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2018 F1開幕! フジテレビNEXTとDAZNどちらで楽しむ? 低遅延や見逃しなどに違い

 F1 2018シーズンがいよいよ開幕する。ファン待望の今シーズンの開幕戦は、3月23日~3月25日までオーストラリアのメルボルンで行なわれる。2月末~3月上旬にスペイン・バルセロナで開催された公式テストでも、新マシンが出そろい、新しいシーズンへの期待が高まるばかりだ。本記事ではそうした2018年のF1GPを、現地以外でも楽しむ方法について紹介していきたい。

2018シーズンが開幕
©Formula1®

 2018年のF1GPを楽しむには、大きくいって放送ベースの「フジテレビNEXT」、配信ベースの「DAZN(ダゾーン)」の2つの選択肢がある。

写真は2017シーズン
©Formula1®

 ユーザーにとってどちらを選ぶべきなのかを、30年以上F1をテレビで見続けている筆者がそれぞれの長所短所を踏まえながら考えていきたい。

日本での選択肢は放送のフジテレビNEXTとネット配信のDAZNの二択

 今シーズンのF1GPを日本で楽しむ方法は、ひとつはフジテレビがフジテレビNEXTで行なっているCS放送(CATV/IPTV)、もう一つはスポーツ・ストリーミング配信サービスの「DAZN」になる。

フジテレビF1中継のWebサイト
DAZNのF1ページ

 「フジテレビNEXTsmart」という、フジテレビNEXTのストリーミング配信もあり、予選と決勝を楽しめるが、利用できるのはフジテレビNEXTの放送契約ユーザーだ(フジテレビNEXTSmartの説明ページ)。実質的にはフジテレビNEXTとDAZNの二択といえる。

 なお、Formula1.comの公式サービスとして「F1 TV Pro」という配信サービスも行なわれるが、これは米国などテレビ放送やネット配信などがない地域が対象。日本ではサービスが行なわれない(詳しくはCar Watchの記事を)。

 両者の違いをまとめると、以下のようになる

フジテレビNEXT

メディア:CS放送(スカパー)、CATV(J:COM)、
機器:チューナー内蔵テレビ/レコーダ+CSアンテナなど
必要な回線速度:特になし
視聴場所:自宅(テレビ)、スマホ、PCなど(フジテレビNEXTSmart)
録画:可能
見逃し再生:-(録画、もしくは再放送)
F1 フリー走行/予選/決勝
サポートレース: -
解説陣:今宮純氏/川井一仁氏など
遅延:ほとんどない(数秒。放送の場合)

DAZN

メディア:インターネット
機器 PC/スマートフォン/タブレット/テレビ/ゲーム機など
必要な回線速度:5Mbps以上/標準画質(720p)、10Mbps/HD画質(1080p)
視聴場所:(国内であれば)ネットに接続できればどこでも
録画:不可
見逃し再生:あり(オンデマンド)
F1:フリー走行/予選/決勝
サポートレース:F2/GP3(2017年実績)
解説陣:小倉茂徳氏/中野信治氏など
遅延:環境によるが大きい(概ね1分程度)

 最大の違いは放送か配信かというのは言うまでもない。このため必要となる機器は違う。

 フジテレビNEXTは、110度CS放送などのチューナを内蔵した機器と、アンテナが必要になる。ケーブルテレビ(CATV)やIPTVで、フジテレビNEXTを契約できる場合は、それらのSTBで受信できる。要するにスカパー、J:COM、ひかりTVのいずれかの契約者であれば、テレビ放送としてしっかり視聴できる。

CS放送を楽しむには放送に対応したアンテナとチューナを内蔵した機器が必要。写真はパナソニックのHDDレコーダ「DMR-BRX4000」

 DAZNは、デジタル機器一般となる。DAZNはWebブラウザで視聴できるほか、iOSやAndroidを搭載したスマートフォンやタブレットで視聴することができる。最近ではテレビでの対応も増えているほか、Fire TVやChromecast、さらにコンソールゲーム機にも対応しており、PlayStation4やXbox Oneでも楽しむことができる。

DAZNはPC、スマートフォン、タブレットといった通信機能をもった機器で楽しむことができる(写真はSamsung Galaxy Note8)

 ただし、機器だけでなく速いインターネット回線が必要になる。DAZNのシステム上、インターネットの回線速度に自動で調整されて画質が決まってくる。DAZNのWebサイトで公開されている奨励環境では720pの標準画質で見たい場合には回線の下り速度が5Mbps以上、1080pのHD画質で見たい場合には10Mbps以上となっている。光回線のような固定回線ではなく、LTEやWiMAX2+などのモバイルブロードバンドでインターネットに接続している場合には回線の速度が大きく上下する場合があるので、注意が必要だ。安定して見るには高速な固定のインターネット回線があるところのほうが良いだろう。

 しかしながら、DAZNは高速な回線さえ確保されていれば、自宅以外でも観戦できることがメリットといえる。ただしモバイルで利用する場合にはGB単位のパケットを消費するのでパケット残量には要注意だ。

 基本的にはテレビに強い「フジテレビNEXT」、モバイルやPC視聴が主体だったり、CS放送等を受信できない場合は「DAZN」と分類できる。ただし、フジテレビNEXTも、「フジテレビNEXTsmart」により、PCやスマホ、タブレットで予選と決勝をライブ観戦できるし、DAZNもFire TVなどのテレビデバイスで、大画面テレビでも楽しめるようになっている。

フジテレビNEXTは録画が可能。DAZNはオンデマンドの見逃し配信

 もう1つのフジテレビNEXTとDAZNの大きな違いは「録画」できるかどうかにある。フジテレビNEXTの方はCS放送に対応したHDDレコーダなどを所有していれば、録画しておくことが可能。BDにダビングもできる。

放送のフジテレビNEXTは録画が可能
BDへのダビングが可能

 これに対してネット配信のDAZNは録画できない。しかし、(昨年の例で言うと)レース終了後から次のレースが始まるまで見逃し配信に対応しており、DAZNでオンデマンドで見逃し配信を楽しむことができる。レース時間が移動中にあたってしまっても、目的地に着いた後すっとDAZNを起動して見逃し配信を楽しむ。そういう使い方が可能だ。

DAZNの場合は見逃し配信に対応、こちらはJリーグの例だが、終わった試合も再生することができる

 なお、DAZNには提供エリアの縛りがあり日本向けのコンテンツは日本のインターネット回線からアクセスした場合にしか再生できないようになっている。VPNという仕組みを使って乗り越えることはできるが、それにはそれなりの知識と環境が必要になる。従って海外からは基本的には見られないことは知っておこう。

遅延が少ないフジテレビNEXT。F2やGP3も配信するDAZN

 見ることができるコンテンツに関しては、どちらもF1レースのウィークエンドに生中継でフリー走行(1回目、2回目、3回目)、予選、決勝を見ることができる。これに関しては大きな違いはない。

 しかし、昨年の例でいうと、DAZNではそれに加えてF2/GP3といったサポートレースも提供されていた。F2はF1直下のカテゴリーで、かなりF1に近い車両を使って行なわれる未来のF1スター達が集結しているシリーズで、なかなか見応えがある。実際昨年のF2チャンピオンであるシャルル・ルクレール選手は今年ザウバーからF1にデビューするし、一昨年(まだGP2というシリーズ名だった)のチャンピオンであるピエール・ガスリー選手は昨年のスーパーフォーミュラを走って、去年のマレーシアGPからはトロロッソからF1に昇格し、今年はレッドブル・トロロッソ・ホンダの正ドライバーだ。

DAZNのオンボードカメラ映像(2017年)
©Formula1®
DAZNのピットレーンカメラ(2017年)
©Formula1®

 さらに言うと、今年はホンダ期待の若手二人、福住仁嶺選手と牧野任祐選手の二人が参戦する。いずれもF1昇格の資格(シリーズで3位以内)を満たせば、来年はトロロッソのドライバーとなる可能性があるとされており、この点でも日本のファンにとって注目のシリーズだ。

 オーストラリアGPに関してはF2もGP3も開催されないため(F2/GP3が併催されるのは主にヨーロッパで開催されるGP)、今のところDAZNの放送予定には入っていない。このため、F2/GP3が今年も配信されるのかは今のところは不明だが、去年は放送されていたのでおそらく今年も放送されると期待したい。

 また、運営主体が違うので当然だが、解説陣も違う。フジテレビNEXTが多くのF1ファンが親しんでいる今宮純氏、川井一仁氏といった解説陣であるのに対して、DAZNの方はレースなどによって違っており、小倉茂徳氏や元F1ドライバーの中野信治氏などが解説している。このあたりは好き嫌いの問題ではなく慣れの問題だとは思うが、違いがあることは理解しておきたい。

 そして、人によっては重要なのが「遅延」だ。放送のフジテレビNEXTは実際のレースからの遅延はほとんどない(数秒程度)であるのに対して、DAZNの方は1分近い遅延がある。これはライブに適している放送と、様々なサーバーを経て配信されているインターネットの違いに起因するモノで、DAZNの1分程度の遅延というのも、決して遅い方ではない。

©Formula1®
©Formula1®

 しかし、例えばF1公式アプリを使ってライブタイミング(F1がリアルタイム提供している、順位やラップタイム、タイム差などの情報)を見ていると、フジテレビNEXTの放送ですら1~2秒程度の遅れを感じることがあると思うが、DAZNははるかに大きい。実際1分遅れると、他の人が先の状況をつぶやいていたりチームのTwitterアカウントなどが先のことを言っているのに、DAZNの中継の方はまだその前のシーンということも発生する。個人的には、DAZNでライブ中継を見る場合にはTwitterなどの他の情報は見ないほうがよいと思うが、ライブタイミングを見ながらだと、先に状況がわかってしまうのが厳しい。

どちらを選ぶかは予算と何を重視するかで決まってくる

 以上のような違いから、それぞれの良いところを弱点をまとめると以下のようになると思う。

フジテレビNEXT

ここがいい

・遅延が少ない
・録画でき、BDなどに残せる
・以前と同じ解説陣

ここがイマイチ

・オンデマンドの見逃し配信がない
・視聴される場所は基本的に自宅
・F2/GP3の放送がない

価格(税込)

1,296円/月

DAZN

ここがいい

・オンデマンドの見逃し配信がある
・日本国内であればどこでも視聴できる
・F2/GP3が見れる

ここがイマイチ

・遅延が大きい
・無線の場合はパケット消費量が大きい
・録画はできないので残せない

価格(税込)

1,890円/月(DAZN)
1,058円/月(DAZN for docomo)"

 個人的にはそれぞれ一長一短だと思っている。従ってなにを重視するかで決めればいいだろう。例えば、テレビで安定してみたい、録画で残したい、ライブタイミングと一緒に楽しみたいというライブ重視な人であれば「フジテレビNEXT」、場所に縛られず楽しみたい、F2/GP3も楽しみたいならDAZNといった具合だ。

 価格はフジテレビNEXTをCSテレビ局のスカパーで1,296円(税込)になる。他のチャンネルとパックの料金を選ぶともう少し安くなるので、他のチャンネルも見る場合はそちらを選ぶともう少し安くなる。

 DAZNの方はDAZN単体で契約すると1,890円(税込)だが、NTTドコモの回線契約を持っている場合には、ドコモ経由で契約すると1,058円(税込)と安価になる。ドコモ回線を持っていない場合にはDAZNの方が高めに見えるかもしれないが、その代わりDAZNではJリーグ中継など、他のスポーツも多数揃えているので、それらをどれくらい必要とするかによっても考えは変わってくるだろう。

DAZNはモータースポーツだけでなく多種多様なスポーツ中継を楽しむことができる

 筆者はどうしているのか? という疑問に答えて記事のまとめとしたい。答えは、シンプルに両方契約している、だ(笑)。長年契約しているフジテレビNEXTの放送に加えて、NTTドコモ経由でDAZNを契約している。

 というのも、やはり自宅でライブで見るなら遅延が少ないフジテレビNEXTだが、ひどい時は半月も家にいないことが多い出張族である筆者にとって、いつでもどこでも見られるというDAZNの魅力も捨てがたいし、F2/GP3も可能な限り見ておきたいからだ。古い表現で恐縮だが三度の飯より大好きなF1を楽しむなら、これぐらいのコストは惜しくない、マニアの一人としてはそう割り切っている。

 読者の皆さんはどういう選択をされるだろうか? 本記事がその参考になれば幸いだ。

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笠原一輝