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高機能イヤピでイヤフォン激変! ASMR/ゲームだけじゃない「SednaEarfit max ASMR」

以前は音楽鑑賞にだけ使っていたイヤフォンだが、最近ではオンライン会議やゲーム中のボイスチャットなど、音楽以外でも使う機会が増加。完全ワイヤレスイヤフォンも登場し、ケーブルからも解き放たれたので、家の中で長時間装着している……という人も多いだろう。そんな時にこだわりたいのが、イヤーピースだ。

多くの人が、イヤフォンに最初から付属しているイヤーピースを使っていると思うが、より高性能なイヤーピース単体を購入し、装着感や聴こえ方を自分好みにするという“プチカスタマイズ”がポータブルオーディオファンの間では話題になっている。そんな単体イヤーピースの人気モデルが、AZLAが開発した、医療用シリコン採用の「SednaEarfit」シリーズ。その最新モデルが、「SednaEarfit max ASMR」だ。

SednaEarfit max ASMR

製品名に“ASMR”とあるように、耳元で囁かれる感覚が味わえるASMRにマッチするイヤーピースなのだが、実際に使ってみると、長時間の使用でも負担が少ない感動的な柔らかさだったり、音の定位を感じやすいサウンドに変化するなど、普段遣いやゲームでも効果を発揮するイヤーピースに仕上がっていた。

なお、価格は「M/ML/Lセット」(各1ペア)と「S/MS/Mセット」(各1ペア)、「SS/S/MSセット」(各1ペア)が各3,520円。SS/S/MS/M/ML/Lの単品(各2ペア)が各2,750円だ。

そもそもSednaEarfit MAXとは?

イヤーピースなんてどれもシリコン製で、同じようなカタチなので「イヤフォン付属のものから買い替える必要あるの?」と疑問に思っている人も多いだろう。

確かにSednaEarfit max ASMRも素材にシリコンを使っており、キノコのような形状で、一見するとよくあるイヤーピースだ。だが、このイヤーピースは、実物を指でつまんでみると「あ、普通じゃない」というのがすぐわかる。

まず特徴的なのは“全体がまるごと潰せるほど柔らかい”事だ。どういう意味かは、以下を見ていただければ一目瞭然。イヤーピースは柔らかいシリコンで出来ているので、指に力を入れれば変形するのは当たり前なのだが、SednaEarfit max ASMRはイヤーピースの内部にある“ワックスガード”まで柔らかく、全部が潰せる。

他のイヤーピースにも、耳垢などを防ぐメッシュのワックスガードを装着しているものはあるが、ガードのパーツは硬く、変形しないものが多い。そうしたものと比べ、SednaEarfit max ASMRはより柔軟であるため、耳にフィットしやすい……というわけだ。特許技術を用いて、傘部分からフィルターまで全部シリコンで一度に成形する事で、実現している。

メッシュのワックスガードまでつぶせる

もう1つの特徴が素材だ。SednaEarfit MAX(2022年7月22日発売)も同様なのだが、採用しているシリコンが、他のイヤーピースと一味違う。KCC SILICONEというメーカーが作っている、色素やプラスチックなど、どんな成分も“混合していない”と認証された医療用メディカルシリコンを採用しているのだ。

このシリコンは、外科手術中に体内への挿入などで使用される100%医療用シリコンで、安全性を持ちつつ、しなやかな弾性とパウダリーな質感を特徴としている。この100%医療用シリコンを、耳道内、つまり耳穴に触れるイヤーピースの“傘”の部分に使っている。

この特徴は、傘の部分に触れてみるとわかる。一般的なイヤーピースの感触は、ゴムっぽいのだが、SednaEarfi t max ASMRの傘に使われている
100%医療用シリコンは“人間の肌っぽい”のだ。目を閉じた状態でイヤーピースに触ってみると、シリコンというよりも“誰かの指をつまんでいる”ような感覚なのだ。

非常に柔らかく、肌の質感に似ている

指先でわかる触感の違いは、耳穴でもわかる。実際に装着してみると、実際に装着してみると、SednaEarfit max ASMRの傘は、耳穴に触れていても異物感が少ないので、イヤーピースを装着していないかのようなナチュラルさがある。

数時間使っていても、“耳に異物を入れている”というストレスが自体が少ないため、疲れにくい。これは、リモートワークなどで長時間イヤフォンを装着する人には、大きな利点だ。

素材だけでなく、装着感をアップさせる工夫は、独自の「テーパード型構造設計」にもある。一般的なイヤーピースは、耳の内側部分と外側の厚みが同じだったり、内側に向かうほど厚くなっているが、これが圧迫感の原因でもあるという。

そこで、耳に触れる部分に向かうほど、厚みが薄くなるという独自のテーパード型構造設計を採用している。成形が非常に難しいらしいが、これにより低圧迫と高遮音性を両立させたのだそうだ。

なお、AZLAではこのSednaEarfit MAXシリーズを「究極の低刺激フィット」として訴求している。

SednaEarfit max ASMRの特徴

SednaEarfit max ASMR

そして、新モデル「SednaEarfit max ASMR」だ。

モデル名からもわかるように、前述のSednaEarfit MAXをベースとしており、ワックスガードが柔らかく、傘の部分に医療用のメディカルシリコンを使っているのも同じ。

ただ、ASMR用に再設計されており、イヤーピース開口部を調整。イヤフォンノズルから出る高音域を、意図的に減衰させることで、「中域から中高域にかけての奥行きと立体感、低音域の程よいまとまりとアタック感」を出しているという。こする事で、音の定位を感じやすいサウンドに変化するそうだ。

実際に使ってみよう。

音楽やASMR音声を聴いてみる

試聴には、普段から愛用している3つの完全ワイヤレスイヤフォンを用意した。JBLの「TOUR PRO 2」と、Technics「EAH-AZ80」、そして注目の新方式ドライバー、MEMSドライバーを搭載したNoble Audio「FALCON MAX」だ。

左から。JBL「TOUR PRO 2」、Technics「EAH-AZ80」、Noble Audio「FALCON MAX」

いずれのモデルも、付属のイヤーピースを装着した状態で「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を試聴し、その直後にSednaEarfit max ASMRを装着し、音の変化をチェックした。

結論から言うと、いずれのイヤフォンも変化の方向は同じなのだが、イヤフォンによって違いがわかりやすいものがある。特に、高解像度でシャープな音が特徴のTechnics「EAH-AZ80」とNoble Audio「FALCON MAX」で違いがわかりやすい。

まず大きく違うのは高域の描写。EAH-AZ80、FALCON MAXも、付属イヤーピースでは、鮮度の高いむき出しの高域がキレキレに描写されるのだが、SednaEarfit max ASMRを装着すると、そのエッジの鋭さが少しなめらかになり、キレキレから、少しホッとするようなサウンドに変化する。特にダイアナ・クラールのボーカルやギターの弦の音で変化が顕著だ。

ここで注意したいのが、SednaEarfit max ASMRを装着する事で、高域が抑えられ、ナローな音になった……のではないという事。解像感はほとんど低下しておらず、フォーカスが甘い音になるわけではない。あくまで、女性ボーカルのサ行のキツさや、ギターの弦の金属質な響きが、少しアナログっぽいおだやかな質感に変わるという印象だ。

音場は、SednaEarfit max ASMRを装着すると、少し広くなったように感じる。フワッと広がった空間に、まとまりが良く、質感がソフトになった音が展開するというイメージだ。

では、肝心のASMR動画はどう聞こえるのか? YouTubeでASMR動画を検索して聞いてみたが、これが実に面白い。

聞く前は「ASMR動画って、女性が耳元でささやいたり、ハサミをチョキチョキして散髪されている気分になったりするのだから、高音は鋭い音の方がゾクゾクしてマッチするのでは?」と思っていた。

しかし、SednaEarfit max ASMRを使って実際のASMRコンテンツを聞いてみると、それが間違いだと気がついた。

多くの人に再生されているASMR動画は、聞く人をドキッとさせる短時間のものではなく、誰かがずっと寄り添ってくれるかのように耳元で話をしてくれたり、隣で添い寝してくれるような気分になるものなど、長時間、リラックスした状態で聞くコンテンツが多い。

こうしたASMR動画を聞いていると、音の“鋭さ”はあまり重要ではなく、むしろ“高解像度だがホッとする音”“生々しいけどリラックスできる音”である事が求められる。こうした音の傾向に、確かにSednaEarfit max ASMRの音は超マッチするのだ。

さらに、ベッドで横になりながらASMR音声に耳を傾けていると、SednaEarfit max ASMRの、装着していないかのような肌触りのナチュラルさの効果を実感する。通常のイヤーピースでは、耳穴に異物を入れている感覚がつきまとい、リラックスしにくいが、SednaEarfit max ASMRは異物感が少ないので、そこに気を取られず、ASMRの世界に入り込みやすいのだ。

つまり、SednaEarfit max ASMRは“音質”と“感触”の2つの面において、ASMRに最適化されたイヤーピースというわけだ。

この特徴は、ゲームのサウンドともマッチする。

PCゲームの「エーペックスレジェンズ」をプレイしてみたのだが、SednaEarfit max ASMRの装着感のナチュラルさと、音場の広さのおかげで、閉塞感が少なく、長時間のプレイでも疲労が少ない。

また、音のエッジがシャープなゲーミングヘッドセットでプレイすると、「センチネル」という狙撃銃を撃った時の「バキィイン!!」というや、敵のアーマーを破壊した時の「パリィイン!!」という音が、尖すぎて耳に痛かったのだが、SednaEarfit max ASMRを使うとキツ過ぎなくて快適。それでいて、情報量は多いので、敵のアーマーを破壊した事も即座に音で判断できる。ゲーム配信なども含め、長時間プレイするという人には、オススメのイヤーピースだ。

イヤーピースで積極的に自分好みのイヤフォンを作る

「イヤーピースで音が変わるの?」と思う人もいるだろうが、実際に使ってみると、面白いほど音が変化する。また、装着感の向上も体感しやすいだろう。

SednaEarfit max ASMRは、イヤーピースの中でも非常にこだわって作られた製品だが、価格は「M/ML/Lセット」(各1ペア)と「S/MS/Mセット」(各1ペア)、「SS/S/MSセット」(各1ペア)が各3,520円、SS/S/MS/M/ML/Lの単品(各2ペア)が各2,750円と、そこまで高価ではない。

新しいイヤフォン購入するより気軽に手にとれる価格なので、現在使っているイヤフォンの新たな魅力や、使用用途を広げたいという時には、かなり良い選択肢になるだろう。実用面以外でも、イヤーピースを変えて音の変化を楽しむという経験が、オーディオに興味を持つキッカケになるかもしれない。

そして最後に、SednaEarfit max ASMRをお特にゲットできる裏技をお伝えしよう。

AZLAが昨年12月に、ASMR専用の「ASE-500 ASMR」という6,600円のイヤフォンを発売したのだが、なんとこのASE-500 ASMRに、SednaEarfit max ASMRが計6サイズ(SS/S/MS/M/ML/L)付属しているのだ。

つまり、「イヤフォン買ったらオマケでSednaEarfit max ASMRがついてきた」みたいな感じで購入できる。

ASE-500 ASMRは「AZLA史上、最高の寝ホン」をスローガンにかかげ開発されており、モチモチとした優しい着け心地を実現するため、イヤフォン本体をシリコンで覆ったようなフル・シリコン構成になっており、装着したまま横になっても、耳への負担が少ない。ASMRコンテンツをより快適に楽しみたいという人は、このSednaEarfit max ASMRが付属するイヤフォンを買うというのも、アリだろう。

山崎健太郎