データで読み解く家電の今

拡大を続けるレコードプレーヤー市場。Technics参入などで大きく伸長

販売実績を基にしたデータから、国内家電市場の実態を検証する(協力:GfK Japan)

 近年「ブーム」といわれるレコードプレーヤー。Technicsの復活や、オーディオテクニカなどによる本格的なプレーヤーも続々登場しているほか、USB録音対応や安価なエントリーモデルなど、製品数も増えているように感じられる。レコードプレーヤーの市場動向をGfK Japanのデータをもとに分析してみよう。

Technicsのレコードプレーヤー「SL-1200GR」

 家電量販店におけるレコードプレーヤーの販売は2015年以降拡大し、16年の販売台数は前年比18%増、金額は同38%増と大きく伸長した。グラフを見ると、'15年以降大きく伸びていることがわかる。「パナソニック(Technics)など、ハイエンドオーディオブランドの製品が投入されたこともあり、金額規模が押し上げられた」という。

Pro-ject AUDIO「The Classic」

 16年の販売価格帯別台数構成比では、4万円以上が12%を占め、5年前から8%拡大した。グラフを見ると、2011年から継続的に4万円以上の製品が伸長している。

 足元の動向をみると、17年(1-5月)の販売台数は前年比2%増と引き続きプラス成長となったが、金額は同3%減となった。これは、1万円未満の手頃なモデルが増えたためだ。同価格帯は17年(1-5月)の台数構成比で63%を占め、前年同期から12%拡大した。

 GfK Japanの合井 隆人アナリストは、「レコードプレーヤーの販売規模はポータブルプレーヤーなどのオーディオ機器と比べて数パーセント程度と小さいものの、レコード特有の音質やジャケットなどデジタル音楽にない魅力が支持を集めており、市場が拡大している。現状、国内ブランドが販売台数の主流となっているが、'15年以降、市場に参入する海外ブランドも見受けられ、ユーザーの選択肢が広がっている」という。「人気アーティストのレコード発売やファッションビルへのレコード・CD専門店の出店など、若年層を取り込む動きもみられるため、コアなユーザーに加え、新たにレコードに関心をもった若年層が入門機として購入するケースもあると考えられる」と分析している。

オーディオテクニカ「AT-LP5」
Rega「Planar 3-Red」

 また、「2017年(1-5月)の販売台数ランキングをみると、2万円以下の比較的手頃なモデルがTOP10に6台入るなど人気。そのほとんどが、再生に必要なフォノイコライザーを内蔵しており、振動を緩和できるベルトドライブ方式を採用している。さらに、フルオート対応やスピーカー搭載のオールインワン型のモデルも多く、手軽に使用できることからエントリー層の支持を集めている」としており、低価格化やオールインワンなど製品種類の広がりも拡大の一因と指摘している。

ION AUDIO「Vinyl Transport」