ソニー、100W出力の青紫色超短パルスレーザー共同開発
-次世代光ディスクに向け従来の100倍のピーク出力
ソニーは、東北大学未来科学技術共同研究センター横山弘之教授と同社の先端マテリアル研究所の共同研究の成果として、レーザー光のピーク出力を従来の世界最高値から100倍向上させた青紫色超短パルス半導体レーザーを開発した。
100Wレーザー発振 |
今回開発したのは、波長405nmの青紫色領域で、3ピコ秒の超短時間幅、100Wの超高出力、1GHzの繰り返し周波数を持つ光パルスを発生できる半導体レーザー。新開発/独自構造の窒化ガリウム(GaN)系モード同期型半導体レーザーと光半導体増幅器を高度に制御することで、従来のレーザー出力世界最高値の100倍以上にもなる100W超のピーク出力を実現したという。
今回開発した超高出力、超短パルス半導体レーザー光源では、高強度レーザー光のもとでのみ生じる2光子吸収と呼ばれる非線形現象を利用することが可能で、レーザー光をレンズで集光した際、レンズの焦点付近でのみ、レンズの焦点スポット径よりも小さな領域で化学変化や熱的な変化を起こすことができるという。この性質を応用することで、無機/有機物質のナノメートルオーダーの3次元微細加工や、次世代大容量光ディスク記録など、幅広い分野への応用の可能性が広がると期待できるという。
ソニーでは、次世代大容量光ディスク用途への原理検証として、プラスチック材料の内部に、3μm毎に直径300nm程度の空孔をあけ、これをレーザー光で読み取る実験に成功。今後は、さらなる高出力化や多機能化など基盤技術の育成を進めるとともに、システムの小型化・安定化など実用化技術の開発を進めるとしている。
(2010年 7月 20日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]