【CEATEC 2011】日立、S-LEDのエリア駆動をアピール

-チューナの無いDTCPムーブ用レコーダを参考展示


日立製作所のブース

 映像、情報、通信の総合展示会「CEATEC JAPAN 2011」が4日、幕張メッセで開幕した。期間は10月8日まで。

 ここでは、日立製作所のブースをレポートする。




■「S-LED」バックライト採用の「L46-S08」

 日立ブースで大きくアピールされているのは、11月中旬に発売予定の、薄型テレビ「Wooo」の新モデル「L46-S08」。バックライトに独自の「S-LED」を使っているのが特徴で、「S-LED」とはLEDを搭載した導光板の小さなブロックを意味している。これをタイルのように多数敷き詰めて1枚のバックライトを構成しており、直下型のバックライトよりも薄型化でき、なおかつ個々のブロックの発光を制御できるため、エッジ型よりも細かなエリア駆動ができるといった特徴がある。

「S-LED」採用の薄型テレビ「L46-S08」直下型バックライトのようなエリア駆動が可能ながら、薄型化も実現「S-LED」のブロックが光っているところを解説した映像。右下のアルコールランプの映像を表示する歳、バックライトのS-LEDブロックは、このように必要な部分だけ光っている

 ブースでは、「L46-S08」を回転台に乗せて薄さをアピールする一方で、逆光の映像を表示して暗部の黒浮きの少なさを説明するなど、「S-LED」の画質面での利点も紹介。さらに、S-LEDならではの節電機能として、発光制御を応用し、画面の表示サイズを32型や20型相当に縮小して表示する事で、電力消費を低減する機能もデモ。32型相当の表示にする事で約9%、20型相当で約26%の低減が可能という。

中央部分にだけ小さく映像を表示する事で、電力消費を削減できるS-LEDのエリア駆動の利点を示したデモ。S-LEDではない右のテレビでは、手前の暗部が黒浮きしている。左のL46-S08では、黒がしっかり沈んでいる

Wooo V09シリーズ
 もう1つの新シリーズであり、偏光方式の3Dに対応した液晶テレビ「Wooo V09シリーズ」4モデルも紹介。47型の「L47-V09」、42型「L42-V09」、37型「L37-V09」、32型「L32-V09」を用意し、バックライトはエッジ型LED。47/42/32型ではバックライトスキャンニングによる残像低減を行なうほか、LEDの部分駆動技術「エリアコントロール」によりコントラストを高めている。

 この「L46-S08」とV09シリーズは、いずれもスマートフォンやタブレットとの連携機能を装備。iPhone/iPod touch/iPadから、無線LAN経由でテレビが操作できる制御用アプリとして、無料の「Wooo Remote LITE for iPhone」と、「Wooo Remote LITE for iPad」を提供。さらに、年内にも有料(価格未定)の「Wooo Remote for iPad」がリリースされる。会場では、この有料版を実際に触る事がができる。


iPadでリモコン画面を出したところ
録画番組の再生機能。まず、録画したHDDを選択する録画番組を選んでいるところ

 無料版では、リモコンボタンを表示し、iPhone/iPadからテレビが操作できるほか、録画番組の一覧表示と番組選択、再生操作も可能。iPad用の有料アプリではこれに加え、EPGも表示でき、録画予約もiPadから可能。番組情報をチェックし、その番組をテレビの方向に送り出すように操作することで、テレビのチャンネルが、その番組に選局されるというユニークな機能も備えている。

 なお、EPGを表示する部分には、RoviのiPad用の番組表プログラムを使っているという。会場ではこのEPGも操作可能だ。



■DTCP対応のHDD内蔵サーバー

 レコーダを紹介するコーナーでは、日立マクセルのユニークなレコーダが参考展示されている。チューナは搭載しておらず、厳密にはレコーダではなくネットワークHDDや、録画番組サーバーに近い。

 1TBのHDDを内蔵したサーバーで、DTCP-IPのムーブ先として機能する。ネットワークダビング機能を備えた、録画機能付き液晶テレビなどとネットワーク接続し、録画番組をこのサーバーの内蔵HDDにダビング・ムーブできる。

参考展示された録画番組サーバー録画番組サーバーの動作概念図既発売のiVハードディスクレコーダ「VDR-R2000」も展示された

 サーバーには、DLNAサーバーとして動作する機能も備えており、LAN接続しているクライアントに録画番組を配信できるほか、前面からiVDRカートリッジを挿入する事も可能。サーバー内の録画番組を、iVDRにムーブし、ライブラリ化できるほか、そのiVDRカートリッジをiVDR対応のテレビ、レコーダなどに接続し、それらの機器で再生する事も可能。iVDRであるため、ムーブした番組を、再びサーバーの内蔵HDDにもムーブバックする事も可能。

USBで接続できるiVDRアダプタも展示

 このサーバーにはチューナが搭載されていないため、低価格化が可能とのこと。年内発売を目指しており、価格は「3万円程度や、それを切るような価格を目指している」という。

 また、「L46-S08」とV09シリーズはUSB HDD録画にも対応している事から、USBで接続できるiVDRアダプタも展示されている。




■物体に3D映像を重ねて表示する裸眼立体映像技術

 技術展示で注目を集めているのは、24台のプロジェクタやレンズなどを使って実際の物体と立体映像を重ねて表示する立体映像表示技術。組み合わせた複数枚のレンズと半透明のハーフミラーを使い、24台のプロジェクタによる映像情報を水平60度、垂直30度の広い視野で閲覧が可能な立体映像として実空間に表示。その映像はハーフミラーに投写されており、ハーフミラーの向こう側に置いた物体に、立体映像を重ねて表示できるのが特徴。

 例えば、白い卵に、殻を割って顔を出したヒヨコの立体映像を重ねる事ができる。投写はリアルタイムに行なっているため、卵の位置や向きを検出する技術と組み合わせる事で、卵を動かすと、それに映像も追従。卵ではなく、孵化したヒヨコのキャラクターを持っているような気分を味わう事ができる。

卵にひよこキャラクターを投写初音ミクも登場!! 物体を後ろに向けると、ミクも後ろを向く

 複数の人が3Dメガネ無しで様々な角度から同時に鑑賞できるのが特徴であるため、デジタルサイネージ(電子看板)やエンターテインメント用途、製造業/医療における技能訓練といった幅広い分野に活用できるという。


(2011年 10月 4日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]