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アラフォーCD世代が“レコードのある生活”してみた。デノン「DP-400」に一目惚れ
- 提供:
- デノン
2024年3月8日 08:00
「アナログレコードの再ブーム」が話題になって久しい。人気アーティストが新譜をアナログ盤で出すことも多くなり、昔からレコード再生に親しんできたいわゆるネイティブ層だけではなく、20~40代のユーザーも増えているそうだ。実は、そんな若年層(一応)の一人である筆者も、自宅でレコード生活をしてみたいと思っていた。理由はぶっちゃけ「なんかおしゃれ」。
昔から「音楽」と「カッコ良さ」はセットになることが多い。その上で、ファッションだけで終わらず、熱中している人が多いのはレコードに音楽ソースとしての魅力が変わらずあるからなのだろう。「デジタルの音に慣れた若年層の耳には、レコードの音が新鮮に聴こえる」なんていう意見もよく耳にする。
そんなこんなで、アナログレコードのある生活をしてみたいなと思っていたところ、自宅でレコード再生を楽しむ今回の企画が編集部から!! 二つ返事で「ぜひ!」と回答。デノンのレコードプレーヤー「DP-400」を使い、自宅に初のレコード再生環境を作ってみた。
どのレコードプレーヤーを選ぶか、それが難問
アラフォーの筆者にとって、レコードがどういう存在であったか。それは長らく、上の世代でのみ共有される記憶の品だった。レコード再生を知っているのは“大人の特権”みたいな感じだ。
筆者は、ちょうどCDが一般に普及する準備が整ったのと同時期の1983年に生まれていて、物心ついた時、自宅のステレオスピーカーの間に置かれていたのはすでにCDデッキだった。なので、レコードプレーヤーを触ったことがないまま大人になっている。
2000年前後に思春期を迎えた、筆者と同世代の音楽好きの大半は、レコード時代の名曲をCDリマスター盤で聴いていた。そんな中で「針が降りる瞬間の/胸の鼓動焼き付けろ」とか「A面で恋をして」とか、レコード時代ならではの表現に出くわすたび、ノスタルジックに伝えられるアナログ再生に漠然とした憧れを抱いたりした。
しかし、当時は興味を持っても自宅にレコード再生環境を揃えるのは経済的にハードルが高かった。それが今は、5万円くらいの予算があれば、それなりに品質の担保されたエントリー向けのレコードプレーヤーが選べる。
組み合わせるスピーカーやアンプも、サイズからカラバリまでインテリアに合わせてよりどりみどりだ。これぞ、レコードブーム再燃の証。アラフォーCD世代としては、かつてノスタルジックだったものに今になって手が届く、という不思議な感覚を味わっている。
しかし、現実にどんなプレーヤーを選ぶべきか……。すると編集部から「実物見て選びましょう」と提案が。
連れていかれたのは、蓄音機の会社・日本蓄音機商会をルーツに持ち、現在も多くのレコードプレーヤーをラインナップする、“レコードのデノン”。部屋に入ると、ズラッとレコードプレーヤーが並んでいた。
並んでいたのはコンパクトなフルオートタイプの「DP-29F」(18,700円)、フルオートタイプでUSBメモリーにも対応した「DP-200USB」(38,500円)、フルオート対応の本格モデル「DP-300F」(53,900円)、マニュアルタイプの「DP-400」(67,100円)、ダイレクトドライブの最上位モデル「DP-3000NE」(385,000円)の5機種。「こんなに安いの?」と思うモデルから、「これはガチな人が買うやつですよね」みたいな価格まで、かなり幅広い。
モデルごとの違いを、デノンの中の人にいろいろ質問して確認した。まとめると以下の通りだ。
- DP-3000NE以外のモデルは最初からカートリッジが付属。追加購入せずに使える
- DP-29F、DP-200USB、DP-300Fはフルオートプレーヤー(アームが自動で動いて再生してくれる)
- DP-400、DP-3000NEはマニュアルタイプ(自分の手でアームを移動させる)
- DP-3000NE以外のモデルには“フォノイコライザー”という部品が入っているので、普通のコンポやラジカセなどにそのまま接続できる
……悩ましい。初めてのレコードプレーヤー導入で便利に思うのはフルオートだが、“自分の手でアームを動かしてこそレコード再生”みたいなイメージもあるのでマニュアルタイプでも構わない。
初めてのレコードプレーヤー導入なので、エントリークラスから選びたいが、我が家は1LDKの賃貸マンションで、スペース的にオーディオの専用室が作れないので、音響機器類はリビングに設置することになる。なので普段の生活空間の風景を損なわないデザインで、できるだけ省スペースな機材が良い。……で、もちろんそれなりに音も良くあってほしい。
簡単に言うと「エントリークラスでもデザイン性と音質の良さを両立してほしい」という贅沢な話だ。
だが、「エントリークラスで」と言いつつ、実機を前にすると、カタログで見るのと違い、触った時の筐体の質感や、デザインの違いがよくわかる。触り比べているうちに、エントリーというかミドルクラスだが「DP-400」(67,100円)のホワイトが気に入ってしまった。
ボタン類が必要最低限のシンプルなフォルムで、質感が高くミニマルなデザインが良い。本体サイズが414×342×105mm(幅×奥行き×高さ)と、レコードプレーヤーの中では比較的省スペース設計なことにも惹かれた。
冒頭でも書いたが、「音楽」と「カッコ良さ」はセットになることが多いので、デザイン性はマストではないけれどもあったら嬉しい要素だ。そしてカラー。DP-400のベーシックカラーはブラックで、ホワイトは追加されたバリエーションなのだが、こちらの方が断然可愛い! 見た目だけで気持ちが上がることって、大事。
デノン「DP-400」で白が基調のレコード再生環境を実現
というわけで2024年2月、我が家のリビングに、デノン「DP-400」のホワイトモデルがやってきた。
ここに、フォノ入力を備えたデノンのネットワークCDレシーバー「RCD-N12」のホワイトと、DALIのブックシェルフスピーカー「OBERON 1」のライトオークを組み合わせれば、白が基調のレコード再生環境が作れる。システム全体がリビングの白い壁と馴染み、圧迫感はない。普段の生活空間にうまく溶け込んでくれて、すごく良い。
もちろんデザインだけじゃない「DP-400」
そんな感じで、正直最初は見た目でDP-400に惹かれたわけが、細かい仕様を知るとむしろ「レコードプレーヤーの入門機として超有力では?」と思う。まず、価格は67,100円だが、実売では5万円程度で販売しているお店が多い。そして、そこまで高価ではないのにマニュアルタイプを実現しているのが魅力だ。
というのも、安心だからとフルオートタイプからスタートしても、結局レコードプレーヤーを手にしたらマニュアルで操作したい欲求が生まれてくるからだ。せっかくレコードを聴くなら、「自分の手でレコードに針を落とすあの動作」をしたくなるものではないだろうか? マニュアルで針を落とす作業自体は、実際にやってみると割と簡単である。だったら、最初からマニュアルを選んで損はない。
そして、ちゃんと本格志向の設計を取り入れているのもポイントだ。トーンアームは、1971年に発売されたデノンの名機「DP-5000」を参考に開発したという、伝統のスタティックバランス型S字アームを採用。MMカートリッジが標準で付属するが、もちろん交換できる。回転数は、33 1/3、45に加えて78にも対応している。
また、アルミダイキャスト製のターンテーブルの下に速度センサーを配置する「回転制御機能」を搭載し、再生品質を高めていることにも注目。このセンサーがターンテーブルの回転速度を常時モニターし、モーターの動作を自動制御して正確な回転速度を保つ。
加えて、フォノイコライザー内蔵型であることも入門機として大事なポイント。今回は、組み合わせたアンプ・RCD-N12がフォノイコ内蔵型なので結果的には考慮しなくても大丈夫だったが、初めて使うレコードプレーヤーとして見たらフォノイコ内蔵仕様はありがたい。
こんな感じで、初心者向けの価格設定に、現代的なデザイン性を備えながら、しっかりと再生品質も追求しているDP-400。そして、将来的にもっと深いレコード再生の世界へ誘う本格仕様もありと、バランスが最強だ。
アラフォーCD世代が感じるレコード再生の魅力
レコードに限らずだが、アナログ的なものの面白いところは、理屈だけわかっている物理現象が現実になるのを体験できることだ。レコード再生の仕組みは、レコード表面に周波数特性の波形が刻まれていて、そこを針がトレースすることで音が鳴るわけだが、理屈でわかっていても実際に音が鳴ると「おお、本当に溝をトレースして音が出た」と感動する。これはデジタル再生ではできない体験だ。
そしてその音は、アラフォーCD世代からすると、空間に臨場感がありつつも心地よい不思議な魅力がある。聴いている楽曲のコードはデジタルソースと同じ(当たり前)だが、音楽体験としては確実に異なったものになる。
DP-400が我が家にやってきた日、最初にはっぴいえんど「風街ろまん」のレコードを再生した。いつかレコードプレーヤーを導入することを念頭に買っておいた限定盤ボックスだ(近年、そんな風にレコードを買う人は多いと思う)。
レコードを置いて針を落とし、いよいよ1曲目「抱きしめたい」のイントロが鳴り出した時、締まりがありつつ深みの感じられるベースの音に「良いなあ~」と声が出た。なんというか、そこにはっぴいえんどというバンドの質感があるのだ。引き締まった低域が気持ち良い。個人的には、芯まで詰まった木材をイメージする。手触りが良くてぎゅっと詰まっている感じだ。その時リビングにいた我が夫(筆者と同世代)も、「いつものデジタル再生と明らかに音が違う。レコーディング当時というか、その時代の空気感まで聴こえる気がする」と驚いていた。
ちなみに今回のシステム構成では、DP-400のイコライザースイッチをオフにして、RCD-N12のフォノ入力につなぐことで、RCD-N12側のフォノイコを使った再生もできる。傾向はほとんど同じだが、RCD-N12のフォノイコの方が世代が新しいこともあるのかより良い音に感じたので、我が家では基本この状態で使用した。
DP-400は、スタイリッシュな見た目のイメージ以上に中低域が出ていて、価格帯も考えると改めてすごい。そしてカートリッジが交換できるので、さらにクリアさや艶やかさなど音質のブラッシュアップも望めるのが素晴らしい。実際、ネット上ではカートリッジを交換して、さらに音質を向上させているユーザーの声も多く見られる。つまり実売5万円程度のモデルながら、カートリッジ、ヘッドシェル、リード線などの付け替えで違いを描き出せるレコードプレーヤーということ。初心者を将来的に沼らせるポテンシャルがちゃんとある。
レコード再生から生活のちょっとした動作が生まれる
今回、自宅にレコード再生環境を作って、レコードネイティブ世代の方が言う「アナログならではの体験」というやつを、少し理解できたような気がする。上述の、理屈でわかっている仕組みで現実に音が鳴ることの感動もそうだし、よく「儀式」と言われるやつもそうだ。ターンテーブルにレコードを置いて、トーンアームを動かし、リフターレバーをクイッとして針を落とす一連の作業。これ、初代ファミコンの「ふっかつのじゅもん」みたいなもので、「その操作を含めて思い出になる」というのは確かに感じる。
あと、リビングにレコードプレーヤーを置くと、生活動線の中に音楽が組み込まれる感があった。筆者はこれまで、自宅で執筆作業をしている最中、主にスマホ再生で音楽を流していた。これをレコード再生に変えると、途中でちょくちょくレコード盤を裏返しに立ち上がる動作が入るので、それをキッカケに少しカフェブレイクしたり、軽く体を動かす休憩時間になったりして、ゆとりが生まれるのだ。手元のスマホで音楽再生している時にはない、緩やかな時間ができた。
ちなみにDP-400は、レコードの再生が終了したら自動的にトーンアームをリフトアップし、ターンテーブルの回転を自動停止させてくれる。これが本当に良い。再生後にそのままにしても、レコードやカートリッジが傷つく心配をしなくて良いので、執筆中に慌てて立ち上がらなくて良い。自分のタイミングでレコードを裏返しに行ける。実際、この機能が決め手で本機を選ぶ人も多いようだ。
そんな感じで我が家にやって来たDP-400は、CD世代の筆者に新しい音楽体験をもたらしてくれた。上の世代の方からすれば「今さら」な当たり前のことだろうが、アラフォーCD世代にとっては、昔憧れたレコード体験に手が届いてちょっと大人になれた気分である。