ソニー、BDXLにも対応した高出力青紫色半導体レーザー
-400mW級出力を実現。ハードウェア設計の自由度向上
左から「SLD3237VF」、「SLD3237VFR」 |
ソニーは27日、Blu-rayの大容量新規格「BDXL」にも対応した、パルス400mW級出力の青紫色半導体レーザーの販売を開始したと発表した。高出力化により、出力に余裕が生まれ、レンズやプリズム等の光学部品の選択幅が拡大。これにより、ハードウェアの設計自由度向上に寄与するという。
9月から発売を開始しているのは、BD記録用半導体レーザーダイオードの「SLD3237VF」と「SLD3237VFR」。「SLD3237VF」は出力400mWで、直径5.6mmのパッケージ。「SLD3237VFR」は350mW出力で直径3.8mmパッケージとなる。5.6mmが標準パッケージで、3.8mは薄型ドライブ用。サンプル価格はどちらも1,000円。
400mW級の高出力レーザーダイオードを量産するためには、瞬時光学損傷(COD)と呼ばれるレーザー共振器端面がレーザーの熱によって溶解してしまうことを防止し、高い信頼性を確保するための構成材料である窒化ガリウム結晶の結晶品質向上など、高度な技術革新が必要になるという。
新製品では、端面コート材料と製膜方法を新規開発することで、CODに至る光出力の値を従来の300mW級半導体レーザーに対して高めることに成功。結晶品質の改良のために、構成材料である窒化ガリウム系材料の生産用に最適化されたMOCVD(有機金属化学気相成長)結晶成長装置を新たに開発した。この装置は1度に多数枚の基板へ結晶成長を施すこともできるため、今後のBD用半導体レーザーの需要増にも対応できるとしている。
さらに、結晶成長工程に続くウェーハ加工工程においても、高い生産効率を確保できるプロセス、およびプロセス装置を開発。生産は100%子会社のソニー白石セミコンダクタで実施する。
(2010年 9月 27日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]