ミニレビュー

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化

 Amazonの「Fire TV」が一新し、25日から出荷開始した。Amazonプライム・ビデオを始め、NetflixやHulu、DAZNなどの映像配信サービスをテレビの大画面で視聴できるメディアプレーヤーで、価格は8,980円(税込)。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TV
Fire TV

 Fire TVシリーズには、エントリーモデルで4,980円(税込)の「Fire TV Stick」もあるが、Fire TVの特徴は4Kに対応すること。そして、新モデル(2017)は、HDR(ハイダイナミックレンジ)映像にも対応したことが大きな特徴だ。それでいて、従来モデル(2015)より大幅に小型化し、価格も低価格化。従来は11,980円だったので3,000円安くなった。

 4K/HDRという最新テレビや映像配信のトレンドに対応した新Fire TVを早速試してみよう。

小さくなったFire TV。無線LANのみに

 同梱品は、本体とリモコンやUSBケーブルなどシンプルなもの。外形寸法は65.0×65.0×15.0mm(幅×奥行き×高さ)、重量は87.1gで、2015モデルの115×115×17.8mm/270gより、大幅に小型/軽量化された。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TVのパッケージ
Fire TVのパッケージ
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 同梱品
同梱品

 2015モデルは、TVラックなどに横置きする標準的なメディアプレーヤーといったデザインだったが、2017モデルのFire TVは、Fire Stick TVのようにテレビのHDMI端子に直挿しするような設置イメージだ。ACアダプタ接続が必要なので、ケーブル処理が楽になるわけではないが、テレビにぶら下げる形になるため、ラック上に置かなくなるので少しは省スペース化できるとはいえる。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 装着例
装着例
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TV(2015)とFire TV(2017)の比較
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TV(2015)とFire TV(2017)の比較
Fire TV(2015)とFire TV(2017)の比較

 Amazonでは、「旅先でも使える」と新Fire TVの小型さをアピールしており、確かに持ち運びしやすいサイズになった。ただ、LAN端子が省略され、無線LANのみになっているので、ホテルなどで使うのはなかなか難しいのでは? とは思う。

 リモコンはBluetooth対応。「Fire TV」アプリや、プライム・ビデオのアプリからの操作にも対応する。

 1.5GHzのAmlogicクアッドコア・プロセッサーと、IEEE 802.11ac対応デュアルバンド無線LANにより、パフォーマンスを向上。「Fire TV Stickよりも性能が40%強化され、60fpsやHDR映像、Dolby Atmosの音響に対応した」という。2GBの内蔵メモリと8GBの内部ストレージを搭載。Bluetooth 4.1とBLE(Bluetooth Low Energy)に対応する。

Fire TV Stick
(参考)
Fire TV
価格(税込)4,980円8,980円
解像度最大60fps・1080p最大 60fps・4K Ultra HD
HDR10対応-
プロセッサクアッドコア 1.3 GHzクアッドコア 1.5 GHz
メモリ1GB2GB
ストレージ8GB8GB
音声認識リモコンありあり
音声認識付き
リモコンアプリ
ありあり
オーディオDolby AudioDolby Atmos

 ハードウェア面での最大の進化点は、HDMIが最高4K/60pのHDR映像出力に対応したこと。HDR方式はHDR10に対応し、Amazonプライム・ビデオやNetflixなどで提供される、HDR映像をより高画質に楽しめるという。

 電源とテレビのHDMI端子に繋げば、あとは画面にそって設定していくだけ。設定も無線LANとAmazonアカウントの登録ぐらいだ。また、今回はAmazonからの貸出機材だが、実際に購入する場合はすでにAmazonアカウント登録済みのはずなので、ユーザーが設定を行なうのは無線LANぐらいだ。ただ、従来のFire TVはLAN端子(有線)を備えていたが、新Fire TVでは省略されたため、無線LAN設定が必須となっている。

 新Fire TVでは、設定時に「映画・ドラマ・アニメ」、「ニュース・動画」、「スポーツ関連」といったジャンルごとに使用するアプリを選び、先にダウンロードしておく仕様になった。自分が普段使うサービスが決まっている人にとってはわかりやすい。

 初期設定が終わり、メインメニューを立ち上げると、あまり従来のFire TVと代わり映えしないように見える。ただし、一番上の動画バナーの動きや、表示列数などには違いがあるようだ。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 設定画面。「映画・ドラマ・アニメ」
設定画面。「映画・ドラマ・アニメ」
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 ニュース・動画
ニュース・動画
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 スポーツ関連
スポーツ関連
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 初期設定後にアプリをダウンロード
初期設定後にアプリをダウンロード
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 新Fire TVのトップページ
新Fire TVのトップページ
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 上部の大型バナーは選択すると動画再生する
上部の大型バナーは選択すると動画再生する

「簡単にHDR体験できて素晴らしい」と思ったが、ちょっとわかりにくい挙動

 HDR再生のためには、テレビ側の設定も必要。今回のテストではテレビに2014年発売の東芝「REGZA 50Z10X」を利用した。Z10Xでは、HDMI 3の[HDRモード設定]で[HDRモード]を選択しておく必要がある。このあたりは、まず、お手持ちのテレビのマニュアルなどで、HDR入力設定を確認して欲しい。

 少々不安なのは、このZ10XのHDMI入力端子が10.2Gbpsまでの対応となること。2015年後半~'16年以降発売の4K/HDRテレビは、ほとんど18Gbps対応のHDMI端子を備えているはずだが、10.2Gbpsだと、4K/24p、30p信号であればHDR伝送が可能だが、4K/60p接続時にHDR接続ができないという問題がある。できれば、18Gbps HDMI対応の4Kテレビで利用したい(詳しくは後述する)。

 Fire TV(2017)では、設定の[ディスプレイとサウンド]の[ビデオ解像度]を選ぶと、4K UHDが選べるようになっている。加えて、[色深度]が8bit/10bit/12bit、カラーフォーマットもRGBとYcbCrが選択できる。従来のFire TVはRGB出力固定だったが、YcbCr(YUV)も選べるようになった。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 ビデオ解像度は4K UHD対応
ビデオ解像度は4K UHD対応
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 2160/60Hzまで選択可能に
2160/60Hzまで選択可能に

 50Z10Xで、Amazonプライム・ビデオを見たところ、[Prime HDR TV番組]というコーナーが用意されており、「グランド・ツアー」(吹替版)や「高い城の男」(吹替版)、「トランスペアレント」シーズン3以降(吹替版)、「モーツアルト・イン・ザ・ジャングル」シーズン3以降(吹替版)などが、HDR対応コンテンツとして紹介されている。

 Netflixも4K UHD番組を見ていると、番組選択画面でも[HDR]と表示されている。再生してみると、Amazonプライムビデオでも、Netflixでも、REGZA側の画面表示に[HDR]と出ており、きちんとHDR再生されているように見える。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Amazonプライムビデオの[prime HDR TV番組]
Amazonプライムビデオの[prime HDR TV番組]
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Netflixの番組も[HDR]表示
Netflixの番組も[HDR]表示

 実際の映像を見てもても、Fire TV(2017)のHDR出力と、Fire TV(2015)のSDR出力の違いがわかる。Netflixの「スタートレック・ディスカバリー」を見てみると、黒の階調が全く違い、色の濃さ、明部のディテールなども明らかにHDRのほうが情報量豊か。HDR感がきっちり出ていることがわかる。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 再生画面に[HDR]の文字
再生画面に[HDR]の文字

 Netflixからも、HDRとSDRで違う信号がでており、「やっぱり、HDRはいいなぁ」としばらく感心していたが、Z10Xの入力信号の詳細情報を見ると、24bit(各色8bit)と表示されており、映像信号は4K/60Hzとなっている。これはおかしい!?

 Fire TVが採用しているHDR方式「HDR10」の場合、30bit(各色10bit)が必要なはずなので、8bitという表示はおかしい。60Hzという表示についても、10.2GbpsのHDMIの場合は、4k/24Hzもしくは30HzまでのHDR信号までしか伝送できず、4K/60HzになるとHDRが伝送できないはずだが……。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 4K/60Hzで、24bitという信号表示だけ見るとHDR信号には見えない……
4K/60Hzで、24bitという信号表示だけ見るとHDR信号には見えない……

 Z10Xで試した限り、映像はHDRに見えており、筆者の経験的には「HDR映像は素晴らしい」という感想なのだが、テレビ側の表示上は本当にHDRか疑わしい部分がある。Z10Xは、発売後にHDR対応した製品ということもあり、Z10X側の問題かもしれないが、この点は、別のテレビを用いて後日検証とさせて欲しい。なお、Fire TV側の色深度設定を[8bit]にしても、映像再生時は[HDR]と表示されおり、ちょっとよくわからない。

 Ultra HD Blu-rayプレーヤーの場合は、4K/24Hz、30HzのUHD BDをYUVで出力してくれるので、こうした問題はの問題はあまり無かった。Fire TVをはじめ、Chromecast UltraやXbox Oneなどは、基本RGBかつ4K/60Hz信号出力するため、HDMIの10.2GbpsでHDRが伝送できないという問題が発生しやすい。'16年以降のHDR対応テレビでは、18Gbps対応端子を備えているので、さほど障害はないかもしれないが、HDRにまつわるHDMI仕様の問題は結構根深いように思う。

音声検索も強化。Alexaに向けた布石?

 HDR対応のほか、パフォーマンスの向上も新Fire TV(2017)の特徴。ただ2015との比較では、それほど大きな違いは感じなかった。

 もちろん、ユーザーインターフェースデザインも若干変わっており、Fire OSのバージョンは、Fire TV(2017)が6.0.1、同8(2015)が5.2.6.0。最上段のバナー動画の見せ方やなめらかな動きなどが違うものの、従来モデルでも結構パフォーマンスが高いためか、体感レベルでは少し描画が滑らかかな、という程度の違いだ。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TV(2017)のOSバージョン
Fire TV(2017)のOSバージョン
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire TV(2015)のOSバージョン
Fire TV(2015)のOSバージョン

 そういう意味では、HDRや小型化などに興味がなければ、従来モデルのユーザーは無理に買い換える必要はないと思う。

 少し違いを感じたのが音声検索。従来モデルでは、例えば[ボールルームへようこそ]と音声入力した後、その結果[ボールルームへようこそ]という文字列を画面に表示して確認。そこで、リモコンで[決定]して、候補となる番組の検索結果が表示された。新Fire TVでは、音声入力した後は[ボールルームへようこそ]の検索結果がすぐに出るようになった。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 従来(Fire TV 2015)は音声検索の前に入力結果の確認画面が表示されていた
従来(Fire TV 2015)は音声検索の前に入力結果の確認画面が表示されていた
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 新Fire TV(2017)は音声検索結果とともにコンテンツを表示する形に
新Fire TV(2017)は音声検索結果とともにコンテンツを表示する形に

 一見小さな違いだが、音声検索の使いやすさという点では、かなり向上したと感じた。これは音声検索の精度が上がったため、確認画面が要らなくなった、ということなのかもしれない。

 筆者が使った限りでは、音声入力における誤認識はほとんどない。音声の検索範囲は、Amazonビデオ(プライムビデオ、Amazonビデオ)のほか、Musicなどの各Amazonサービスおよび、Netflixが対象となっているようだ。

「ボールルームへようこそ」、「戦闘車」、「君の名は」、「ナルコス」、「フラーハウス」、「ララランド」などの音声入力では、誤変換なしで認識。筆者が間違えて、「この世界の片隅で」と音声入力したら、入力結果はそのままで、候補番組としてはタイトルそのままの「この世界の片隅に」が表示されている。

 そのまま番組を選べば再生開始だ。ただし、「ララランド」や「君の名は。」のような最新作はAmazonビデオのレンタル作品で有料。つい勢いで課金してしまいそうになるので、この点は注意したい。実にポチりやすいインターフェイスだ。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 検索結果を選択すると
検索結果を選択すると
8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 すぐに再生したくなるが、レンタルや購入だったりする場合もあるので注意
すぐに再生したくなるが、レンタルや購入だったりする場合もあるので注意

 AbemaTVやHuluなどは検索できないが、YouTubeについては、音声入力キーワードを確認後、検索するというワンクッションを挟むものの、音声検索が可能だ。

 ちなみに「プライムビデオとNetflixの音声検索に誤認識はほとんどない」と書いたが、そもそも「筆者が正しいタイトルを覚えていない」ため、思ったような結果が出ないことはあった。画面を見ながら検索しているとあまり気づかないのだが、見たいと思っていた作品でも、ジャケット写真や出演者、タイトルの一部しか覚えていないということが結構多い、ということを、音声検索を使うと実感する。

 スマートフォンやFireタブレットとの連携にも対応。Fireタブレットで番組を選んで、再生指示やスキップなどの操作が行なえるほか、番組を再生しながら次に見る番組などを検索できる。

8,980円でHDR/4K対応。小さくなった新「Fire TV」でテレビを進化 Fire HD 10から操作も
Fire HD 10から操作も

DAZNやHuluも対応し、テレビを“進化”。Alexa以降の進化にも期待

 従来のFire TVと同様に、AbemaTVやdTV、Hulu、DAZN、U-NEXT、スポナビライブなど、多数の映像配信サービスに対応するので、テレビだけでなく、PCディスプレイと組み合わせて使うのも良さそうだ。AmazonプライムミュージックやSpotifyなど音楽配信サービスも利用できる。

 例えば、最新の4Kテレビでも、REGZAやAQUOSは、Amazonプライムビデオに対応してない。ユーザー数の多いプライムビデオだけに、Fire TVを追加するだけで、最新の映像配信環境に対応できるというのは魅力的だ。

 テレビにおいては数年前から、映像配信対応は充実してきているが、テレビのCPUやメモリなど限られたリソースでの対応のため、操作レスポンスが心許ない製品や4K/HDRに非対応という製品も多い。Fire TVを追加するだけで、主要サービスを網羅した最新の映像配信環境を構築でき、そのレスポンスも優秀なので、テレビのアップグレードとして、8,980円はかなりリーズナブルといえる。

 こうしたHDMIメディアプレーヤーとしては、やや高価なApple TV 4K(19,800円~)より1万円以上安価なため、直接的にはChromecast Ultra(9,720円/税込)が対抗といえるだろう。個人的には「スマホ」からキャストするだけでなく、「リモコン」で使えるのはFire TVの大きなアドバンテージだと感じる。そういう意味では、ピクセラの「Smart Box」(約14,800円)など、4K/HDR対応の低価格なAndroid TV端末も競合といえそうだ。その点でも、Fire TVの価格競争力は高いと思う。

 なお、日本でも間もなくAmazonの音声アシスタント「Alexa」(アレクサ)を搭載したスマートスピーカー「Echo」が発売される。これにより、Alexaに再生して欲しい作品を伝えるだけで、プライムビデオなどの番組再生が可能になる見込みだ。そのときには、Fire TVの魅力は向上することになるだろう。

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臼田勤哉