プレイバック2025

ハンス・ジマー追って横浜&名古屋へ。骨まで震えた低音サイコー by編集部 阿部

名古屋公演より

今年のハイライトは、何といっても、敬愛する作曲家ハンス・ジマーさまのライブに参戦できたことであります。

10年ほど前からライヴ活動に目覚め、ヨーロッパ、北米、オセアニア、アジアを巡るワールドツアーを何度も行なっておきながらなぜか日本をスルーしてきたあのジマー(氏曰く「コスト、アリーナの確保が難しかった」とのこと)が、ようやく、日本で初めて公演してくれたのです。

中学時代からジマーのCDを買い集め、大学の卒業制作ではジマーの雑誌を作り、周りからプークスされた黒歴史まで持つ筆者からしてみれば、実に30年間待ちわびた今回のスペシャルイベント。横浜と名古屋の2公演、生のジマーサウンドをたっぷり浴びてきました。

横浜ぴあアリーナMM(5月20日)
名古屋IGアリーナ(5月24日)
もちろん、名古屋公演を楽しんだ後は「味仙本店」でらめーん。ウマウマ

ここでジマーをご存じない方のために超ザックリ説明すると、彼は映画のシーンに合わせて、音楽(スコア、背景音楽とも言われる)を当て込んでいく、業界では超有名な映画音楽作曲家です。

キャリア歴は30年超。これまで、ジェリー・ブラッカイマーやリドリー・スコット、クリストファー・ノーラン、ドゥニ・ヴィルヌーヴといった名プロデューサーや著名な監督が手掛ける超大作から、恋愛映画やコメディ、アニメ、ゲーム、スポーツ番組のテーマなどなど、様々なジャンル・作品を担当してきました。

代表作は『レインマン』、『バックドラフト』、『グラディエーター』、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ、『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ、『ダークナイト』シリーズ、『インターステラー』、『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』、『DUNE/デューン 砂の惑星』シリーズなど。最近だと『トップガン マーヴェリック』や『F1/エフワン』もジマーの作曲。

例えジマーの名前は知らなくとも、重厚でエモーショナルなメロディを耳にしたら「聞いたことあるかも!」となる方、結構多いんじゃないでしょうかね?

フジテレビ系列で放送されていた対決バラエティ「料理の鉄人」のBGMは、ジマー作曲の『バックドラフト』
テレビ番組でよく耳にする『ザ・ロック』のテーマ曲もジマー
東京オリンピック2020の開会式で流れた「イマジン」。実は、この編曲を担当したのもジマー

さて、肝心の日本公演。感動したと言いますか、2025年のハイライトというより、人生のハイライトでした。

40人編成のオーケストラと合唱団、そして20人のプレイヤーで結成されたジマーバンド“The Disruptive Collective”による演奏はゴージャス&パワフルで、まるで大規模なロックライヴのよう! 大好きな楽曲を、爆音で浴び続ける2時間半はまさに至福の一言でした。

横浜公演より
名古屋公演より

それから、やっぱり低音が気持ちいいですな~。

ジマーの音楽は、どれも低音がモリッモリ。例えば『ダークナイト』や『インターステラー』、『DUNE』などの楽曲は、サブウーファーがばいんばいんに震えるくらいの低い信号がコッテリ記録されているから、低域を受け持つサブウーファーの存在がめちゃ重要なんですよね。

ハンス・ジマーのライヴの模様を映画化した『HANS ZIMMER & FRIENDS: DIAMOND IN THE DESERT』より「インターステラー」演奏シーン
こちらは「パイレーツ・オブ・カリビアン」の演奏シーン

友人などにサブウーファーのことを話しても「デカいし邪魔だし、部屋がただウルサクなりそ」とかネガティブなイメージばかりを聞くのですけど、低域をしっかり鳴らすと、中高域がすごくクリアになって、さらに高域も伸びたレンジの広い音に感じるんですよね。確かに邪魔だけど(笑)、単純に低域だけがもっこりするわけじゃあないんですよ。

で、生のライヴは、低音がハンパなくワイルド。会場の壁もビリつくほどで、座って聴いていた筆者の上半身……特に鎖骨・胸骨まで震えるほどの迫力&ボリューム!若い頃は邦楽・洋楽のライヴもいろいろ行ってましたけど、人生であんな低音を大音量で聞いたのは初めてでした。

ジマーが作曲時に使用しているスピーカーは、クエステッドのスタジオモニター。もちろん、マイスピーカーもクエステッド。音はもちろん、無骨なフォルムもサイコー

ジマーのプライベートスタジオと同じブランドのスピーカーを使ったり、サブウーファーを2発置いたり、スタジオ用のアンプを買ったり、限られた予算と環境の中では、自分の部屋でもそれなりにジマーのサウンドを再現できていると思っていましたが、まだまだ努力と修行が足りませんな。

というわけで来年からは「ジマーライヴの再現」を目標に、オーデオ環境を少しづつブラッシュアップしていきたいと思います。あと、来年こそアトモス化も頑張ります……!

ちなみに、12月26日からは、ハンス・ジマーのコンサート映画『ワールド・オブ・ハンス・ジマー:新次元へ』が、TOHOシネマズ日比谷ほかで順次公開されますゾ。ジマー好きは必見!
阿部邦弘