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オーディオの常識を破壊、マランツ“小型でもフルサイズに負けない”次世代Class Dアンプ「MODEL M1」が凄い

マランツ「MODEL M1」をブックシェルフスピーカーを組み合わせたところ

かつてピュアオーディオ機器は“大きくて重いほど良い”とされ、1人では持ち上げられないほど重く、巨大なアンプも珍しくなかった。しかし、近年薄型のアンプも登場し、HDMI ARCに対応することで、テレビと連携するHi-Fiアンプも登場。デジタルアンプ技術の進化も手伝い“大きくて重くなくても音の良いアンプ”が登場してきている。

そんな“新たなオーディオの流れ”が生まれているわけだが、個人的には既存の製品に以下のような物足りない部分を感じていた。

  • 机の上にも置きたいので薄いだけでなく奥行きも短くして欲しい
  • 音楽配信に対応し、アンプとスピーカーだけで音楽が楽しめるようにして欲しい
  • (奥行きが長くなるので)CDプレーヤー機能はいらない
  • テレビとも組み合わせたいのでHDMI ARCが欲しい
  • フルサイズのアンプにも負けない音質が欲しい
  • 高価過ぎると買えないので、できれば10万円台で

そんな勝手な妄想をしていたところ、まさに直球ストレート「これだよこれ!!」という製品がマランツから登場した。6月14日発売のHi-Fiコンポ「MODEL M1」。価格は154,000円だ。

筆者が興奮した理由は2つ。

1つ目は、この写真を見れば一目瞭然、メチャクチャ小さいのだ。“手のひらサイズ”まではいかないが、それを少し超えるくらい。外形寸法は217×239×84mm(幅×奥行き×高さ)と、横幅と奥行きがどちらも20cm程度に収まっているのだ。これならばデスクトップに置けるではないか!!

外形寸法は217×239×84mm(幅×奥行き×高さ)

2つ目は、マランツの伝説的なアンプ「model 9」を連想させるような「MODEL M1」という気合の入った名前だ。マランツは2015年に、Hi-Fiオーディオ向けとしては初めてスイッチングアンプを採用した「HD-AMP1」を投入したが、それ以降、プリメインアンプのフラッグシップ「PM-10」や、「MODEL 30」、AVアンプのハイエンド16chパワーアンプ「AMP 10」など、スイッチングアンプを上級モデルにも使い続けてきた。

マランツがこの10年、手掛けてきたスイッチングアンプ
プリメインアンプのフラッグシップ「PM-10」

そうして蓄積してきた技術やノウハウを全て投入しつつ、Class Dアンプで「まったく音質を犠牲せず、最小サイズを追求」、「フルサイズのアンプにも負けない本気のHi-Fiアンプとして作った」のが、この「MODEL M1」というわけだ。

そんな事を言われたら、どんな音なのか気になって仕方がない。一方で「こんな小さなアンプでホントに大丈夫なの?」という不安もよぎる。さっそく試聴してみたが、結論から先に言うと「もうオーディオはコレでいいんじゃない?」という危険な考えも頭をよぎる、まさにオーディオの流れを変えるような製品だった。

フルサイズのアンプやAVアンプと並べると、サイズの違いは一目瞭然だ

小さいボディにプリメインアンプ、ネットワーク再生、HDMIも搭載

いきなりアンプがどうのと話し始めてしまったので、音を聴く前に、MODEL M1で何ができるのかをおさらいしておこう。

メインの機能としては、デジタルアンプを内蔵しており、定格出力は100W + 100W(8Ω)、125W + 125W(4Ω)と、小さくても非常にパワフルだ。

さらに、HEOSのネットワークオーディオ機能も内蔵。Amazon Music HDやAWA、Spotify、SoundCloudなどの音楽ストリーミングサービスから楽曲を再生できる。インターネットラジオの再生も可能だ。

もちろん、LAN内のNASなどに保存したハイレゾの5.6MHzまでのDSD、192kHz/24bitまでのPCM音楽ファイルも再生できる。

つまり、MODEL M1とパッシブスピーカーを接続すれば、それだけで音楽配信サービスや、手持ち音楽ファイルが再生できる、立派なオーディオ環境が構築できるわけだ。BluetoothやAirPlay 2にも対応しているので、より手軽にスマホのから音楽を再生する事も可能だ。

スピーカーとMODEL M1を組み合わせるだけで、音楽配信サービスをリッチな音で楽しめるシステムが完成する

さらに、HDMI eARC/ARCも1系統搭載。対応テレビとHDMIケーブル1本で接続すれば、テレビ番組や映画、ゲームなどのサウンドをMODEL M1 + スピーカーから再生できる。

背面にはさらに入力端子として、アナログRCA×1、光デジタル×1、USB-A×1も備えている。なお、USB-Aは、USBメモリーなどに保存した音楽ファイルを再生するためのもので、USB-DAC機能は備えていない。

背面。HDMI端子も備えている

また、スピーカーターミナルに加え、サブウーファープリアウトも搭載している。ブックシェルフスピーカーとサブウーファーを接続して、2.1chオーディオにする事も可能だ。

AxignのClass Dアンプをカスタム、白河工場にて内製

注目のアンプ部分を詳しく見ていこう。

前述の通り、マランツは約10年に渡り、コンパクトな製品からハイエンドまで、スイッチングアンプを積極的に採用してきた。初期はHypexのモジュールを使っていたが、2023年に発売したハイエンドAVアンプのパワーアンプ「AMP 10」ではICEpowerのモジュールを採用している。

ピュアオーディオメーカーらしいと感じるのは、このモジュールの使い方にある。単にモジュールを買ってきて搭載するのではなく、例えばAMP 10の場合、ICEpowerのモジュールをベースにしているが、基板からパーツまでマランツが手を加えまくり、“ほぼ別物”と言っていいほどカスタマイズしたものになっている。

AMP 10に採用されているモジュール。左がICEpowerのモジュールそのままに近い階のもの、右がマランツがカスタマイズして作り上げたもの。レイアウトは同じだが、ほとんどのパーツが変わっているのがわかる

MODEL M1でもこのICEpowerモジュールを使っているのかと思いきや、新たにオランダのAxignというClass Dアンプのソリューションを採用している。 マランツの音の“門番”、サウンドマスターの尾形好宣氏によれば「MODEL M1のサイズで、今回実現したかった出力を追求した際に、これまでのソリューションよりもAxignが適していると判断した」という。

マランツの音の“門番”、サウンドマスターの尾形好宣氏
MODEL M1のメイン基板
スピーカーターミナル近くに寄った写真。このあたりがAxignのClass Dアンプソリューションを用いたアンプ部分だ

ちなみに、HypexやICEpowerのモジュールは、アナログ信号を入力する場合、そのままアンプに送る方式であるため、マランツは同じClass-Dアンプでも”スイッチングアンプ"と呼称してきた。今回のAxignはアナログ入力信号は全てA/D変換し、デジタル信号でアンプに入力すため、デジタルアンプと呼んでもいいClass-Dアンプとなった。コンパクトながら高出力で、サウンドも優れているのが採用の決め手だったそうだ。

尾形氏は、Axignのソリューションを2020年の後半に試聴し、素性の良さを評価。そこから4年ほどをかけてMODEL M1が完成したわけだが、当然このAxignのClass Dアンプも、出来上がったものを買ってきたのではなく、基本回路を踏襲しつつ、それをベースにマランツが部品を選定。基板も新たに開発し、デノンやマランツの上級機を手掛けている白河工場にて内製している。そのため、「MODEL M1は白河工場製で最も低価格な製品」でもあるそうだ。

構成の特徴としては、全周波数帯域において超低歪みを実現するポストフィードバックを採用。スピーカー出力の直前からフィードバックをかける、理想的な方式になっているという。

さらにポイントとなるのが、アンプの数だ。MODEL M1は2chアンプなのだが、このClass Dアンプを4ch分も内蔵している。これは出力を高める工夫で、内部でBTL接続、つまり2台のパワーアンプを互いに逆相で駆動し、それぞれの出力にスピーカーを接続する方式で、出力素子がちょうどブリッジを組んだような形になり、パワーアンプ1台と比べ、4倍の出力が得られるというもの。これにより、小型ボディながら100W(8Ω)、125W(4Ω)を実現している。

デジタルフィルター部分には、マランツの高級CDプレーヤーでも採用している独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装した。このあたりからも、MODEL M1の開発に対する“本気度”が伝わってくる。

構成図

電源部にもこだわりがある。マランツのアンプは伝統的に“瞬時電流供給能力”を重視しており、そのために強力な電源部が必要不可欠だからだ。

強力な電源部で瞬時電流供給能力を高めている

瞬時電流供給能力は“瞬間的にどのくらい電流を流せるか”という能力の事。例えば、コンデンサーは“ダム”のようなものだが、そこから水を引き出す時に、蛇口が小さいと、ダムが大きくても水は少ししか出ない。沢山出すためには、蛇口を大きくしたり、水が流れる通り道を太く、短くしたりといった工夫が必要。その工夫が“瞬時電流供給能力を高める”事だというわけだ。

これを高めると、静かなシーンが続く曲の中で、突然大きな音が鳴る場面で、電圧だけでなく電流も流す事ができ、リアルかつ迫力のある音が出せる。また、瞬時電流供給能力が高まると、音の立ち上がりがハイスピードになり、出てくる音のキレも良くなる。立ち上がりだけでなく、スピーカーユニットが動いた後も、ユニットをバシッと止められる。駆動力が高まり、トランジェントが良くなるというわけだ。

MODEL M1の電源部にもこのノウハウが投入されており、瞬時電流供給を追求した回路設計を採用。電圧としての振幅を大きく取り、なおかつ電流の幅も大きく取ることによって、高い瞬時電流供給能力を実現している。具体的には、高品質なコンデンサーを実装した、新開発の専用設計スイッチング電源回路(SMPS)を採用している。

出力段のローパスフィルターには、AMP 10の高品質コイルをMODEL M1に合わせてダウンサイジングしたものを採用。コンデンサーには10種類以上の候補の中からサウンドマスターが厳選したBevenbi社のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサーを使っている。偶然にも、これはBowers & Wilkinsスピーカーのネットワークでも採用されているメーカーだそうだ。

樹脂とメッシュを組み合わせた、常識に囚われない筐体

MODEL M1のもう1つの大きな特徴は筐体だ。

オーディオ歴が長い読者には説明不要かもしれないが、オーディオ機器の筐体と言えば、鉄板やアルミで構成した“箱”が定番だ。これは不要輻射を抑えるなどの目的があるためで、高級機になると素材がアルミになったりするが、基本的にはどれも“金属の箱”だ。

しかし、MODEL M1は大きく異なる。まず、アルミのベースプレートにメイン基板などを載せているのだが、周囲を囲う筐体部分は樹脂で、天板に至ってはステンレス製のメッシュでスケスケだ。

ステンレス製のメッシュでスケスケの天板
メイン基板はアルミのベースプレートに設置している

MODEL M1は前述の通り、Class Dアンプの音質を追求しつつ、“フルサイズでなければ”という常識を捨て、「音質に妥協しないClass Dアンプとして最小サイズを追求した」製品だが、この“常識を捨てる”という姿勢が、筐体にも貫かれている。つまり、「そもそも金属筐体じゃなくてもいいのでは?」という考えで作られているわけだ。

そもそも、鉄で小さな箱を作ってしまうと、それが磁性体として、内部の基板に対して磁界の影響を与えてしまう。これが大きなサイズであればコントロールも可能だが、MODEL M1のサイズではそれも難しい。

では鉄でなく、非磁性体のアルミを使ってもいいわけだが、高価なアルミを使うとコストが跳ね上がり、MODEL M1自体が高価になってしまう。そこで、柔軟に樹脂を使ったというわけだ。

天板がステンレス製のメッシュなのは、放熱性を高めるためでもあるが、音質を追求したものでもある。

マランツの試聴室にあるリファレンスアンプ。天板が取り外されている

よく、メーカーの試聴室の写真で、天板を取り外した状態のアンプが写っているが、あれは“様々なパーツを交換しやすくするため”だけでなく、“天板が無い方が開放的なサウンドになるため”という側面もある。ただ、天板を外した状態で商品として売る事はできないので、最終的には天板をつけなければならないのだが。

しかし、MODEL M1は常識にとらわれない。「天板をステンレス製メッシュにすれば、天板を外した状態とほぼ同じ、開放的なサウンドを商品でも実現できる」というわけだ。つくづく革新的なアンプだ。

実機を手にしてみると、重さは2.2kgなので片手で掴んで簡単に持ち上げられる。ただ、それなりの重さがあるのと、樹脂筐体の表面にサラサラとした質感のソフトフィールフィニッシュが施されているので、安っぽくはない。

ただ、天板がステンレス製メッシュなので、「ここに指を置いて力を入れたら凹んでしまうのでは」とちょっと心配になる。実際には、メッシュの下にさらに樹脂製の天板がある2層構造になっているため、凹んで中の部品に触れてしまった……みたいな事はないそうだ。

また、ソフトフィールフィニッシュというと、将来に加水分解してベトベトになるのが心配だが、MODEL M1は日本製の特別な塗料を使う事で、基本的には加水分解が起こらないように配慮しているとのこと。このあたりの配慮は嬉しい限りだ。

音を聴いてみる

気になる音を聴いてみよう。使い方としては、HEOSを用いたネットワーク再生がメインになると思うが、まずはアンプとしての素の実力を知るために、SACD/CDプレーヤーの「SACD 30n」とMODEL M1をアナログRCA接続して聴いてみた。

組み合わせるスピーカーはBowers & Wilkinsのハイエンド「801 D4」(グロスブラックはペア約700万円)だ。価格もサイズも、冗談のような組み合わせだが、開発時はこの801 D4が使われていた。逆に言えば、片手で持てるアンプでこのスピーカーを駆動できれば、世の中のほとんどのスピーカーはしっかり鳴らせるだろう。

Bowers & Wilkinsの「801 D4」がMODEL M1で鳴らせるのか

「SINNE EEG/We've Just Begun」を再生した瞬間、「!?」と頭が一瞬混乱する。冒頭のトランペットの鋭く、パワフルな音が、801 D4から一気に吹き出してくる。瞬時電流供給能力にこだわるマランツのアンプらしい、トランジェントの良い音だが、前へ前へと音像が飛び出してくる力強さが、とても超小型アンプと思えないし、音のスケールの広さも約15万円のプリメインアンプだとは思えない。

ハイスピードと重厚さを兼ね備えているので、目を閉じると30万円とか40万円するようなフルサイズの巨大なアンプで駆動していると錯覚するが、目を開けると弁当箱よりも小さな黒い箱が目の前にあるだけなので、「ほんとにお前が鳴らしてるの? この音を!?」と、脳がバグってしまう。

NASに保存した音楽ファイルの再生も試してみる。ボストン交響楽団/アンドリス・ネルソンスの「ショスタコーヴィチ リア王からの組曲 序奏とコーデリアのバラード」を再生すると、ホールの広大な音場が目の前に展開。上下のレンジも広く、気持ちよく高音がホールの上の方まで上昇していく様子が聴き取れる。そして驚かされるのは低域の安定感。クラシックをボリューム上げ目で味わっても、悠々と鳴らせる駆動力がある。

先ほどはSACD 30nのDACを介した音を聴いていたが、MODEL M1で直接ネットワーク再生した音も、解像感や情報量の多さで引けを取らない。SACD 30nの音は柔らかめで質感が豊富だったが、MODEL M1でのD/A変換ではよりシンプル・ストレートなサウンド。トランジェントの良いMODEL M1内蔵アンプとの相性も良いと感じる。

続いて、Amazon Musicで「宇多田ヒカル/サイエンスフィクション」から「Automatic (2024 Mix)」を再生。音楽配信だからクオリティが落ちるという印象も無く、NASからの再生と同じように、広大な音場が広がり、ベースのグルーヴが気持ちよく前へと溢れ出てくる。

個人的に「これはいい」と感じるのは、中低域の“熱気”だ。例えば「上原ひろみ/Someday」や「José James/On & On」のように、疾走感のある楽曲や、中低域がゆったりと押し寄せてくる楽曲を聴くと、そのパッションというか、熱気のようなものがしっかりと伝わってくる。

Class Dアンプというと、「解像感はあるけど中低域がおとなしい」とか「線が細くて淡白」といった音をイメージする人もいると思うが、MODEL M1には当てはまらない。もちろん、Class Dアンプらしい情報量の多さはあり、「上原ひろみのピアノの左ががしっかり描写されているな」と感じるのだが、それと同時に、まるでアナログアンプを聴いているかのような、中低域の押し出しの強さ、パワフルさも感じられるのだ。

端的に言えば「美味しく聴けるアンプ」になっている。どんなに情報量が多くて高精細でも、線が細いサウンドだと「やっぱりアナログアンプに戻っちゃうよね」というパターンもあるのだが、MODEL M1ではそうした心配はないだろう。

奥行きが短いので、コンパクトなオーディオとして書斎で楽しむだけでなく、デスクトップで使うというのも多いにアリだ。

また、HDMI ARC/eARCにも対応しているので、リビングのテレビ近くに設置し、テレビのサウンドをリッチに再生するというのも良い。ブックシェルフやトールボーイスピーカーと組み合わせたり、サブウーファーも追加できるので、“手軽なホームシアター”もすぐに構築できる。中低域がしっかり出るので、映画やゲームも楽しいはず。

ぶっちゃけこのサウンドクオリティならは、テレビ内蔵スピーカーは当然として、サウンドバーでは太刀打ちできない音が楽しめるはずだ。

テレビと組み合わせた設置イメージ

リモコンは付属していないが、スマホのHEOSアプリから操作は可能だ。さらに、CEC対応のテレビとHDMI接続した場合は、テレビとの電源/入力ソース自動切替が連動し、テレビのリモコンからの音量調整もできる。

また、CECを使わなくても、M1の筐体にはリモコン受光部が搭載されており、リモコンプリセット機能も用意しているため、主要なテレビメーカーのテレビに付属する赤外線リモコンのボタンを使って、音量調節および消音が可能。テレビやレコーダー、オーディオ機器の赤外線リモコンのコマンドをM1に学習させて、M1を操作することも可能だ。

オーディオの常識を破壊するアンプ

MODEL M1は、サイズも、出てくる音も、“これまでのオーディオの常識”を破壊するような、エポックメイキングな製品だ。

これまでであれば、小型のコンポは一体型でCDプレーヤーも内蔵していたため、小型化には限界があった。しかし、MODEL M1はネットワーク再生のみに割り切る事で、劇的な小型化を実現できた。

CDプレーヤーも内蔵した、マランツ小型オーディオの人気モデル「M-CR612」と並べたところ。MODEL M1の方がさらに小さい

このサイズであれば、ちょっとした隙間に設置できる。置き場所によっては、「スピーカーしか目につかない」ようにもでき、インテリアを邪魔しないアンプとしても使えるだろう。

MODEL M1とブックシェルフスピーカーだけ揃えれば、満足度の高いオーディオシステムが完成してしまうという手軽さは大きな魅力だ。「小さいわりに値段が高い」と感じる人もいるかもしれないが、音を聴けば納得できる価格だ。逆に言えば、組み合わせるスピーカーのグレードがアップしたり、フロア型スピーカーになったとしても、MODEL M1であればアンプを買い替えずに、それらのスピーカーを難なくドライブできる。

存在感を限りなく無くしながら、オーディオシステム全体を強固に下支えし、ピュアオーディオだけでなくAV領域までカバーする。そんな新時代のアンプを体現したような製品がMODEL M1といえるだろう。

山崎健太郎