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「満を持して、このステージに」。映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」完成報告イベント

(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

5月23日に劇場公開される映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」の完成報告イベントが行なわれ、主演の高橋一生のほか、共演の飯豊まりえ、玉城ティナ、大東駿介、井浦新、そして渡辺一貴監督が登壇。ドラマ第1作から主演を務める高橋は「原作の最初の話である懺悔室の映像化ですが、満を持してこのステージに来たか、という感覚で身が引き締まる思いです」と、今作への思いを語った。

相手を本にして生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊能力“ヘブンズ・ドアー”を備えた人気漫画家・岸辺露伴。そんな露伴が遭遇する奇怪な事件に立ち向かう姿を描いた、シリーズ累計発行部数1億2千万部超を誇る荒木飛呂彦の大人気コミック「ジョジョの奇妙な冒険」から生まれたスピンオフ「岸辺露伴は動かない」。

高橋を主演に迎えドラマ化された同作は、2020年12月に第1期(第1話〜第3話)、'21年12月に第2期(第4話〜第6話)、'22年12月に第3期(第7話~第8話)が放送され、初回放送のトレンド1位を皮切りに放送の度に連日トレンド上位入りする人気ぶりをみせた。

その人気と反響を受けて、実写ドラマのチームが再集結し制作した映画版第1作目となる「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」が'23年5月26日(金)に公開されると、観客動員数90万人超、興行収入約12.5億円のヒットとなった。

(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

映画版第2作、そしてシリーズ最新作となる「岸辺露伴は動かない 懺悔室」は原作漫画シリーズの記念すべき最初の作品で、ファンの間で屈指の人気を誇る伝説的なエピソード「懺悔室」を実写化。邦画初となる“全編ヴェネツィアロケ”で撮影、史上最大スケールで完全映画化を実現した。制作プロダクションはNHKエンタープライズ、P.I.C.S.。配給はアスミック・エース。

「シリーズの実写化は毎回ミッション:インポッシブル」

高橋一生
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

4月15日に行なわれた完成報告イベントでは、約70秒のメイキングPVが上映された後、キャストと監督が登場。主演の高橋は「5年の月日を経て、ようやく完成いたしました。原作の最初の話である懺悔室の映像化ですが、満を持してこのステージに来たか、という感覚で身が引き締まる思いです。これほどまでに『岸辺露伴』の世界観に溶け込んでいる迷宮のようなヴェネツィアの風景とキャスト&スタッフが作り上げた世界観が融合し、一つの大きな作品になっている事を喜ばしく思います」とコメントした。

飯豊まりえ
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

露伴の担当編集で、露伴の取材にいつも付き添う泉京香役を演じた飯豊は、原作では泉の登場シーンがないことから「ちゃんと出られました!」と声を弾ませながら「この作品を届けたい、という気持ちでヴェネツィアに行きました」と語った。

玉城ティナ
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

ヴェネツィアの迷宮に露伴が迷い込むきっかけとなる仮面職人マリア役の玉城は「原作、そして実写版のファンの方も沢山いて、その中で原作には描かれていないキャラクターを担うのにはプレッシャーがありましたが、それ以上に楽しそう!というワクワクが勝りました」と気合十分だった様子。

大東駿介
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

浮浪者・ソトバ(戸次重幸)を誤って死なせてしまったことで、不気味なほどの“幸運に襲われる呪い”をかけられてしまった男・水尾役の大東は「出演は念願でした」といい、「台本からすでにオーラが出ているような作品で、いざ現場に参加してみたらなぜ僕がそう感じたのか、その理由がすべてありました。まさに幸せの絶頂にいるような感覚で、全編ヴェネツィアでのロケということもあり、気を抜くと幸せを感じてしまう。それを押し殺す作業が難しかった。そんな現場でした」と笑わせた。

井浦新
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

懺悔室で露伴に自らの犯した「あやまち」を告白する謎の男を演じた井浦も、原作及び実写版の大ファン。ゆえに「推し活しているような感じでドラマも映画もファンとして楽しんでいたので、そんなファンである自分が聖域に入っていく感覚が苦しく、好きすぎて具合が悪くなるような感じでした。それこそ“推し”の皆さんがいるところに入っていくわけですから、本読みも緊張して皆さんの顔が見られなかった」と撮影期間を振り返る。

渡辺一貴監督
(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

前作に引き続きメガフォンを取った渡辺監督は、本作について「本シリーズの実写化は毎回ミッション:インポッシブルですが、中でも今回はミッション:インポッシブル中のミッション:インポッシブルだった」と表しながら、「大きなハードルが沢山あった作品でしたが、イタリアの現地クルーが心から我々を迎え入れてくれて、ある意味で日本にいる時よりも仕事がしやすいぞ!?と思うくらいでした。ただ彼らは本番中もずっと喋っているのでそこは大変でしたが……」と明るい雰囲気での充実したヴェネツィアロケを紹介していた。

高橋一生「徒歩15分で岸辺露伴の現場に行ける贅沢」堪能

(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

日本映画として初めてとなる、全編ヴェネツィアロケ。ヴェネツィアの印象について高橋は「街並みを見ても車も自転車も走っていないし、道行く人々を含めてすべてが異国。パリとは違う閉塞感があって、路地に入って広場に出るとそこから道が枝分かれして……。原作通りに鳩が多いし、日本と変わらない鳩のはずなのにヴェネツィアの石畳にいる鳩を見ると、荒木先生が描いている世界だと思えた」と異国情緒に感動した様子。

散歩中には大東の撮影現場に遭遇したそうで「見学しようとひっそり行ったらスタッフさんに『撮影はやめてください』と言われて『僕です』と……。今まで徒歩15分で岸辺露伴の現場に行ける贅沢を味わったことがなかったので、後ろの方でニヤニヤしながら『露伴の現場だなぁ』と客観的に見ていました」と明かすと、高橋の見学に気づいたという大東は「いざ近寄って見たら、高橋さんは浮かれていた。温度差が違うなと思った」と暴露して笑いを取っていた。

飯豊は「充実して幸福な1カ月間だった」と撮影の日々を振り返り、「お昼休憩にみんなでレストランに行って、パスタを食べてエスプレッソを飲んで撮影に戻る。そんな経験は初めてでヴェネツィアに来ている感覚を味わいました」と回想。

玉城は「パスタやピザを食べ過ぎると太ってしまうので、スーパーで食材を買って滞在先のホテルのキッチンで料理して。そこに(飯豊)まりえも来てくれたりして。ヴェネツィアで暮らすように撮影が出来たのは贅沢な事でした」と滞在を楽しんでいたことを明かす。

大東も「ヴェネツィアは本当に美しい街。ボンゴレを食べ歩き、ボローニャに足を延ばして本場のボロネーゼを食べました」とグルメに舌鼓を打ったことを明かすと、井浦も同じく「日本のトマトも美味しいけれど、イタリアのトマトはどこで買っても美味しい。トマト料理をマスターするくらいトマト漬けでした」と本場の味に感激した様子だった。

キャストが「懺悔したいこと」告白。「どれだけピアスを落としたかわからない」

(C)2025『岸辺露伴は動かない 懺悔室』製作委員会 (C) LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社

イベントでは、タイトルの『懺悔室』にちなんで「懺悔したいこと」をそれぞれ告白。高橋は岸辺露伴を演じたこれまでの5年間を通して「どれだけピアスを落としたかわからない。今回のヴェネツィアでも落としましたし、探しました。水路に落としたのでは?と思ったこともあったけれどスタイリストさんが見つけてくれました」と述べた。

飯豊もピアスについての懺悔で「私は話を聞いている時の動作が多いので、頷いたりしている時の振動でイヤリングの石が落ちてなくなってしまいました。でもミラクルが起きて、衣装さんのバックについている丸いボタンがフォットすることがわかって、ペンチでちぎって装着。何もなかったかのように撮影しました。チームワークに助けていただきました」とスタッフの機転に感謝した。

大東はヴェネツィアでの撮影期間中に貴重品の入ったバックを紛失するハプニングに見舞われたそうで「夜ご飯を食べた後で……。そのまま2時間くらいヴェネツィアの川を眺め、なんとかホテルのロビーに入れたもののそこで寝てしまって、翌朝プロデューサーに起こされました」と反省。

ちなみに高橋はロビーで眠る大東の姿に気づいたそうだが、声をかけなかったという。その理由について「一人になってみたいときもあると思ったので……。でも大東君からは『声をかけてくださいよ!』と言われました」とマイペースに弁解していた。一方、井浦は周囲に内緒で共演の戸次重幸と二人でヴェネツィアにある5つ星レストランで食事したことが「後ろめたい」と懺悔していた。

最後に主演の高橋は「ヴェネツィアの風景の中でお芝居をして、それがしっかりとした世界で統一されているというか、地面に足がついている気がしました。まるで海外でオペラを観ているような感覚に僕はなりました。これまで観たことのない作品に仕上がっているのではないかという確信があります。言葉にすると月並みかもしれませんが、これまでにない世界が表現されているのではないかと。原作ファンの方にも、実写でファンになってくれた方にも、シリーズを観たことがない方にも、ヴェネツィア旅行をしているような感覚で観ていただける作品でもあります。ぜひ体験していただけたら」とアピールし、イベントは幕を下ろした。