オンキヨー、ドルビーTrueHD音楽配信に対応したAVアンプ

-DSD/Apple Lossless再生や、新スピーカー調整機能も


TX-NR818

 オンキヨーは、AVアンプのミドルクラス2機種を6月上旬に発売する。価格は、「TX-NR818(B)」が153,300円、「TX-NR717(B)」が117,600円。カラーはブラック。

 また、オプションとしてBluetoothアダプタ「UBT-1」を6月中旬に発売。TX-NR818/717や、既発売のTX-NR515/616に装着することで、対応スマートフォンからのワイヤレス音楽再生が可能になる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5,000円前後。


TX-NR818TX-NR717Bluetoothアダプタ「UBT-1」

 いずれも7.1ch対応のAVアンプで、ネットワーク再生時の対応フォーマットを強化したことが特徴。新たにe-onkyo musicにおいて5月30日より開始されるドルビーTrueHD 5.1chでの音楽配信に対応し、PCでダウンロードした楽曲を、LANまたはUSBメモリを介してAVアンプで再生可能。なお、このドルビーTrueHDでの音楽配信については、別記事で紹介する。

 さらに、DSD(DSF形式/2ch)やApple Lossless(最高24bit/96kHz)の楽曲再生にも対応。e-onkyoでPC向けに配信しているDSD楽曲や、手持ちのCDからリッピングしたApple Lossless楽曲をAVアンプで再生できるようになった。なお、DSDについてはダイレクト入力してAVアンプ側でリニアPCMに変換してから再生する。前述のドルビーTrueHD楽曲と、DSDなど他のフォーマットの楽曲を混在させて連続再生することもできる。

 DLNA 1.5をサポートし、対応PCやLAN HDDなどに収めたWAV/FLACの24bit/192kHz音源も再生できる。Windows 7のPC音源を高音質再生する「Play To」にも対応。本体にEthernetを備えるほか、別売USBアダプタ「UWF-1」(実売3,000円前後)を利用して無線LAN接続することも可能。

 ネットワークラジオ機能としてradiko.jpや、vTuner経由でのインターネットラジオ、AUPEO!に対応する。また、ロッカー型のミュージッククラウドサービス「MP3tunes」にも対応した。



■ 詳細なスピーカー設定ができる新機能を搭載

 上位モデルNR818は、新たに「Digital Processing Crossover Network機能」を搭載。これは、接続したフロント2chスピーカーのクロスオーバーネットワークを通さずに、ダイレクトにスピーカーユニットを駆動することで高純度な音質を実現するというもの。「クロスオーバー周波数付近の高域と低域の重なりが少なくなり、透明感の高い音楽再現が可能」としている。ツイータ側には高音の帯域波形を、ウーファ側には低音の帯域波形をアンプ側でデジタル分割して音声信号を出力する。

 この機能を利用するには、高域/低域のスピーカー入力端子を独立して設けたバイワイヤリング対応スピーカーが必要。特に、ネットワークを持たないチャンネルデバイダ―対応スピーカーを利用すれば、HPF/LPFを通さずダイレクトにスピーカーユニットへ信号入力できるため、ツイータの低域側と、ウーファの高域側の再生可能な周波数帯域が広く重なり、クロスオーバー周波数を設定できる帯域が広くなる。なお、現時点ではオンキヨーのスピーカーでチャンネルデバイダー対応製品は存在しない。一方、ネットワークを持っているスピーカーではアンプの出力信号をダイレクトにユニットへ伝達できないが、「デジタルで帯域分割した信号を入力することで、クロスオーバー周波数付近の重なりが少なく透明感の高い音楽再現が可能になる」としている。

 ネットワークを持たないスピーカーで利用する場合は、スピーカーの持つクロスオーバー周波数に近い帯域で高域/低域をデジタル分割することが可能。設定可能な周波数は、250/320/400/500/630/800/1,000/1,250/1,600/2,000/2,500/3,200/4,000/5,000Hzの14種類。それぞれ1/3オクターブずつの差がある。接続するスピーカーのクロスオーバー周波数が分からないときは「Output Band for Test」機能で調べることができる。また、高域/低域それぞれの出力レベルを個別に調整することも可能となっている。

 さらに、マルチウェイスピーカーの問題とされる、各ユニットから届く音の到達時間の差を解消するため、ウーファとツイータの前後位置を仮想的に調整するタイムアライメント補正も搭載。ウーファ/ツイータそれぞれの位置を2.5cm(1インチ)単位で、0.0cm~30cmまで仮想的に移動できる。これにより、再生音の到達時間を合わせ、ユニットのつながりが良くなることで鮮烈なアタック音と音場感の向上が図れるという。

 そのほか、NR818のみの特徴として、5.1chなどの音声信号からフロントハイ/ワイドなどのサラウンド信号を生成可能な「DTS Neo:X」に対応。また、フロントL/RチャンネルのDAC部は、1chに通常の2ch分のDAC回路を割り当てたディファレンシャル動作に対応している。筐体構造は、プリアンプ部とパワーアンプ部を完全にブロック化した「ケース内コンポーネント」思想を導入している。



■ HDMI新機能のInstaPrevueや、MHLにも対応

 USB端子を2系統備え、USBメモリなどに収めた高音質ファイルを再生可能。うち1系統(前面)はiPhone/iPodのデジタル入力にも対応する。そのほか、iPhone/iPod touchアプリ「Onkyo Remote」からの操作も可能。iPhoneなどからの基本操作のほか、ネットワーク上にあるPCやLAN HDDの楽曲やインターネットラジオの選局、再生楽曲のジャケット画像表示などが行なえる。

 前述のBluetoothアダプタ「UBT-1」をAVアンプのUSB端子に接続することで、スマートフォンの音楽をワイヤレス再生することもできる。「UBT-1」はUSBバスパワーで動作。外形寸法は56×11×24mm(幅×奥行き×高さ)、重量は10g。

 HDMI入力は8系統で、出力は2系統。3D映像伝送や、ARC(オーディオリターンチャンネル)、CECにも対応する。最大4Kの「ビデオアップコンバージョン機能」を搭載。映像処理回路に「HQV Vida VHD1900」を搭載している。

 Silicon Imageの新技術「InstaPrevue」と「MHL」にも対応。InstaPrevueは、テレビなどの画面にサブ画面(子画面)を表示して、AVアンプにHDMI接続されているAV機器やMHL入力対応スマートフォンなどの再生映像を動画でプレビューする技術。入力切替を行なう前に、各機器にどのような映像があるかをまとめて確認できる。

 MHLは、対応スマートフォンなどのモバイル端末から1080pの非圧縮映像と、8チャンネル分のデジタル音声を伝送できる技術。HDCPの著作権保護コンテンツもサポートしている。さらに、AVアンプ側からMHL対応端末のコントロールもできる。

 アンプ出力は、NR818が定格145W×7ch、最大230W×7ch、NR717が定格140W×7ch、最大200W×7ch(いずれも6Ω時)。高音質化技術として、3段インバーテッドダーリントン回路や、グランド安定化技術などを投入している。

 HDMI以外の端子は、映像入力がD4×2、コンポーネント×2、コンポジット×5、アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1。音声入力は光デジタル×3(NR717は2)、同軸デジタル×3、アナログ音声(RCA 2ch)×7(NR717は6)、PHONO(MM)×1。出力端子は、映像がD4×1、コンポーネント×1、コンポジット×1、音声がアナログ×2(ZONE 2/3)、9chプリアウト×1、サブウーファプリ×2。

 消費電力はNR818が620W(待機時0.1W)、NR717が520W(同)。外形寸法と重量は、NR818が435×435.5×198.5mm(幅×奥行き×高さ)、18.3kg。435×379×174mm(同)、12.1kg。NR818の付属リモコンのみマクロに対応。NR717にはプリプログラム対応リモコンが付属する。

TX-NR818の背面TX-NR717の背面NR818の付属リモコン「RC-840M」NR717の付属リモコン「RC-836M」


(2012年 5月 10日)

[AV Watch編集部 中林暁]