プレイバック2021
人生最後の大散財! 長期ローンで「GT-R NISMO SE」買った by 西川善司
2021年12月28日 12:00
結局、今年もコロナ禍を意識しながら過ごした1年だった。海外出張は2021年もゼロとなった。
最初に明かすが、2022年初頭に予定されていたラスベガスへのCES 2022出張は、つい先日中止になった。理由は「多角的な視点に立って判断した」としか言いようがないが、最大の理由は「滞在中に万が一、オミクロン株に感染してしまったら、いつ帰れるか分からなくなる」というところにある。
もしアメリカ現地滞在中に感染してしまうと、高額な医療費は自腹になるし(旅行医療保険には加入するつもりではあったが)、アメリカで完治しても、帰国後は日本で最大で14日の隔離生活の可能性が否定できない。
実はここ十数年間、筆者は毎年律儀に11月にインフルエンザワクチンを接種しているにもかかわらず、これまで3割くらいの確率で、CESへの渡米でインフルエンザに感染してきている。本誌で活躍されている小寺信良氏とは、CES取材の際にはホテルで同室だったことが幾度もあるのだが、ある年は、帰国直後に2人同時に発症し、互いに「あんたのせいだ!」と仲良くケンカしたこともあった(笑)。自分は「ワクチン接種してても3割の確率で感染する男」なので、感染力の強いオミクロン株に勝てる気がしないのだ。
けっこう行くことを楽しみにしていたのだが、残念である。なお、昨今のアメリカでのオミクロン株感染者増大を受けて、CES2022へ参加予定だった企業がリアル出展の取りやめ(オンライン出展に切替え等)や自粛の動きを強めているようだ(記事参照)。果たしてどうなっていくのだろうか……。
DC/マーベル系に限ってブルーレイ3Dが復活の兆し?
それでは、毎年恒例のブルーレイ話から始めよう。
今年は、映画の劇場公開がやや復活したことにも影響されてか、ブルーレイ製品の発売が少しだけ復調した。
今年筆者が購入したのは例年通りに洋画中心で、全30タイトル。国内タイトルはアニメ「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」と音楽ソフト「Fujii Kaze "NAN-NAN SHOW 2020" HELP EVER HURT NEVER」のみ。
筆者はブルーレイ製品を購入する際、3D版が出ていればそちらを選び、それがなければ4K版を選択。そのどちらもなければ普通のブルーレイを選ぶ方針をとっている。
ということで、今年購入したブルーレイ3Dは以下の通り。
・3D/BD「ワンダーウーマン 1984」 1000800290 6,980円
・UHD BD「ブラック・ウィドウ」 VWAS7263 8,800円 ※ブルーレイ3D同梱
・UHD BD「シャン・チー/テン・リングスの伝説」 VWAS7270 8,800円 ※ブルーレイ3D同梱
結果は、DCもしくはマーベルタイトルのみ。ディズニーは近年、日本市場に限っては3Dブルーレイのリリースを行なわない傾向を強めていたが、マーベルタイトルに関しては例外としているようだ。
今年は、ディズニーのタイトルが豊作で、筆者は「ジャングル・クルーズ 」「クルエラ」「あの夏のルカ」「ソウルフル・ワールド」「ラーヤと龍の王国」も購入しているが、どれも4K版でブルーレイ3Dは発売されなかった。CG作品は3Dの方が楽しいので、ピクサー系だけでも3D版を発売してもらえないものか。4年くらい前までは、数量限定や予約販売のみで3D版が提供されていたので、最悪、それでもいいのだが。
それから、結構な話題作なのに、今年は「え? これ、4K版出してくれないの?」というタイトルも多かった。筆者が泣く泣く、ブルーレイ版を買ったのは以下のタイトルである。
・「トムとジェリー」 1000803164 4,980円
・「バイオハザード:インフィニット ダークネス」 BJBO-81717 6,380円
・「ドント・ブリーズ2」 BRBO-81712 5,280円
・「モンタナの目撃者」 1000808690 4,980円
・「ジェントルメン」 HPXR-1178 5,280円
・「アオラレ」 DAXA-5788 5,170円
・「モータルコンバット」 1000806459 4,980円 (編集部注:4K版は当初スチールブック仕様の数量限定1,500セットでの発売だったが、'22年1月26日に通常版が発売される)
“どれ”とは言わないが、「まぁ、これは4K版が出なくも仕方ないか」というものも確かにあるが……(笑)
モバイルノートPCを7年ぶりに買い替えました!
昨年のプレイバック2020の最後に「モバイルノートPCが欲しい」という旨を記したが、実際に2021年3月に新しいのを買ってしまった。
もともと使っていたのは、VAIO株式会社になる前の、SONYロゴの付いた2014年モデル「VAIO Pro 11」(11型)。デュアルバッテリー状態にするとバッテリー駆動時間が長く、タッチ操作も便利でお気に入りだったのだが、さすがに「Core i7なのに2コア4スレッドのCPU」「RAM 8GB+SATA SSD構成」では、現代を生き抜くのにもう厳しいと判断。買い換えを決断した。
今度のマシンもVAIOにする気満々だったのだが、2月の新型VAIO発表会で登場したモデル達が自分の欲する方向性の製品ではなかったため、今回はVAIOを選ぶことができなかった。
自分が新マシンに求めた要件は以下のようなものであった。
・仕事で頻繁に携行することを考えると画面サイズは大きくても13インチ前後かそれ以下
・軽量であること
・原稿を書くことが多いのでキーボードが使いやすいこと。[ENTER]キー周りの辺境キーや、カーソルキーが、異形サイズや"へんてこ"レイアウトになっていないこと
・画面がタッチ対応なこと。タブレット的な活用もできるようにできれば2in1が望ましい
・RAMは最低でも32GB積めること
・SSDはNVMe接続で、ユーザー換装にも対応できること
7年に渡っての熟慮の結果、富士通LIFEBOOK UHシリーズのモデル「WU3/F1」を選んだ。
ほぼほぼ上記の条件を満たしており、不満はなし。というか、上に出した条件がほとんどこのマシンを描写しているかのようで、「オレのためのマシンか」というくらいの勢いである。
特にキーボードの完成度は素晴らしく、実際、富士通自身もこのキーボードに相当な自信があったよう。なんと、このLIFEBOOK UHのキーボードをPC本体から取り外したような単品キーボードの発売プロジェクトを発足してしまったほどである。
ちなみに、筆者が買ったのは2021年2月モデルで、2021年10月にはWindows11をプリインストールしたマイチェンモデルが登場している。今からこのモデルを買う人は、新型の方がいいだろう(2月モデルは、まだ安価なアウトレット品として購入が可能なようだが)。
約9カ月使ってみて、特に大きな不満はないが、最近は、高解像度の動画、写真、PDFに接する機会が増えてきたので、本機の搭載ディスプレイの画面解像度がフルHD(1,920×1,080ピクセル)止まりなのがややもどかしい。できれば次期モデルは2,560×1,440ピクセルのWQHD解像度か、4K(3,840×2,160ピクセル)あたりのモデルも設定して欲しいと思った。
なお、使い古したVAIO 11 Proは、その環境ごと、新LIFEBOOK UHに移行させてしまった。なので、筆者のLIFEBOOK UHはデスクトップがVAIO然としている(笑)。
その移行(クローニング)の様子は、筆者のYouTubeチャンネルで紹介しているので興味がある方はご覧頂きたい。UFEIモードで起動するWindows環境のクローニングテクニックを解説しているので、参考になるはずだ。
そうそう。このLIFEBOOK UHのCPUは、第11世代Coreプロセッサ。その内蔵GPUが比較的高性能ということで、ゲームがプレイできるかも検証した。検証には、2021年4月にグランゼーラより発売されたシューティングゲーム「R-TYPE FINAL2」を用いた。これまた興味のある人はチェックしてもらいたい。インテルCPUの内蔵GPUも、以前よりはだいぶ高性能になったものである。
釣りの趣味はどうなった?~GoPro Hero9を買い足して釣り系YouTuberへ!?
昨年のプレイバック2020で「3密にならない屋外の趣味」ということで、渓流のルアー釣りを始めたことを報告した。
釣り自体も楽しいが、釣り場となる渓流は景色も美しいので、GoPro Hero 8を購入し、その釣行の様子を撮影してYouTubeに公開するようになったことは、昨年のプレイバックコラムでも報告している。
2021年はGoPro Hero 9を買い足し、さらには広角レンズオプションの「MAXレンズモジュラー」も搭載して撮影環境を強化。チェストマウントを装備しての広角撮影もするようになった。また、水中撮影用のカメラカバーも導入。管理釣り場では、許諾を取れば、水中映像の撮影もできるので楽しみの幅がさらに広がった。どハマり状態である。
3月までは1カ月に数回は行くハイペースで出掛けていたのだが、4月から急激に仕事が忙しくなり、今はご無沙汰である。2022年は、時間を見つけてまた再開したいところだ。
人生最後の車「GT-R NISMO Special Edition」購入へ
2012年に一台目を購入して惚れ込み、2013年にはグレードの違いと年次改良を体感するためにわずか1年で買い替えるという、身銭を削った連載を同じインプレスの自動車メディアCarWatchにて「西川善司のNISSAN GT-Rライフ」を2年にわたって行なった。
あの連載終了から約8年が過ぎた2021年の春、長らく付き添った愛車「GT-R Black Edition」の2013年モデルを売却した。
売却先は、連載時に2012年モデルを売却したときに取り上げたGT-R専門店のクラフトスポーツ)である。買取金額は伏せておくが、さすがは中古市場で高値安定のGT-R。7年のローンで支払った金額が全て返ってきたようなイメージである。
売却しようと思ったきっかけは、直接的には2022年秋から施行される騒音規制である。本誌の読者には馴染みのないテーマかもしれないので軽く解説しよう。
国連欧州経済委員会自動車基準世界フォーラムにおいて、地球環境保全と二酸化炭素排出量の削減を目的として、「UN-ECE R51-03」(以下、R51-03)と呼ばれる提言が提唱されている。SDGsに力を入れる日本も、当然の如く、この提言に対して賛同の姿勢を示している。
この規制が厳しいのは“走行音に対する規制”だということ。従来の車検時などに測定されるマフラーの近接排気音だけではなく、タイヤが発する音、エンジンの稼動音、風切り音など、自動車が発する騒音全体に対する規制となる。
なお、この騒音規制、自動車の種別によっては寛容な設定になっており、たとえば多くの人を運ぶバス、重い荷物を運ぶ運送用トラックなどに対しては、70dBを大きく超えた大きな騒音でも許容される。一般的な自動車に対しても同様で、高馬力(≒高出力)の高性能車、つまりスポーツカークラスに対しては相対的に"甘め"。とはいえ、以前よりはだいぶ厳しい規制にはなっている。
このR51-03。突然厳しくなっても自動車メーカーが対応ができないことから、施行猶予期間のような仕組みが設けられている。具体的には、フェーズ1、2、3と年を経るごとに厳しさを増すようになっている。ちなみに、既にフェーズ2は新型車を対象に2020年より施行開始済みだ。既存車種の継続生産車については、フェーズ2は2022年より施行が開始される。さらに厳しさを増すフェーズ3は、新型車が2024年、継続生産車については2026年から適用が始まる。
R51-03ではPMR値(Power to Mass Ratio:出力W(馬力)÷車両重量kgで求められる値)によってクラス分けされており、フェーズ2はスポーツカークラスが時速50km/hの走行騒音がPMR>160クラスで73dB、PMR>200クラスで74dB、フェーズ3ではそれぞれのクラスで-2dB削減が要求される。70+αdBの騒音といえばセミの鳴き声とか掃除機の動作音に相当する。
なお、フェーズ2、3の騒音規制に関する情報をまとめた簡易的な表を下に示しておく。
R51-03騒音規制の一般乗用車に対する要求(dB値は上限値とする)
フェーズ1 | フェーズ2 | フェーズ3 | |
---|---|---|---|
PMR≦120 | 72dB | 70dB | 68dB |
120<PMR≦160 | 73dB | 71dB | 69dB |
PMR>160 | 75dB | 73dB | 71dB |
PMR>200 | 75dB | 74dB | 72dB |
※フェーズ1は2016年から施行
※フェーズ2は新型車については2020年から、継続生産車については2022年から適用
※フェーズ3は新型車については2024年から、継続生産車については2026年から適用
主な国産車のPMR(Power to Mass Ratio)値
日産・マーチ | 61 |
---|---|
ホンダ・フィット | 65 |
トヨタ・カローラ | 67 |
マツダ・ロードスター | 91 |
スバル・BRZ(★1) | 137 |
トヨタ・GRヤリス | 156 |
トヨタ・GRスープラ | 183 |
日産・フェアレディZ(★2) | 193 |
日産・GT-R | 240 |
★1 2021年に発売された新型の値。なお、兄弟車となる新型トヨタ「GR 86」も同値である
★2 2021年に発表された新型の値
まとめると、要は「既存の車種に対しても、2022年秋からは騒音規制が厳しくなりますよ」ということである。
ここ最近、国内外の多くの自動車メーカーによる、純ガソリンエンジンのスポーツカー車種に対し、マイナーチェンジ、生産終了、新型車発表が目まぐるしい動きを見せていたことに気が付いた人は多いだろう。その背景にはこうした事情があったからである。
メーカーから「生産終了」を決断された車種は、この新騒音規制の対応をあきらめたということであり、逆に「マイナーチェンジ」や「新型車発表」は、この新騒音規制に「何らかの対策計画」が確立できたということなのだろう。
筆者が愛して止まない日産GT-Rは、2007年に登場した車種で、2度のマイナーチェンジを受けては来ているが、14年前の既存車ということで設計思想の古さは否めない。
ということでGT-Rに対しては「このまま生産が終了する」という見通しと、「対策して生産が継続される」という見通しの2つがあるのだが、まあ、どちらになるにせよ、さすがにデビューから15年目に突入する車種となれば終焉の日はそう遠くないはずである。なので、まだ買えるこのタイミングに入れ替えを決断した……ということである。
筆者の所有していた2013年モデルは、2017年に行なわれたビッグマイナーチェンジ前のモデルなので、今回、オーダーした2022年モデルは内外装もがらりと変わったものになる。筆者からすれば、新型車同然という心持ち。納車はもう少し先になるが、楽しみである。
ちなみに、売却した金額と貯金を合わせて頭金を作り、今度も長期ローンとなった(笑)。恐らく、これが人生最後の大型散財ということになることだろう。
電動車やハイブリッドカーのみの時代になっていくとしても、スポーツカーという車種自体は今後もなくなることはないだろう。また、既に所有しているマイカーや、あるいは中古車については、前出の新騒音規制は、その生産年時のものが適用されるので、そうしたクルマはまだこの先普通に乗ることはできる。
しかし、純ガソリンエンジン車の新車が購入できるタイミングは、最も厳しい騒音規制のフェーズ3が継続生産車にも適用される2026年あたりがデッドラインになる可能性は高い。また、こうした情勢下では、中古市場のスポーツカーへの関心がますます高くなることだろう。
純ガソリンエンジン車のスポーツカー好きで「次のクルマを何にするか」を意識している人は、あと4~5年の間に大きな決断をする必要があるかもしれない。