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ソニーの技術とVTuberが“地域の魅力”を伝える!? 「VTuberとめぐる 近江八幡・安土」体験してきた
2026年10月26日 08:00
10月24日に滋賀県 近江八幡にて「VTuberとめぐる 近江八幡・安土」が実施された。VTuber 白雪みしろさんと澄さんの2人によるトークショーと、2人と一対一で会話できる1on1トークを中心としたイベントだ。
このイベントは地域の観光を盛り上げていくことを目的に、来年創業150年を迎える現地の印刷会社のアインズが主催。ソニーマーケティングが共催として、ソニーの技術を用いた音響体験サービス「Locatone」による観光音声ガイドツアーや、モーショントラッカー「mocopi」を用いた今回のトークショーの実施をサポートしている。
そんな前代未聞な地域密着型イベントがどのように行なわれたのか、現地で体験してきたのでその様子をレポート。何故このような形でイベント開催に至ったのか、仕掛け人2人にも話を聞いた。
みしろさんのガイドが超高クオリティ。Locatoneの音声ガイドを体験
まずは8月から先行して実施されている、Locatoneを利用した観光音声ガイドツアー「近江八幡・安土サウンドトリップ ~近江商人が育んだ水郷文化と戦国のロマン~」を体験。
Locatone(ロケトーン)は、スマホアプリを使って、特定のスポットに行くと位置情報と連携して音声や音楽が流れるサービス。近年は観光案内やキャラクターIPと組み合わせたリアルコラボイベントなどに利用されている。
今回のガイドツアーは、アプリから無料で体験でき、終了時期も現状では未定となっており、これから近江八幡エリアや安土エリアを訪れる人も楽しめるコンテンツとなっている。
近江八幡エリアでは「八幡堀」や「日牟禮八幡宮」「水郷巡り」など17カ所、安土エリアでは「安土城跡」「安土城郭資料館」「沙沙貴神社」など11カ所がスポットとして収録。
今回、イベント会場周辺の「旧八幡郵便局」「白雲館」「日牟禮八幡宮」などを巡ってみたのだが、みしろさんのナレーションのクオリティが非常に高い。
ハキハキとした発声だけでなく、聴き取りやすい抑揚とペースで読み上げていて、話している内容がすんなりと頭に入ってくる。美術館などで声優が担当している音声ガイドを聞いているような感覚。近江商人の文化や戦国時代の歴史など、エリアにまつわるさまざまな物語を楽しめた。
あいにくの天候と時間の関係で近場を数カ所しかまわれなかったのだが、安土エリアも含めて全て巡ってみたいと感じる仕上がりだった。
トークイベントも絶好調。澄さんのグルメトーク炸裂
トークイベントでは、会場前方のスクリーンにみしろさんと澄さんの2人が登場。
まず近江八幡の街歩きスポットが紹介され、この地の代表的なスポットである「八幡堀」や、和船の遊覧船でめぐれる「水郷巡り」、「日牟禮八幡宮」を紹介。2人はとくに印象的だったスポットに八幡堀の真横を歩ける道を上げ、水面に浮かんでいるように見える丸い石の橋が「自分の中の少年の心をくすぐる」と澄さんが話し、みしろさんも同意していた。
そして、実はイベントに先駆けて澄さんが近江八幡周辺を巡ったVlogが公開されており、イベントに参加したファン達もこのVlogを参考に周辺を散策したという人も。そんな八幡堀の水面近くを散策したファン達に「昨日歩いたとき、実は虫がすごかったんです。今日行った人達はどうでした、虫?」とみしろさん。澄さんも思わず「そこ聞くんだ!?」と反応し、会場の笑いを誘った。
続いて安土エリアのスポットも紹介。安土エリアは、Locatoneの収録にあたって、みしろさんが事前に訪れていたのだが、なんと所要時間を全て資料館で使いきってしまったという。
安土城についての資料館は「安土城郭資料館」「安土城天主 信長の館」「滋賀県立安土城考古博物館」の3カ所があり、Locatoneにも収録されている。
安土城は、解体された時期の問題でその全貌がまだわかっておらず、発掘調査でさまざまな予想がされているとみしろさん。「それぞれの資料館でムービーを観たのですが、その資料館によって安土城の形が違っていて、そこが面白かったです。資料館から出てきた頃には日が暮れていましたが」と話した。
そんなみしろさんもまだ実際に訪れてはいない「安土城跡」や、佐々木という名字の由来になっているという「沙沙貴神社」が写真で紹介。沙沙貴神社の写真に写る白い花の木が「なんじゃもんじゃの木だそうです」と解説すると、澄さんが「なんじゃもんじゃゲームでしか聞いたことない名前!? 白い花なんだ……」と反応した。
そして話題はグルメパートに。先程のVlogでもさまざまなグルメを堪能していた澄さんのトークが炸裂。
みしろさんが「実は会う前から澄さんがめちゃくちゃ食べていてびっくりしたんですよ」と話すと、澄さんは「私もびっくりしました」と振り返る。
澄さん一推しのグルメとして、Vlogに登場したクラフトビール醸造所「二兎醸造」直営店のビールや、和菓子の「たねや」と洋菓子の「CLUB HARIE」のフラッグシップ店「ラコリーナ」で食べたバームクーヘン、ライスコロッケのアランチーノ、近江牛を使った近江おこわのほか、イベント会場近くでは京都加悦の鯖寿司三種食べ比べを挙げた。
さらに、京都加悦で気になるものを見つけたという澄さん。それが大きなえびせんに鯖寿司をのせた「さばせん」。みしろさんと合流してその話をすると、「じゃあ行こうってみしろさんに言われて、行きました。サバ寿司三種を食べた後に」と。
さらにさばせんを食べる澄さんが面白かったとみしろさん。「さばせんを食べてる澄さん、ずっと『なんで、そっか、なるほど』ってつぶやいてて、最後『そうか……』って1人で納得してたんですよ」と話す。
一方澄さんは、「鯖寿司を食べ歩きたらしめるのがさばせんなのかもと思ったら、なんか納得しちゃったんですよね。最初はどうしてこのメニューを考えたのかをすごく聞いてみたかったです。ちなみに近江八幡店限定で、3年前くらいにできたそうです」と意外と新しいメニューであることを話した。なお、2人のさばせんの評価は「味の前にまず見た目の面白さが来る」で共通していた。
CLUB HARIEの「こだわりすぎの日牟禮ドーナツ」もオススメと話す2人。みしろさんが「澄さんがこのドーナツ頼むときなんて言ったと思います? 『こだわりすぎのやつください』って言ったんですよ。そっちなの!? と思ってしまって」と購入時の様子を話すと、澄さんが「ずっと隣で笑ってると思ったらそういうこと!?」と反応。さらに「ドーナツですね」と返されていたところがみしろさんのツボだったそうだ。
そして、やはり最も注目したいのが近江牛。2人は近江牛のフルコースを堪能したそうで、「前菜のサラダにも近江牛がのっていて、ドレッシングが要らないんです。近江牛の脂がもう甘くて、それで野菜が食べられちゃうんです」と感激したポイントを話した。
さらにそのフルコースのあとに、鮒寿司も食べたとグルメトークが止まらない澄さん。鮒寿司は、塩漬けにした鮒をさらにごはんにつけて発酵させたもの。地酒を購入してきて一緒に飲んだら最高だったとのことだ。そんな澄さんに対して、みしろさんはCLUB HARIEのオレンジケーキをデザートにしていたと話し、グルメトークを締めた。
トークイベント後には、ファンがみしろさん、澄さんとそれぞれ一対一で会話できる1on1トークが実施。ここではソニーの空間再現ディスプレイを使用。観光案内所が入っている白雲館では、同じ空間再現ディスプレイで観光スポットを疑似体験できるエリアが設けられていることもアピールしていた。
2人とも近江八幡どころか滋賀県も初!? 観光イベントにVTuberを起用した理由
実は今回参加している白雪みしろさんと澄さんは、2人とも近江八幡市どころか滋賀県にも、縁もゆかりもないという。しかも今回の取り組みを通じて初めて訪れたのだとか。さらにはこの2人、今回の取り組みが初対面。
そんな2人がどうして起用されたのか、そもそも何故この地でVTuberを主体としたイベントが行なわれることになったのか、仕掛け人であるアインズの常務取締役 山岡郷太氏とソニーマーケティング 事業開発センター 事業推進部 統括部長 北森裕紹氏にその経緯を聞いた。
ソニーマーケティングとしては、地域の観光資源やコンテンツと、ソニーのテクノロジーを組み合わせ「体験を設計していく」「体験を届ける」ことを目的とした取り組みだという。
白雲館に用意した空間再現ディスプレイについても、北森氏の所属するチームが注力していたXR技術を投入し、3Dコンテンツを体験してもらうことで、「こんなに景色が良いなら行ってみよう」とまだ行っていない観光地に足を運んでもらったり、現地を見たあとで、その場だけではわからない要素を補足したりできるのが利点だという。
そして、そこにVTuberが加わることで、「魅力的な発信者が魅力的な体験を伝える」役割になっているのがポイントだと話す。実際に24日のトークイベントには多くの来場者が訪れており、さらに澄さんのVlogを参考するなど、イベントの開催時間前にに周囲の観光をしてきたという人たちがほとんど。効果は十分発揮できていると北森氏は述べる。
実際にVTuberの起用もソニーマーケティング側の発案で、選出も担当。最初にLocatoneで起用されたみしろさんは、演劇や朗読関係の活動にも取り組んでおり、ボイスガイドの収録と相性が良かったこともあるが、一番の理由はイメージにあったという。衣装などには和のテイストが込められており、歴史や文化が観光資源である滋賀のイメージとマッチしていること、加えて今回は織田信長が治めた安土も取り上げられるため、声色や凜とした佇まいに洋の雰囲気も感じられるみしろさんのイメージがマッチしていたとのことだ。
そして、滋賀の魅力を多くの人に伝えることを目指したときに、まず滋賀にゆかりのないみしろさん自身に魅力を知ってもらい、その気づきを発信してもらうことに重きを置いたのが、今回の起用理由とのことだ。
そして、トークイベントに際してもう1人起用するにあたり、同じく滋賀に初めて訪れる人で、観光に関する情報を発信できる旅好き、さらには凜としたみしろさんとは対照的なほんわかとした雰囲気を持っている人ということで、澄さんに白羽の矢が立ったという。
しかし、ここまではソニーマーケティング側の提案。世の中に認知されはじめたとはいえ、まだまだ一般的な存在ではないVTuber、しかも企業に属さず個人で活動している2人を、地元老舗企業であるアインズがどうして受け入れたのか。山岡氏は、提案するソニーマーケティングの熱量と、この企画に肯定的だったアインズの若手社員の熱量を感じて、挑戦することを決めたと話す。
アインズ自体も元々の印刷業を継続しつつ、時代の変化に対応するため、様々な業務を展開しており、そのうちの1つが地域活性で、滋賀のアンテナショップ運営を行なうように。そこで滋賀の魅力を広く発信するにあたって、様々な課題が見つかったという。
ソニーマーケティングとの関係のきっかけは、ソニーが様々な企業と、新規事業や事業開発における課題解決をともに行なうソリューション「Sony Acceleration Platform」にアインズが参加したことだという。これを通じてソニーマーケティングとつながり、地元企業と同じ視線で課題解決を目指すことや、アインズの考えるオープンイノベーションの感覚とマッチングしたのだ山岡氏は話す。
さらに、山岡氏は商工会議所の青年部に所属し、滋賀県のトライアスロン誘致に長年関わってきたという経歴を持っている。トライアスロンの大会を実現するまで10年越しのプロジェクトとなり、発足直後はその費用の規模から、県や地域から反対意見も多くあったという。
そのような中で、新たな取り組みを繰り返し、協会の一般社団法人化や、ふるさと納税も活用するなど、新たな取り組みを取り入れていき、それが良い変化を生んでいく状況を何度も経験したそうだ。さらに昨年、滋賀県は国スポ会場誘致も実現している。
「ネガティブなことばかりを見ているとできることが減っていく。失敗になるかどうかはやってみないとわからない」と話しつつも、もちろん、ただ若手の熱量を信じただけではないと山岡氏は続ける。しっかり懸念点も考慮して一定の覚悟を決め、まずはアインズが主催として自社の責任の中で完結する形にしたとのことだ。
山岡氏は「VTuberのイベントはどのようなものになるかイメージできていなかったが、初めて滋賀を訪れた人達が幅広いエリアに訪問して楽しめている。VTuberの体験を聞いて、実際にそこへ行ってみるという流れを実感した」と話した。
両者がともに話すのは、今回の取り組みはまだ実証実験的な段階で、地域活性の第1歩ではなく、それ以前の0.5歩目にあたる程度だという。さらなる取り組みもすでに動いており、世界遺産の国内推薦に内定した彦根城も舞台に、滋賀県全体の活性化を目指して、これかも注力していくとのことだ。
白雪みしろさん&澄さんにインタビュー。一番の見所は「八幡山の琵琶湖を一望できる広場」
イベントを終えたみしろさんと澄さんに、インタビューする機会も得られた。
縁もゆかりもない地のイベントを何故受けたのかを聞いてみると、みしろさんは自身が旅行好きであることに加えて、リスナー達に外に出ない人が多く、運動不足を訴えている人も多いため、そんな人達の外出のきっかけ、運動のきっかけになればと、この企画への参加を承諾したそうだ。
澄さんは「単純に滋賀と聞いて行きたいと思った」のが主な理由であるほかに、関西リスナーも多く、これまでリアルイベントが関東中心となっていたため、そんな関西リスナーたちと触れあえる良い機会に感じたそうだ。そして、実際に多くの関西リスナーが参加していたのを確認できたそうだ。
みしろさんにLocatoneの収録について話を聞いてみると、原稿の内容が良い勉強になり、それまであまり関心のなかった歴史も色々と勉強できて、かつ好きなエピソードが多かったという。普段から芝居や朗読配信を行なうみしろさんだが、Locatoneはそれらとも異なる、やったことのないジャンルだったため、読み上げ方の調整を細かくしていたとのことだ。
澄さんにも今後の活動にも良い影響がありそうな気づきがあったかを聞いてみると、これまでの旅Vlogは車移動がメインだったところ、今回新幹線移動の手軽さに気付いたという。新幹線も活用して、さらに色々な場所に出向いてみて、それが地域活性にも繋がるのであればとても嬉しいと話してくれた。
最後にそれぞれの一番気に入った場所を聞いてみると、2人とも「八幡山ロープウェーで上がった先にある、琵琶湖を一望できる広場」と応えてくれた。
みしろさんは、景色で感動できる心の清らかさが自分の中にまだ残っていることに気づけたという。
澄さんは、琵琶湖を一望できる景色に加えて、ほのぼのと風を受けられるのが心地良く、お気に入りの場所になったそうだ。
























