小寺信良の週刊 Electric Zooma!

第1220回

Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語

4Kプロジェクタがこの薄さに!? XGIMI「Elfin Flip 4K」

現在クラウドファンディング中の 「Elfin Flip 4K」

薄型モデルの進化系が登場

ホームプロジェクタも、基本的なスペックのものは一通り出揃い、昨年あたりからはポータブル型というか、設置場所を固定しないタイプの製品が目立つようになってきた。オートフォーカスや自動台形補正機能が発達し、置き場所が毎回変わっても調整に時間がかからなくなったことも関係しているのかもしれない。

プロジェクタ大手のXGIMIでは、傘下のAladdin Xから昨年「Aladdin Poca」シリーズを投入し、単に動画を見るためのものではなく、光源として楽しめるという方向性を示した。

XGIMI自体は以前から薄型の「Elfin Flip」シリーズを展開しているが、小型・薄型ゆえにHD解像度で止まっていた。だが今年はこのサイズで4Kが出せるプロジェクタ、「Elfin Flip 4K」をクラウドファンディングで展開中だ。一般販売価格206,800円のところ、42% OFFの119,900円となっている。

日本市場ではハイエンドモデルの人気が高いところだが、「Elfin Flip」シリーズはワールドワイドではXGIMIブランド内で販売台数No.1(2015~24年累計)を誇る人気シリーズである。

4K対応モデルの投入で、いよいよ日本でも「Elfin Flip」シリーズの本格展開が始まるということだろう。その実力を早速試してみよう。

「Elfin Flip 4K」クラウドファンディングページ

収納しても展開しても美しいボディ

「Elfin Flip」シリーズは、使わない時はリング状のスタンド部と一体化してコンパクトに収納し、使用時には本体部を回転させて展開する構造が特徴だ。

「Elfin Flip 4K」も同様で、収納時は縦横245mm、厚み78mmの板状で、使用時は本体部分だけをクルッと回転させるようになっている。これにより、正面はもちろん、天井への投影も三脚などは不要で、本体だけで可能になっている。

折りたたむとこの状態に
横から見たところ

重量は約1.55kgで、非常に軽量だ。従来の据え置き型4Kプロジェクタ、例えば同社HORIZON Proと比較すると、約半分である。

底部には三脚穴もある

展開した状態だと倒れやすい印象だが、前後の重量バランスが取れており、どちらかに倒れやすいということもない。パーツ配置も、4Kの小型化だけでも大変だが、さらに重量計算しながら実装されているのだろう。

プロジェクタとしての性能をチェックしてみよう。標準解像度は3,840×2,160ドットの4Kで、表示デバイスは0.39インチのDLP。光源は3色レーザーで、日亜化学工業製「QuaLas RGB」シリーズの最新モデルを採用している。色域はBT.2020の110%、Rec.709の203%、DCI-P3の99%をカバーする。対応フォーマットはHDR10およびHLG。輝度は1600 ISOルーメン、コントラスト比は20,000:1となっている。

補正機能としては、自動台形補正、スクリーンへの自動アジャスト、障害物自動回避、壁色自動調整、アイ・プロテクションを搭載する。

投影サイズは40インチから200インチ。光学ズームレンズを搭載しており、投写比0.98~1.3:1の無劣化ズームが可能。約2.17mの距離があれば100インチで投影できる。

光学ズームレンズを搭載

スピーカーは7WのHarman Kardon製で、プロジェクタ前面右寄りに付けられている。Dolby Digital対応ではあるが、モノラルスピーカーだ。

Harman Kardon製のスピーカーを搭載

背面には、同軸の電源端子、USB-A端子が2つ、HDMI端子が2つ、3.5mmの音声端子が1つとなっている。HDMIの片方はeARC対応だ。

背面端子類も豊富

リモコンも見ておこう。OSはGoogle TVだが、ボリュームボタンが斜めに配置されるなど、Aladdin Xのリモコンと似ている。ショートカットボタンはNetflix、YouTubeの2つで、Live TVと星マークボタンには任意のアプリを割り当てられる。よってショートカットボタンは4つということになる。

Aladdin Xに寄せたデザインのリモコン

入力切り替えやミュートボタンがあるのも珍しい。特にミュートボタンは、突然広告が入って音が大きくなった時に有効だろう。

また補正ボタン、星マーク、戻る、設定、ホームボタンは、リモコンを持ち上げただけでバックライトが点くようになっている。ボリュームや十字キーは手探りでもわかるが、よく使うキーが暗いところで光るのは便利だ。

ACアダプタは、コンセント側にトランスが付いた120Wのものが付属する。持ち歩き時にはごちゃつかない一方で、コンセントにはさしづらい。

ACアダプタは120Wと大型

このサイズでまずまず明るい

では早速投影してみる。今回はスクリーンまでの距離は約1.8mで、そのままだと投影サイズは約90インチとなる。実際90インチのテレビを設置するとなると、コストもかかるし、一旦設置すると動かせない。だが白い壁が空いている空間があれば、いつでも巨大画面が投影できるのがメリットだ。

場所を移動させると即自動台形補正が働く

まずは夕方日暮れ前、カーテンを閉めて遮光した状態で投影してみる。部屋は若干暗くなったものの、まだ手元の紙の資料などは問題なく読める程度の明るさである。

TVerでバラエティ番組を投影してみたが、視聴にはまったく問題ない。暗めのCM画面では黒浮きが目立つが、スタジオ収録のバラエティ番組本編は照明がかなり明るいので、黒が締まらなくてもそれほど不都合はない。

日没前だが、カーテンを閉めただけで十分視聴できる

光学ズームはスクリーンサイズに合わせて自動で調整されるのか、筆者の設置環境ではいつも最大の1.3倍に設定された。これを1倍にすると、投影範囲は小さくなるが、その分輝度が上がる。明るい場所ではズームバックして輝度を稼ぐというのも一案だ。なお1倍以下、もしくは1.3倍以上はデジタルズームになる。

音声に関しては、バラエティのようなトーク中心のコンテンツでは非常に明瞭感があり、聞きやすい。ちょっと低域が痩せたテレビスピーカーという感じである。

壁から1.5m程度の距離まで近づけると、投影サイズは60インチぐらいになるが、相当明るい。液晶テレビ並みの輝度が出せるので、PCを繋いでセカンドスクリーンとしての利用もできる。

昼間、部屋の明かりも付いているが、手前のPCモニタと遜色ない輝度で表示できる

今回は凸凹のある壁紙に向かって直接投影しているので解像感が出ないが、スクリーンを用意するまでもなくケント紙などを貼るだけで、十分対応できるはずだ。PCのセカンドディスプレイという利用法は、場所を取らずHDMI入力がある4Kディスプレイというメリットを、最大限活かせる使い方だろう。

作品鑑賞にも最適

日も落ちたので、 Prime Videoで公開中の短編オムニバス映画『GEMNIBUS vol.1』の『ゴジラVSメガロ』を鑑賞した。CGや合成で知られる「白組」の上西琢也監督による短編作品だ。

全体的に暗いトーンの中、メガロの目の色や、口から出す真っ赤なミサイル的なものの発色が際立つ。またゴジラの青白い発光の表現も純度が高く、CG作品とは思えないリアリティがある。

一方で音響の方は、低音不足なところやモノラルスピーカーであることなどが足を引っ張り、両怪獣が倒れるシーンなどは迫力不足を感じた。こうしたアクションものは、内蔵スピーカーではなくヘッドフォンやサウンドバーで聞きたいところだ。

手元にCreativeの「Sound Blaster GS3」があったので、USBケーブルを使ってプロジェクタと接続してみた。最初はUSB端子から電源だけ取ってアナログで接続しようと思っていたのだが、プロジェクタ側はUSBスピーカーだと認識したようで、USBケーブル1本繋ぐだけで問題なく音が出た。

意外にこれが最適な組み合わせ?

さすが小さくてもステレオスピーカー、しかもSuperWide オーディオ エンハンスメントモードも使えるので、膝の上に乗せて聴くと十分なサウンドが得られる。他にも「Carry by MIRAI SPEAKER」など、お手元スピーカー的な製品と組み合わせてもいいだろう。

次にAmazon Primeで配信中の「三体」シーズン1第2話を鑑賞した。Netflix版の「三体」は比較的小説に忠実な展開で登場人物も多いが、Amazon Prime版三体は中国の制作で、オリジナルのストーリーをなぞりながらも登場人物を絞り、その代わり中国映画特有の細かい精神描写が光る秀作である。

日没後は、映画らしい良好なコントラストと発色が楽しめる

全体的に暗く淡いトーンで展開される作品だが、時折挿入されるビビッドなCGの強い発色が、いいアクセントになっている。こうした原色に近い発色のクリアさは、3色レーザーならではである。

こちらは爆発やドンパチのシーンはないので、内蔵スピーカーでも音響的に物足りなさを感じるシーンは少なかった。一方で、プロジェクタのファン音が気になり始めた。それほど甲高くはないが、ワンワンワンといううねりのある音がする。おそらく複数のファンがあり、その回転数が微妙に違うのだろう。静かなシーンの多い作品では、やや集中力を削がれる結果となった。

とはいえ、このサイズで3色レーザー4Kはすごい。自動台形補正の動作も正確で、場所を変えてもすぐ補正が追いつく。可搬性を生かした投影に特化させたものと思われる。

総論

小型プロジェクタは、どこにでも設置して気軽に使えるところがメリットだが、解像度がHD止まりだったり、明るさが500ルーメン前後だったりと、サイズなりの制約があったのは事実だ。

一方で4Kプロジェクタとなると、やはりボックス型が主流となり、重量も3kg超えのものが大半を占める。もちろんボディが大きい分だけスピーカーもしっかりしたものが入っているというメリットもあるのだが、使わないときに小さくなるわけではないので、それなりに場所を取る。

そんな中「Elfin Flip 4K」は、薄型のボディに3色レーザー光源、4K解像度、1,600 ISOルーメンを実現しており、収納時は厚さ7.8cm程度に収まる。小型モデルのゲームチェンジャーと言っていい。電源ケーブルは外さないと収納できないのが難点ではあるが、それでも棚の隙間に押し込んでおけるのは便利だ。

音響に関しては本体だけでは限界があるが、テレビコンテンツなどには十分対応できる。映画を楽しみたいのであれば、ちょっとした小型サウンドバーがあると、さらに楽しめるだろう。

スピーカーを組み合わせる楽しさも、実は小型プロジェクタの面白さの一つではないかと思う。

小寺 信良

テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「難しい話を簡単に、簡単な話を難しく」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンテンツのフィールドで幅広く執筆を行なう。メールマガジン「小寺・西田のマンデーランチビュッフェ」( http://yakan-hiko.com/kodera.html )も好評配信中。