スカパー! HD「第二期」に向け新キャンペーンなど展開
-強力なコンテンツと特典でHD 100chの“リビング革命”
スカパーJSAT株式会社は11日、東経124/128度の通信衛星(CS)を利用したハイビジョン放送サービス「スカパー! HD」の第ニ期サービスを10月1日より開始すると発表。ハイビジョンチャンネルの拡大に向けたスケジュールや、加入者獲得に向けた施策の説明を行なった。
多チャンネル化の推進に向けた戦略については、放送事業本部長を務める木戸英晶専務が説明。個人契約数の増加が鈍化し、スカパー! e2(110度)の加入数はエコポイントで売れたテレビの影響などで好調だが、メインのスカパー!(124/128度)では下降している現状に対し、「勢いを戻すための起爆剤」とする。
第二期(10月~'09年度末)のチャンネルのラインナップとしては、現在3chのスポーツを7chに、映画を現在の4chから9chに、海外ドラマを1chから10chにそれぞれ拡大。アニメ(4ch)や音楽(5ch)などこれまで無かったジャンルのチャンネルも開始される。
パックサービスの拡大も予定しており、10月には「よくばりパックHD」(月額4,700円)でHDが40ch、SDが28ch視聴できるようになるほか、新たなパックとして、15ch選んで月額3,800円の「スカパー! えらべる15HD」も10月1日より販売される。
スカパー! とJSAT/宇宙通信の統合で総合的な市場拡大に向けた活動が行なえるようになったこと、MPEG-4 AVC/H.264の採用で、1台のトランスポンダで4~5ch分が賄えるようになったこと(従来は2ch分)を挙げ、現在18chのHDを10月に58ch、2010年春までに70ch以上、2011年に85ch、2012~13年には100ch規模を目指すとした。
スカパー! HDの事業構造 | MPEG-4 AVC/H.264の採用で「高画質と多チャンネルを同時に提供できる」とアピール | HDチャンネル拡大のスケジュール |
■ テレビとのセット購入で5,000円プレゼントのキャンペーンも
マーケティング戦略などを説明した出水啓一朗専務は、「基本的にはコンテンツがリードする」と多彩な番組ラインナップをアピール。2010年のFIFAワールドカップ南アフリカの全64試合ハイビジョン生中継や、プロ野球のクライマックスシリーズ、ぺ・ヨンジュン祭りなどを例に、「独自のスペシャル番組も加え、HDだからこそ見たい番組、という要望を満たせるのでは」とした。
広告展開は、9月の連休より開始。新たに「高級感・説得力のあるキャラクター」という俳優の山崎努さんを起用し、「『リビング革命』をキーワードにして、我々のメッセージを山崎さんに託す」という。
また、「手軽さが受けたe2に比べ、スカパー! HDは説明が必要な商品。実際に見てもらうとなると、量販店などで体験していただくことが重要」と述べ、e2は家での“お試し型”、スカパー! HDは店頭でチューナを買ったときが観ようと決めたときという“チューナ拡販型”として、全国どこでも共通した理解ができる店頭展示を重視。テレビ以外に対応Blu-rayレコーダ製品のコーナーにもPOPなどの展示を行なう。
新規加入者向けのキャンペーンとして、9月16日~2010年3月31日の期間に、スカパー! HD加入と同時にテレビやレコーダを購入すると、5,000円プレゼントするセットキャンペーンを実施。また、BS/110度CSデジタルとスカパー! を1台で受信できるマルチ衛星アンテナとその取り付け工事を5,000円で提供するため、前述のセット購入とあわせると実質0円でアンテナ設置が可能となる。さらに、「よくばりパックHD」の契約で3,000円のキャッシュバックも行なう。
SD放送加入者がHDにアップグレードした場合は、スカパー! ブランドのHD対応チューナ「SP-HR200H」のレンタル料(630円/月)を6カ月間無料とするほか、「よくばりパックHD」(4,700円/月)がSDのパックと同額の3,500円/月で6カ月間、「えらべる15HD」(3,800円/月)が2,800円/月で6カ月間利用できるキャンペーンも実施する。
そのほか、他社のレコーダやLAN HDDの利用でHD録画も利用可能になったことも訴求。録画機能については、「チューナ単体で入れようとしても、開発費がかかって難しい。だいたい年に2回ほどモデルチェンジされている家電メーカー製品を外付けすることで、利用者の持っている録画機でそのまま録画できるという形を採りたい」とした。現在では東芝VARDIAやソニーのBlu-ray Discレコーダ、アイ・オー/バッファローのLAN HDDが録画に対応しているが、パナソニックやシャープなど他のメーカーとも既に話し合いに入っているとし、「必ず徐々に対応してもらえるものと思っている」とした。
2009年度のHDサービスへの加入者数目標は、新規が13万件、SDからHDへの買い替え(移行)が13万件の計26万件が目標。2008年度は新規約7,500件、買い替え約13,000件で2009年8月末現在では加入者累計41,176件という数字から「高いハードルだが、広告宣伝キャンペーンと、店頭販促活動で、目標に向けて大きくシフトしていきたい」とした。
■ 秋山社長「“四身一体”でHD改革を進める」
秋山政徳社長は、同社と放送事業者、家電量販店、家電メーカーの協力による「“四身一体”でHDを普及させる体制が整った。今年の下期が大きな山場、天王山となる」と気を引き締める。
秋山氏は「テレビ視聴の文化やスタイルが多様化し、予定や都合に合わせて観るタイムシフト志向、ライフスタイルに合わせた視聴など、テレビがターゲットメディア化している。その中でラインナップをたくさん揃えられるのは我々だけ」と自信を見せる。
さらに「地デジ完全移行に向け、ハイビジョンテレビが好調だが、本格的なハイビジョンチャンネルは日本では乏しい。そこに打って出て、スカパー! ならではの高品質で喜ばれるサービスをしたい。(2013年までの目標である)100chになると世界でもトップクラスの事業者になる。日本の放送文化の発展に貢献するとともにHD革命を進めたい」とした。
(2009年 9月 11日)
[AV Watch編集部 中林暁]