ミニレビュー

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」

 初代PlayStation VR(PS VR:CUH-ZVR1)の発売から約1年がたった。筆者は発売とほぼ同時に手に入れ、シネマティックモードによるBlu-ray鑑賞を主な用途として使っている。おおむね満足してはいるが、小さな不満を感じることもある。そのひとつが、VRヘッドセットを被ってからさらにヘッドフォンを被る手間がかかり、ズレた時に直すのが面倒という問題。これを解決してくれるのが、今回紹介する「MANTIS」だ。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 MANTIS
MANTIS

 MANTISは、PS VRヘッドバンドの左右に有線ヘッドフォンを取り付けて一体化できる製品。PS VRを頭に被るだけで済むようになり、VRゲームで体を動かしたり、横になってもズレることがない。価格は10,800円(税込)。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 MANTIS(中央)を取り付けた初代PS VR
MANTIS(中央)を取り付けた初代PS VR

 10月14日に発売されたばかりの新型PS VR(CUH-ZVR2)では、ステレオヘッドフォン端子の場所が今までのケーブルの途中からヘッドバンド下部に変わり、そこに同梱イヤフォンを接続して一体化する形に改良されている。「こういう設計だったら良かったのに」が実現した形だが、MANTISを使えば初代PS VRでも同様のことができるわけだ。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 MANTISのパッケージ
MANTISのパッケージ

PS VRにしっかり一体化

 MANTISの着脱は簡単。左右ヘッドフォンのアーム部先端にある、上下に分かれたクリップ状のパーツを引っ張って伸ばしながら、ヘッドバンドに挟んで留めるだけだ。自分の耳の位置に合うよう、VRヘッドセットを頭に被った状態で固定すると良い。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 MANTISの左右ヘッドフォンを並べたところ
MANTISの左右ヘッドフォンを並べたところ

 左右の形状は似ているが、それぞれに「R」「L」のプリントがされていて分かりやすい。そもそもいったん取り付ければ外すこともない。ただし、クリップの挟む力が結構強く、クッション材も貼られていないので、使っているうちにヘッドバンドとこすれ合って傷が付きそうなのが少し気になった。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 PS VRのヘッドバンドに留めたところ。左側はケーブルに干渉しないように取り付けた。なお、アーム部とヘッドフォンユニットを繋ぐパーツは固定で動かない
PS VRのヘッドバンドに留めたところ。左側はケーブルに干渉しないように取り付けた。なお、アーム部とヘッドフォンユニットを繋ぐパーツは固定で動かない

 クリップとヘッドフォンのアーム部は、蝶番と回転軸、スライダーを組み合わせた関節部で繋がっている。イヤーパッドを耳に当てるときはアーム部を下ろし、外すときは外側に跳ね上げる。関節部を回したり上下にスライドさせて、左右のイヤーパッドが耳に密着するように調節できる。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 蝶番のような関節部。回転やスライドも可能
初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 蝶番のような関節部。回転やスライドも可能
蝶番のような関節部。回転やスライドも可能
初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 跳ね上げた状態で前から見たところ。MANTISは「カマキリ」を意味する英語だが、確かに振り上げた鎌状の前足のように見えなくもない
跳ね上げた状態で前から見たところ。MANTISは「カマキリ」を意味する英語だが、確かに振り上げた鎌状の前足のように見えなくもない

 左右に繋がっているケーブルはY型で長さは50cm、入力はステレオミニ。初代PS VRで使う場合はこれを前に垂らし、PS VRケーブルのリモコンに接続する。使い始めはケーブルが堅くて引っ張られ、「もう少し柔軟性があって長いといいな」と感じた。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 Y型の分岐部
Y型の分岐部
初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 入力はステレオミニ
入力はステレオミニ

 アーム部はPS VRにマッチするデザインで、取り付けるとまるで「PS VRは最初からこういう製品だった」と錯覚しそうなほど馴染んでいて面白い。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 筆者が装着したところ。PS VRに馴染むデザインが好印象
筆者が装着したところ。PS VRに馴染むデザインが好印象

 音を鳴らしてみると中音域に張りのある音が楽しめ、試しに映画「オデッセイ」のBlu-rayを見てみると、火星のゴーッという砂嵐の迫力ある低音や、宇宙船内の細かい音などもしっかり聞き取れた。オンイヤーっぽい形状で、筆者の耳にしっかり合わせるのにはややコツがいり、ぴったりハマったときは低域はしっかり聞こえるのだが、うまくハマらないと音が逃げてスカスカに聞こえてしまう。フィットさせるには工夫がいるようだ。

 基本的に音に不満はないが、同じ1万円で買えるヘッドフォンと比べると分が悪い。遮音性も低いので、VRの没入感に浸りたい人はちょっと物足りないと感じるかもしれない。なお、製品に付いていたタグを見ると、再生周波数帯域は20Hz〜20kHz、出力は10mW×2ch、音圧レベルは118±3dBと書かれていた。

初代PS VRにピッタリ、動いてもズレない一体型ヘッドフォン「MANTIS」 イヤーパッドはさらさらした手触り
イヤーパッドはさらさらした手触り

 MANTISが真価を発揮するのは、体を動かすVRゲームのプレイ時や、横になってVR映像を見たいシチュエーション。特に横になっているときは、ヘッドフォンが自重で下がってきたり手で直したり面倒だが、MANTISはPS VRと一体化するので姿勢に関係なく基本的にズレない。なお余談だが、横になるときはPS VRのヘッドバンドが床と後頭部に当たって痛いので、このために買った真ん中が窪んだ枕を使っている。

 PS VR付属の「カナル型イヤフォンを使えばいいのでは?」と考える向きもあるだろうが、イヤフォンなら耳穴に入れるだけなので確かにヘッドフォンを被ったり外す手間が省けて、遮音性も高まるので没入感はアップする。だがその分、外の音に全く気づけないので多少怖い。

 筆者は近頃、フォステクスのセミオープン型ヘッドフォン「T50RPmk3g」をPS VRと組み合わせていたのだが、側圧がさほど強くないのでVR体験中にやはりズレてしまい、ケーブルも邪魔でイライラすることが少なくなかった。同じような思いをしたユーザーなら、MANTISを使うと便利だと感じるだろう。遮音性の低さも見方を変えれば、例えば「サマーレッスン」のプレイ中に家族や友人が側に来ても気づかずに気まずい思いをする危機を回避するのに役立ちそうだ。

PS VRの使いやすさを優先するなら、手に入れたい

 新型PS VRではヘッドフォン/イヤフォンまわりの配線が改良され、HDRパススルーにも対応するなどの改良が加えられた点は魅力的だ。しかし、筆者は今のところ4K/HDR対応機器を使っていないので、すぐに買い換える予定は無い。今後、さらに改良されたバージョンが出たら買い換えを考えるが、それまでは初代PS VRを使い続けることになる。

 そうして使い続けるには、VR体験の際に手間がかからないことが大事だと、MANTISを使っていて改めて気づかされた。VRヘッドセットを装着してからヘッドフォンを被るという2ステップを1ステップに縮められ、外す際もVRヘッドセットをスポッと外すだけで済み、片付けも楽。純正のような一体感あるデザインも魅力で、個人的な満足感は結構高い。PS VRの使いやすさを優先するなら、その要求に十分応えてくれる製品だ。

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MANTIS

庄司亮一