ミニレビュー
オーディオ聴く前に肩こり解消、パナソニック「コリコランワイド」ありがとう
2024年11月30日 11:20
肩こりませんか?
四六時中パソコンに向かっている職業柄、“肩こり”とは腐れ縁。なんとか改善しようと、肩をグリグリ押す器具を買ってみたり、高価なマッサージチェアに挑戦した過去もあるが、あまり改善せず。行きつけの床屋のサービスで肩を叩いてもらうたびに「肩こりヤバいですね」と言われる日々だ。
最近は、整体のお店が街に増え、通っている人も多いと聞く。だが、なんとなく整体の門をくぐらないまま現在に至る。プロに施術してもらえばコリもほぐれると思うのだが、整体に通うことが習慣になるのも、なんだか面倒な気がしているのだ。
「家でもっと気軽に肩こりを緩和できないものか」と思っていたところ、僚誌家電Watchで、スタパ齋藤さんがパナソニックの「コリコランワイド EW-RA550」を使っている記事を発見。「これ良さそうだな」と興味が湧いたのだが、直販38,610円となかなか良いお値段なので、尻込みしていた。
そんなある日、AV製品の取材でパナソニックにお邪魔し、雑談している中で「そういえばコリコランワイドが気になっている」と口にしたところ、「貸出機あるので使ってみますか?」と、ありがたい提案が。
結論から先に言うと、返却時に「これの、体中に巻けるバージョン作って!」とパナソニックの人に懇願するほど効果があった。「AV WatchなのにAV機器と関係ないな」と思いつつ、使用感をレポートしたい。
肩が自分で暖かくなる
効果があったと書いた直後で申し訳ないが、実機を箱から出した第一印象は「大丈夫なのか?これ」だった。
コリコランワイドの本体は非常に薄く、ペラペラしたもので、カニ?のような不思議な形状。ちょっと頼りない印象だが、これを肩に乗せて使うようだ。
そのままだと肩からポロリと落ちてしまうので、布で出来た肩アタッチメントの中に本体を入れて、肩にかける。肩アタッチメントは先端が左右に別れ、ウエイトも入っており、その重さで固定させる。先端にはマグネットも埋め込まれているので、先端同士をくっつければ、さらに落下を防止できる。
本体の中央にUSB-C端子があり、内蔵バッテリーを充電できる。2時間充電で、約12時間使用できるので、充電頻度は少なくて済む。
肩に乗せた時に、コリに効く場所に、高周波デバイスが12個搭載されている。本体に薄い色で円が描かれているが、この部分に高周波デバイスが入っているのだろう。
なにはともあれ、電源をONにして肩アタッチメントに入れ、「服の上からでOK」と書いてあったので、シャツの上から肩に乗せてみた。
しかし、何の反応も無い。肩が勝手にピクピク動いたり、なんか振動が伝わったり、そういった様子が一切ない。「電源入っているよね?」と思わず確認してしまった。そんな心配を見越してか、高周波が出ているか判別できるチェッカーまで付属している。心配しなくても、高周波は出ているようだ。
とりあえずしばらく装着していると効果があるらしいので、肩に乗せたまま仕事をしてみた。
すると、10分か15分後くらいだろうか、「コリコランを肩に乗せている事」をちょっと忘れはじめたタイミングで、肩がほんのり温かいことに気がついた。湯船に浸かっている……ほどに熱くはないのだが、明らかにポカポカする。使い捨てカイロの使いはじめみたいな印象だ。
「コリコランが発熱しているのか?」と、一度肩から外して本体に触れてみたが、まったく熱は出していない。どうやら血流が良くなったことで、肩自体が暖かくなっているようだ。外部から熱を与えられたのではなく、自分の身体から熱が出ているわけだ。なんとも不思議な感覚だ。
3時間ほど乗せていただけで、効果がある
あらためて原理を調べてみると、貼り付けて“ピクピク動くアレ”は低周波治療器、コリコランは高周波治療器で、根本的に違う製品だという。
低周波治療器はその名の通り、周波数が3~1200Hz付近と低く、皮膚の下にある筋肉の表面を動かす事で、コリをほぐすそうだ。
一方のコリコランは、9MHz付近と周波数が高く、低周波では届きにくい体の深部まで浸透。筋肉の奥にある血管を拡張し、血行を促進する。低周波治療器は筋肉に、コリコランは血管に、周波数の違いによって、作用する対象が違うわけだ。
そもそも、長時間同じ姿勢を続けることで筋肉が硬直して、血管が圧迫され血行が悪化。そこに疲労物質が蓄積して、コリを引き起こすという。それならば、血流が滞っている部分に高周波パルスを送り、血管を広げて血行を良くして、疲労物質を長そうというわけだ。
また、筋肉に作用するわけではないため、貼り付けたところがピクピクしないので、装着している事を忘れるくらい長時間の治療ができるというのもポイントだ。
実際に、肩が暖かくなったなぁと思ってから、3時間ほどキーボードを叩き続けたが、その最中は完全に装着している事を忘れていた。
そしてちょっと休憩と、コリコランを外して腕をまわしてみると、いつもは上がりにくかった腕が、スッと上がるではないか。思わず「おおっ」と声が出る。心なしか、肩自体も軽くなった。グリグリ押されたわけでもないのに、ちょっと魔法みたいだ。
他の作業を一切邪魔しない“ながら治療器”
それから1週間ほど使い続けてみた。
ルーティンとしては、寝ている間にフル充電。起床して着替えて、リモートワーク開始時にコリコランワイドを装着。そのまま仕事や食事をして、風呂に入る時に外し、夜に充電開始……という使い方をしてみた。
前述の通り、コリコランワイドは薄いので、例えばシャツの上に装着しても、上着を着ればまったく見えず、そのまま外出できてしまう。湿布などと同じ感覚だ。電子機器でこれだけ存在を感じさせずに使える製品は珍しいだろう。
「肩が軽い」という実感は、1日目、2日目、3日目あたりまではどんどん効果がアップし、「肩がまわる」から「楽にまわる」、「ぬるぬる回る」という印象。そこから先は「カチコチに戻りたくないので使い続けよう」という心境になった。
使っていて感じる最大の魅力は、やはり“長時間装着しっぱなし”にできる事だろう。
血行を良くするのであれば、例えばお風呂に入って体を温めても、同じような効果があるのかもしれないが、さすがに3時間も4時間も入り続けられないし、湯船に浸かったまま仕事はできない。マッサージチェアも、何時間も座ってグリグリ揉んでいるわけにはいかない。
しかし、コリコランワイドの場合は、血行を良くしながら、その存在を忘れて日常生活が送れる。“ながら聴きイヤフォン”ならぬ“ながら治療器”だ。手を塞ぐ事もなく、ケーブルに行動範囲を縛られる事もなく、痛みを感じる事もない。他の作業を一切邪魔しないところが、最大の魅力と言えるだろう。
仕事が終わると、オーディオ機器で音楽を楽しむのだが、肩が痛いと、自分の手で揉んだり、首をまわしたりと、音楽に集中できない。だが、仕事中にコリコランで血行を良くしていると、肩こりが緩和された状態で音楽に向き合える。これは大いに幸せなことだ。
ただ、効果があることで、「ここにも使いたい」という欲求が頭をもたげてくる。特に筆者の場合、肩だけでなく、首も凝るし、取材などで重いAV機器を運んだりした時は、腰もケアしたい。
別売で腰に装着するアタッチメントもあるので、それを追加したり、なんなら2台買って肩と腰を同時に治療したい。首にも巻いてみたいし、登山やジョギング、サイクリングなどが趣味な人は「足に巻いて疲れをとりたい」というニーズもあるのではないか。体中に装着したくなる魔性のアイテムだ。