音展'12【富士ソフト編】iBassoの新アンプ予告
パイオニア/ソニーの新AVアンプも体験可能
富士ソフトのアキバプラザ |
オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」(音展)が19日、東京・秋葉原で開幕。期間は10月19日(金)~21日(日)で、入場料は無料(一部イベントは有料)。会場は秋葉原UDX・アキバスクエア(2F)と、富士ソフトのアキバプラザ(4F~7F)で、ここでは富士ソフト・アキバプラザの展示をレポートする。
■スペック
スペックのブースでは、2つの参考展示が用意されている。1つはアナログプレーヤーの試作機で、20cmはあろうかという分厚い木製ベースを使っているのが特徴。発売日や価格は未定だが、来年の製品化が予定。同社はSPEC+ブランドでもアナログプレーヤーを販売しているが、それらよりも上位の、ハイエンドプレーヤーと位置付けられている。
アナログプレーヤーの試作機 |
このプレーヤーとも関係する参考展示が「Real-Soundフォノイコライザ」。最新のオペアンプのポテンシャルを活かし、シンプルな回路構成を採用したというフォノイコで、インピーダンスの低い低出力MC型カートリッジ用には、超ローノイズのバイポーラ入力オペアンプを、インピーダンスの高い高出力MM型カートリッジには、高入力インピーダンスのFET入力オペアンプを使っている。
また、高性能オペアンプの高いゲインを利用した、シンプルで位相特性に優れるCR型イコライザを採用。CR型イコライザはシンプルなパッシブフィルタ回路で、SN的に不利とされているが、超ローノイズ・ハイゲインのオペアンプにより、これを克服したという。
このCR型イコライザには、スペックならではの特徴として、CR素子にArizona Capacitorsのカスタムオイルコンデンサとマイカコンデンサを使用。同社アンプのローパスフィルタにも使われているもので、米国製真空管アンプなどに搭載された、ヴィンテージのコンデンサと共通する音質面の特長を持っている。
なお、筐体はフォノイコライザ本体と電源部を別体としており、余裕のあるLR独立電源を採用。放送機器やスタジオ用機器に使われているデバイスを用い、バランス出力も備えている。
こうしたアナログ関係の参考展示が豊富な一方、スフォルツァートのネットワークプレーヤー「DST-01」と組み合わせたデモや展示も実施。今後の製品として、ネットワークプレーヤーも検討しているという。
フォノイコライザ本体と電源部を別体としている | スフォルツァートのネットワークプレーヤー「DST-01」 |
■ヒビノインターサウンド
iBasso Audioのハイレゾプレーヤー「HDP-R10」メインに、ヘッドフォンで試聴ができるブースを展開。さらに、同プレーヤーなどを設置できる、マウントベース「Nrmb」(11月16日発売/実売39,000円前後)も展示。Nrmbに設置したHDP-R10を、据え置き型プレーヤーとして扱い、アンプと接続してスピーカーで音楽を楽しむといった提案も行なっている。
iBasso Audioのハイレゾプレーヤー「HDP-R10」と、マウントベース「Nrmb」 | 据え置きプレーヤーのように使うデモ | 底部に溝があり、そこにケーブルを通す事もできる |
さらに、説明パネルのみだが、iBasso Audioの新製品も予告。「HDA-R9」という型番で、ヒビノとiBassoが共同開発したという日本オリジナルモデル。DACを備えたポータブルアンプで、iPod/iPhone/iPadとのデジタル接続に対応。iPhone 5にも対応予定だという。その他のデジタル機器とも接続できる入出力端子と、アナログ入出力も搭載する。
DACには、ESS Technologyの32bit DAC「SABRE32 Reference audio DAC ES9018」を採用。デジタル入力は24bit/192kHzまで対応予定。24bit/192kHzへのアップサンプリング処理も対応予定。
アンプ部とI/V変換部は、左右チャンネルを独立させたモノラルコンストラクション仕様。オペアンプと高速バッファをLRで個別に駆動し、I/V変換部も低歪みオペアンプを左右個別に配置。ヘッドフォンインピーダンスは8~600Ωを推奨する。バッテリは4,800mAhのリチウムポリマーバッテリ。筺体はアルミニウム合金削り出し。
2013年初旬の発売予定で、価格は未定。「HDP-R10(実売88,000円前後)」ほど高価にはならない予定で、できるだけ購入しやすい価格になるよう目指している」という。
新製品の予告パネル | 「HDP-R10」の試聴も可能だ |
■ゴールドムンド
新製品であるプリアンプのMimesis 27.8や、プリメインのTelos 390.5、ユニバーサルプレーヤー「Eidos 36U」などを紹介。さらに、このイベントが初公開というパワーアンプ「Telos 280」も出展されている。ステレオパワーアンプで、価格は1,344,000円。年内の発売を目指しているとのこと。
初公開のステレオパワーアンプ「Telos 280」 | ゴールドムンドのブース | デジタルプロセッサの「Metis 10」(1,050,000円) |
■パイオニア
パイオニアブースでは、大規模なシアターを設置。フラッグシップAVアンプ「SC-LX86」や、その下位モデル「SC-LX76」などを展示&デモしている。
さらに、USBデジタル入力も備えた2chオーディオコンポーネントも出展。USBオーディオ対応のプリメインアンプ「A-70」と、ネットワークプレーヤー「N-50」などを組み合わせており、リビングに設置する利用シーンを想定した展示になっている。
USBオーディオ対応のプリメインアンプ「A-70」 | 「A-70」と、ネットワークプレーヤー「N-50」の組み合わせ | 「SC-LX76」など、AVアンプ新製品も一気に展示 |
■ソニー
ソニーはUDXにも出展し、ヘッドフォンやヘッドマウントディスプレイなどを展示しているが、富士ソフトのアキバプラザではピュアオーディオやホームシアター関係の展示をメインにしている。
シアタールームでは、新AVアンプ「TA-DA5800ES」を使った9.1chスピーカーによるデモを実施。プロジェクタは、4K対応「VPL-VW1000ES」の映像が楽しめる。ピュアオーディオのコーナーでは、スピーカーシステム「SS-AR1」や「SS-AR2」、「SS-NA2ES」「SS-NA5ES」の試聴ができ、再生機器としてSACDプレーヤー「SCD-DR1」や、ステレオデジタルアンプ「TA-DR1a」などが使われている。
4K対応プロジェクタ「VPL-VW1000ES」 | 新AVアンプ「TA-DA5800ES」を使ったシアターブース | ピュアオーディオのコーナー |
■その他
JVCケンウッドでは、JVCブランドのウッドコーンオーディオシステムの展示/デモを実施。デモルームでルームチューニングに使用している、コスモプロジェクトの吸音材「SOUND SPHERE NEXTシリーズ」や、パネル式内装壁材の「林薫」の紹介も行なっている |
東和電子のブースでは、音展の中で開発発表会が行なわれた、小型の単品コンポシリーズ「NANOCOMPO」や、卵型スピーカーの新製品で、より小型化した「TW-S5」などを展示。「NANOCOMPO」と卵型スピーカーを組み合わせた展示も行なわれている | 聖新陶芸(CAS事業部)のブースでは、陶器をエンクロージャに使ったスピーカーを多数展示。味わい深い音色が楽しめる |
オヤイデのブースでは、Shureのヘッドフォン用交換ケーブル「HPC-35/62 SRH」などを参考展示。11月の発売を予定している | ナスペックのブースでは、KingRexの新製品として、USB Yケーブル「uArt Y USB cable」を参考展示。USB DACを接続する際に、信号と電源を分けて接続できるという |
クボテックのHANIWAスピーカーの最新モデル「HSP1C04」は、4インチのフルレンジユニットを採用した小型スピーカーと、このスピーカー用に調整されたデジタルシステムアンプのセットで構成されている。価格は120万円 |
日本オーディオ協会の創設60周年を記念し、「音の歴史館」と名付けられた展示コーナーも登場。各メーカーや個人が所蔵していた歴史的な名機を紹介するもので、パイオニアのセパレートステレオ「PSC-1」(1960年)や、富士通テンの真空管式車載ラジオ「TAR-55」(1955年)、TRIOのプリメイン「W-45A」(1965年?)、ヤマハのスピーカー「NS-1000M」(1974年)、パイオニアのレーザーディスクプレーヤー「LD-1000」(1981年)、デノンのセパレートCD「DP-S1/DA-S1」(1993年)など、AVファンにはお馴染みかつ懐かしい機器が並ぶ。また、一風変わった展示として、蓄音機を発明したエジソンのスピーチや、レコードの原型となった円盤式録音を実現したベルリナーのスピーチが聴けるコーナーも設けられている | 各社製品を組み合わせた音が楽しめる「音のサロン」は、今年も大盛況。音展のホームページではプログラムの一覧も掲載されている |
(2012年 10月 19日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]