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デノン、超小型の新時代ストリーミングデジタルアンプ「DENON HOME AMP」。約12万円

DENON HOME AMP

デノンは、幅約217mm、奥行き242mmのコンパクトな新時代のワイヤレスストリーミングアンプ「DENON HOME AMP」を7月19日に発売する。HEOSのネットワークオーディオプレーヤー機能を備え、HDMI ARCにも対応。価格は121,000円。カラーはブラック。

外形寸法217×242×86mm(幅×奥行き×高さ)、2.1kgと小型軽量ながら、定格出力125W + 125W(4Ω)、100W + 100W(8Ω)の大出力を誇るフルデジタルアンプを搭載。BTL構成になっており、アンプのソリューションはオランダのAxignのClass Dアンプソリューションを使っている。

さらに、パワーアンプ用の大型カスタムコンデンサーには、ターンテーブル「DP-3000」の時に開発された新型を使っている。

ブックシェルフスピーカーと組み合わせたところ

デジタル音声信号は、スピーカー出力のフィルターまで一度もアナログ信号に変換することなく、純粋かつ高品位に増幅。デノンのサウンドマスター・山内慎一氏が、サプライヤーと共同開発したデノン専用のカスタムコンデンサーなど、Hi-Fiグレ ードのパーツも贅沢に投入し、「デノンらしいVivid & Spaciousなサウンドを実現した」という。

ブックシェルフスピーカーと比べ、非常に小さいのがわかる

4mm厚のボトムプレートをベースとしており、その上に3層構造の基板を配置。剛性を高めるために、インナーシャーシで各基板を支えるモノブロック・インナーストラクチャーを新たに開発。また、音質への影響を避けるために、小さな筐体の中で、部品の配置や形状などを最適化。振動の効果的な抑制に加え、回路間の相互干渉も防止するほか、放熱性にも優れた設計とした。

銀色の部分が4mm厚のボトムプレート
インナーシャーシで各基板を支えて剛性を高めている

HDMI ARC/eARCにも対応し、テレビとHDMIケーブル1本で接続し、テレビの音をDENON HOME AMPに接続したスピーカーから再生できる。192kHz/24bitまでのリニアPCMが再生できるほか、ドルビーデジタルプラス信号もそのまま入力可能。ただし、マルチチャンネルのソースは、2chへダウンミックス再生となる。

テレビの音をDENON HOME AMPに接続したスピーカーから再生できる

HDMI CECにも対応しており、テレビの電源オン/オフとアンプが連動。テレビのリモコンでアンプの音量を操作できる。

背面

HEOSに対応し、Amazon Music HDやAWA、Spotlightなどの音楽配信サービスや、インターネットラジオを再生可能。LAN内のNASやパソコンに保存したハイレゾファイルや、USBメモリーに保存したファイルも再生可能。ハイレゾファイルは、192kHz/24bitまでのPCM、5.6MHzまでのDSDに対応する。

AirPlay 2やBluetooth受信にも対応。スマホから手軽に音楽再生できる。

本体の前面にタッチコントロールボタンを備え、再生、停止、音量調整が可能。さらに、よく聴くインターンラジオ局や、入力ソースを登録し、ワンタッチで呼び出せる「クイックセレクト機能」も備えている。

リモコンは付属せず、基本的に操作はスマホで「HEOSアプリ」を用いるが、前面のタッチコントロールボタンを使えば、スマホが無くても、基本的な操作ができる。

スピーカーターミナルは金メッキ仕上げのスクリュー型で、バナナプラグ対応。デジタル入力はHDMIに加え、光デジタル、USBメモリー接続用のUSB-Aを搭載。アナログ入力はRCAのステレオ。なお、RCAモノラルのサブウーファー出力も備えている。

筐体は樹脂製。天面はパンチング処理されており、放熱性を高めるほか、音質にも良い影響があるという。天面には模様が描かれており、「枯山水にインスパイアされたデザイン」だという。また、横から見た時のシルエットは“茶器”を意識したものだという。

天面はパンチング処理
枯山水にインスパイアされたデザイン

このデザインを実現するため、筐体の側面は垂直になっている。筐体の成型に金型を使う場合、側面は少し傾いている方が型から抜けやすく、成型しやすい。しかし、DENON HOME AMPではデザインにこだわり、垂直にするため、より手間がかかる四方から押し込んで筐体を作る方式を採用。筐体の内部にはリブを設けて剛性を高めている。

筐体の側面は垂直
横から見た時のシルエットは“茶器”を意識したもの
内部にリブを設けて剛性を高めている

上から見ると、内部のパーツが透けて見えるデザインでもあるため、コンデンサなどに振動防止として取り付けているシリコンも、目立つ白ではなく黒のものを使うなど、細かい部分までこだわっている。

マランツ「MODEL M1」との違い

同じディーアンドエムホールディングスのマランツが、6月14日に発売した「MODEL M1」とよく似たサイズであるため、MODEL M1とDENON HOME AMPの違いが気になるところだ。

マランツ「MODEL M1」

まず異なるのが価格で、MODEL M1は154,000円、DENON HOME AMPは121,000円と、約3万円ほどDENON HOME AMPは低価格になっている。

そしてAxignのClass Dアンプソリューションを使っているのは共通しているが、マランツ、デノンそれぞれでアンプ部の作りは異なる。また、マランツ独自のフィルター「MMDF(Marantz Musical Digital Filtering)」も、DENON HOME AMPには搭載していない。基板のレイアウトなどレベルからMODEL M1とDENON HOME AMPでは異なっている。

また、最終的な音質を決めるサウンドマスターも、マランツは尾形好宣氏、デノンは山内慎一氏と異なっている。これにより、内部に搭載しているコンデンサーなどのパーツ類も違い、サウンドも異なっている。さらに、MODEL M1は日本の白河工場で作られているが、DENON HOME AMPはベトナムの工場で作られているというのもコスト面の違いにつながっている。

一方で、機能面や端子類はほぼ同じ。どちらもリモコンは付属しないが、MODEL M1は受光部を搭載している。DENON HOME AMPは受光部を備えていない。筐体前面の「クイックセレクト機能」はDENON HOME AMPだけの特徴となる。

また、筐体の素材が樹脂であるのは共通しているが、MODEL M1が表面にサラサラとした質感のソフトフィールフィニッシュを施しているのに対し、DENON HOME AMPは樹脂そのままとなっている。天面の素材も異なり、M1はステンレスのメッシュだが、DENON HOME AMPはパンチングメタル(穴を開けた鉄)を使っているという違いもある。