【CEATEC 2011】三菱、レーザー光源の液晶テレビが進化

-プロジェクタ用レーザーや、“球形”有機ELも


参考出展されたレーザー光源の55型液晶テレビ

 4日に開幕した「CEATEC JAPAN 2011」の三菱電機ブースをレポートする。

 映像関連では、レーザー光源を使った55型液晶テレビの試作機を展示。2月に行なわれた技術開発披露会で出展された試作機をブラッシュアップしたもので、既存の薄型テレビと同様の筐体に収め、量産化を見越した設計に進化。画質面ではほぼ製品版に近い仕上がりだという。一方、内部設計は2月当時よりもシンプルにして、消費電力も既存モデル同等としている。

 R(赤)にレーザーを、G(緑)/B(青)には新開発のシアン(青緑)LEDを採用。特に人の目で識別しやすい赤色に純度の高いレーザーを採用したことで、白色LEDバックライト搭載のモデルに比べて色再現範囲を約1.3倍に拡大した。発売時期は未定だが、今後はさらにコストダウンを進めつつ、高画質を訴求するモデルとしての製品化を検討している。


左が現行の液晶テレビレーザー搭載液晶テレビの特徴現在と同様の薄型筐体に収めた。奥の2台がレーザー搭載モデル

 また、レーザー光源を使用したプロジェクタ技術も参考展示。RGBレーザーを使ったもので、会場では100型のサイズで投写。解像度はワイドXGA。6万ルーメンまで高輝度化が可能としているほか、長寿命や、不点灯無し、メンテナンスレス、高い色再現性といったことを特徴としている。展示機の輝度は3,000ルーメンで、デバイスはDLP。

 今回の試作機では光源部分と映像処理部分が別筐体となっているが、これらを一体化した形で製品化を見込んでいる。用途としてはホームシアター/データ用の両方で検討しているという。

プロジェクタ用レーザー光源の投写デモレーザー光源の特徴発売中のレーザー光源採用75型リアプロテレビ「LASERVUE」(75-LT1)も展示している
55型のLCD-55MDR2

 10月21日より発売する液晶テレビの新モデル「REAL MDR2シリーズ」も展示。3Dに対応し、BD/HDDレコーダを搭載したテレビで、LEDバックライトをインパルス発光することで動画再現性を向上する「インパルス型発光制御」や、バックライトスキャニングで残像感を大幅に低減している。また、音質面を強化したことも大きな特徴で、カーボンナノチューブを使った「NCV振動板」のスピーカー8個(4ch×2ch)と、ウーファ2個を本体に内蔵している。

 NCV振動板は、チタンに匹敵する高伝搬速度と、紙同等の適度な内部損失を両立。今回のテレビ向けNCV振動板は、車載用DIATONEスピーカーの技術をベースに開発されたもの。会場には、従来モデルとの比較で音質の違いを体験できるコーナーも用意されている。

音質を比較できる試聴コーナーを設けている従来モデル(左)とMDR2(右)で音楽ソースを比較再生車載スピーカーの技術をベースに開発したという
レコーダ「REALブルーレイ」のコーナーには、表裏の両面にボタンを配置した“くるっとリモコン”採用の「DVR-BZ450」など3モデルを展示。初心者でもすぐに使える「らく楽操作モード」などを特徴としている

 同社ブース中央には、384mm角の有機ELモジュールを複数個組み合わせる大型映像情報システム「オーロラビジョン OLED」を展示。レイアウトフリーの特徴を活かし、球体を切り取ったような3次元曲面形状のディスプレイで来場者に注目されていた。

「オーロラビジョン OLED」を使った曲面形状のディスプレイデジタルサイネージ技術では、55型液晶モジュールを組み合わせたマルチ大画面表示装置などを展示している。目地幅(額縁部分)は最小で約5.7mmを実現している宇宙関連の技術では、準天頂衛星初号機「みちびき」や宇宙ステーション補給機「こうのとり」などを展示


(2011年 10月 4日)

[AV Watch編集部 中林暁]