キヤノン、1.5型CMOS/フルHD動画の「PowerShot G1 X」
-大口径レンズで動画にもボケ味。防水/GPSなど3機種
PowerShot G1 X |
キヤノンは、デジタルカメラ「PowerShot」の新製品として、フルHD動画撮影に対応した「G1 X」など3機種を3月上旬より順次発売する。
7日に発表された新機種のうち、1.5型のCMOSと大口径レンズを備えた「G1 X」と、薄型筐体で光学20倍ズームの「SX260 HS」、10m防水/1.5m耐衝撃の「D20」がフルHD動画撮影に対応。価格はオープンプライスで、直販価格はG1 Xが74,980円、SX260HSが34,980円、D20が34,980円。発売時期は、G1 XとSX260HSが3月上旬、D20は5月中旬。
フルHD撮影時の撮影モードは、いずれも1,920×1,080ドット/24fpsで、コーデックはMPEG-4 AVC/H.264、ファイル形式はMOV。なお、同日に発表された「IXY 1」や「IXY 420F」とは異なり、無線LANは搭載しない。
新製品の発売に合わせて、同社デジタルカメラ向けのオンラインアルバムなどの会員サービス「CANON IMAGE GATEWAY」(CiG)も機能強化。保存容量の増加やiPhone/iPad向け画面などが利用できるようになった。詳細は後述する。
SX260 HS | D20 |
■ 1.5型CMOSと大口径レンズ搭載の「G1 X」
G1 X |
同社コンパクトデジカメのハイエンドシリーズである「Gシリーズ」の新機種で、2010年に発売した「G12」の上位モデルに位置付けられる。フルHD動画撮影に対応。音声はリニアPCMステレオで記録する。フルHDのほか、1,280×720ドットや640×480ドット(いずれも30fps)の記録モードも用意する。
特徴は、1.5型(18.7×14mm)/有効1,430万画素という大型CMOSセンサーを採用したこと。同社の一眼レフであるEOS 60DやEOS Kiss X5(22.3×14.9mm)のAPS-Cサイズに迫るサイズとしている。なお、下位モデルのG12は1/1.7型(7.4×5.6mm)。
1.5型の大型CMOSセンサーを搭載 |
センサー面積をG12の約6.3倍に拡げたことで光を多く取り込むことができ、大幅な画質向上を実現。最高ISO 12800の高感度に対応するほか、低ISO側でもより多くの光を集めることができ、ダイナミックレンジが拡大した。さらに、オンチップノイズ除去技術や、高速連写を可能にする4チャンネル高速読み出し機能も備える。
この大型センサーの力を引き出すという新設計の大口径レンズも搭載。ミラーレスの単焦点と同等というサイズで光学4倍ズームを実現しているほか、6枚羽根の虹彩絞りにより大きく美しいボケを実現。レンズの高画質化は動画撮影にも活かされ、動画でもボケ味のある表現が行なえるとしている。同社のEFレンズと同等の技術を用いた3枚のガラスモールドレンズを採用。ユニットごとの収差を補正している。F値はF2.8~5.8、35mm換算の焦点距離は28~112mm。
映像エンジンはDIGIC 5。複数の光源がある場所でもエリアごとに最適なホワイトバランスを調整するマルチエリアホワイトバランスに対応。また、AFスピード向上や、シャッター全押しから露光開始までのタイムラグ短縮も実現している。このDIGIC 5と大型CMOSセンサーにより、ISO 12800でもノイズを抑えて撮影できるという。
そのほか、静止画撮影ではEOSシリーズと同様に14bit RAW撮影にも対応。フル画素で約4.5枚/秒(最大6コマ)の「ハイスピード連写HQ」にも対応する。
実像式の光学ビューファインダも搭載。液晶モニタは3型/バリアングルで、92.2万画素。背面にコントローラホイールを備え、ダイヤル設定もEOSユーザーがサブ機として使いやすいよう考慮している。マニュアル設定にも対応し、露出補正や絞り、シャッタースピードなどをマニュアルで設定可能。露出補正は新たに±3段まで対応した。
記録メディアはSD/SDHC/SDXCカード。HDMIミニ出力も備える。外形寸法は116.7×64.7×80.5mm(幅×奥行き×高さ)、バッテリ/SDカード込みの重量は約534g。
液晶モニタ側 | 液晶はバリアングル | 本体と付属品 |
■ 20倍ズーム/GPS搭載の「SX260 HS」
SX260 HS |
奥行き32.7mmの薄型筐体に光学20倍ズームを備えたモデル。センサーの画素を有効活用して画質劣化せずに拡大できるプログレッシブファインズームも備え、最大39倍に対応する。
CMOSセンサーは1/2.3型、有効1,210万画素。レンズの35mm換算焦点距離は25~500mmで、F値はF3.5 ~6.8。映像エンジンはDIGIC 5を搭載し、低ノイズでの撮影を実現している。動画の撮影モードはG1 Xと同じ。
【訂正】記事初出時、本体とCMOSセンサーのサイズ、F値を誤っておりました。お詫びして訂正いたします。(2月7日)
GPS機能も搭載。撮影時の位置情報を画像データとともに記録/確認可能。付属のPCソフト「Map Utility」により、撮影ポイントをGoogleマップ上に表示できる。
記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードを使用。液晶モニタは3型/46.1万画素。HDMIミニ出力も備える。外形寸法は106.3×32.7×61mm(幅×奥行き×高さ)、バッテリ/SDカード込みの重量は約231g。
ストロボポップアップ時 | 液晶モニタ側 | 本体と付属品 |
■ 防水/耐衝撃仕様の「D20」
D20 |
10m防水(IPX8)と1.5m耐衝撃(MIL Standard 810F Method 516.5 Selecting Procedure IV準拠)、-10度の耐寒仕様を備えたアウトドアモデル。動画撮影モードはG1 XやSX260 HSと同じだが、映像エンジンはDIGIC 4を搭載する。
CMOSセンサーは1/2.3型、有効1,210万画素。光学ズームは5倍。35mm換算の焦点距離は28~140mm。F値はF3.9~4.8。GPSも搭載する。
記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードを使用。液晶モニタは3型/46.1万画素。HDMIミニ出力も備える。外形寸法は112.3×28×70.8mm(幅×奥行き×高さ)、バッテリ/SDカード込みの重量は約228g。
別売アクセサリーキット「AKT-DC2」も用意。シリコンジャケット、フロート、カラビナストラップ、ショルダーストラップのセットで、直販価格は10,500円。また、40mまでの防水にも対応可能なケース「WP-DC45」(直販26,250円)も用意する。
液晶モニタ側 | 本体と付属品 | 別売のアクセサリキットAKT-DC2 |
■ オンラインサービスも機能強化
同社デジタルカメラのユーザーが無料で利用できるオンラインアルバムのCANON IMAGE GATEWAY(CiG)は、動画/静止画の保存容量を従来の2GBから、10GBに強化。また、未アクセスユーザーのデータ消去は、従来の180日から、365日に延長される。
アップロードした動画/静止画を管理できる「ライブラリ機能」も追加。ライブラリ内で動画/静止画を整理でき、そのなかから活用したい写真などをまとめて「アルバム」として利用できる。友人などとの共有機能も強化。「アルバム」に、家族や友人が撮った静止画/動画を追加してもらったり、コメントをもらったりできる。
iOS機器との連携機能も搭載。管理をPCだけでなく、iPhone/iPad向けの専用画面からも行なえる。そのほか、IXYの無線LAN搭載モデルである「IXY 1」と「IXY 420F」と連携して、カメラからダイレクトにFacebook、YouTube、Twitterで写真と動画を共有可能。アップロードはCiGに行ない、各SNSにリンク先アドレスを掲載できる。
そのほか、G1 X以外のカメラに付属する静止画編集/管理ソフト「Image Browser EX」も機能強化。動画編集機能において、MOVとMP4の再生と編集に対応。カット編集機能(MOV)と、フル編集(MOV/MP4)の2種類が行なえる。検索においては、フォルダと撮影日のいずれかを選択して表示できるようになり、より簡単に探せるようになった。また、撮影した写真を人物ごとに表示することなどが可能な個人認証機能との連携に対応。そのほか、オンライン画像共有も強化して、従来のCiG/YouTube/メールに加えFacebookでも共有可能にした。
-スマホやPCとワイヤレス連携。フルHD動画対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20120207_510096.html
(2012年 2月 7日)
[AV Watch編集部 中林暁]