【CEATEC 2011】Rovi、番組表やメタデータ活用をデモ

-配信などの多様化で「コンテンツを探す」技術を強化


 8日まで開催されているCEATEC JAPAN 2011に合わせて、Roviは近隣のホテルでプライベート展示を行なっていた。その中で、同社が運営するテレビ番組表「Gガイド」の新たな取り組みや、映画作品などの同社独自データベースを活用したサービスなどについてデモと説明を行なった。



■ テレビ向けのクラウドサービスなど最新技術をデモ

Rovi Cloud Servicesのデモ(Samsungの「YourVideo」)

 2011年に始まった、新たな取り組みの一つが、「Rovi Cloud Services」。現在、同社はテレビ番組と映画のメタデータを活用した「Total Guide」というサービスを提供しており、番組の検索やレコメンデーション、視聴履歴に応じたパーソナライズ、SNS連携といった機能を北米や欧州で販売されているテレビを介して実現。番組情報などのデータは、専門スタッフが入力した、「確度/精度の高い情報」を特徴としている。

 新しい「Rovi Cloud Services」は、Total Guideのバックエンドにあるサーバーと、そこにあるデータを協力企業が直接活用できるようにするもの。テレビメーカーなどが独自でUIを作成し、APIコールに基づいてRoviのクラウドからデータを取り込み、メタデータを活用できるようにした。

 例えば、Samsungが海外で展開している「YourVideo」というサービスは、ある映画作品のタイトルをテレビ画面から検索すると、それが「CinemaNow」や「Vudu」などどの配信サービスで観られるかということと、「レンタル/ダウンロードどちらか」、「画質」、「料金」までをリストアップして抽出/比較できる。

 配信サービスごとに入り口があって、それぞれで検索するのではなく、「作品名」や「出演者」、「監督」といった切り分けで、該当するタイトルがあれば一覧で表示され、その中からユーザーが選んで視聴できる。

作品を選ぶと、それがどの配信サービスで観られるかということや、料金などを表示データベースを元に、出演者やスタッフが同じ他作品を探したり、関連作品を探すことも可能
こちらはTotal Guideのデモ。テレビの番組表で観たい番組を選ぶと、同じ俳優が出ている別の番組などを検索可能。放送番組だけでなく、VOD配信で今すぐ観られる場合にはそれも教えてくれる

 Roviが保有するDivX関連では、CATV向け製品に搭載される「DivX Plus Streaming」を展開。DivX Plus Streamingは、通信回線の帯域幅に合わせた画質で配信できるというスケーリング技術で、「Rovi Entertaiment Store」(旧称:RoxioNow)という配信プラットフォーム上で提供している。

 このプラットフォームを使った動画配信サービスが米小売大手・BEST BUYが運営する「CinemaNow」(Roviから譲渡)や、「Blockbuster」が運営する配信サービスで展開されている

DivX Plus Streamingのデモ。通信帯域に合わせて、配信が途切れることなく最適な画質に変化する


日立製テレビ向けのiPad用リモコンアプリ

 EPGでは、既報の通りCEATECの日立ブースで展示されていたiPhone/iPad向け番組表/リモコンアプリのEPG部分をRoviが提供。日立が提供しているアプリは無料の「Wooo Remote LITE for iPhone」と、「Wooo Remote LITE for iPad」があるほか、年内に提供予定の有料版(価格未定)の「Wooo Remote for iPad」があり、この有料版にのみEPGが用意されている。

 番組表から観たい番組を選んで、指でテレビがある方にスワイプする(滑らせる)動作でチャンネルを変更できる。有料版では録画予約もiPadから行なえ、日立製テレビのEPGと同様に、予約済み番組は赤い“丸印”がつけられ、判別しやすいことも特徴。


指を前方に滑らせる動作でチャンネル変更有料版アプリの録画予約画面予約済みの番組に赤丸がつけられた
パナソニックもRoviのシステムを採用。「ブルーレイDIGA」最新6機種では、スター・チャンネルの2カ月先の番組表も見られるようになったRoxio関連では、映像の2D-3D変換機能をSDKとして提供開始。3Dの深度などを調整できる


■ 多チャンネル/マルチスクリーン化で“コンテンツを探す”新たな仕組みを

 日本ではBSデジタル放送のチャンネルが10月から増加し、テレビ向けの動画配信も徐々に拡大するなど、有料多チャンネル化が進んでいる。一方、CATVなど有料放送の普及で先行している米国や欧州でノウハウを持つ同社は、今後日本での展開についてどのような考えを持っているのか、プロダクトマネージメント シニアマネージャーの岩永朝陽氏にうかがった。

 岩永氏は同社の役割について「多チャンネル化が進む中で、我々の位置付けは『コンテンツを探す』こと。例えばアクトビラでは約4万件のタイトルがあるが、それを全部観るのは難しい。そのうち400件を観るとしても、テレビだとリモコンで操作しているので(操作が煩わしいと)、良いコンテンツも埋もれてしまう。テレビは“観る”ものであり、コントロールは我々が行ない、ユーザーにコンテンツを“発見”していただく」とする。

 「“人”(出演者)をキーにして番組を探すとしても、従来の番組表では、1日目(1ページ目)までは観られても、視聴者に『その先を見てください』というのは難しい。新聞を読んでいると、写真があれば人の目はどうしてもそこに行く。そういった心理も我々は取り入れ、いかに自分が持っているコンテンツ、契約しているサービスで利用できるものを見つけて、わかりやすくそこまで連れて行くかというところにプロダクトの重きを置いて、取り組んでいる」という。

プロダクトマネージメント シニアマネージャーの岩永朝陽氏

 「世の中にコンテンツがたくさんあることは既に分かっているので、そのうえでもっと違った見せ方、誰もが気付かなかったことをやって行く。一つの会社だけではアイディアが膨らまないこともあるが、我々はネットワークも持っているし、データも持っている。それを使って商品がユニークになっていく仕掛けを作って行きたい」とする。

 さらに、その先の構想として「ハードウェアメーカーの各社がUIなどでそれぞれの“色”を出していくことができるのはもちろん、ユーザーが『このアプリをこれにアドオンすると、こういうものができる』という、自分スタイルの使い方ができれば」と提案する。

 「視聴するデバイスが一つだけでなく、たくさんになると、いろいろな見方ができるようになる。そこで、その人の視聴スタイルに合うコンテンツをフィットさせるために、いろいろな機能の追加で、最終的にはその人の“番組を楽しむアプリ”が出来上がってくる、そういう世界を作って行きたい」と語った。



(2011年 10月 7日)

[AV Watch編集部 中林暁]