイス側でBPMを見て、トレーニングに活用できるという。

 デバイスが必須のプレミアムメニューは、テレビのマラソン中継などの解説者としても知られる、ナイキランニングアドバイザーの金哲彦氏が監修。本人の録り下ろしによる音声コーチングを受けながら、ダイエットや走行距離などの目標に向かってトレーニングできる。ランニングだけでなく、準備運動などについてもアドバイスする。デバイスの購入者は無料で利用でき、'15年春以降に順次メニューを追加予定。今後、メニューの販売も検討している。

身長や体重などのデータを入力し、より正確にトレーニングが行なえる
金哲彦氏のトレーニングメニュー

金哲彦氏によるトレーニング名(レベル順)

経験ゼロ→30分走れるようになりたい
ダイエットしたい(屋外編)
より健康になりたい(屋外編)
30分→60分走れるようになりたい
キロ8分→6分ペースで走れるようになりたい
10キロレースを90分以内で走りたい('15年夏提供予定)
ハーフマラソンを3時間以内に完走したい('15年春提供予定)
制限時間以内にフルマラソンを完走したい('15年春提供予定)
フルマラソンでサブ5を目指したい('15年夏提供予定)
フルマラソンでサブ4を目指したい('15年春提供予定)

 さらに、同アプリはスポーツブランドのアシックスが開発したランニングトレーニングプログラムの「MY ASICS」とも'15年春に連携を開始予定。ユーザーに合わせたランニングプランを利用でき、データの管理や保存が行なえるようになる。

 アプリに転送できるトレーニングのログは、距離や時間、消費カロリーなどの累積記録や、ルート/距離/平均ペースなどの概要、ペース/高度/心拍数などの変化グラフ、走行ルートのキロごとのラップタイム、走行ルートで聴いた楽曲リスト。これらのデータを、後からスマートフォンでチェックできる。

目標などの設定項目
走行距離の履歴を後から確認可能
走行した軌跡と合わせてペースを表示
心拍数とピッチを同時表示。2項目まで同時に見られる
キロごとのラップタイム
履歴の検索画面

 音楽の再生対応ファイルはMP3/WMA/ATRAC/リニアPCM/AAC。44.1kHz/16bitまでの対応で、ハイレゾや、著作権保護されたファイルの再生はサポートしない。なお、他のプレーヤーからワイヤレスで音楽を受信するBluetooth 4.0準拠のヘッドセットとしても利用可能で、プロファイルはA2DP/AVRCP/HFP/HSP/SPPに、コーデックはSBC/AACに対応。イヤフォン部は9mm径のダイナミック型ユニットを備えた「EXヘッドホン」。モノラルマイクも内蔵する。

水洗いも可能
本体操作ボタン
USB充電クレードル装着時

 バッテリを内蔵し、連続使用時間は、トレーニングメニュー利用時が最長約6時間、音楽再生のみでは最長約13.5時間。。充電はUSB経由で行ない、充電時間は約1.5時間。通常のイヤーピースと、水泳用イヤーピースを同梱。それぞれS/M/L/LLサイズを用意する。そのほか、USBクレードルやキャリングポーチなどが付属する。

トレーニングメニュー作動中のバッテリ持続時間
  • GPS ON時:約3時間(Bluetooth ON)/約4.5時間(Bluetooth OFF)
  • GPS/スタミナモードON時:約3.5時間(Bluetooth ON)/約5.5時間(Bluetooth OFF)
  • GPS OFF時:約4時間(Bluetooth ON)/約6時間(Bluetooth OFF)
音楽受信のみのバッテリ持続時間
  • GPS ON時:約3.5時間(Bluetooth ON)/約5時間(Bluetooth OFF)
  • GPS OFF時:約6時間(Bluetooth ON)/約13.5時間(Bluetooth OFF)
Smart B-Trainer SSE-BTR1のプロモーション動画

(中林暁)