「スカパー! HD」で日本初の音楽ライブ3D生中継を実施

-7月の倖田來未横スタ公演を、10式の3Dカメラで撮影


3Dメガネをかけた倖田來未さん

6月8日発表


 スカパーJSATは8日、7月4日に横浜スタジアムで行なわれる倖田來未さんの野外ライブ「Dream music park in YOKOHAMA STADIUM」を、日本初の音楽ライブ3D生中継番組として放送すると発表した。スカパー! HDの3D専門チャンネル「スカチャン3D 169」で17時25分~22時に放送。同チャンネルやチャンネルパック・セットなどの契約をしていれば追加料金は不要。

倖田來未さん

 6月4日に、都内で制作発表会が開催され、倖田來未さんも登場。3Dライブに向けた演出へのこだわりや、意気込みなどを語った。

 今回のライブは、倖田さんが12月でデビュー10周年を迎えることを記念したもので、自身初の野外ワンマンライブであるほか、日本人女性アーティストとして横浜スタジアムの2DAYS公演も初だという。

 7月3日~4日の2日間のうち、3D中継されるのは4日のみ。3日の公演は9月に2Dで放送されるほか、舞台裏などを収めたメイキング番組や、過去のライブ映像の特集番組も放送予定。各番組の放送スケジュールは下表の通り。それぞれ再放送も予定している。


日時番組名チャンネル映像
7月4日
17時25分~22時
倖田來未ライブ3D生中継
「Dream music park in YOKOHAMA STADIUM」
スカチャン3D 169(スカパー! HD)3D/HD
7月30日
19時~20時
密着! 倖田來未 Dream music park
~3D生中継の裏側すべて見せます~
スカチャンHD190(スカパー! HD)
スカチャン180(スカパー! )
スカチャンHD800(スカパー! e2)
2D/HD
8月倖田來未 10th Anniversary ~ベスト・オブ・ライブ~チャンネル未定2D/SD
9月倖田來未ライブ中継
「Dream music park in YOKOHAMA STADIUM」
(7月3日収録)
スカチャンHD190(スカパー! HD)
スカチャン180(スカパー!)
スカチャンHD800(スカパー! e2)
2D/HD


■ 3D用に考えた“飛び出る演出”が楽しめるステージに

撮影に使われる3DカメラはNHKメディアテクノロジーが提供

 今回の3D生中継は、同社の2010FIFAワールドカップ3D放送に続く、3Dコンテンツの目玉企画の第2弾。同社の3D専門チャンネル「スカチャン3D」は6月19日に開局し、サイドバイサイドの3Dで放送。3D視聴には、スカパー! HDまたはスカパー! 光のチューナのほか、3D対応テレビが必要となる。

 NHKメディアテクノロジーが機材提供と技術協力を行ない、3Dカメラ10式以上を投入、中継車3台を連結するという大規模なもの。この3Dカメラの数は、ワールドカップの試合で使用する数を上回るという。

 また、映像制作はフジロックフェスティバルやサマーソニックなど大型野外イベントを手掛ける富士パシフィック音楽出版が担当。演出はポール・マッカートニーやビリー・ジョエルなど国内外のアーティストのライブを手掛けた映像ディレクターの上原徹氏が務める。

 倖田さんは、10周年を迎えるにあたり、「振り返ると、ファンに支えられた10年。恩返しがしたかったので、新しい試みで感謝の気持ちを込めたライブにしたい」と話す。初の野外ライブとのことで「東京ドームなどは照明を効かせて“作りこむ”ことができるけど、野外だと世界観は作りにくい。でも逆に本当の自分が見せられる場所。歌を聞かせないとダメな場所」と今回のチャレンジに意欲を見せた。

3Dカメラの2つのレンズを見て「かわいいー」と興味津々の倖田さんステージ演出は自身で手掛けるという

 3D映像になることについては、「ずっと歌手としてやってきましたが、“目でも楽しめるアーティスト”でいたいという思いがデビューの頃からあって、(今回の試みは)いろいろなものが重なって、自分らしいものに仕上がっていくんじゃないかと思う」とした。また、自身でダンサーの配置や照明、音響システムといったステージの演出を行なうという倖田さんは、「3Dということで“飛び出る演出”みたいなのを考えているので“より3D感が出る演出”を楽しみにしてほしい。もちろん(スタジアムで観る)生もいいんだけど、実は3D映像の方がスケール感があって、臨場感のあるものが観られるとかもしれない」と笑顔を見せた。

 会場には3Dカメラも設置され、発表会の様子を撮影。撮影したばかりの3D映像を倖田さんが体験するという企画も用意されており、倖田さんが自身の登場シーンを3Dで鑑賞。「最初は立体感が出るか不安だったんですが、ここの4つの照明だけで、こんなに立体的になるんだったら、ライブになったらとんでもないものになりそう」と興奮していた。

会場では、偏光メガネと2台のプロジェクタを使って3D上映を行なった先ほどの倖田さんの登場シーンを3Dで再現


■ 3Dは観る者のイマジネーションをかきたてる

スカパーJSATの田中晃専務

 スカパーJSATの田中晃専務は、「倖田さんのライブは、お客さんとの一体感で作られており、3Dに向いている。さっき話をしたら、倖田さんが本当にやりたいのは『“4D”、“5D”で、“匂い”や“風”も出したい。それらを含めて一体感を出したい』とのこと。倖田さんがやりたいライブの入口として、今回の3Dライブを提供していきたい」という。

 また、“3D元年”といわれることについて「3Dという技術自体は以前からあったが、3Dが技術開発のステージから、クリエイターの表現のステージに入った。この扉は『アバター』が開いたもので、以来、いろんなクリエイターが企画を出し始めた。地上波キー局のディレクターと話をしていても、『プロ野球を3Dでやりたい』、『箱根駅伝の上り坂を3Dなら表現できるのでは』といった話が出る。こうしたクリエイティビティがドラマ、スポーツ、音楽などいろんなところで発揮されるステージに入った。これが3D元年では」と述べた。

 また、映像制作を手掛ける前述の上原徹氏との話し合いで「初めての3Dライブ映像ということで、どんなところを心がけるのか聞いてみたところ、『3Dは、2Dのように短いカットの連続は向かない。長めのカットでゆったり見せることになるだろう』と答えた。ここに、クリエイターの表現のポイントがあると思った。2Dと違って、観る者のイマジネーションをかきたてる、そんなライブ映像になると期待している。9月には7月3日公演の2D映像が放送されるので、こちらは編集をたっぷり加えた映像で楽しんでもらいたい」とした。



(2010年 6月 8日)

[AV Watch編集部 中林暁]