三洋、初の防水/フルHD対応で薄型グリップの「Xacti」

-実売4万円。12倍「ダブルレンジズーム」。USB給電も


6月下旬発売

標準価格:オープンプライス


 三洋電機は、デジタルムービーカメラ「Xacti」の新製品として、世界初となる防水対応でフルHD撮影に対応した「DMX-CA100」を6月下旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は4万円前後。カラーはブラック(K)、イエロー(Y)、ピンク(P)の3色を用意する。

IPX8防水対応に
 JIS C 0920防水保護等級IPX8に対応し、水深3mで60分まで使用できる防水ビデオカメラで、フルHD映像の記録に初めて対応。また、従来の防水720pモデル/縦型の「DMX-CA9」(水深1.5m対応)より防水性能が向上した。

 基本仕様は2月に発売した「DMX-CG110」をベースとしており、1/2.33型約1,440万画素CMOSセンサーを搭載する縦型モデル。有効画素数はフルHD動画撮影時が約1,190万画素、SD動画/静止画撮影時が1,430万画素。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカード(最大64GB)で、Eye-Fi連動機能も搭載。内蔵メモリは約50MB。

 内部レイアウトの見直しなどで、防水対応モデルながらも薄型化を実現。グリップ部は最薄16mm(DMX-CA9は20mm)とした。


イエロー、ピンク、ブラックの3色独自のASIC技術を活用し薄型化。3次元形状パッキンによる密封構造で防水対応に内部構造

カラーの傾向がはっきり分かれており、選びやすい印象になった従来の防水対応/720pモデル「DMX-CA9」(右)と比較。グリップ部がスリムになったことがわかる

充電は、ACアダプタ、PC、モバイルブースターで行なえる
 また、CG110など薄型化を追求したモデルにおいては、USB充電機能を省いたモデルも存在するが、CA100ではmicroUSB端子経由の充電に対応。パソコンからUSB充電できるほか、同社のポータブル充電池「エネループ モバイルブースター」からも充電できる。なお、充電はカメラの電源OFFまたはスタンバイ時のみ機能し、撮影/再生中は行なえない。

 動画記録フォーマットはMPEG-4 AVC/H.264(.MP4)で、1,920×1,080ドットの60i(16Mbps)または30p(12Mbps)の記録に対応するほか、1,280×720ドット(60p/30p)や、640×480ドット(30p)のモードも用意する。なお、既発売のDMX-CS1/SH11などに採用されているアップルの「iFrame」向けモード(960×540ドット/30fps/24Mbps)は搭載しない。また、ハイスピード動画撮影にも非対応となっている。

レンズ部側面。カバーにはロック機構を備える動画の撮影モード

12倍ダブルレンジズームを搭載
 映像処理エンジンは「プラチナΣ-III」を採用。高速読み出し対応のCMOSセンサーとの最適化を図るとともに、映像処理アルゴリズムの見直しや、ノイズリダクションなどの信号処理系の最適化、低消費電力化が行なわれている。

 光学ズームは5倍(F3.5~3.7/35mm換算焦点距離38~190mm)で、アドバンストズームは6倍。新たに、ズーム領域をボタンで切り替えられる「ダブルレンジズーム」機能を搭載。アドバンストズーム利用時の35mm換算焦点距離は、「Wモード」時が40~240mm、「Tモード」時が80~480mmとなるため、トータルで12倍ズームを実現できる。レンズは8群10枚(非球面3枚4面)。


操作ボタン部。中央下に「ダブルレンジズーム」の切り替えボタン十字キーやメニューボタンなどは、新たに、液晶モニタを開いた内側の部分に配置されたSDカードスロットの場所は、バッテリの上場所に移動。バッテリを外した状態で取り出せる

 静止画は、最大4,640×3,480ドットの記録が可能。リバース連写機能も利用できる。手ブレ補正は動画が電子式、静止画が加算式。顔検出機能も利用できる。なお、サウンドズーム機能は搭載しない。

 Eye-fi連動機能を備え、記録カードとして別売Eye-fiカードを使用することで、無線LANアクセスポイントの設定がカメラ本体のみで行なえるほか、動画/静止画をパソコンに転送する際、バッテリが完全に無くなるのを防ぐために電池残量に合わせて自動で電源OFFとなる設定が可能。なお、Eye-fi X2シリーズで搭載された自動ファイル削除機能「エンドレスメモリ」には対応しない。

 HDMI(ミニ)出力も搭載し、テレビなどに大画面で出力可能。そのほか、Windows 7のデバイスステージにも対応する。液晶モニタは2.7型/約23万画素。付属バッテリ「DB-L80」(700mAh)での連続撮影時間はフルHD動画が約60分(実撮影約30分)、静止画が約200枚。動画の連続再生は約210分。外形寸法は92×40.8×123mm(幅×奥行き×高さ)、重量は225g(本体のみ)/242g(電池、SDカード込み)。

液晶モニタは2.7型HDMI端子、USB端子部底面に三脚穴を備える

720pモデル(左)とフルHDモデル(右)で撮影した映像の比較。撮影は大阪・天保山の海遊館で行なわれた2010年度のXactiラインナップ


■ Xactiのコンセプトを訴求し、グローバル200万台売上達成へ

三洋電機の豊田秀樹氏
 同社デジタルシステムカンパニー DI事業部 DI企画部の豊田秀樹部長は、ビデオカメラのグローバル市場動向について、「シリコンムービー(フラッシュメモリ搭載モデル)が急成長している。従来のHDDモデルも無くなろうとしている中、簡単にビデオが撮れることが特徴のPVC(ポケットビデオカメラ)が急増しており、PVCに近いジャンルであるXactiは、その先駆け」と述べた。

 また、「最近、デジタルカメラや携帯電話もムービー撮影をフィーチャリングする傾向があるが、これまでこの分野はXactiが孤軍奮闘していた。今後もアプリケーションの広がりなどで、市場が拡大していくと考えている。このような市場の中で、Xactiはコンセプトをしっかり訴求して、日々の感動を思い出に残せるというベネフィットを提案していく」とし、改めて“2010年度グローバル売上200万台”の目標達成に向けた意欲を表した。

 同じくDI企画部のDI企画課主任である坂地亮氏は、これまで発売した防水Xactiのユーザーアンケートの結果を紹介。水中で使用しているという人は62.5%に上り、「満足しているという言葉をいただいていたが、フルHDへの対応や、1.5mではなく、より深く潜れるように、という要望をたくさんいただいていた」と発売に至った経緯を説明した。

ビデオカメラのグローバル市場動向(同社予測含む)坂地亮氏防水モデルのユーザーへのアンケートによれば、62.5%が水の中で使用したという

 


(2010年 5月 28日)

[AV Watch編集部 中林暁]