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デノン、Dolby Atmos対応の7.2ch AVアンプ「AVR-X4100W」

SHARCプロセッサ×4で5.1.2chなどAtmos対応。15万円

 デノンは、Dolbyの新シネマサウラウンド技術「Dolby Atmos」に対応した7.2ch AVアンプAVアンプ「AVR-X4100W」を9月中旬より発売する。4K/60pや、無線LAN/Bluetoothにも対応し、価格は15万円。

デノン初のDolby Atmos対応AVアンプ「AVR-X4100W」

SHARC×4で「Dolby Atmos」対応。完全ディスクリート化

AVR-X4100W

 最大出力235W、定格出力125W×7ch(8Ω)のミドルクラス7.2ch AVアンプ。デノン独自の回路技術「D.D.S.C.(Dynamic Discrete Surround Circuit)-HD」により、サラウンド再生のために必要な信号処理回路を一つ一つのブロックに独立させ、32bit DSPなどを用いてディスクリート化。全チャンネル同一レスポンス、同一クオリティを念頭で構成し、新サラウンド技術「Dolby Atomos」と相まって、「これまでにない包囲感、移動感を体験することができる」という。

Dolby Atmosの対応モード

 最大の特徴はDolbyの新サラウンド技術「Dolby Atmos」に対応したこと。Atmosは、オーディオ信号にハイト(高さ)成分とメタデータ(位置・時間情報)を付加することで、リアルな音の移動を再現し、臨場感のある豊かなサラウンド空間を実現する最新の多次元サラウンドフォーマット。制作者が自在に配置し、縦横無尽に動かせる独立した音響要素「オブジェクト」を重ね合わせることで、リアルな音響体験を実現する。サラウンドスピーカーに加え、オーバーヘッドスピーカーを使用するため、頭上も含む全方位からの音を再現でき、映画に入り込んだような体験を可能にする。

 AVR-X4100Wは、5.1.2(5.1chにオーバーヘッドスピーカー/OHSP×2ch、もしくはドルビーイネーブルドスピーカー/DESP×2ch)、5.1.4(5.1chにOHSP or DESP×4ch)、7.1.2(7.1ch+OHSP or /DESPch)の3パターンに対応できる。ただし、5.1.4、7.1.2では外部パワーアンプが必要。

 DSPにはアナログデバイセズ製の32bit「SHARCプロセッサ」を4基搭載し、Dolby Atmosや9.2chのデコーディング、AL24プロセッシング、音場補正などの高負荷処理を高速/高精度に実行する。

「SHARCプロセッサ」を4基搭載

 独自の「AL24 Processing Plus」も採用。アルファプロセッサにより、16bitなどの元データをマルチチャンネル全て24bit精度に拡張、ハイビット化により元のアナログ波形に近付け、微小な音の再生能力を高める。

 DACには192kHz/24bit対応で、映像回路やネットワーク回路から独立して専用基板にマウント。相互干渉を排除している。また、オペアンプには、チップ内部の構成やワイヤリングを見直し、高品質なシリコンウェハを使うことで音質対策を施したオーディオ専用チップを採用している。

 パワーアンプの初段には、デユアル・トランジスタを採用。初段の差動増幅段に、特性のそろった2つのトランジスタを内包するもので、微小信号の表現力を高め、低域の安定感を向上させた。また、パワーアンプ出力段の保護回路も刷新。パワートランジスタの温度変化をリアルタイムにモニターする事で、電流リミッタ回路を排除。アンプの瞬時電流供給能力が大幅に強化され、微小信号から大きな信号まで音色を変えずに、余裕のあるサウンドを楽しめるとする。

 電源部のブロックコンデンサには、12,000uFのカスタムコンデンサを採用。大出力時でも安定した電力供給が可能。筐体では、ヒートシンクや電源トランスなどの重量物を脚部の直近に配し、剛性を高めた。脚部自体も新開発で、重量を従来の2倍以上とし、複雑なリブ構造を採用して振動を抑制している。

 同社BDプレーヤー「DBT-3313UD」と接続する場合は、独自の「Denon Link HD」が利用可能。AVアンプのDACを動作させるマスタークロックをプレーヤーへ供給。AVアンプとBDプレーヤー間で同一のクロックを共有し、ジッタを抑えた伝送を実現している。専用プレーヤー以外の接続でも、「ハイブリッドPLL クロックジッターリデューサー」により、ジッタを低減している。

Denon Link HDに対応
Denon Link HDの動作イメージ

 音場補正技術は「Audyssey MultEQ XT32」を搭載。付属マイクを使い、スピーカーの有無やサイズ、距離、音量などの基本的な調整値を自動的に設定する。最大8カ所の測定データを解析することで、Audyssey 2EQと比べ、512倍のフィルタ解像度で部屋の反響音などによる悪影響の要因を排除。「Sub EQ HT」も搭載し、2台のサブウーファを接続した際には個別に測定し、それぞれに最適な音量、距離の補正やイコライジングをかけられる。周囲の部屋への低音伝搬を抑制する「Audyssey LFC」にも対応する。

無線LAN内蔵で、ハイレゾネットワーク再生。4K/60pも

 Ethernetと無線LANを搭載し、2本のロッドアンテナによるダイバーシティアンテナが付属。無線LAN設定はWPS対応により、簡単にネットワーク接続が行なえる。

 DLNA 1.5準拠のネットワークオーディオプレーヤー機能も装備し、新たにDSD/AIFFファイルの再生にも対応した。AIFF、WAV、FLACは最大192kHz/24bit、Apple Losslessは最大96kHz/24bitまでの再生が可能。DSDは2.8MHzまで。FLAC、WAV、DSD、AIFF、Apple Losslessのギャップレス再生もサポートする。フロントのUSB端子から、USBメモリなどに保存したハイレゾファイルも再生可能。AirPlay、インターネットラジオの聴取にも対応する。

 Bluetooth 2.1+EDRに準拠し、プロファイルはA2DP 1.2、AVRCP 1.4に対応。対応コーディックはSBC、AAC。対応スマートフォンなどとワイヤレス連携できる。

 iOS/Android向けのリモコンアプリ「Denon Remote App」も用意。ホーム画面のショートカットキーに、使用頻度の高い入力や機能を最大8個まで登録できる。インターネットラジオにも対応する。

Denon Remote App

 HDMI端子は入力×8、出力×3を装備。4K(3,840×2,160)/60p 4:4:4 24bitのパススルーに対応。SD/HD映像を4K/60pにアップスケーリングして表示する事もできる。コンポジット、コンポーネント映像をHDMIに変換して出力するビデオコンバージョン機能も用意する。マルチゾーンにも対応。2つのディスプレイ出力があり、テレビとプロジェクタなど、接続した機器に別の映像が表示できる。6種類のピクチャーモードも用意している。

 HDMI以外の入力端子は、コンポジット×3、コンポーネント×2、アナログ音声×6(Phono含む)、光デジタル×2、同軸デジタル×2、Denon Link HD×1、Ethernet×1、USB×1など。出力は、コンポジット×2、コンポーネント×1、13.2chプリアウト×1、ゾーンプリアウト×2、ヘッドフォン×1。

背面

 AM/FMチューナも装備。不要な電力を節約できる「エコモード」も装備し、常に消費電力を低減する「オン」、音量に自動的に消費電力を低減する「オート」、「オフ」の3種類が選択できる。消費電力は670W。待機時消費電力0.1W(通常スタンバイ)、0.5W(CECスタンバイ)、2.7W(ネットワークスタンバイ)。外形寸法は434×379×167mm(幅×奥行き×高さ)、重量は12.6kg。

(山崎健太郎)