ソニー、スピーカー再配置技術搭載の新AVアンプ
-TA-DA5600ES。3D対応で4ポートHub搭載2モデル
ソニーは、3D映像信号のパススルー対応で、最新の音響技術を取り込んだ7.1ch AVアンプ2製品を10月21日より発売する。最大出力160W×7chで、世界初のスピーカー再配置技術を搭載した「TA-DA5600ES」と、最大出力150W×7chの「TA-DA3600ES」の2モデルを用意。価格はTA-DA5600ESが273,000円、TA-DA3600ESが136,500円。
■ スピーカー位置補正など
上位モデルのTA-DA5600ESは、世界初というスピーカー再配置技術「スピーカーリロケーション with A.P.M.(オートフェイズマッチング)」を搭載。一般家庭では、部屋の形状や家具や柱、窓などの位置によって、スピーカー位置を必ずしも理想的には配置できないが、新技術ではスピーカーの位置や角度を電子的に修正し、音源を再配置する。
このスピーカーリロケーション with A.P.M.は、ソニー独自の自動音場補正技術「D.C.A.C (デジタル・シネマ・オート・キャリブレーション)EX」に統合されており、各スピーカーの音圧や位相の両方の周波数設定をそろえると共に、位置補正を電子的に行なう。
4つ以上のスピーカー利用時に利用可能で、7.1chのスピーカーが揃っていない場合や、スピーカーの角度がずれている環境でも、存在しないスピーカーをファントム生成(2つ以上のスピーカーの音圧配分を利用し、音源位置そのものを実スピーカーとは異なる位置/角度で定位させる)する。最適な7.1ch環境を作り出すという。
再配置する理想のスピーカーの位置、角度はタイプA/Bから選択可能で、タイプAは5.1ch/7.1ch映画向け、タイプBは音楽やライブコンサート向けとなる。
スピーカーリロケーション with A.P.M.の概要 | タイプA、Bの2つのスピーカー位置モードを選べる |
TA-DA3600ES |
TA-DA3600ESでは、スピーカーの再配置には対応しないが、自動音場補正技術「アドバンストD.C.A.C」を搭載。A.P.M.により、フロントスピーカーと他のスピーカーの音響特性を測定し、結果の違いから全スピーカーの位相周波数特性をフロントスピーカーにそろえる。これにより、全チャンネル同じスピーカーを利用しているような、つながりのよいマルチチャンネル環境が構築できるという。
2モデルともフロントハイスピーカーを使い、高さ方向の音場を表現できる「HD-D.C.S.フロントハイ」を搭載。TA-DA5600ESのスピーカーリロケーションwith A.P.M.を併用することで、サラウンドバックもファントム生成可能で、7.1ch+2chファントムサラウンドバックの9.1chサラウンドも実現できるという。
なお、サラウンドバックスピーカーを利用する7.1chや、通常の5.1ch環境時に機能するHD-D.C.S.スタンダードモードも引き続き搭載している。
D.C.A.Cによる自動音場補正は、フルフラット/エンジニアリファレンス/フロントリファレンスの3種類を用意。加えてTA-DA5600ESでは、ユーザーが自由に作成できる「ユーザーリファレンス」も追加。付属のアプリケーション「セットアップマネージャー」により、パソコン上で31バンドのグラフィックイコライザを調整し、アンプに転送できる。
■ 4ポートハブも搭載し、ネットワーク強化
TA-DA5600ESは「メタル・アシスト・ホリゾンタルFBシャーシ」を採用。シャーシのフレーム部を強化する金属製の補強ビームを装備し、FBシャーシのねじれ変形を防止。大きな音圧がかかったときに発生する部品の振動レベルを下げ、音の濁りを防止。スピード感と量感を両立するという。TA-DA3600ESは、メタル・アシスト・ホリゾンタルFBエンボスシャーシで、外周フレームと底板、両サイドのフレームを繋ぐように梁を走らせている。
アンプ部は、第三世代広帯域パワーアンプ。TA-DA3600ESは、回路をモジュール化した「ワイドバンドメタルコアモジュール」を採用し、TA-DA5600ESに迫るダイナミックで抜けの良い音質を実現したという。
HDMI入力/出力は、TA-DA5600ESが6系統/2系統、TA-DA3600ESが4系統/1系統。3D映像信号のパススルーやオーディオリターンチャンネル(ARC)に対応する。Blu-ray DiscのドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのデコード時にDSPが発するノイズを抑える「第二世代低ジッタ型・ロスレスデコードエンジン」を搭載。BDビデオだけでなく、AACなどの圧縮音声のデコードも高音質に行なえるという。ジッタ・エリミネーション回路も搭載する。
TA-DA5600ESの背面 | TA-DA3600ESの背面 |
TA-DA5600ESには、SACDプレーヤー「SCD-XA5400ES」をフロー制御により動作させるH.A.T.S for HDMIを搭載。アンプ側のマスタークロックでオーディオ信号を再構築し、フォーカスや音場感を改善。低音の力強さも増すという。また、32bit DSD-DAC機能もTA-DA5600ESのみ搭載。AVアンプ側でDSD信号をPCM変換できる。
ネットワーク機能も強化しており、4ポートのスイッチングハブ付きのEthernetを搭載。ハブを内蔵することで、サーバーとAVアンプの信号経路を最短にし、LAN経由による音楽再生の高音質化を実現するという。DLNA経由で、WAV(リニアPCM)、MP3、WMA、AACの各ファイルの再生が可能。
HDMI CEC機能のブラビアリンクやアプリキャストの「オーディオ機器コントロール」にも対応する。また、DMPORT端子を前面に装備し、別売のアダプタを利用して、ウォークマンなどの音楽を高音質再生できる。多機能リモコンと簡単リモコンの2つが付属する。
型名 | TA-DA5600ES | TA-DA3600ES |
最大出力 | 160W×7ch | 150W×7ch |
入力端子 | HDMI×6、コンポジット×5、 コンポーネント×3、アナログ音声(2ch)×5、 アナログ7.1ch音声×1、光デジタル×6、 同軸デジタル×3、Phono×1、DMPORT×1 | HDMI×4、コンポジット×5、 コンポーネント×3、 アナログ7.1ch音声×1、 同軸デジタル×3、Phono×1、DMPORT×1 |
出力端子 | HDMI×2、コンポジット×1、モニター×1、 コンポーネント×1、光デジタル×1、レックアウト×1、 ヘッドフォン×1 | HDMI×1、コンポジット×1、モニター×1、 コンポーネント×1、光デジタル×1、レックアウト×1、 |
Ethernet | 4ポート | |
消費電力 | 300W | 250W |
外形寸法 | 430×430×175mm (幅×奥行き×高さ) | 430×388×157.5mm (幅×奥行き×高さ) |
重量 | 17.8kg | 13.7kg |
(2010年 8月 25日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]