プレイバック2024
宇多田ヒカルCDを80枚以上買ったら、ビョーキになりました by編集部 阿部
2024年12月29日 10:00
これは、もうビョーキかもしれません。
存在するかも分からないCDを探し求め、中古CDショップとオークションサイトを日々さまよい続けています。
こんな事になった理由は分かっています。
今年4月1日に掲載した記事『宇多田ヒカル「First Love」都市伝説は実在した! CDはプレスで音が変わる』です。
記事にも書かれてあるように、筆者の秋山真氏と共にこの都市伝説ネタにチャレンジしたのは、今回が2度目です。
1度目は、今は亡き「AV REVIEW」という雑誌で展開していた秋山氏の連載記事でした。しかし結果は空振り三振……まったく注目されませんでした。いま思えば、あの時は肝心の“ビクタープレス盤”が未発見のままでしたし、紙媒体という特性上、拡散力がウェブに比べて圧倒的に不足していました。
で、10年ぶり2度目のチャレンジは、めでたくホームラン。有難いことに前編・後編共に多くの方に読んでもらうことができましたし、J-WAVEのディレクターさんの目にも止まって、秋山氏とまさかのラジオ生出演もさせてもらいました(隣のブースでは生吉岡里帆が収録してて、わたしは生放送そっちのけでガン見してその姿を両目に焼き付けたことはココだけの秘密です)。
ただ、その代償はとても大きいものでした。
記事掲載の1年半以上前から、都内・県外の中古CDショップを練り歩き、ときにはネットオークションまで駆使し、約5カ月かけてようやく発見した“ビクタープレス盤”ですが、発見時にあふれ出た脳汁をカラダが覚えてしまったのか、その後も「First Love」のビクタープレスを見つけ出しては購入するという奇怪な営みを繰り返すようになってしまったのです。
そして2枚、3枚、4枚……とビクタープレス盤を収集するにつれ、盤面に刻印された「IFPIコード」(IFPI SID Code)以外にも、ビクタープレスであることを示す“マーク”があることを発見。いつしか、IFPIコードが不鮮明なネットオークション画像であっても、微かに見えるマークを頼りに、ビクタープレス盤を“一本釣り”できるようになり、その行為にも快感を覚えるようになりました。
ただ、自室に累々と積まれ、寝床を侵食していく「First Love」を見て、気付きました。「もう83枚だ。終わりにしよう」と。
しかし、ビョーキは治りませんでした。
都市伝説記事の裏取りを進めていく過程で、関係者から「数十~数百万枚売り上げる人気アーティスト」であること、「CDメディア最盛期」であること、「(プレス工場を持たない)レーベル」であることなどの条件が重なれば……
(宇多田ヒカル以外にも)複数のプレス違いが存在する可能性が高い
……ことを知ったのです。
さらに取材中、IFPIメンバーにしか開示されていないという極秘資料「IFPIコードリスト」の閲覧に成功。
「First Love」捜索開始時は、東芝EMI、コロムビア、ソニー、ビクター、メモリーテックの存在しか把握できていなかったところに、パイオニア、オプトロム、三洋マービック、日本オプティカルディスク、NECホームエレクトロニクス、テイチク、東洋レコーディングなどのプレスCDがこの世に存在していたことも知りました。
知ってしまった以上、見つけたくなるのが人の性というものです。その結果は、以下の写真の通りです。
どの工場に発注され、プレスされたのか? ネットを探しても、ChatGPTに聞いても答えは見つかりません。
安室奈美恵「Sweet 19 Blues」にパイオニアプレス盤、浜崎あゆみ「A BEST」にビクタープレス盤は存在するのか? 華原朋美「storytelling」とglobe「FACES PLACES」にソニープレス盤はないのか?
存在するかも分からないCDを探し求め、2025年も、成仏できない亡霊のように中古CDショップとオークションサイトをさまよい続けることになりそうです。