パナソニック、TV事業で「もっと抜本的な改革」

2011年度第1四半期は最終赤字決算に


上野山実常務取締役

 パナソニックは28日、2011年度第1四半期(2011年4月~6月)の連結決算を発表した。

 連結売上高は11%減の1兆9,295億円、営業利益は782億円減の56億円、税引前利益は1,017億円減となるマイナス174億円の赤字、当期純利益は741億円減となるマイナス304億円の赤字となった。

 パナソニックの上野山実常務取締役は、「第1四半期の売上高は、震災影響などに加えて、欧米の需要低迷などにより減収となったが、売り上げ減や円高による減益のなか、営業利益は黒字を確保し、計画比では思った以上に上振れした。すべてのドメインにおいて販売が厳しい状況になるとの予測のもと、緊急経営対策を実行し、200億円程度プラスになったことも上振れの要因。アプライアンス、電工・パナホームは増収増益となったものの、デジタルAVCネットワーク、デバイス、三洋電機が減収減益となり、明暗が分かれた」と総括した。

 東日本大震災の影響は、売上高では1,200億円。セグメント別では、デジタルAVCネットワークが640億円、アプライアンスが100億円、デバイスが200億円、三洋電機が160億円、その他事業で100億円となった。営業利益ベースでは600億円の影響があったという。

 地域別では、国内が8%減の9,676億円、米州が16%減の2,401億円、欧州が12%減の1,972億円、中国が11%減の2,708億円、アジアが13%減の2,538億円となった。「震災影響や競争激化により、すべての地域でマイナス成長となった。北米市場全体ではAV需要が10%程度低迷しており、欧州でも4月以降落ち込みが加速しており、6月は32%近く落ち込むなど、全体需要が落ち込むなかで苦戦している。

 新興国については、メキシコ、ブラジルにおいては前年同期にはワールドカップ需要があり、その反動が出ている。また、震災により茂原工場での液晶パネル生産の稼働が一時止まったことで、中南米へのパネル供給ができなかったことも影響。加えて、中国、ベトナムでのインフレの影響もある。バルカン諸国でも34%減となり、思った以上に悪化している。だが、中期経営計画の重点地域としている新興国(BRICs、MINTS + B)ビジネスでは、前年比4%増となっており、第2四半期の見通しも21%増とみている。中南米の挽回も期待している」とした。

第1四半期連結決算概要地域別の販売概況新興国の状況


■ テレビ売上高は28%減。「来年度は黒字浮上に」

デジタルAVCネットワークの業績

 セグメント別では、デジタルAVCネットワークの売上高が6,606億円(前年同期実績8,317億円)、営業損失がマイナス160億円の赤字(同279億円の黒字)。

 「Blu-ray Discレコーダなどは好調に推移したものの、薄型テレビ、カーエレクトロニクス、携帯電話などの売り上げが不振。販売減や円高が減益に影響した」という。

 薄型テレビの販売台数は前年並の435万台となった。「薄型テレビ全体では想定していた出荷台数からは10%程度落ちている。液晶テレビは、茂原工場で生産できなかった約40万台ほど少ない。プラズマテレビは想定よりも減っている」とした。

 さらに「4月28日の経営方針説明会でも明らかにしたように、テレビ事業に関しては、設備投資の抑制、PDPとLCDのインチ別の棲み分けを見直すこと、ODM、EMSの活用拡大、販売数量よりも収益を重視するという方針を打ち出しており、この方針は変わらない。だが、もっと抜本的な改革が必要であると考えており、それにより、今年度の赤字を底にして、来年度は黒字浮上したい。日本の生産拠点の方向付けを明確にするとともに、インチ別の棲み分け戦略の見直しによって、収益改善を図る。これらの方針については、上期決算発表時には、もう少し具体的な説明ができるだろう」と語った。

 なお、テレビの売上高は28%減の1,799億円、そのうちプラズマテレビが39%減の803億円、液晶テレビが20%減の822億円。デジタルカメラは13%減の444億円。BD/DVDレコーダは16%増の386億円、そのうちBDレコーダおよびプレーヤーが24%増の342億円となった。

 同ドメインにおける主要会社の業績では、薄型テレビなどを担当するAVC社の売上高が16%減の3,507億円、営業損失が108億円減のマイナス298億円の赤字となった。

 アプライアンスの売上高は3,429億円(前年同期は3,228億円)、営業利益は336億円(同323億円)。エアコンの売上高は21%増の983億円、洗濯機は6%増の310億円、冷蔵庫は前年並みの329億円。「とくにエアコンが好調だったことに加え、洗濯機や電子レンジも堅調。国内の白物家電事業においては、省エネ、節電需要もあり、前年同期比3%増となり、第1四半期としては過去最高の実績となった」という。

 エアコン、冷蔵庫、洗濯機の主要3商品の販売は、日本では前年同期比15%増、海外では11%増と国内外ともに2桁増を記録。エアコンは国内の復興需要とともに節電による買い換えが促進。海外ではインバーター方式の高付加価値製品や、新興国でのボリュームゾーン製品が貢献した」と語った。

 電工・パナホームは、売上高が4,173億円(前年同期は3,912億円)、営業利益が106億円(同83億円)。デバイスの売上高が2,055億円(同2,363億円)、営業損失はマイナス75億円の赤字(同118億円の黒字)。三洋電機は、売上高が3,240億円(同4,130億円)、営業損失がマイナス140億円の赤字(同50億円の黒字)、その他事業では、売上高が2,840億円(同2,754億円)、営業利益が119億円(同128億円)となった。

アプライアンス電工・パナホームデバイス
三洋電機その他


(2011年 7月 28日)

[ Reported by 大河原克行]