日沼諭史の体当たりばったり!
第27回
幅1.2mの超ワイドモニターがやって来た! 働き方改革っぷりがハンパない【設置編】
2019年2月6日 08:00
2018年に発売され、個人的に最も注目していた製品が、今回紹介する“32:9”というワイドすぎるデルの49型ディスプレイ「U4919DW」だ。写真を見るだけでそのヤバさが伝わるはず。とにかく幅がヤバい。購入したところで筆者のオフィススペースに収まるのだろうか……と心配になるほどデカい。
実売価格は17万円だ。購入したくても今のポケットマネーでなんとかなる金額ではない。仕様から見れば「安い」と思える製品ではあるのだけれど、気軽にポチれるほどの富豪ではない筆者は、それでもどうしても試してみたくてデルさんにお願いしてお借りすることにした。果たして、U4919DWで筆者のオフィスや働き方はどう変わるのだろうか!?
意外にも? デスクにぴったりのサイズ
U4919DWは、アスペクト比32:9で49型、解像度5,120×1,440ドットのPC向けワイド曲面モニターだ。2018年末に筆者が購入した標準的な16:9の、25型2,560×1,440ドット(WQHD)モニターをちょうど2つ横に並べた解像度(デュアルQHD)となる。そんな筐体の幅はというと、1,215.1mm。つまり1.2m超。筆者のオフィスに設置しているデスク1つの幅が1.2mジャストだから、15mmほどはみ出てしまう計算だ。本当に設置できるのか……。
お借りするにあたって、配送に赤帽を指定してくるあたり、そのヤバい幅のイレギュラーなサイズ感が想像できるというもの。筆者はなぜか大型テレビみたいな薄くて高さのある箱をイメージしていたのだが、オフィスに届いたU4919DWの外箱は意外と背が低く、ただその代わりに奥行き(幅)が目を疑うような長さだった。考えてみればそりゃそうだ。しかし梱包時重量は26kgを超え、配達員1人では運べないレベル。筆者も手伝って2人で持ち上げ、エレベーターでは縦置きにし、オフィス内へ運び込んだ。
室内にあると、その普通じゃない大きさが改めてよくわかる。シェアオフィスなので、とりあえず筆者の借りているスペースに押し込んではみたものの、他の人のスペースまで活用しないと開梱すらできない状況だ。苦笑いしか出ない。開梱と設置の方法は外箱に説明が書かれているので、それを見ながら梱包を解いていく。
まず横倒しにして、箱を大きく開いてスタンドの台座や脚、ケーブル類を取り出す。液晶画面部分は箱から出さずに、4本のプラスねじでスタンドの脚部分を固定し、そこに台座を差し込んで、緩衝材を付けたまま持ち上げてデスクに設置する。最後に緩衝材を取り外し、配線すれば完了だ。組み立て作業の内容自体は言葉にすれば簡単だが、PC用モニターとしては規格外といえるサイズと重さなので、できれば2人以上で作業するのが望ましいだろう。
1.2m幅のデスクを超えるサイズのU4919DWではあるものの、(デスクの上を一生懸命整頓して)結果的にデスクには問題なく収まった。いや、実際には15mmくらいはみ出ているので収まってはいないのだが、デスクの両サイドにあるプリンターやスチールラックなどと干渉することなく、ほとんどジャストサイズで設置できている。電源部はモニター本体に内蔵されていて、巨大な外付けACアダプターが余計にスペースを取ったりすることがないのはありがたい。
見た目上は25型のモニターよりわずかに高さがあり、でも27型モニターほどはないだろう、という感じ。それが横に2台並んでいる、と言えば想像しやすいだろうか。とはいえ感覚的には3画面分くらいありそうにも見え、圧迫感は尋常ではない。しかしである。たとえば購入直後は大きすぎるように思えたリビングの大画面テレビも、そのうち見慣れて物足りなくなるもの。U4919DWもそんな圧迫感が一周すると、物足りなく……はならないが、なんというか不思議としっくりフィットする感じに変化する。
フィット感の理由はスタンドとType-C接続にあり
このフィット感はどこからくるのだろう。単純にデスクの幅と合っている(微妙に合っていないが)のもフィットしているように感じる一因だが、まずはスタンドが高機能であることが大きいかもしれない。モニターの高さは上下に9cm可動させることができ、チルトは上向きに21度、下向きに5度まで調整できる。
左右方向の向き調整は本体ごと動かすしかなさそうに見えるが、実際は170度の範囲で調整できるスイーベル機構を備えている。台座底面が中央部だけターンテーブルのようになっていて回転する仕組みになっているためだ。各種調整機構が充実しているので、大画面ながらも身長や姿勢、使い方に合わせてフレキシブルに動かせる。
幅広で重量のあるモニターを支えるこの台座が大型サイズなのは仕方ないところではあるが、代わりにこの台座の上に物を置いて使うのもアリだろう。筆者の場合はメインマシンのMacBook Pro(13型)を置いておくのにちょうどいい感じ。ただし、スイーベル機構を使って左右に向きを変えると台座ごと回転するため、台座のすぐ外に物を置くのはあまりおすすめできない。
フィット感が得られるもう1つの理由は、USB Type-C接続に対応していること。MacBook ProのようにType-Cで映像出力できるノートPCだと、USBケーブル1本をU4919DWに接続するだけで利用でき、それと同時にU4919DWからノートPCへの給電も行なってくれる。給電できるのは最大約90Wだから、消費電力の大きいノートPCにも余裕で対応する。接続すべきケーブルは最小限で済み、いつも持ち運んでいるノートPCを手間なくつないで広大なデスクトップですぐに作業できるのは、昨今話題の「働き方改革」的な意味でも効果が高そうだ。
もちろん接続方法はType-C以外にもある。HDMI入力は2つ、DisplayPort入力は1つあり、Type-CのないノートPCやデスクトップPCとも当然ながら接続可能だ。PC 1台とU4919DWを1系統だけ接続してシングルディスプレイとして使ってもいいし、2系統接続して「PBP(ピクチャーバイピクチャー)」モードを利用し、左右に2分割して擬似的なデュアルディスプレイとして使うのもいい。
もしくはPBPモードだとPC 2台以上と接続して、画面の左右でそれぞれ別のPCの画面を表示するようにもできる。たとえば画面半分は常にデスクトップPC用にし、もう半分はいつも持ち運んでいるノートPCの外部ディスプレイ扱いにする、といった活用方法が考えられる。1つのモニターでありながら異なる2つの環境を同時に利用でき、しかもそれぞれが通常の16:9のモニターと同じサイズになるから違和感もない。2台のモニターを並べるよりスタイリッシュに使いこなせるだろう。
映像入力に合わせて切り替えられるUSBハブ機能が超便利
映像入力以外には、USBのアップストリーム専用ポート2つとダウンストリームポート5つを備える。PCからアップストリームポートにUSB接続することで、USBハブとして5つのダウンストリームポートを使用可能だ。Type-Cポートもアップストリームポート扱いとなり、Type-Cで映像出力しているときは他のダウンストリームポート5つを使用できる。
Type-Cポートしか備えていないMacBook ProなどのノートPCとU4919DWを組み合わせると、Type-Cケーブル1本で映像出力と給電に加えてType-Aポートを簡単に使えるようになるわけで、使い勝手は大幅にアップする。ポートが下向きでアクセスしやすいとは言えないけれど、デスクトップPCでもすぐ手元にUSBポートがあれば有線キーボードやマウス、外部ストレージなんかを使うときに便利だ。
映像の入力信号と一緒に使用するUSBポートを指定する機能もあって、これも活用しがいがありそう。例えば2台のPCとU4919DWの間でそれぞれHDMIポートとUSBアップストリームポートに接続しておく。この状態でモニター側のUSBポートにキーボードとマウスを1組接続しておくと、モニターに表示する入力信号の切り替えに合わせてキーボードとマウスの接続先も切り替わる。1組のキーボード、マウスで2台のPCを操作できるわけだ。
複数のPCを使う場合、通常はPCの台数分だけキーボードとマウスが必要になる(映像入力と有線キーボード・マウスの接続先をまとめて切り替えられるセレクターや、接続先をスイッチで切り替えられるワイヤレスキーボードもあるが)。それだけでデスク上のわりと広い面積を占有してしまうわけだけれど、U4919DWなら最小限に抑えられる。モニターは大きいがデスクは広々と使えるという、うれしい機能なのだ。
ただ、注意しておきたい点が2つ。1つは、選択している映像入力に合わせてUSBポートが切り替わるとき、一方のPCからは強制的に切断されること。キーボードやマウスなら通常は問題ないが、ストレージだと場合によってはデータ破損の危険がある。複数PCに接続して使う場合は、強制的に切断されても問題ないデバイスのみ接続するようにした方が良い。
もう1つは、Type-Cで映像出力している場合、5つのダウンストリームポートはすべてType-Cに関連付けられたハブとして利用されること。2つのアップストリームポートは無効になってしまうようだ。今回の筆者の環境のように、MacBook ProとType-C接続する使い方だと、別のPCからアップストリームポートに接続しても、そのPC側ではU4919DWのUSBポートを使えないことになる。
U4919DWがあれば強制的に「働き方改革」できる!?
幅1.2m超えのU4919DWはたしかにデカいが、標準的な幅のデスクを使っているのであれば、設置できるかどうかを心配する必要はあまりなさそうだ。筆者の仕事場のように奥行き60cmのデスクだと、モニターに向かったときに視界の左右ほとんどが画面という疑似VR的な雰囲気になるのもなかなか壮観ではある。
いくつか注意点を挙げるとするなら、モニター本体がデスクの端から端まであるせいで、ペットボトルや本などの背の高い物はデスクのどこに置いていようと高確率で視界を遮ってしまうこと。そして、スイーベルで左右に回転させたときにそれらを余さずなぎ倒してしまう。ただ、そのおかげでデスク上に書類を積み上げたりする散らかし癖のある人は強制的に「働き方改革」できるに違いない。必然的に整理整頓を心がけることになるので、いつでも気持ちの良いクリーンな環境でデスクワークが可能なのだ。なんてすばらしい!
ひとまず今回はU4919DWを設置するところまでを紹介した。次回は「活用編」として、MacBook ProやデスクトップPC(Windows)で利用したときの使い勝手やメリット・デメリットをお伝えしたい。5,120×1,440ドットの広大なデスクトップを活かしきることができるのか、3Dゲームでどんな没入感が得られるのかなど、U4919DWならではの活用方法を試してみるつもりだ。