ニュース
日テレ、4K映像活用や通信連携JoinTVのテレビSNSを「デジテク2014」に展示
(2014/3/25 19:50)
日本テレビは、4Kや放送通信連携などの最新技術を紹介する展示会「デジテク2014」を、汐留日本テレビタワーの「日テレホール」において3月25日~26日の2日間開催。この中で、将来の4K放送を見据えたライブ伝送デモを行なっているほか、ハイブリッドキャスト(Hybridcast)のコンテンツ、SNS連携の「JoinTV」や、「フリフリTV」、「wiz tv」などの最新動向を紹介している。入場は無料で事前登録は不要だが、受付で名刺2枚が必要。
4K映像を切り出して回転/ブレ補正するハードを開発中
4K関連では、'13年から収録を開始している4Kのプロ野球巨人戦や試験放送向けコンテンツ、京都の景色などを紹介。'13年に開催した日本テレビ開局60年特別美術展「京都-洛中洛外図と障壁画の美」の展示作品として上映した龍安寺石庭の実写映像を、JVCの4K対応プロジェクタ「DLA-X700R」3台を使ったパノラマコンテンツを縮小版で上映している。
また、既存のテレビ中継網を用いた4K映像ライブ伝送も実施。4Kと2Kの映像を宮崎と大阪の2カ所で撮影し、番組配信や素材伝送に使用しているNTTコミュニケーションズのテレビ回線を介して同時伝送。4K映像は4分割して1080/60pのMPEG-4 AVC/H.264エンコーダ4台「IP-9610」(富士通)を利用し、ビットレートは最大約200Mbps。地方からの4K映像伝送に活用でき、スポーツ生中継やお天気カメラなどでの利用を想定している。
新たな取り組みとしては、4K映像から2K映像を切り出し、その映像を回転させたりブレ補正するといったハードウェアの開発をアストロデザインらと共同で進めている。音楽ライブ映像などで、回転台などが無い通常の4Kカメラから、映像処理で切り出しと回転を行なえるほか、手元のスイッチで任意の角度にワンタッチで切り替えるといったことが可能。音楽ライブなどでも活用できるよう、遅延は1フレーム以内に収めるという。ブレ補正は、移動中継などで防振台の無い中継車でも、加速度センサーを利用して移動範囲を検知することにより補正するもの。年内のハードウェア開発を目指しており、箱根駅伝での実験も検討している。
テレビリモコンで操作する簡単SNS「JoinTalk」など
コミュニケーションサービス「JoinTalk」は、日本テレビのソーシャルテレビ視聴サービス「JoinTV」の仕組みを活用し、テレビとスマートフォンでSNSサービスのようなコミュニケーションが幅広い年齢層で簡単に行なえるもの。
JoinTVのアカウント同士でつながることで、テレビ/スマホの間でメッセージや写真の投稿や返信が可能。データ放送(BML)やハイブリッドキャスト(HTML 5)画面で利用できる。例えばスマホアプリの「JoinTown」から写真付きコメントなどを投稿すると、離れて暮らす親や友人のテレビのデータ放送/ハイブリッドキャスト画面にあるタイムライン上に表示。それに対し、テレビリモコンから「いいですね」などの返答ができる。返答はリモコンのカラーボタンで4つから選択するようになっており、返答のパターンは、元コメントの投稿者があらかじめスマホで設定しておく。投稿を見た人が「電話ください」、「読みました」などのコメントをカラーボタンを押すだけで返答できるため、高齢者にも使いやすい点が特徴。
JoinTVとJoinTalkを災害対策/高齢者支援プロジェクトとして活用したのが「JoinTown」。ユーザーと各テレビ、専用カードを共通IDで管理することで、災害が起きた時にデータ放送画面で世帯主名と避難先を表示。本人の名前を表示することでユーザーに直接訴え、避難するよう促す。
ビッグデータ解析の「JoinTV Analytics」は、JoinTVでテレビ番組に参加した視聴者の盛り上がりなどをリアルタイムで確認できる分析ツール。これまで、金曜ロードSHOW!の「ハリー・ポッター祭り」などで、視聴者が番組にスマホ/データ放送で参加する企画が行なわれているが、番組にどういった層の人がどれだけ参加しているかといった、参加者プロファイル/アクセス数変動などのデータをExcelのグラフで確認可能。視聴率など既存の指標とは異なる動向を番組側が把握でき、次の番組企画などにつなげられるという。JoinTV Analyticsは、O2O2O(On-air to Online to Offline)プロジェクトでJoinTVに協力しているマイクロソフトのクラウドプラットフォーム 「Windows Azure」と「Microsoft SQL Server」を活用している。
番組を視聴中にスマホを振ると、プレゼント応募やゲームに参加できるセカンドスクリーンアプリ「フリフリTV」で、リアル店舗に誘導する取り組みも紹介。Bluetoothをオンにして「フリフリTV」アプリを立ち上げておくと、該当の店舗へ入った際にクーポンを表示する。番組関連グッズなどを販売する「日テレ屋」や、近隣の「エクセルシオール カフェ」など10店舗で実際にこのクーポンシステムを運用している
Twitterなどの情報を元に、テレビ番組の“盛り上がり”をグラフで表示して視聴の参考にできるソーシャルテレビアプリ「wiz tv」は、スマホアプリ版とWeb版を用意しており、このうちWeb版を強化。新たに「Share」ボタンを追加し、アプリ版と同等の機能になった。
ドラマ「戦力外捜査官」などを、放送後1週間までスマホ/PC向けに無料で見逃し配信する「日テレいつでもどこでもキャンペーン」の取り組みも紹介。ドラマだけでなくバラエティの「有吉反省会」や「MOCO'S キッチン」なども配信中。開始から約1カ月の間に再生回数は計1,275万回を突破。放送後にSNSなどで話題になって番組公式サイトにアクセスし、そこから見逃し配信を利用するケースも多かったことから、見逃し配信を通じて再びテレビ視聴に結び付ける狙いがある。画質は最高HDで、通信回線に合わせて自動で変更する。現在は“キャンペーン”という位置付けだが、こうした見逃し配信に向き/不向きな番組などを模索しつつ、今後のサービスに活かしていくという。
HMDの自由視点映像や、360度全天周ドーム向け4K映像など
日本テレビ以外の放送局らが参加する招待展示も実施。中京テレビがシャープや慶應義塾大学、名古屋大学、福井大学と研究開発している「ユーザ指定自由視点映像・放送通信連携システム」は、テレビ番組と連携し、自由に視点を変えて楽しむことのできるというもの。
今回のデモでは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使って、3DCGで作ったサッカーのフィールド内を、好きな視点から眺めるという体験が可能。HMDを装着した人が後ろを向くと後ろが見え、手元のコントローラでズームなどが行なえる。将来の構想として、テレビ局が撮影した映像だけでなく、参加者が撮影したデータを、GPS情報を元にした位置で貼り合わせて1つの大きな画像にするといったことも検討しているという。独立行政法人 情報通信研究機構からの委託研究で、2年をめどに実証実験などを行なう計画。
日テレ アックスオンは、「4Kドームシアター用全天周映像」を紹介。日本初という360度全天周ドーム向けの4K実写動画を制作。キヤノンのEOS-1D Cと5Dに魚眼レンズを装着して撮影されたもので、三重県のプラネタリウム「岡三証券グループビル デジタルドームシアター 神楽洞夢」において4Kプロジェクタ5台を使って上映する予定。デジテク会場では、2Kにダウンコンバートしたダイジェスト映像を4Kプロジェクタ1台(魚眼レンズ装着)でデモ上映していた。