【CEATEC 2011】パイオニア、車載用AR HUDを進化

-自転車ナビにも展開。ダンサー向け「STEEZ」も


パイオニアブース

 映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」が4日、幕張メッセで開幕した。期間は10月8日まで。

 ここでは、パイオニアブースをレポートする。




■ダンサー向けブランド「STEEZ」やシアターパッケージ提案

 専用コーナーや、センターステージでのライヴダンスなどでアピールされていたのは、10月中旬から順次投入される、ストリートダンサー向けのカルチャーブランド「STEEZ」(スティーズ)の製品。

 第1弾製品として4GBメモリを内蔵し、音楽プレーヤー機能も備えたポータブルスピーカー「STEEZ AUDIO」3機種、コンパクトな単体プレーヤー「STEEZ PORTABLE」(BSO-D10P)1機種、ヘッドフォン「SE-D10M」1機種、カナル型(耳栓型)イヤフォン「SE-D10C」1機種などがラインナップされている。

 STEEZ AUDIOには、ダンス練習に適した機能を搭載しているのが特徴。DJがかける曲を聴きながら即興ダンスを交互に披露し、パフォーマンスの優劣を競う「ダンスバトル」が、DJやMCがいなくてもできるのが特徴。各機種や機能は既報の通り。

STEEZ AUDIOの「STZ-D10Z」STEEZ AUDIOの「STZ-D10T」は防滴仕様「STEEZ」ブランドのヘッドフォン「SE-D10M-K」。「広帯域でダンスのテンポを取りやすいクリアな音質を実現した」という。着せ替え用のカラーパッドも用意。ホワイトモデルではブルーとピンクを、ブラックモデルではグリーン、レッドが付属する

 ホーム向け新製品としては、10月下旬発売の、薄型6ch AVアンプ「VSX-S500」を中心としたシアターパッケージ「Smart Theater S500SW」や、BDプレーヤーを統合した2.1chシステム「HTZ-HW919BD」(発売中)などを展示。

 どちらもサテライトスピーカーに、パイオニア独自の薄型両面駆動スピーカー「SOUND WING」を採用しているのが特徴。両面駆動のHVT方式のスピーカーとなっており、スピーカーの存在を感じさせることなく、部屋のどこにいても心地よい音を楽しめるとする。

BDプレーヤーを統合した2.1chシステム「HTZ-HW919BD」「Smart Theater S500SW」の薄型6ch AVアンプ「VSX-S500」「Smart Theater S500SW」のサテライトスピーカー
パイオニアではなくDLNAのブースに、3日に発表されたばかりのネットワークオーディオプレーヤー「N-50」が展示。FLACやWAVの24bit/192kHzの再生に対応し、USB DACとしても使用できる薄型のiPhone/iPod対応ミニコンポ2モデルも展示。DLNA 1.5対応のネットワークプレーヤー機能とAirPlayにも対応した上位モデル「X-SMC5-K」(ブラック)、ネットワーク機能非搭載の「X-SMC2-W」(ホワイト)がラインナップされている

 技術参考展示で注目を集めていたのは、次世代型の情報コミュニケーションツールの「コミュニケーションテーブル」。52型の液晶ディスプレイを上向きに設置したテーブルで、同時に10点までの接触を検知できる赤外線のタッチパネルインターフェイスを採用。このテーブルに、PCやタブレット、スマートフォンなど、様々な機器を接続し、機器内のコンテンツをテーブル上に取り出したり、加工する事ができる。

 仕組みとしては、テーブルの下部(スタンド部分)に専用のコントローラーPCを内蔵。その出力を、テーブル型ディスプレイに表示している。コントローラーPCは家庭内LANに接続しており、テーブルと連携したいPCやスマートフォン、タブレットには、それぞれ専用のソフトウェアアプリをインストールしておく。

 例えばスマートフォンの場合、テーブルの上に置くと、センサーがそれを検知。スマホにインストールされたアプリから、スマホ内の静止画を無線LAN経由でコントローラーPCに転送し、テーブルディスプレイ上に表示する。これにより、“テーブルの上に置いたスマホから、写真がブワッと溢れ出してきた”ような表示を可能にする。溢れ出した画像は、指で自由に回転させたり、拡大・縮小が可能。別のスマートフォンに指で画像を持っていくと、無線LANを経由して画像ファイルがそのスマホに転送され、あたかもテーブルの画像がスマホに吸い込まれ、中に入ったように見える。

次世代型の情報コミュニケーションツールの「コミュニケーションテーブル」。表示された静止画や動画を指で自由にコントロールできるテーブルに置いたスマートフォンに画像を指で持っていくと、吸い込まれるように転送されるテーブルの端にはTransferJet用のインターフェイスも装備。対応デジカメを上に置くと、デジカメ内の画像がテーブルにブワッと散らばる

 テーブルの端には、TransferJet用のインターフェイスも装備。その上に対応デジタルカメラを置くと、デジカメの足元から中の画像が溢れ出るようにテーブルの上に散らばる。このシステムは業務向けには既に提供されており、今後はより幅広い分野にも訴求していくという。



■ARヘッドアップディスプレイ

 これまでも各種イベントで同社が参考展示している、次世代車載用ディスプレイ「AR HUD(ヘッドアップディスプレイ)」。今年のCEATECでは、よりコンパクトになり、車のサンバイザー部分に取り付けられるようになったのが特徴。製品化は2012年度を予定しているという。

AR HUDの試作機。非常にコンパクトになり、サンバイザー部分にとりつけられるようになったRGBレーザー光を光源に使った超小型プロジェクタを内蔵している

 透明スクリーンに、RGBレーザー光を光源に使った超小型プロジェクタでナビ情報などを投写。スクリーンを、フロントガラスと重ねるように設置する事で、現実の運転中の視界に、ナビの矢印などの情報が浮かびあがるように表示されるシステム。運転中に、視線を大きく動かさずに必要な情報が得られるのが特徴となる。

 なお、展示された試作機では、フロントガラス前方1.5~2m先の空間に、19インチ相当の映像が浮かんでいるように表示させる事が可能。風景にルート案内を重ねるだけでなく、方角と目的地の方向がわかるコンパスリングや、建物の中の施設を重ねて表示するアイコン、地図なども表示できるようになっている。

投写された映像。現実の視界に重なるように、ナビや様々な情報が表示される

 ナビ製品では、製品化に向けて開発が進められている自転車用の「サイクルナビゲーション」も参考展示。GPSと地図データを備えた、2.4型液晶採用の小型ナビで、自転車のハンドルに取り付けられる。IPX5の防滴性能を持ち、バッテリ持続時間は10時間が目標。

サイクルナビゲーションの参考展示ナビだけでなく、様々な情報が表示できるプロ選手やアスリートに向けた、高性能サイクルコンピュータも開発されている。OSはAndroidをベースとしている

 GPSを使ったナビだけでなく、周辺検索や地点情報登録機能など、サイクリングを自由に楽しむ機能を搭載。さらに、ペダル回転数や速度のデータを計測・記録。数値やグラフでリアルタイムに表示でき、Webで走行日誌をつける事も可能。消費カロリーをケーキで表示するといった、ダイエットサポート機能も搭載する。なお、音楽再生機能も検討しているとのことだが、「走行中にイヤフォンで音楽を聴くのは危険。また、スピーカーで音を出すと、車などと違い、(まわりの人に音楽が聴こえてしまうので)自転車では恥ずかしいという意見もある」と、課題が多いようだ。

地デジ/iPod対応メモリナビ「楽ナビLite」AVIC-MRZ09など、車載機器の新モデルも多数展示されている電気自動車やプラグインハイブリッド車に向けた、非接触充電システムも研究・開発しているという。充電回路とコイルを一体化し、地面に設置したもので、その上に車を止めるだけで充電できる。ケーブル接続の手間がかからず、ケーブルへの悪戯や盗難の心配も無く、割安な深夜充電がしやすいなどの特徴があるという

(2011年 10月 4日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]