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スカパー、HDR/HLG推進でテレビをさらに高画質化
第2四半期決算。ラグビーが「ビッグコンテンツ」に
(2015/11/5 18:53)
スカパーJSATは5日、2015年度第2四半期決算説明会で今後の事業方針やHDR対応の強化などを説明した。
HDRについては既報のとおり、通信衛星JCSAT-3Aを使った4K HDR映像伝送実験を、11月18日から20日に幕張メッセで開催される「Inter BEE」会場において実施する。
映像の4K HDR形式は「Hybrid Log-Gamma(ハイブリッドログガンマ・HLG)」で、伝送内容は収録済みの4K HDR映像。サッカーや、SUPER GT、音楽ライブ、風景などを予定しているほか、スカパー東京メディアセンタースタジオからのライブ伝送も行なう。受信場所は、Inter BEE 2015のソニー/ソニービジネスソリューションと、東芝、アストロデザイン、共信コミュニケーションズの各ブース。
決算説明の会場でもHDR映像デモを紹介。「強みは衛星をもつプラットフォームということ、そのリソースを活かして4Kだけでなく、HDRについてにも取り組み、最先端技術でテレビのさらなる高画質化を目指す」(高田真治代表取締役社長)とした。
決算会場におけるHDRデモは、HLGではなくS-Logデータを用いて、ローカルのHDDプレーヤーから再生するものだったが、スカパーではHLG方式が放送において有力と考えているという。その理由は、標準ダイナミックレンジ(BT.709)との互換性の高さ。1本の伝送信号で、BT.709とHDR信号の双方を含んで伝送できる。
スポーツ中継などでも利用できることから、スカパーが強みを持つスポーツや音楽ライブでのHDRの魅力を訴求。例えば、昼間のサッカー中継では、屋根の影による明暗差に起因する白トビや黒潰れなどを防ぎ、より臨場感を高められ、音楽ライブでは暗いコンサート会場におけるライティング演出などをより確かに伝えられるなど、映画だけでないHDRの魅力を訴求していく考え。
ただし、現時点ではテレビでのHLG表示やHDMIにおけるHLG伝送について規定されておらず、4K放送のスカパー! 4K等ですぐに導入できる段階ではない。スカパーでは、Inter BEEでの展示を皮切りに、関係各社の協力や対応を促すとしている。
スカパー! 4Kの加入数は明らかにしていないが、「テレビ側にスカパー プレミアムチューナが入ってきたのは、マーケティングで大きな意味がある。4Kチューナ内蔵テレビの発売時期がやや遅くなってしまったこともあり、加入計画もやや後ろだおしになっている。年末から、来年のスポーツシーズンの開始に向けて、4Kをフックにしたプレミアムの加入促進に注力したい(仁藤雅夫 取締役)」とした。
ラグビーは「次元の違うビッグコンテンツに」
2015年度第2四半期決算(累計)は売上高が0.8%減の817億5,600万円、営業利益が15.3%減の108億7,100万円、純利益は30%減の70億3,500万円。前年の標準画質サービス終了による影響で、前年同期比減収減益となったが、計画通りの推移で、通期予想に変更はない。
減収要因は、プレミアムサービス視聴料収入減少や、標準画質サービス終了に伴う手数料収入の減少など。また、営業費用としては、ポール・マッカトニー武道館ライブなど独占コンテンツの獲得費用が27億円増えたこともあり、11.3億円増加した。
有料多チャンネル放送の新規加入数は22万6,000件、純増数は2万件で、累計加入件数は348万2,000件。上期の施策としては、ポール・マッカトニーなどの音楽ライブやオリジナルドラマ「アカギ」など独占コンテンツの強化や、ラグビーワールドカップ全試合生中継など、生中継スポーツの契約拡大に注力。また、9月下旬の10日間無料放送などで新規獲得を行なったという。
第3四半期以降もオリジナルコンテンツや、話題のコンテンツなどを強化。オリジナル時代劇の「果たし合い」、「遅いしあわせ」のほか、ラグビー・トップリーグや、スーパーラグビー、ATPテニスワールドツアー マスターズ100など、スポーツライブを投入。特にラグビーについては、「2019年のワールドカップ日本大会に向け、これまでと次元の違うビッグコンテンツになる」(高田真治社長)と高い期待を寄せている。
4K放送については、市川崑による「東京オリンピック」4K版や、久保田利伸コンサート、映画は「戦場にかける橋」などを追加する。
スカパーオンデマンドの9月末累計登録者数は536,651件。テレビサービスの10日間無料放送と連動した無料配信施策などで新規登録者を獲得しており、今後は放送とのサイマル視聴チャンネルを拡大。「他のVODと差別化した、スカパー!の特徴を活かしたサービスにしていく」(高田真治社長)。