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パイオニアなど、BDドライブで読み込める最大512GBの光ディスクを開発

 パイオニアとメモリーテックは、光ディスクの片面に256GBの容量を有する「データアーカイブ用大容量光ディスク」を共同で開発した。両面化技術を用いることで、最大512GBまで大容量化できる。特徴は現行のBlu-ray Discとの互換性の高さで、一部ピックアップやファームウェア変更が必要になるが、新ディスクの256GB容量をBDドライブでも読み込み可能となる見込み。

 記録層とガイド層を別にした「ガイド層分離型多層ディスク構造」の採用により、ディスクの片面に8層の積層を可能とした。1層あたりの容量が32GBのため、256GBの容量を確保。さらに、両面化技術により1枚のディスクで512GBまで対応できる。両社のほか、三菱化学メディアも技術協力しており、市場導入に向けた協議を行なっているという。

ガイド層分離型ディスク構造(右)の概要

 従来型光ディスクの記録層内にある案内溝(トラック)を廃し、別途案内溝専用のガイド層を設ける「ガイド層分離型多層ディスク構造」を採用することで、ディスクの構造を簡素化。これにより、記録層の積層が容易になり、ディスク製造コストの低減と製造歩留まりの向上を実現する。

 同ディスクに対応した記録装置で記録した光ディスクは、BDドライブで再生できる(一部ピックアップやファームウェア変更が必要)など、既存フォーマットとの親和性も優れているという。BDドライブでの再生のほか、記録装置もBDドライブと同じ光学的仕様(記録レーザー波長、対物レンズ)やエラー訂正方式、符号化方式を採用しているため、現行のBDへの記録/再生も行なえる。

 実用化の時期については未定で、これからディスクメーカーなどと協議していくが、既存の技術をベースにするため、技術的な難易度はそれほど高くないとする。また、パイオニアとメモリーテックでは、1層36GB/片面10層、両面で720GBのサンプルディスクの制作に成功しているほか、新たな信号処理方式を用いることで、12層以上積層した1TB以上のディスクも実現可能としている。

 美術館や図書館の原資料や公文書などの電子化/長期保存などのデジタルアーカイブ用途を想定し、今後実用化に向けた検討を進める。

 なお、ソニーやパナソニックなども、デジタルデータを長期保存するアーカイブ事業向けの業務用光ディスクの共同開発を行なっているが、パイオニア/メモリーテックの新方式はBDとの互換性の高さが特徴という。また、開発段階ということもあり、現時点ではBlu-ray Disc Associationにおける標準化などは予定していない。

ロードマップ

(臼田勤哉)