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ソニー、4K HDRライブ中継を実現する機器を開発中。Inter BEEに新カメラも展示
(2015/11/18 13:05)
ソニーは、幕張メッセで18日~20日まで開催される「Inter BEE 2015」において、4KのHDR(ハイダイナミックレンジ)映像の制作に対応したカメラやモニタを展示するほか、HDRでライブ中継を行なうための機器を開発している事も紹介。放送事業者が4K IP伝送を実現するためのソリューションを、IIJと協力して提供する事も発表された。
4K HDRでライブ中継を実現するために
ソニーでは既に、4K HDRに対応した機器として、シネアルタ4Kカメラ「F65」、「PMW-F55」と、4Kの有機ELマスターモニター「BVM-X300」を用意しているが、新たにライブ中継におけるHDR映像制作の可能性も提案。中継の一例として、4K/HDシステムカメラ「HDC-4300」で4K・HDR撮影した、2015年イギリスMotoGP映像のデモ放映を実施。スカパーJSATが4K・HDR映像のライブ映像伝送デモも行なっており、スカパー! のスタジオに設置したカメラ「F55」で撮影した4K映像を、ソニーブースで視聴できるようになっている。
また、制作現場では、4K制作インフラを従来の同軸ケーブルで構築する際、配線やルーターの規模などがHDの4倍以上必要となり、コスト、スペース、重量が課題となっている事から、制作環境を効率的に構築する「IP Live Production System」を推進。従来のSDIに代わり、機器間の映像/各種信号の伝送にIPを使うもので、制作システム全体をネットワーク上で一元管理し、運用効率を飛躍的に向上させるという。
そのコア技術である、AV伝送インターフェース「ネットワーク・メディア・インターフェース」に対応した新商品として、4Kシステムカメラ用のベースバンド・プロセッサユニット「BPU-4500」('16年2月1日発売 350万円)、4K/HD対応マルチポートAVストレージユニット「PWS-4500」('16年2月1日発売 1,460万円)、4K映像のIP信号入出力を実現したマルチフォーマットスイッチャープロセッサー「XVS-8000」('16年6月30日発売 5,000万円)を発表。
「BPU-4500」は、4Kカメラシステムと組み合わせて利用するプロセッサで、従来機種「BPU-4000」の機能に加え、新たにネットワーク・メディア・インターフェースに対応したのが特徴。カメラ部の「HDC-4300」を含むシステムアップデート(年内を予定)によって、新たに4K/120p出力に対応。マルチポートサーバーシステム「PWS-4400」や「PWS-4500」などと組み合わせて、4K 2倍速の滑らかなスローモーション映像を実現できるという。さらに、アップデートにより「HDC-4300」接続時のS-Log3出力もサポートする。
インターネットイニシアティブ(IIJ)が、ネットワーク・メディア・インターフェース搭載機器のインフラに適したネットワークを、構築を含めてソリューションとして提供。ソニービジネスソリューションと協力し、放送事業者向けに販売していくという。
なお、ネットワーク・メディア・インターフェースに賛同するパートナーは、2015年11月時点で42社。
カメラの新製品
フルHD撮影対応のマルチパーパスカメラ「HXC-P70」('16年1月発売予定 190万円)は、幅86mm、重さ約1.5kgの小型筐体に、2/3型の3CMOSセンサーを搭載。F12の高感度やノイズの少ない高画質を実現したというモデル。高所やスペースの限られた場所への設置にも柔軟に対応できるという。
カメラ単体の運用できるほか、カメラコントロールユニット「HXCU-FB70」と接続して、システム運用することも可能。コントロールユニットから電源供給時には最長500m、シングルモード光ファイバーケーブル接続時には最長10kmの長距離伝送にも対応する。
フルHD対応のXDCAMメモリーカムコーダー「PXW-X400」('16年2月発売予定 本体のみで220万円)は、2/3型の3CMOSセンサーと、新しい信号処理回路の搭載により、F12の高感度、62dBの高S/Nを実現。肩担ぎの状態で最適な重量バランスを実現するため、本体の軽量化や、レンズ装着時の重心位置を最適化。約22Wという低消費電力化も実現し、カメラマンの負荷を軽減しつつ長時間撮影を可能にしたという。
記録フォーマットには、放送局やプロダクションなど映像制作の現場で広く採用されているMPEG HD422 50Mbpsフォーマットに加えて、10bitサンプリングによる高精細な階調表現ができるXAVCフォーマットにも対応している。
プロキシ記録用のSDカードスロットやネットワーク機能も備え、ファイル転送やライブストリーミングなど、ネットワークを活用した最新のワークフローにも対応できる。