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高音質プレーヤーでゲーム配信最強! 録音もプロ並の「Xperia 1 IV」

Xperia 1 IV

Xperiaの新フラッグシップモデル「Xperia 1 IV」が登場した。世界で初めて、望遠カメラにも光学ズームレンズを採用し、シリーズ譲りの強力なAF、HDR動画撮影機能、強力な手ブレ補正機能を備えるなど、カメラの進化が注目されている。だが、それだけでなく、映像表示やサウンドまわりなど、“動画や音楽を楽しむスマホ”としての実力も大幅に向上している。

そこで、AV Watch的な視点で「Xperia 1 IV」の実力をチェック。人気の完全ワイヤレスイヤフォンや、オーディオ用ヘッドフォンも接続しながら“最強AVスマホ”のクオリティを体験する。

“明るい”は正義。鮮烈な画質が楽しめるディスプレイ

6.5型の4K解像度有機ELディスプレイを採用

Xperia 1シリーズは、これまでハイクオリティかつ、横に長いアスペクト比21:9のディスプレイを採用。シネマスコープサイズの映画などを楽しむ際に、スマホとは思えない迫力の大画面が楽しめるのが特徴だが、Xperia 1 IVでもその特徴を引き継ぎつつ、さらに進化。

具体的には、6.5型の4K解像度有機ELディスプレイを採用しているのだが、輝度が従来モデルより約50%も向上した。有機ELであっても、鮮烈な表示が可能になっている。

Xperia 1 IV

実際に、夜の歓楽街や、夕暮れの海辺を撮影したHDR動画を表示してみると、思わず「おっ!」と声が出るほど美しい。明るい部分の輝度が高いため、ネオン看板や夕日の光が鮮烈で美しい。ネオン看板に使われている赤や青といったカラフルな色も、純度も高く、色に力がある。

有機ELは黒に締まりがあるため、ネオンに照らされていない路地裏や、浜辺に落ちた石の影といった部分は、黒がキチッと沈み込み、“黒がちゃんと黒として表示されている”。ここが苦手なスマホでは、暗い部分が全体的に薄く光ってしまい“黒にならない”のだが、Xperia 1 IVではそういった心配はない。

鮮烈な明るい部分と、漆黒の黒が画面内に同居しているため、コントラスト感が凄まじい。3D映像でもないのに、画面に奥行きを感じ、それが立体感に繋がっている。“映像を見ている”というより、“小さな板状の窓の向こうに、本物の夜の街や、浜辺が存在している”かのようだ。

暗部の描写力があり、階調もしっかり描けているため、浜辺で逆光になった女性の服のシワなども知覚できる。Netflixアプリで映画も見てみたが、明部の力強い描写と、暗部の階調豊かな表示により、映画らしい重厚な映像表現がスマホで実現できている。これは“映画ビューワー”としても一級品だ。

ちなみに、Xperia 1 IVは、ソニー・ピクチャーズと連携した映像配信サービス「BRAVIA CORE for Xperia」が利用できる。これは、21:9で楽しめる、最新映画やヒット映画の中から、好きな5作品をユーザーが選び、それが見放題になるというもの(視聴期限は2028年2月23日まで)。ソニー・ピクチャーズの豊富な映画ラインナップが1年間見放題になるという特典もついている。

さらに、BRAVIA CORE for Xperiaの映像はハイビットレートでハイクオリティなため、Xperia 1 IVを購入してすぐに、“21:9ディスプレイの本領発揮”ができるわけだ。

ディスプレイの画質設定は「スタンダードモード」と「クリエイターモード」から選択

ディスプレイの画質設定は「スタンダードモード」と「クリエイターモード」から選択でき、クリエイターモードでは、人肌が美しく、ナチュラルな表示に。スタンダードモードではスッキリとした抜けの良い色味になる。なお、スタンダードモード中でも、特定のアプリで自動的にクリエイターモードを適用する「自動クリエイターモード」も用意する。

スタンダードモードでは、BRAVIAで培われた技術を投入した高画質化処理「X1 for mobile」も利用可能。ONにすると、模様や輪郭に先鋭感が出て、質感も豊かな表示になるという。さらに、フレームごとにHDR表示を最適化する「リアルタイムHDRドライブ」も有効になる。

高画質化処理「X1 for mobile」の効果。左がOFFで、右がONにしたもの

実際にX1 for mobileの効果を試してみると、森の木の葉や、岩肌の凹凸、地面のコンクリートや小さな突起、ビル外壁のタイルの輪郭などが、ONにするとクッキリ解像されて、情報量が増したように感じる。

4K映像でも効果があるが、フルHDの動画でもONにすると、まるで4Kのような精細感で楽しめる。YouTubeで低解像度な映像を再生する時にも活躍するだろう。単純にシャープネスをかけたギラギラした不自然な強調感は無く、ONにしても映像の質感は自然なままなので、常時ONでも良いと感じる。

フレームごとにHDR表示を最適化する「リアルタイムHDRドライブ」は、ONにすると、コントラスト感がより高まる。夜景の動画では、路地裏など、暗部の黒の締りがより安定する印象だ。この機能も常時ONがオススメ。なお、クリエイターモードを選んだ時でも、この機能を追加でONにする事もできる。

リフレッシュレートを120Hzに設定すると、例えばWebブラウザで縦に長いページを高速でスクロールしたり、TwitterなどのSNSの投稿をザーッとスクロールした際に、絵や文字がブレずにクッキリとしたままスクロールでき、快適だ。

残像を低減する機能

内蔵スピーカーの低音再生能力に驚く

コンテンツ視聴では、映像だけでなく内蔵スピーカーのクオリティも大事だ。Xperia 1 IVではステレオスピーカーを搭載しているが、これが普通のスマホとひと味違う。まず、スピーカーの配置位置が、スマホの天面や下部ではなく、前面の上下になっている。つまり、スマホを横にした時に、ユーザーに向かって直接音を放出する配置だ。これを「フルステージ・ステレオスピーカー」と名付けている。

フルステージ・ステレオスピーカーを内蔵

Xperia 1 IVではこのフルステージ・ステレオスピーカーがさらに進化。内蔵ドライバーが新しくなり、磁気回路にマグネットを追加し、よりパワフルな駆動が可能になった。振動板も、エッジやボイスコイル部分を拡張する事で、より大振幅が可能な構造になっている。

また、スピーカーユニットを、単にスマホに内蔵しただけ……ではない。ユニットを、エンクロージャー……つまり、専用の箱に取り付けた状態で、そのユニット+箱をスマホに内蔵している。簡単に言えば、“超小さなオーディオスピーカーを、まるごとスマホの中に埋め込んだ”みたいな構造になっている。

エンクロージャーの構造をより進化させ、容積は同じながらも、低音をさらに増強させた

このスピーカー・エンクロージャーは、Xperia 1 IIIから採用されている特徴だが、音量を上げても、ユニット・エンクロージャーの振動が、スマホの筐体に伝わりにくいという利点がある。振動がスマホの筐体全体に伝わると、筐体自体も振動して音を出してしまい、スピーカーの再生音と混じって、音を汚してしまうのだ。

Xperia 1 IVでは、エンクロージャーの構造をより進化させ、容積は同じながら、まるで容積が拡大したかのように、低音をさらに増強させる構造になったという。新ユニットと、新しいエンクロージャー構造、さらに信号処理によるチューニングを組み合わせる事で、最大音圧が従来モデルより約10%向上。特にベースやドラムなどの低音音圧は20~50%向上したそうだ。

試しにYouTubeアプリで、スティングとシャギーが「Englishman in New York」を歌う「Sting And Shaggy: NPR Music Tiny Desk Concert」という動画を再生。ギターにベース、ボーカルとコーラスという編成だが、音が出た瞬間に、情報量の多さに驚く。

凄さがわかりやすいのが、ベースの低音だ。ご存知の通り、一般的なスマホ内蔵スピーカーは、低音はほとんど出ず、中高域だけの“スカスカした音”になりがちだ。しかし、Xperia 1 IVでは、低音が強化された事で、ベースの「ズンズン」という低い音がしっかり描写される。単に低い音が出るだけでなく、それがパワフルに押し寄せてくる“音圧”も感じられる。こんなスマホはなかなかない。

筆者はいつも、就寝前にベッドの中でスマホでミュージックビデオを再生するのだが、普通のスマホ内蔵スピーカーでは音がショボくて我慢できず、ベッドから出て、Bluetoothスピーカーを探して、枕元に置いて電源をONにして……という面倒な作業をしている。

しかし、Xperia 1 IVでは低音から高音までバランスよく再生されるため、満足度が高く、「別にBluetoothスピーカー探さなくていいや」という気分になり、そのまま聴き続けられる。

また、この薄型筐体で低音をしっかり鳴らしながら、ボリュームを上げていっても、中高域のクリアさ、明瞭さがまったく低下しないのも凄い。一般的なスマホでは、ボリュームを上げると、筐体自体が“鳴いて”余分な音を出してしまい、それが中高域の音を汚し、明瞭度が下がり、ボワボワした音になってしまう事が多い。

Xperia 1 IVはそれがまったくなく、大音量でも中高域はクリアなまま。エンクロージャー構造の進化により、低域を増強と同時に、余分な振動を抑える仕組みも効果を発揮しているのがわかる。

このパワフルでクリアなサウンドは、音楽だけでなく、映画鑑賞でも活きる。「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」を観てみたが、群衆がスパイダーマンを取り囲むシーンでは、人々の「ザワザワ」という話し声が1つ1つクリアに描写され、さらに音場がスマホの画面サイズを遥かに超えて横に広がる。

ドクター・オクトパスとのバトルシーンでは、爆発音の低音もクッキリと描写し、迫力がある。そして、低音が激しく鳴っている最中でも、金属アームが自動車を貫く「ガキン! バキン!」といった鋭い音は非常に鮮明に描写される。セリフもクリアなため、何を言っているのかが聴き取りやすい。

今まで、スマホで映画やドラマを観るという行為は“鑑賞”というより“内容確認”というイメージだったが、Xperia 1 IVの映像とサウンドで再生すると、絵と音に力があるため、作品の世界にグイグイ引き込まれ、スマホで観ている事を思わず忘れてしまう。これはかなり新鮮な体験だ。

ちなみに、別売アクセサリーとして、背面に開閉式のスタンドを備えた「Style Cover with Stand for Xperia 1 IV」(XQZ-CBCT)も発売される。卓上に置いて、映画やミュージックビデオなどを楽しみたい時には便利だろう。

背面に開閉式のスタンドを備えた「Style Cover with Stand for Xperia 1 IV」(XQZ-CBCT)

ポータブルオーディオファン歓喜のイヤフォン出力

3.5mmの有線イヤフォン出力を備えている

もう1つ、サウンド面で見逃せないのは“3.5mmの有線イヤフォン出力を備えている事”だ。ご存知の通り、昨今のスマホではイヤフォン出力が省略されるケースが多い。ワイヤレスイヤフォンは既に一般的なものになっており、確かに便利だが、お気に入りの有線イヤフォンやヘッドフォンも使いたい時がある。イヤフォン出力を用意してくれているXperia 1 IVは、そんなポータブルオーディオファンにもありがたい存在だ。

このイヤフォン出力も、単に“搭載している”だけではない。前述のスピーカーと同様の話だが、スマホは薄い空間に、様々なノイズを発するパーツが詰め込まれている。Xperia 1 IVでは、そうしたノイズが再生音に影響しないよう、シールドなどの対策をキッチリ講じている。

また、前モデル「Xperia 1 III」からの特徴だが、内蔵アンプの駆動力が高く、能率の低いイヤフォン/ヘッドフォンも鳴らしやすいスマホになっている。

その上で、Xperia 1 IVのイヤフォン出力はさらに進化した。具体的には、デジタル信号をアナログに変換するDACチップの後の行程が違う。音声信号とグラウンドが、イヤフォンジャックまで通る基板上の経路が大幅に削減された。当然ながら、経路が長いと、そこを通っている間に音は劣化する。できるだけ短くする事が高音質化には重要で、Xperia 1 IVではそれを徹底したわけだ。

こうした高音質化の手法は、オーディオ機器でよく使われるもので、オーディオマニアはニヤリとするポイントだ。マニアックな話ではあるが、デジタル技術のカタマリであるスマホにおいて、こんなにアナログなアプローチで高音質化を図っているのが、“オーディオメーカーのソニー”らしくて面白い。

進化した音質を確かめるべく、ソニーの有線ヘッドフォン「MDR-Z7M2」を接続した。

ソニーの有線ヘッドフォン「MDR-Z7M2」を接続

標準の「ミュージック」アプリで、「あいみょん/マリーゴールド」(CD音質/FLAC)を再生する。ちなみに、このアプリはプラグインなど追加せずにハイレゾの再生に可能だ。

イントロの段階で、SN比の良さがわかる。ギターやドラムの音がクリアなだけでなく、背後の空間に音の余韻が広がっていく様子が良く見える。そのため、音楽が立体的に聴こえる。ヴォーカルの描写も繊細で、声の表情が良くわかる。

この曲は、出だしは抑えたトーンで展開するが、声の低い部分や、背後のベースの低音が“しっかり低い”。よくある、中低域を膨らませて“低音感”を出しているのではなく、キチッと低い音が本当に出ている。これが音楽全体を下支えしてくれるため、安定感がある。

聴いていると「やっぱり有線ヘッドフォンは良い音だなぁ」としみじみ思う。最近は完全ワイヤレスイヤフォンが人気で、音の良いイヤフォンも沢山あるが、やはり低音に関しては、“本格的な有線ヘッドフォンを、駆動力のあるアンプで鳴らした音に”アドバンテージがある。

MDR-Z7M2のユニットには、最上位機「MDR-Z1R」の技術を投入した、70mm径の大型アルミニウムコートLCP(液晶ポリマー)振動板が使われている。情報量の多い、繊細な音楽の描写が可能だが、大口径ユニットなので、アンプ側にも駆動力が必要となる。Xperia 1 IVは、こんなに薄いスマホながら高い駆動力を持っているわけだ。

MDR-Z7M2

ハイレゾ以外も聴いてみよう。最近は、YouTubeでミュージックビデオやライブ映像を楽しむ人も多い。前述の、スティングとシャギーによる「Englishman in New York」のライブを、YouTubeで再生してみる。

重厚なエレクトリック・ベースが、音圧豊かにグイグイと押し寄せて最高に気持ちがいい。観客の歓声や拍手の音も細かく解像され、それらの音が、ライブ会場の壁に反響する音まで聴きとれ、“会場のサイズ感”が音でわかる。

このままでも良い音だが、Xperia 1 IVには、YouTubeも含めて“非ハイレゾ”なサウンドを、AIが解析してハイレゾ相当の高音質に変換してくれる「DSEE Ultimate」機能がある。これをONにすると、ヴォーカルやギターの高音がより伸びやかになり、空間描写もより細かく聴き取れるようになる。低音のベースラインもより深く、パワフルに聴こえて満足度もアップ。積極的に使いたい機能だ。

音楽配信サービスも試してみよう。Amazon Music HDアプリを使い、ハイレゾの「宇多田ヒカル/One Last Kiss」を再生すると、序盤のビートが迫力満点。かすれるような宇多田ヒカルの吐息まじりのボーカル描写が繊細で、生々しく、聴いていてゾクゾクする。こうした細かい音の描写に“ハイレゾの良さ”を感じるが、それをしっかり楽しめるのは、Xperia 1 IV × MDR-Z7M2の実力あってこそだ。

Amazon Music HDでは、空間オーディオの楽曲も配信している。Dolby Atmosでマスタリングされた「コールドプレイ&セレーナ・ゴメス/Let Somebody Go」を聴いてみると、音が広がる空間が、通常の楽曲よりも圧倒的に広く、まるで宇宙空間で聴いているような感覚になる。

スマホのDSEE Ultimateや360 Reality Audio設定画面

360 Reality Audioのサウンドも凄い。「KANA-BOON/シルエット Live at Sony Music AnimeSongs ONLINE 2022」や、「SPYAIR/轍~Wadachi~」のライブ音源を聴いてみると、360 Reality AudioのON/OFFで聴こえ方がまるで違う。

OFF、つまり通常のステレオ再生では「ああ、ライブ盤ね」という音なのだが、ONにすると空間が横にも前後にも、さらに上方向にもグワッと拡大。まさに“ライブ会場にワープ”したような音になる。特筆すべきは“上方向への広がり”だ。現実のライブ会場に行くと、ボーカルの声やギターソロの響きが天井高くまで響いて、思わず上を見上げて「あぁ気持ちいいなぁ」と感じるが、あの感覚が、ヘッドフォンで再現されて驚く。

なお、360 Reality Audioを聴く場合は、ソニーの「Sony | Headphones Connect」アプリを使い、自分の耳をスマホで撮影すると、自分の耳の形状を分析し、それに最適化した音で360 Reality Audioを再生してくれる。さらに、MDR-Z7M2も360 Reality Audioに対応したヘッドフォンなので、アプリから「このヘッドフォンを使う」とMDR-Z7M2を選べば、より最適化したサウンドで360 Reality Audioを楽しめる。設定にそれほど時間はかからないので、効果を最大化するためにも個人最適化・ヘッドフォンの指定はやっておくのがオススメだ。

以前は数えるほどだった360 Reality Audio楽曲も増加しており、例えばAmazon Music HDでは、Amazonがオススメの360 Reality Audio楽曲をまとめたプレイリストも用意。執筆時点では42曲が登録されているほか、検索欄に「360 Reality Audio」と入れると、さらに多くのアルバム・楽曲がヒットする。ライブ盤だけでなく、スタジオ録音した楽曲でもユニークな効果が楽しめるので、いろいろ聴いてみると面白い。Amazon Music HD以外にも、360 by deezerや、洋楽の配信サービスとなるがmugs.netでも360 Reality Audio楽曲は配信されている。

また、様々な音源を独自のアルゴリズムで立体的なサウンドに変換してくれる「360 Upmix」に新たに搭載している。普通のステレオ音源で試してみると、ボーカルやギターなどの音像が頭の中で定位する“頭内定位”のキツさが、360 UpmixのONで緩和される。音像が頭の中心からやや離れ、フワッと音場が広くなる。イヤフォン/ヘッドフォンの閉塞感が苦手という人には、マッチする機能だろう。ちなみに、利用できるのはイヤフォン/ヘッドフォン接続時のみで、内蔵スピーカーでは使用できない。

ワイヤレスでも高音質なLDAC対応。Bluetooth LE Audioもサポート予定

人気のワイヤレスイヤフォンを使う場合でも、Xperia 1 IVを使うと高音質が楽しめる。ワイヤレスでも最大転990kbps、ハイレゾの情報量で伝送できるLDACコーデックに対応しているのだ。接続するイヤフォンがLDAC対応であれば、ワイヤレスでもハイレゾの情報量を伝送できる。

今回は、ソニーのLDAC対応完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」を組み合わせてみた。

ソニーのLDAC対応完全ワイヤレスイヤフォン「WF-1000XM4」

映画『シン・ウルトラマン』主題歌として話題の「米津玄師/M八七」を、Bluetoothの標準的なコーデックであるSBC接続で聴いたあと、 設定画面から「LDAC」接続へと切り替えてみると、音の聴こえ方が確かに変わる。

「M八七」は冒頭、ストリングスとボーカルが重なってスタートするが、SBCではゴチャッとくっついていた弦楽器の音とボーカルが、LDACではしっかりと分離して聴こえる。音と音が重なり合い、それらが組み合わさって音楽を構成しているのがよくわかる。それぞれの音が、情報量多く描写される事により、聴き分けやすくなったのだろう。

歌い上げるボーカルの余韻が、波紋のように広がり、奥の空間へと消えていく様子もLDAC接続の方が良く見通せる。外を歩きながら聴いていると、まわりの世界に、心地よい音の余韻がどこまでも広がっていくように感じられ、とても気持ちが良い。

WF-1000XM4自体は、ニュートラルなサウンドで、低域や高域を無理に強調してはいない。それゆえ、送り出し側であるXperia 1 IVの情報量の多いサウンドが、そのまま味わえる。

アプリ「Sony | Headphones Connect」では、ユーザーの耳にイヤーピースのサイズが合っているかどうかのテストも可能。また、WF-1000XM4も360 Reality Audio認定イヤフォンなので、自分の耳を撮影して、空間オーディオ再生の最適化も可能だ。

WF-1000XM4も360 Reality Audio認定イヤフォンなので、ユーザーの耳をスマホで撮影して、耳の形状に最適化した空間オーディオの再生が可能だ

ヘッドフォンのMDR-Z7M2と比べると、イヤフォンのWF-1000XM4の方が“頭内定位”は強めなので、360 Reality Audioの広がりのあるサウンドの恩恵は、むしろWF-1000XM4の方が強く得られるだろう。

また、Xperia 1 IVは次世代のBluetooth技術である「Bluetooth LE Audio」にも、今後のアップデートで対応が予告されている。Bluetooth LE Audioには様々な特徴があるが、音質面では、高音質と低消費電力を実現するという新オーディオコーデック「LC3」(Low Complexity Communications Codec)に対応する。これは、SBCよりも50%低いビットレートで、より高音質な再生ができるというもので、消費電力を抑えながら、良い音で長時間の再生が可能になると期待されている。

こうした、新技術に対応したイヤフォン/ヘッドフォンが登場した時にも、Xperia 1 IVを持っていれば、その実力を堪能できるというわけだ。

「Music Pro」でプロレベルの録音も

プロレベルの録音ができる「Music Pro」アプリ

ここまでは、“音楽をハイクオリティに楽しむ”話だったが、Xperia 1 IVには“ハイクオリティな音楽を作る”機能も搭載されている。それが、プロレベルの録音が可能なアプリ&サービスの「Music Pro」だ。

おうち時間の増加により、歌唱や楽器の演奏を趣味とする人は増えており、俗に言う“歌ってみた”動画をネットにアップロードする人も増加している。ただ、実際にやってみるとわかるのだが、一般的な家庭で“良い音で音楽を録音する”というのは非常に難しい。

音響調整をしっかりしたスタジオであれば問題ないが、普通の部屋では、部屋の壁などに音が反響し、不快な残響音となってマイクに録音されたり、冷蔵庫やエアコンなどのノイズが入ってしまう……というのも、よくある事だ。

Music Proは、ソニーミュージックと共同開発されたもので、Xperia 1 IV内蔵マイクで収録したボーカルやアコースティックギターなどの音を、クラウド上で処理。プロのスタジオで収録したかのようにノイズや残響音を低減してくれるというもの。

さらに、マイクで収録した声を、ミュージシャンがレコーディングで使う、100万円近くする真空管式コンデンサーマイク「C-800G」で“収録したような声”に、マイクの特性を再現するように変換してくれる。また、本物のスタジオで録音したか音になるよう、シュミレートした残響音をプラスする事もできる。

真空管式コンデンサーマイク「C-800G」

これらは「Studio tuning」機能と呼ばれている。つまり、録音用アプリと、録音したデータをクラウド上で“プロっぽいサウンドに変換する”サービスを組み合わせたのが「Music Pro」というわけだ。

使い方は簡単で、Xperia 1 IVを三脚に固定。Music Proはマルチトラック録音が可能なので、ボーカルだけ、ギターだけ、ボーカル&ギターと、録音する音を選んでから収録できる。

一般的なリビングで録音しても、スタジオで収録したようなサウンドに変換できる(by 半水「五月雨」)

一般的な部屋や屋外で収録すると、その場では静かだと思っていても、録音した音に「ンー……」という冷蔵庫のかすかなうなりが入ってしまったり、歌っている声が部屋に反響した音まで収録されたり、外の騒音や風の音が入ってしまう。

そこで、Studio tuningでクラウド処理してノイズを除去すると、そうした不要な音がキレイに消える。残響も除去すると、部屋に反響していた声が消え去り、まるで歌手がこちらに一歩近づいてきたかのように、声の音像がグッと近くなる。まるでスタジオで収録した音のようだ。

そこに、マイクシミュレートを適用すると、声の低い部分の音圧がアップ。さらに、高音が細かく、繊細な表現になる。声の魅力的な部分を増幅してくれるような感覚で、非常に面白い。

最後に、スタジオをシミュレートした残響をプラスすると、静か過ぎた音楽に自然な響がプラスされ、ぐっと聴きやすく、味わい深くなる。

スタジオをシミュレートした残響をプラスすると、防音スタジオで録音したかのような聴きやすく、味わい深い音になる

これらの処理は強力で、例えば屋外で歌った録音を「うまく歌えたので、よりしっかりした音で残そう」と考えた場合、周囲のノイズを除去し、スタジオで収録したような音に変換して残せる。録音だけでなく、音源ファイルをアプリに取り込む事もでき、アプリ内で簡易ミキシングもできるので、弾き語りだけでなく、より凝った音楽を作る事も可能だ。

こうしたプロレベルの変換処理が、初月100MBデータまで無料で利用できる。バリバリ使いたい場合は、有料サービスに加入すると、1GBまで月額580円で利用できる。

部屋に吸音材を貼り付けたり、高価なマイクを購入するのはハードルが高い。スマホがあれば、気軽に本格的な音楽制作がスタートできるのは、今までに無かった魅力だ。

ゲーミングスマホであり、ゲーム実況スマホでもある

“歌ってみた”投稿に加え、昨今ネットで人気なのは“ゲーム実況配信”だろう。配信を観るだけでなく、自分でもやってみたいと考えている人も多いと思うが、これも、実際にやってみると技術的なハードルが高い。しかし、Xperia 1 IVはその解決手段を用意している。

スマホからYouTubeに直接配信できる

例えば、PCを使わずに、Xperia単体でYouTubeでのゲーム配信ができる。ゲームをプレイする時に便利な機能をまとめた「ゲームエンハンサー」を備えており、「動画&配信」メニューの「ライブストリーミング」からYouTubeのアカウントにログインし、番組のタイトルや概要欄の説明、解像度とフレームレート、配信の遅延(通常/低遅延/超低遅延)などを設定できるほか、配信番組のサムネイル編集まで可能だ。

Xperiaのゲーム画面のアスペクト比は21:9だが、配信先には16:9で表示されるため、上下の余白を活用して、テキストや画像も表示できる。テキストの色や背景色、レイアウトなども細かくカスタマイズでき、配信の離席時に視聴者に見せるダミーイメージを用意する機能まである。視聴者からのチャットコメントの表示も可能。視聴者が配信者を応援する“スーパーチャット”まで対応している。

完全に“スマホで手軽にゲーム配信”の域を超えた多機能ぶり。パソコン不要で、こんなにハイクオリティな番組を配信できるスマホは他にはないだろう。

(C)2022 KRAFTON, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.
ゲーム画面を配信するだけでなく、テキストの色や背景色、画像の表示、レイアウトのカスタマイズといった細かな調整もできる
(C)2022 KRAFTON, Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

ハイスペックを活かし、ゲーム画面の録画は120Hzのハイフレームレートで可能。録画ボタンを押す30秒前にさかのぼって、プレイを保存する「RTレコード」や、声を変化させるボイスチェンジャーなども備えている。

ゲームエンハンサーのイメージ

ゲームエンハンサーでは、ディスプレイのリフレッシュレートをゲームタイトルに合わせて個別に設定可能。スマホを電源に繋ぎながらのプレイする際に、ゲームに使用される電力のみバッテリーを介さず給電する事で、充電による熱の発生を抑制を抑える事もできる。

ゲーミングスマホとしても強力なXperia 1 IVだが、専用の“ゲーミングギア”の開発も進められている。スマホの冷却機能と、ライブ配信用のマルチポートを増設できるもので、2022年秋以降に発売予定だ。

専用の“ゲーミングギア”の開発も進められている

高度な撮影に応えるカメラ性能

Snapdragon 8 Gen 1 Mobile Platformを採用し、メモリは12GB、ストレージは256GBと、非常にハイスペックなスマホなので、試用中、映像や音楽再生、ゲームなどを切り替えていたが、動作速度的にもたつく感じはなかった。バッテリーも5,000mAhと大容量なので安心感がある。

背面カメラは超広角、広角、望遠の3種類備

今回はAV系の機能に絞って紹介したが、静止画/動画カメラとしてのスペックもトップクラスだ。背面カメラは超広角、広角、望遠の3種類備えているのだが、中でも凄いのは、焦点距離85mm~125mm(35mm換算)/F2.3~F2.8の望遠レンズが、“光学ズーム”である事。スマホでよくある、画質が劣化する電子ズームではなく、一眼カメラのような光学式の望遠ズームレンズを内蔵しているので、どの焦点距離でも高解像度な写真と動画が撮影できるというわけだ。手ぶれ補正も光学式で、遠景もブレを抑えて撮影できる。

また、背面カメラは全て4K/120fpsの高速読み出しが可能で、最大5倍のスローモーション動画も撮影できる。スポーツやペットの印象的なシーンを、スローでじっくり撮りたい時にも便利だ。

プロ並みの動画が撮れる「Videography Pro」

一眼カメラ「α」で培った技術を投入し、プロ並みの動画が撮れる「Videography Pro」アプリも用意。全レンズで瞳AF、オブジェクトトラッキングが可能。Vlogで自撮りしながら撮影したり、走り回る子供や犬など、動きのある被写体でも、フォーカスを合わせ続けて撮影できる。2つの被写体のフォーカスを切り替えて、前ぼけ・後ろぼけを駆使した、シネマライクな映像を撮影することもできる。このVideography Proからは、YouTubeへのライブ配信も可能だ。

本格的なVlog撮影用に、別売でシューティンググリップ「GP-VPT2BT」やVlog Monitor「XQZ-IV01」も用意している。

静止画用には「Photography Pro」アプリで、αの操作画面を踏襲したUIを提供。HDRに対応しつつ、最高20コマ/秒で、AF/AE追随高速連写ができるなど、より高度な撮影がしたい場合は、それに応えるアプリを用意しているのが大きな特徴だ。

「Photography Pro」アプリ

コンパクトでパワフルなど、Xperiaラインナップいろいろ

Xperia 1 IVを紹介してきたが、Xperiaには他にも、「Xperia 5 III」(発売中)、「Xperia 10 IV」(7月上旬発売)、「Xperia Ace III」(6月下旬発売)と、豊富なラインナップがある。

3機種全て、イヤフォン出力を備えている

AV機能での注目ポイントは、いずれも有線イヤフォン出力搭載で、BluetoothはLDACに対応。Xperia Ace IIIは、Aceシリーズとして初のLDAC対応となる。

Xperia 5 III

Xperia 5 IIIは、コンパクトなボディながら、Xperia 1 IIIとほぼ同等の高いカメラ機能と大容量バッテリーを搭載。チップセットもQualcomm Snapdragon 888を搭載するなど、パワフルな端末になっている。

Xperia 10 IV

新登場のXperia 10 IVは、5,000mAhのバッテリーを搭載しながら、161gの軽量ボディが特徴。5G通信をガンガン使っても、電池の持ちが良い。ディスプレイの明るさも従来機比約1.5倍だ。背面には3つのレンズを備え、静止画も動画もブレを抑えて撮影できる光学式手ぶれ補正も搭載。先程紹介した、360 Reality Audioの“Upmix”機能も使用できる。

Xperia Ace III

Xperia Ace IIIは、長さ140mm、幅69mmと、ラインナップの中で一番コンパクトボディながら、5G通信が可能。この小ささで4,500mAhのバッテリーを内蔵している。筐体は、傷の目立ちにくいテクスチャー加工で、実際に触ると、非常に取り回しが良い。コンパクトながら、普段使いを快適にする指紋認証や、おサイフケータイも備えているのがポイントだ。

Xperia 1 IVも含めた、これらの機種がお得に買えるキャンペーンも実施中。1万円相当のポイントがキャッシュバックされたり、抽選で10万円分ポイントが当たるなど、かなりの数のキャンペーンが実施されているので、こちらにも注目だ。

実施中のXperiaキャンペーン一覧ページ

作る人、楽しむ人の“頼りになる相棒”Xperia 1 IV

Xperia 1 IVを使っていて強く感じるのは、「何かをしたい」と思った時に、それに応える強力な機能を搭載している事だ。

“カメラで良い写真や動画を撮りたい”という、今まであった要望だけでなく、“良い音で録音したい”とか、“本格的なゲーム配信をしたい”といった、一歩進んだニーズにも、“ガチな機能”でサポートしてくれるという意味だ。

一方で、“何かを創り出したい”クリエイターだけでなく、単に“映像や音楽をハイクオリティに楽しみたい”人にも、HDR対応の21:9大画面4K有機ELディスプレイや、高画質化機能、パワフルな内蔵スピーカー、LDAC対応のBluetooth送信、空間オーディオ対応など、てんこ盛りの機能で対応してくれる。

この“頼りになる相棒”こそが、Xperiaの新フラッグシップにふさわしい「Xperia 1 IV」の魅力と言えるだろう。