「秋のヘッドホン祭 2011」。タイムロード/ファイナルなど
-ULTRASONE Signature PRO。中国製FLACプレーヤー
熱気溢れる会場内 |
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「秋のヘッドホン祭 2011」が10月29日に開催された。会場は外苑前駅近くの「スタジアムプレイス青山」。
各社がイヤフォンやヘッドフォン関連の新製品や未発表製品の参考展示を行なうイベント。ここでは、各社の参考展示を中心にレポートする。
■タイムロード
プロ向けリファレンスモデル「Signature PRO」 |
タイムロードブースでは、個室を設けてヘッドフォンがじっくり試聴できるようになっており、長い列ができていた。目玉はULTRASONEの新ヘッドフォンシリーズ「Signature」第一弾として、11月末の発売が予定されている、プロ向けリファレンスモデル「Signature PRO」。価格は99,000円。
40mm径のチタンプレイテッド・ドライバーと、NdFeBマグネットを使用した密閉型のヘッドフォン。再生周波数帯域は8Hz~42kHz。インピーダンスは32Ω。音圧レベルは98dB。重量は本体のみで300g。
ケーブルは着脱式で、1.5mのストレートケーブル(Neutrikミニプラグ)と、3mのストレートケーブル(Neutrik標準プラグ)が同梱。専用ケースも付属する。
プロ向けのモニターヘッドフォンという位置づけだが、同社「edition9」とPROシリーズから、双方の技術を投入して作られているのが特徴。同社らしいメリハリや、高域の突き抜け感あるサウンドで細かい音が聞き取りやすく、同時にeditionシリーズらしい、しなやかなで奥行きのある音場も感じさせる魅力的なサウンドに仕上がっていた。
40mm径のチタンプレイテッド・ドライバーを採用 | ハウジングは平らにする事ができる | 専用ケースも付属する |
■ファイナルオーディオデザイン
ファイナルのブースでは、音展でも展示されたステンレス製の超弩級ヘッドフォンが登場し、注目を集めていた。
ステンレスの超弩級ヘッドフォン |
カナル型(耳栓型)イヤフォンでは、8mm径のダイナミック型ユニットを採用した2機種を参考展示。左右でカラーリングが異なり、装着時に容易に左右を判別できるタイプが6,000円程度で11月下旬の発売を予定。同じユニットを使った上位モデルとして、金属製ハウジングを採用したモデルが1万円台前半の予定。金属製ハウジングのモデルは、高域の抜けが良く、ダイナミック型の量感がありながら、アーマチュアのようなクリアさが印象に残る。
さらに、1.5万円~2万円程度を想定しているという、シングルのバランスド・アーマチュアイヤフォンも初披露。筐体にステンレスを採用し、長めのボディが特徴。シングルタイプながらワイドレンジで非常にバランスの良い再生音が出ており、こちらも商品化が楽しみなモデルだ。
8mm径のダイナミック型ユニットを採用したカナル型イヤフォン | 同じく8mm径のダイナミック型ユニットを採用した、金属筐体の試作機 | シングルのアーマチュアユニットを搭載した、ステンレス筐体の試作機 |
■ナイコム/トップウイングなど
GRADOの新ヘッドフォン「PS500」 |
ナイコムのブースでは、発売が開始されたGRADOの新ヘッドフォン「PS500」をアピール。40mm径のドライバを採用したオープンエア型で、エアチャンバーには無共振ハイブリッド特殊合金を採用。周波数特性は14Hz~29kHz。インピーダンスは32Ω。「PS1000」の技術を投入しつつも、69,800円と価格を抑えているのが特徴だ。
トップウイングでは、中国のhisoundaudioというメーカーのプレーヤーやイヤフォンを参考展示。プレーヤーは、ディスプレイの無い小型モデル(6,000円程度)や、microSDカードスロットとディスプレイを備えた「RoCoo D」(1万円程度)、アナログ入力を備えてヘッドフォンアンプとしても使える「studio」(価格未定)などのラインナップ。詳しい仕様は確認中だが、44.1kHzまでのFLACの再生に対応しているのも特徴だという。
hisoundaudioのプレーヤー。約6,000円の低価格モデル | microSDカードスロットとディスプレイを備えた「RoCoo D」 |
アナログ入力を備えてヘッドフォンアンプとしても使える「studio」 |
さらに、同ブランドのカナル型イヤフォンも展示。こちらも日本展開を検討しているという。
同ブランドのカナル型イヤフォンも展示 |
izoのポータブルヘッドフォンアンプ。左が「M1」。右はDACの無い「S1」モデルだ |
同じくトップウイングのブースでは、izoのポータブルヘッドフォンアンプ「M1」も参考展示された。モックアップ展示だが、製品は12月に発売予定。TIの高品質チップをチャンネル別に搭載し、独立駆動するデュアルモノドライブ構成を採用。さらに、「iHA-21」でも使われているXMOS製のUSBインターフェイスを備え、USB DACとしても動作。アシンクロナス転送が可能で、24bit/192kHzまでをサポート。同軸デジタル出力も備え、DDコンバータとしても利用できる。
±5V~9Vの定電圧仕様に対応した独立電源回路を搭載し、USBバスパワーで動作するほか、eneloopバッテリなどの外部バッテリでも動作が可能だという。フロントにライン入力、ヘッドフォン出力、背面にUSB入力、同軸デジタル出力、ライン出力を装備する。
価格は未定だが「5万円以下を目標としている」という。また、DACを省いた「S1」も参考展示された。
■ソニー
ソニーブースでは、同社初となるバランスド・アーマチュア・ユニットを搭載した新イヤフォンシリーズ「XBA-1SL/XBA-2SL/XBA-3SL/XBA-4SL」などを一挙に展示。試聴もできるようになっており、12月10日の発売前に、音質を確かめようという来場者が詰めかけた。
さらに、7.1chデジタルサラウンドヘッドホン「MDR-DS7500」で、Blu-rayの映画を体験できるコーナーも用意された。
バランスド・アーマチュア・ユニットを搭載した新イヤフォンシリーズが試聴できた | 7.1chデジタルサラウンドヘッドホン「MDR-DS7500」の体験コーナーも |
■須山歯研(FitEar)
FitEarのブースでは、カスタムイヤーモニターの新モデル「Private 222」を中心に、ラインナップをアピール。「Private 222」は、2ウェイ2ユニットのバランスド・アーマチュアを採用したモデルで、価格を78,750円に抑えているのが特徴(耳型採取費別)。カスタムイヤーモニターの入門モデルとして訴求されている。
FitEarの「Private 222」 |
■カナルワークス
カナルワークスでは、音展でも展示された、3ウェイ/4ユニットのバランスドアーマチュアイヤフォンを、専用のポータブルヘッドフォンアンプでドライブする「ポータブルマルチアンプシステム」を参考出展。
同社の「CW-L31」をベースにしながら、イヤフォン側にネットワークは搭載しておらず、アンプ側にチャンネルデバイダを内蔵。各帯域を独立して駆動する方式となる。「皆さんの意見をもとに、製品化するかどうか判断したい」としているもので、アンプ側で容易に音が調整できるのも特徴だという。
ほかにも、2ウェイのバランスドアーマチュアドライバを採用した新製品「CW-L10」(モニター価格64,800円~)や、「CW-L01P」(同49,800円~)なども展示された。
「ポータブルマルチアンプシステム」の試作機 | 新製品「CW-L10」と「CW-L01P」 |
■そのほか
テイクティのブースで目を引くのが、エメラルドグリーンの小さなパーツ「TAKET-BPP」(3,700円)。これは20kHz~150kHzの超高音域を再生するスーパーツイータをポータブル化したというもの。二股コネクタなどを介して、ポータブルプレーヤーにイヤフォンと共に接続する。人間は耳だけでなく、皮膚を通じて超音波を感じている事に着目して開発したというもので、イヤフォンで聞きながら超高域を浴びることで、「生音に近づく、うっとり音効果が得られる」という。さらに、「放射面を顔の前方に置くと、頭に張り付いていた音が離れ、音場が前方に移動し、耳だけで聴いていたストレスから開放される効果もある」とのこと。
同じくテイクティのブースでは、サヤの24bit/192kHz対応USBヘッドフォンアンプ「DSA192U」も参考展示。DAC(AD1955)のバックエンド・ヘッドフォンアンプには、カレントフィードバック・コンプリメンタリアンプを採用。PPフィルムコンデンサ、薄膜精密抵抗、リードリレー、105度高寿命電解コンデンサなど、高品位部品を投入したという。価格は46,200円を予定している。
ポータブルスーパーツイータ「TAKET-BPP」 | サヤの24bit/192kHz対応USBヘッドフォンアンプ「DSA192U」 |
(2011年 10月 31日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]