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イオンシネマさん、ありがとう。八王子市民の悲願「イオンシネマ八王子滝山」行ってきた
2026年6月25日 11:09
イオンシネマ八王子滝山は、6月26日にオープンする八王子市初となる4K対応の「IMAXレーザー」を含む、全9スクリーンを備えたシネマコンプレックスだ。筆者は、プレオープン初日となる23日、内覧会に参加してきた。
この映画館の注目どころは大きく3つ。全国で50スクリーン規模に達したIMAXレーザー、Christie RGBピュアレーザープロジェクターによる4K-RGB映像、そして全国でも3箇所しかない「DTSサラウンド・シネマ」だ。
八王子にこんな豪華な映画館が!? いち八王子市民として、興奮と期待に包まれた時間。その一部始終を綴っていこう。
八王子市民の悲願
筆者は、東京都八王子市に9年ほど住んでいる。防音室を作るため都心の墨田区から拠点を移してからというもの、空気の美味さと夜の暗さと山の近さにすっかり馴染んでしまった。
しかし、常々はがゆく思っていたことがある。
映画館の数だ。
八王子市は、東京都内唯一の中核市として人口は55万人を超えるが、映画館が少ない。市南東部にTOHOシネマズ南大沢(全9スクリーン)が営業するのみで、他は皆無。最新のテクノロジーに対応したスクリーンを求めるなら、立川や調布、新宿といった市外に出るしかない。
筆者が映画を観るときは、TOHOシネマズ立川立飛や立川シネマシティ、イオンシネマ多摩センター、稀に新宿のバルト9やTOHOシネマズという具合で、東京なのに映画館が少ないという切なさを抱いていた。
八王子市街には、その昔、いくつかの映画館があった。筆者が“一ケタ年齢”の時代は割愛するとして、近年になってからも「ニュー八王子シネマ」が2003年と2017年に段階的に閉館している。2017年といえば、筆者が八王子に引っ越した年だ。わずか数カ月前に老舗の独立系映画館が閉館したなんて、ちょっとショックである。
長らく映画館が南大沢のみだった八王子だが、9年の時を経て、ついに最新の設備を備えたイオンシネマが開業したという訳だ。市民として興奮しないわけがない。
イオンシネマ八王子滝山へ潜入
前置きが長くなったが、内覧会に話を戻そう。
これまでにないほど近場に映画館ができる喜びを噛み締めながら、スクーターを走らせることしばし。ピカピカのイオンの建物が見えてきた。感動が抑えきれない。駐車場に侵入するだけで顔がニヤける。まだ映画館に入ってもいないのにこの有様。でも仕方ない。それほど八王子市民にとって感慨深いことなのだ。
イオン八王子滝山は、駐車場の台数がNorth(道の駅側)で約70台、South(シネマ側)で約320台とイオンモールと比べると小規模だ。最寄駅はなく、車を使わない人は、自転車か徒歩、あるいは毎日100便以上あるバスで移動することになる(八王子駅から約10分)。North棟の真向かいには東京都唯一の道の駅 八王子滝山があるが、イオン利用目的では駐車禁止だ。映画鑑賞のためについ使ってしまいそうになるが、ご注意を。
早めに到着して時間があったので、SouthとNorthを巡回して様子を見てみた。店舗数は少なく、“イオンモール”ではなく、あくまでイオン八王子滝山なのだと実感する。ある時期までは、「イオンモール八王子インターチェンジ北」と呼ばれていただけに、普通のイオンだと分かってションボリした八王子市民は私だけではないと思う。
もっとも大きな建物は、イオンのネット専用スーパー「グリーンビーンズ」の物流拠点である顧客フルフィルメントセンター(CFC)ということで、もちろん中には入れない。秋には受け取りスポットがスタートするとか。
そうこうしていると、各店舗がいっせいにプレオープン。3Fのイオンシネマに向かうと、チケットカウンターはなく、端末から座席を選んでQRコード付のチケットを発券するシステム。ネットで座席を抑えておけば、スマホからQRコードをかざすだけで入場できるデジタルチケットにも対応している。
フードとドリンクの売店も端末から注文するセルフオーダースタイルだ。商品を選んで支払いまで済ませたら、印刷された明細を持って受け渡しカウンターへ。待ち時間を減らし、スムーズにスクリーンへ向かうことができる。スマートフォンで注文から決済まで完了できるモバイルオーダーにも対応する。
各スクリーンを見ていこう。
スクリーン数は全部で9。IMAXスクリーンに加え、1、2番スクリーンは、4Kプロジェクターを採用している。スクリーンもなかなかに大きく、迫力は十分そう。
3/4/6/7/8番スクリーンは比較的小規模の箱になる。60~80席程度の、普通のシネコンスクリーンだ。
Christie製のレーザープロジェクターを全スクリーンに採用。明るく色彩豊かで高コントラストな映像が楽しめるそうだ。座席も全スクリーン共通の両肘付き独立シートで快適。個人的には、隣の人の腕に配慮しなくていいのはとてもありがたい。
IMAXレーザーは、4K対応のレーザー投影システムを採用したIMAXシアター。12chサウンドシステムを備える。IMAXといえば、壁一面の超巨大スクリーンが特徴。毎回劇場に入る度に圧倒されるが、八王子でこの感覚が味わえるのは夢のよう。しかも、4K対応レーザープロジェクターとあって、IMAXデジタルシアターの上位版である。
筆者が最も期待&注目をしているのは、DTSサラウンド・シネマと4K対応Christie RGBピュアレーザープロジェクターを採用した5番スクリーンだ。
DTSサラウンド・シネマは、長野県の須坂、岩手県の江釣子、東京都の八王子滝山と、全国で3箇所しかない激レアシアター。7月10日、千葉県のイオンシネマ津田沼Southがオープンすると全国4箇所になるが、それでも非常に珍しいことには変わりない。当日初回の一般上映を鑑賞した感想は、後半でお届けしよう。
なお、当劇場にはオブジェクトオーディオに対応したスクリーンは存在しない。Dolby AtmosやDTS:Xを鑑賞したいときはやはり八王子市を出るしかない。
IMAXレーザーを堪能
オープニングセレモニーがそろそろ始まる。ポップコーンとドリンクを持って館内を歩くと、なんだか若返った気持ちになる。いや、気のせいだ。
IMAXレーザースクリーンは多くの人で満席に近い状態。筆者はなるべくセンターを選んで着席した。視界にスクリーンが収まりきらない。さすがIMAX。映画を観るというより、映画に入る感覚に近い。
イオンエンターテイメントの藤原信幸社長が登壇。自社のブランドコンセプトとして「感動の輪を作る、広げる」を掲げていると語る藤原氏。
「劇場に入ってからお帰りになられるまで、お客様一人一人が様々な場面で感動を見つけ、イオンシネマで過ごす時間を最高の体験の場としていただきたい」
イオンシネマ八王子滝山の出店をもって、イオンエンターテイメントの劇場数は全国で98劇場、838スクリーンに達するという。
イオンシネマ八王子滝山 近藤芽衣総支配人も「映画館で映画を見る文化を絶やさないためにも、IMAXシアターのような没入型体験映像を提供するシアターや両肘付きの独立シートを全席に導入することで、お客様が映画に没入できる鑑賞環境を整えてまいります」と意気込みを語る。
挨拶が終わると、お待ちかねIMAX予告編上映会がスタート。上映予定のIMAX作品の予告編が次々と繰り出される。IMAXは、通常のIMAXデジタルシアターを鑑賞したことはあったが、IMAXレーザーは初体験。スクリーンが大きいだけではない。革新的な4Kレーザー投影システムにより、鮮やかで明るく、コントラストが深い超高解像度の映像が楽しめるそうだ。
上映が始まると、目が覚めるような高いコントラスト比と鮮やかな色彩は、フルパノラマのスクリーンと相まって、あっという間に作品世界に観客を引き込んでいく。中世の世界観など、現実と異なる舞台を描く作品は、そこに登場人物達がいて確かに生きているようなトリップ感があった。
また、元々の4Kソースと2Kからの4Kアップコンバートは、明らかに判別できるほど精細感の違いがわかる。
サウンドは、地響きのような轟音が印象に残る。ライブコンサートでも来たかのような、家庭では絶対不可能な音のエネルギーに当てられて、終演後「ふう……」とため息をついてしまった。
DTSサラウンド・シネマで「Michael/マイケル」
IMAX上映会が終わり、セレモニーは終了したが、DTSサラウンド・シネマも体験したかったので、個人的に、5番スクリーンでの初回上映の座席を確保し、話題の映画「Michael/マイケル」を鑑賞した。
5番スクリーンは、全国で3箇所目となるDTS サラウンド・シネマを採用している。筆者は、このDTS サラウンド・シネマ自体を知らなかった。え? DTS:Xじゃなくて? と思ってしまったくらいだ。
DTSと、シネマソリューションを手掛けるGDC Technologyが共同開発したもので、正確なDTSターゲットカーブに基づく最先端のルームチューニング技術と、ベースマネージメントを搭載したフルレンジ・サラウンドスピーカーを組み合わせている。スピーカーのレイアウトは、DTSシネマ・インストール・ガイドラインに沿って設計され、DTSの認定技術者による現場評価を経て、認証されるそうだ。
低音域を左右の低音専用サブウーファーに正確に割り当てることで、サラウンドスピーカー固有の限界を補っているとのこと。イオンシネマ八王子滝山のサイトからDTS サラウンド・シネマの解説を見ると、LFEチャンネルにあたる通常のサブウーファーの他に、左右にベースマネジメントサブウーファーが1台ずつ備わっていることが分かる。
G列の13番、筆者的ベストポジションでマイケルを鑑賞した。
まず映像だが、非常に鮮明かつ色彩の豊かな画面に目を奪われた。色味やハイライトはIMAXレーザーよりも、ナチュラルで本物に近い印象。
60年代から80年代中盤を描く伝記映画であるが、ノスタルジックな画面にはあえて寄せず、ライブシーンなどは割と鮮烈な絵作りだったように感じた。ソースの持つ世界観を、できるだけそのまま再現しているような感触だ。スクリーンの大きさは好みの問題だが、視界に収まりきる方が筆者的にはリラックスして楽しめた。
Christie RGBピュアレーザープロジェクターは、西東京エリアでは初採用だという。4Kの緻密な描写力と、色彩豊かな映像が持ち味と感じた。具体的な機種名は非公開だが、製品ページによると候補となる機種はRec.2020 90~95%の色再現性を果たしていた。
そして肝心のDTSサラウンド・シネマの音が、とにかく素晴らしい。
映画館のサウンドといえば、家庭では絶対に出せない音量による迫力が魅力だが、反面、音像の膨張や低域(LFE)のダブつきによる箱鳴り、音像の解像度の不足、大音量の際の歪み感といったウィークポイントも、これまで劇場で感じてきた。
DTSサラウンド・シネマでは、こうしたウィークポイントを全て払拭している。それでいて、音量感が物足りないこともない。大スクリーンに負けない音の迫力を維持しながら、破綻なき再現性を備えたピュアなサウンドに感動した。
AVアンプを導入して、ホームシアターを楽しんでいる方なら分かっていただけると思うが、家庭でシネマフォーマットを再生したときの、鮮明な音像や歪み感の少ないクリアなサウンドは、ホームシアターの醍醐味の1つと言える。大音量も確かに重要な要素だが、魅力はそこだけではない。
そして、DTSサラウンド・シネマは、ホームシアターのクリアなサウンドを、まるで大スクリーンの劇場でスケールアップして再生しているかのようなサウンドだ。
映画「マイケル」は、家族との日常シーン、音楽制作のシーン、ビジネス関係のシーン、ライブのシーンなどで構成されている。
音的な全体の印象としては、鮮明かつノーストレスなのに迫力も十分、映像に負けないシネマサウンドだ。台詞やSEのディテールが克明で、大音量のライブシーンでもまるでピュアオーディオで聴いているような解像感と歪み感が抑えられた高純度サウンドを両立する。歪み感が少ない、特に中低音のクリアなサウンドは、音量が上がったシーンでもうるさいと感じない。サブウーファーの鳴りっぷりもタイトで上品。中高域を邪魔していない。
ヤングマイケルの突き抜けるようなハイトーンボーカルは、クッキリと音像が浮かび上がり実在感抜群だし、ライブシーンのバックバンドやシンセも分離が良好でディテールも際立っている。スタジアムコンサートの大歓声の緻密さ、日常シーンのちょっとした物音の分解能まで、広大なダイナミックレンジの中で再現性にいかほどのバラツキがないのは驚嘆に値する。
サラウンドスピーカーはJBLだったので、フロントやセンターも同社製だと思われる。一般的な映画館では中音域がふくよかに出ているが、比較的フラットなバランスにまとまっていた。それでいて、JBLらしいほんのり暖かな質感も乗っていて、聴き疲れの少ない音作りにも唸った。
作品を見終わって劇場を出るとき、作品の面白さによる満足感もあったが、八王子という自らが住む街に、こんなにも素晴らしいシアターが来てくれたことの幸せで胸がいっぱいだった。
極上の映像と音響を実現したイオンシネマ八王子滝山。都心に行けば、さらにハイグレードなシアターがあるけれど、東京の一番西の都市八王子にだって素敵な映画館はある。今後の上映作品が楽しみになるとともに、地域との連携にも期待が高まる。これから映画館に通う回数が確実に増えそうだ。




























