東芝、6ch“全録”や3D対応の最上位機「REGZA ZG2」
-CEVOを2基搭載。ゲーム低遅延や動作高速化も
REGZA ZG2シリーズ(下)。上はZ2シリーズ |
東芝は、6番組同時録画の「タイムシフトマシンCEVO」や3Dに対応した液晶テレビ「REGZA」のフラッグシップシリーズ「REGZA ZG2」を5月下旬より発売する。55型の「55ZG2」、47型の「47ZG2」、42型の「42ZG2」の3モデルを用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は55型が49万円前後、47型が39万円前後、42型が30万円前後。
型番 | サイズ | 特徴 | 発売日 | 店頭予想価格 |
55ZG2 | 55型 | 最上位REGZA フルHD IPSパネル 3D(フレームシーケンシャル方式) レグザエンジンCEVO Duo タイムシフトマシンCEVO ゲーム/アニメモード 500GB HDD録画 USB HDD録画 | 5月下旬 | 49万円前後 |
47ZG2 | 47型 | 39万円前後 | ||
42ZG2 | 42型 | 30万円前後 |
Z2シリーズで初採用した映像エンジン「レグザエンジンCEVO」をデュアルで搭載した「レグザエンジンCEVO Duo」とし、高画質2D-3D変換や新しいブロックノイズ低減処理、高画質2D-3D変換などを実現。さらに、過去30時間/6チャンネルを同時録画することで、番組放送時間を超えた視聴体験を可能とする「タイムシフトマシンCEVO」を搭載する。
タイムシフトマシンは、CELL REGZAシリーズの特徴的な機能として訴求されていたが、通常のREGZAシリーズでは初対応となる。なお、3Dメガネの「FPT-AG02(J)」は別売。
55ZG2 | 47ZG2 | 42ZG2 |
55ZG2 | 47ZG2 | 42ZG2 |
■ レグザエンジンCEVOを2基搭載し、3D高画質化など
ハイコントラスト液晶パネルを採用 |
55/47/42型の各モデルとも、1,920×1,080ドット/フルHDの新開発広視野角IPSパネルを搭載。新パネルでは並行配列の導光板を採用し、光の直線性を向上することで、光の拡散を抑えてコントラストを改善。液晶素材も改善し、カラーフィルタからの光漏れを抑えている。
4倍速/240Hz駆動に対応。新開発のバックライト専用カラーフィルターと蛍光体の採用により、色再現性も改善。HDTV規格(ITU-R BT.709)で99%(従来モデルは95%)を達成した。パネル開口率もZG1から20%向上している。
LEDバックライトは左右エッジライト方式。REGZA Z2シリーズにも採用された映像処理回路「レグザエンジンCEVO」を2つ搭載した「レグザエンジンCEVO Duo」により、高精度に補間フレームを生成するほか、バックライトを上下8分割で細かく制御し、残像感を大幅に低減する。これらの残像低減技術を「アクティブスキャン480」と命名している。
16分割のLEDエリアコントロールにも対応し、コントラストを向上。超解像技術「レゾリューションプラス6」では、前2枚/後1枚のフレームを参照し、元映像の精細感を復元する複数枚超解像を行なう。
レグザエンジンCEVO Duo | レグザエンジンCEVOを2基搭載 | 4倍速パネルとレグザエンジンCEVO Duo、バックライト制御により動画応答性能を改善 |
複数枚超解像「レゾリューションプラス6」を搭載 | 色超解像に対応 | 3D超解像にも対応する |
ブロックノイズクリアCEVO |
ブロックごとにテクスチャー部やエッジ部を検出し、デジタル放送特有のノイズを効果的に抑える「ブロックノイズクリアCEVO」も搭載。超解像済みのデジタル映像のエッジ部や詳細な特徴を検出し、隣接する平坦部のノイズを除去することで、テクスチャの鮮明さを維持しながら、ノイズを効果的に排除できる。
また、フレームシーケンシャル方式の3D視聴に対応。別売のアクティブシャッターメガネを組合わせて、3D放送やBlu-ray 3Dなどの映像を3Dで楽しめる。サイドバイサイドの3DなどフルHDに満たない3D映像に超解像処理を行なうことで、エッジの鮮明化や3D映像の立体感を高める「3D超解像」に対応する。
3Dクロストークキャンセラー |
液晶シャッターの開閉に合わせて、左右の目に入る映像を交互に表示するフレームシーケンシャル方式の3Dでは、液晶の特性上、片方の目の立ち上がり輝度が足りず、前の映像情報が残存し、2重像(クロストーク)が見えてしまうという課題がある。ZG2シリーズでは、新たにレグザエンジンCEVO Duoによる制御を追加し、左右の画像を表示する際の残像を打ち消すために、液晶の応答特性とバックライトの点灯タイミングや光の広がりを考慮し、目に届く光の量を最適になるように液晶分子をコントロールする「3Dクロストークキャンセラー」を搭載。これにより、クロストークの少ない3D映像を楽しめるという。
また、2D-3D変換技術も改善。前モデルZG1シリーズと同様に、4隅の色のヒストグラムを算出し、サンプル画像から学習された映像の特徴と、入力映像の特徴を比較推定して、奥行きを算出する「ベースライン3D」に対応。さらにベースライン3Dで測定した奥行きに加え、色情報を用いて物体の前後を判定、局所的な凹凸を持たせる「カラーディテール3D」も新たに搭載した。SDメモリーカード内の3D静止画(MPO形式)も表示できる。
なお、3Dメガネの「FPT-AG02(J)」は別売で、新たに充電式バッテリ内蔵型となり、USBでの充電に対応。2時間の充電で23時間の利用が可能となる。重量も35gまで軽量化。3D視聴時の明るさも従来と比べ、約12%向上したという。
2D-3D変換は「カラーディテール3D」に対応 | 3Dメガネの「FPT-AG02(J)」 |
■ 6チャンネルを録画し続ける「タイムシフトマシンCEVO」
タイムシフトマシンCEVOの概要 |
3Dなどの高画質化だけでなく、録画関連機能がZG2シリーズの大きな特徴となる。最大の特徴は地上デジタルの6チャンネルを録画し続ける「タイムシフトマシンCEVO」を搭載したこと。これはCELL REGZA 55X2/XE2などで搭載していた「タイムシフトマシン2」の主要機能を通常のREGZAシリーズに採用したもので、6チューナで地上デジタルの番組を6チャンネル/24時間分を連続録画するもの。
チューナは、地上デジタルが9系統、BS/110度CSデジタルが2系統。地上デジタルのうち6系統はタイムシフトマシンCEVO専用となる。HDDもタイムシフトマシンCEVO用に1.5TB、通常録画用に500GBを搭載するほか、USB HDDも接続可能となっている。
タイムシフトマシンCEVOでは、6チャンネルを約30時間録画できる機能で、ユーザーによる録画時間設定変更も可能。例えばゴールデンタイムだけを6チャンネルで、3日といった運用も可能だ。ただし、各チャンネルごとに録画時間を設定することはできず、6チャンネルまとめて「ゴールデンタイムのみ」や「24時間」などの選択を行なう必要がある。
タイムシフトマシンで録画した番組は、通常の録画とは別系統で管理され、空き容量が無くなると古い番組から順に削除される。ただし、タイムシフトで録画した番組を通常録画領域にムーブすることは可能となっている。
番組表 | B-CASカードスロットは左右に5枚(地デジ用は4枚)装備する |
タイムシフトマシンCEVOにより、例えば録画していなかったが、会社や学校、ソーシャルメディアで話題になっていた番組を後からチェックしたり、ニュースダイジェストで見たスポーツの試合について、その試合そのものを最初から見るなどの利用が可能。また、リモコンの「始めにジャンプ」ボタンを押すだけで、現在放送中の番組をさかのぼって最初から視聴できる。
タイムシフトマシンの「過去番組表」から番組再生 | 番組指定再生 | 録画チャンネルを選択 |
タイムシフトマシンの録画時間を選択 | おすすめサービス |
通常録画は別系統となっており、地上デジタル3系統、BS/110度CSデジタルを2系統搭載。内蔵の500GB HDDや別売のUSB HDDへのデジタル放送録画に対応し、2つの番組を同時録画しながら、地上デジタルの裏番組を視聴できる「地デジ見ながらW録」に対応する。なお、純正の500GB USB HDD「THD-50A2」も発売。バスパワーで駆動可能となっている。
CMなどを自動検出し、チャプタを付与する「マジックチャプター」は、W録中の番組にも対応した「Wマジックチャプター」で、CMスキップに活用できる。USB HDDはUSBハブを介して、4台まで同時に接続でき、最大8台までのUSB HDDを登録できる。
Z2/ZP2シリーズでも搭載する「おすすめサービス」も搭載。東芝製品からインターネットを介して集計したランキングデータを表示し、気になる番組を確認できる。BSや地デジのランキングや、i.NETサーバーがピックアップしたおすすめ番組を録画できる。また、タイムシフトマシンCEVOとの連動に対応し、タイムシフトマシンで録画された番組の中から人気のあった番組を視聴することもできる。
番組表の起動速度も高速化。Z1シリーズの約1.8秒から約0.3秒まで改善。全画面書き換え時間も同約1.5秒から0.3秒まで高速化した。
おすすめサービス | 地デジ見ながらW録 | 番組表の起動も高速化 |
通常録画した番組は、REGZAブルーレイやアイ・オー・データ、バッファローなどのDTCP-IPサーバーへネットワークダビングする「レグザリンクダビング」に対応。対応の同社レコーダなどにダビングできる。HEC対応のHDMIケーブルで対応のREGZAブルーレイと接続した場合は、LANケーブルを利用せずに、HDMIケーブル一本でダビングできる。
■ ゲームやアニメ対応も強化
HDMI入力は4系統。ZP2シリーズと同様にゲームやアニメの対応も強化している。
ゲームでの低遅延を徹底。3Dゲームターボを搭載 |
ゲームについては、入力遅延を抑えるゲームダイレクトを強化。メモリ制御技術のFIFO(First In First Out)の応用により遅延を抑え、2D時の映像遅延は、約1.1フレーム(約18ms)。3D時は約2.3フレーム(約38ms)。
HDMI接続のゲームプレイ時(HDMI出力がRGBの場合)に自動的に「ゲーム」モードに切り替わる機能を新搭載。BDやDVD再生時には好きなモードを選択できる。D2入力時には自己合同性型超解像処理と色超解像を行なうことで、ジャギーの低減や色解像度の向上を図っている。
アニメの高画質化も図っており、アニメ映像独特の平坦部、輪郭部に最適化した映像処理を実行。平坦部やグラデーション部に対する再構成型超解像処理をキャンセルし、輝度、色信号の階調クリエーション効果を加えることで、輪郭線付近のモスキートノイズや平坦部のノイズを抑えることができる。また、4:3アニメについては、ベースバンド3次元COMB処理を行なうことで、ドット妨害やクロスカラー、ランダムノイズを抑制する。
さらに、新アニメモードを搭載。アニメ映像に最適化した再構成型超解像処理を組み込んだもので、微小信号には超解像を行なわない。平坦部検出をアニメに最適化するとともに、外部入力に対して、映像の明瞭度を改善し、映像の色と色の境界をはっきりさせる処理を行ない、クリアで鮮明な画像とするという。
アニメの映像を解析し、フレームレートを24p/30pから判別。より正確なプルダウン処理を行なうことで、ジャギーやコーミングを抑制。また、製作時の原画解像度がフルHDに満たないと推定されるコンテンツに対し、原画解像度(1,280×720ドット、960×540ドット)などをユーザーが設定することで、オリジナルの雰囲気を生かした最適な処理を行なう「原画解像度」も搭載する。
アニメ映像の高画質化 | 指定した原画解像度に最適化した処理も | 原画解像度を指定 |
スピーカーは、2.0×6.5cm径のフルレンジ、6cm径ウーファー専用にそれぞれ10Wのデジタルアンプを搭載し、総合出力は30W。背面に配置するウーファーと正面配置のフルレンジの位相差を時間軸補正し、音像の定位感を高めている。ユニットも薄型対応で、フルレンジには振動板にマイカを混入したパルプ素材を採用し、鮮明な中高域再生と低ひずみ再生を両立。さらに、フェノール樹脂を浸したダンパーにより良好な低域特性を得ているという。音響パワーイコライザの「CONEQ」も搭載している。
■ ネットワークやApps対応も強化
レグザメニュー |
メニュー画面は、3Dグラフィックの「レグザメニュー」。録画リストや番組表、今すぐニュースなどの機能を簡単に呼び出せるほか、メディアプレーヤーの新機能にもここからアクセスする。SDカードスロットも装備し、SDカードに記録したAVCHD映像やMP4映像の再生に対応する。
DLNAのDMP(デジタルメディアプレーヤー)、DMR(デジタルメディアレンダラー)にも対応。DLNA対応レコーダ内の番組などをネットワーク経由で再生できるほか、DLNA対応のPCに保存した音楽データを呼び出して、レグザのスピーカーで再生することも可能。
REGZAを操作して、DLNAサーバー(DMS)のコンテンツをREGZAから再生(DMP)できるほか、スマートフォンなどのDMC(コントローラ)から、DMS内のコンテンツをREGZA(DMR)に出力指示し、REGZAで再生できる
リモコン |
スマートフォンやパソコンからREGZAやREGZAブルーレイの操作を可能にする「Appsコネクト」には新たに「RZ見るナビ」は、「RZ現在番組」、「RZアートリモコン」などのアプリが5月上旬より順次配布される。RZ見るナビは、REGZAブルーレイに録画した番組をスマートフォンで操作してREGZAで再生できるもの。RZ現在番組は、現在放送中の番組表をスマートフォンに一覧表示し、番組を選んでテレビ視聴を行なえる。新Appsの詳細については別記事で紹介する。
YouTubeにも対応し、テレビ向けのUI「YouTube XL」で映像を楽しめる。また、アクトビラやTSUTAYA TV、T's TV、ひかりTV、Yahoo! JAPANなどのテレビ向けネットワークサービスにも対応する。
転倒防止用ネジ穴や、転倒防止バンド、フックなどの転倒防止機能も備えている。
転倒防止機能もアピール |
モデル名 | 55ZG2 | 47ZG2 | 42ZG2 |
サイズ | 55型 | 47型 | 42型 |
内蔵HDD容量 | タイムシフトマシンCEVO用1.5TB 通常録画用500GB | ||
チューナ | 地上デジタル×9 (内6基タイムシフトマシンCEVO用) BS/110度CSデジタル×2 | ||
パネル | 1,920×1,080ドット LEDバックライト IPS 4倍速 | ||
コントラスト比 (ダイナミックコントラスト) | 1,300:1 (200万:1) | 1,400:1 (200万:1) | 1,500:1 (200万:1) |
視野角 | 上下左右178度 | ||
スピーカー | 2.0×6.5cm径フルレンジ 4基 6cm径サブウーファ 1基 10W×2 + 10W | ||
入力端子 | HDMI×4 D5×1 コンポジット×2 HDMIアナログ音声入力×1 | ||
出力端子 | 光デジタル音声出力×1 ヘッドフォン×1 | ||
その他の端子 | USB、Ethernet、SDカードスロット | ||
外消費電力 | 215W | 190W | 190W |
年間消費電力量 | 158kWh/年 | 154kWh/年 | 154kWh/年 |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) (スタンド含む) | 130.4×31.4×87.4cm | 112.7×25.4×75.6cm | 101.7×25.4×69.4cm |
重量(スタンド含む) | 25kg | 22kg | 16.5kg |
(2011年 4月 20日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]