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マランツ、約22cm幅でも“フルサイズ機に負けない”新世代Hi-Fiコンポ「MODEL M1」

MODEL M1

マランツは、217mm幅のコンパクトな筐体に、約10年に渡って培ってきたClass Dアンプ技術を投入する事で、コンパクトでもフルサイズのHi-Fiアンプに負けない音質を実現したという新世代のHi-Fiコンポ「MODEL M1」を6月14日に発売する。価格は154,000円。カラーはブラック。

機能面では、HEOS Built-inによるネットワークオーディオ機能、テレビとの接続を可能にするHDMI(eARC/ARC)、Bluetooth、光デジタル入力、USBストレージからの再生機能を備える。CDプレーヤーは搭載していない。

最大外形寸法は217×239×84mm(幅×奥行き×高さ)
MODEL M1とブックシェルフスピーカーを組み合わせたところ

マランツは2015年に、Hi-Fiオーディオカテゴリーの製品にClass D方式のパワーアンプを採用した「HD-AMP1」を投入。以来、プリメインアンプのフラッグシップ「PM-10」や、新デザイン/シャーシの「MODEL 30」、AVアンプの16chパワーアンプ「AMP 10」など、Class Dパワーアンプを上級モデルに採用し続け、技術とノウハウを蓄積してきたという。

PM-10
AVアンプの16chパワーアンプ「AMP 10」

MODEL M1の設計には、この過程で培われたClass Dアンプ開発にまつわる回路設計技術やパーツ選定、サウンドチューニングのノウハウなど、あらゆる成果を活用。「音質を犠牲にせず、かつ最小サイズが約22cmだった」「これまでのHi-Fiオーディオの常識を覆す、驚くようなコンパクトサイズでありながら、フルサイズのプリメインアンプに匹敵するHi-Fiサウンドを実現」したという。

手前がMODEL M1、奥が16chパワーアンプ「AMP 10」。M1の小ささがわかる

AxignのClass Dアンプをカスタマイズ、白河工場で内製

マランツはこれまで、スイッチングアンプモジュールとしてHypexのものや、AMP 10ではICEpowerのモジュールをベースとし、基板からパーツまで“ほぼ別物”にカスタマイズしたものを採用している。

MODEL M1では新たに、オランダのAxignというClass Dアンプのソリューションを採用。このClass Dアンプは、コンパクトで高出力かつサウンドも優れているとのこと。フルデジタルで処理をする方式で、アナログ入力もA/D変換し、デジタル信号で入力する。

AxignというClass Dアンプのソリューションを採用

特徴としては、全周波数帯域において超低歪みを実現するポストフィードバックを採用。スピーカー出力の直前からフィードバックをかける、理想的なポストフィードバック方式になっているという。

また、デジタルフィルター部分には、マランツのCDプレーヤーでも採用している独自のフィルター技術「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)を実装した。

さらに、このClass DアンプもAxignから購入したものをそのまま使うのではなく、基本回路は踏襲しつつ、それをベースにマランツが部品を選定。基板も新たに開発し、白河工場で内製している。そのため、「MODEL M1は白河工場製で最も低価格な製品」でもあるという。

MODEL M1は2chアンプだが、このClass Dアンプを4ch分内蔵。あらかじめ内部でBTL接続にする事で、100W(8Ω)、125W(4Ω)を実現。BTL接続とは、2台のパワーアンプ(あるいはアンプ回路)を互いに逆相で駆動し、それぞれの出力にスピーカーを接続する方式で、出力素子がちょうどブリッジを組んだような形になり、理論的なパワーが1台使用時の4倍になるもの。

さらに、マランツ伝統の瞬時電流供給を追求した回路設計になっており、電圧としての振幅を大きく取り、なおかつ電流の幅も大きく取ることによって、高い瞬時電流供給能力を実現している。

出力段のローパスフィルターには、AMP 10の高品質コイルをMODEL M1に合わせてダウンサイジングしたものを採用。コンデンサーには10種類以上の候補の中からサウンドマスターが厳選したBevenbi社のメタライズド・ポリエステル・フィルムコンデンサーを採用。偶然だが、このフィルムコンデンサーは、Bowers & Wilkinsスピーカーのネットワークでも採用されているとのこと。

電源部にもこだわっており、高音質を実現するために高品質なコンデンサーを実装した、新開発の専用設計スイッチング電源回路(SMPS)を採用。

天板はステンレス製のメッシュ

筐体の素材や構造も、これまでのアナログアンプとは違う考え方で作られている。

これまでは「どこまでも広がるようなナチュラルな空間表現を実現するため」に、マランツのプレミアムモデルでは、コストのかかる非磁性体のアルミニウムトップカバーを採用してきた。

MODEL M1ではこの考え方をさらに進め、非磁性体のステンレス製のメッシュ構造を採用。「Waved Top Mesh」と呼ばれる新しいトップカバーは、デザイン性が高いだけでなく、従来の放熱孔を設けたアルミニウムトップカバーよりも大きな開口面積を備え、高い放熱性を実現すると共に、「開放感に優れた空間表現を可能にする」という。

非磁性体のステンレス製のメッシュ構造を採用した天面

筐体は樹脂製で、柔らかな素材感のラバーフィニッシュを採用。従来のラバーフィニッシュとは異なり、長期間使用しても加水分解することなく、プレミアムな質感を保ち続けられるという。

長期間使用しても加水分解しないというラバーフィニッシュ

前面から側面、背面に至るまで継ぎ目のない一体成型となっており、背面以外ではネジも目につかない。シャーシには4mm厚のアルミベースプレートを採用し、低重心かつ高剛性な設計とし、振動による音質への影響を抑えている。

スピーカーターミナルはスクリュータイプを採用。RCA端子とスピーカーターミナルには金メッキ加工を施している。

背面

ネットワーク再生として、HEOSを搭載。Amazon Music HD、AWA、Spotify、SoundCloudなど音楽ストリーミングサービスや、インターネットラジオ、LAN内のNASなどに保存した音楽ファイルの再生が可能。

ネットワークプレーヤーとしては、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz/24bitまで対応する。AirPlay 2やBluetoothもサポート。LAN端子に加え、2.4GHz/5GHzデュアルバンドWi-Fiにも対応する。

ARCとeARCに対応し、テレビとHDMIケーブルで接続し、リニアPCM信号やDolby Digital Plus信号を入力可能。テレビ放送や映画、ゲームを高音質で再生できる。なお、マルチチャンネル信号は、ステレオにダウンコンバートして再生する。

なお、上位モデルでは信号の劣化を抑えるために、コントロール信号(EDID)だけをHDMIインターフェースに入力し、ARC伝送された音声信号(SPDIF)を、HDMIインターフェースをスルーして、直接DIR(セレクター)に入力する手法があるが、MODEL M1では採用していない。しかし、その手法に負けないクオリティになるようサウンドマスターがチューニングしているとのこと。

入力端子は、RCA×1、HDMI×1、光デジタル×1、USBストレージ用のUSB-A×1を搭載。サブウーファープリアウトやフラッシャーIR入力も備えている。消費電力は70W。最大外形寸法は217×239×84mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は2.2kg。

リモコンは付属していないがアプリから操作可能。テレビとの連携も

製品にリモコンは付属していないが、スマホなどを使い、HEOSアプリから操作可能。また、CEC対応のテレビとHDMI接続した場合は、テレビとの電源連動、入力ソース自動切替が可能で、テレビのリモコンからの音量調整もできる。

さらに、M1はリモコン受光部を備え、リモコンプリセット機能も用意しているため、特別な設定をすることなく主要なテレビメーカーのテレビに付属する赤外線リモコンのボタンを使って、音量調節および消音が可能。さらに、テレビやレコーダー、オーディオ機器の赤外線リモコンのコマンドをM1に学習させて、M1を操作することもできる。この場合は、音量調整や消音以外の機能も操作できるようになるが、学習させる必要がある。また、学習機能を使うためにはHEOSアプリが必要。