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SilentPowerノイズ対策4製品を一気に家で試す!ネットワークオーディオやHDMIで、体験したら戻れない

Silent Powerのアクセサリーを一気に試した

2008年初夏にLINNの「KLIMAX DS」を購入し、ネットワークオーディオを始めてから18年が経つ。リンジャパンのハイレゾファイルのデモを聴いてその音の良さに感激、「オーディオの未来はここにあり!」と確信し、高価なKLIMAX DSを無理しつつも買ったわけだ。

当初はオーディオ的な吟味をすることなく、汎用のNASやHUB、LANケーブルなどでネットワーク環境を構築していて(というかそうせざるをえず)、正直言って納得できる音質をすぐには達成できなかった。

「もっとイケるはずだけどな、KLIMAX DS……」と当初はいぶかしく思っていたのである。

しかしながら、ネットワークオーディオが本格化した2010年代以降、オーディオ専用を謳ったNAS(ミュージックサーバー)やHUB(ネットワークスイッチ)、光絶縁してノイズを除去するエディスクリエーションの「FIBER BOX」、アコースティックリヴァイブの4分割LANケーブルなどでをテスト、納得の上導入していくうちに我が家のネットワークオーディオの音質は劇的に向上した。

現在ではQobuzやTIDALなどの高音質ストリーミングサービスで聴くハイレゾファイルの音の良さを強く実感している次第だ。

我が家ではエディスクリエーションの「FIBER BOX」、DELAのスイッチングハブ「S100」、DELAのミュージックサーバーN1A/2などを使っている

つまりネットワークオーディオ高音質化のカギは、ネットワーク周辺のノイズ対策がとても重要ということ。「Qobuzのハイレゾの音、たいしたことないじゃん」とか言っている人に対しては、まず良質なLANケーブルの一つも導入してから言ってね、と思うわけである。

さて今回ご紹介するのは、SilentPower(サイレントパワー)のLAN周りやHDMI用のアクセサリー群だ。実際に輸入元のエミライから諸々借用して我が家でチェックしてみてその高い効能を実感させられ、改めてネットワーク周辺のノイズ対策がいかに重要かを思い知らされた次第だ。

サイレントパワーは、比較的安価でコンパクトなデジタルオーディオ機器でお馴染みの英国iFi audioの姉妹ブランド(2024年設立)。なるほどiFi audioの流れを汲むアクセサリー群か、それなら期待できるなと思う方も多いのではないだろうか。

テストしたのは以下の4製品だ。

  • LAN iSilencer+ (LAN用ノイズアイソレーター/実売約16,500円)
  • LAN iPurifier Pro (LAN用ノイズアイソレーター/実売約53,900円)
  • OMNI LAN (LAN用ノイズアイソレーター兼スイッチングハブ/実売約132,000円)
  • HDMI iSilencer 2 (HDMI用アイソレーター/実売約16,500円)
手前左から時計回りに、LAN iSilencer+、LAN iPurifier Pro、OMNI LAN、HDMI iSilencer 2

LAN iSilencer+(実売約16,500円)

まずLAN iSilencer+を試してみよう。これはトランスによるガルバニック絶縁(電気絶縁=電流の直接的な流れを断って信号や電力を伝送する技術)とRF(高周波)フィルタリングによってノイズを除去する製品で、両側にRJ45端子が付いていて、LANケーブルを追加することなく使用できる。

LAN iSilencer+
両側にRJ45端子が付いており、LANケーブルを追加することなく使用できる

ここでは、DELAのスイッチングハブ「S100」と、Eversoloのネットワークプレーヤー「DMP-A10」の間に、LAN iSilencer+を加えてみた。LAN iSilencer+とDMP-A10LANの間は、現在テスト中のエイム電子LANケーブル「NAX」を使っている。

DELAのスイッチングハブ「S100」からLAN iSilencer+を介して、ネットワークプレーヤーへと接続する
エバーソロのネットワークプレーヤー「DMP-A10」

Qobuzのハイレゾファイルを中心にいくつかの楽曲を聴いてみたが、予想をはるかに上回る効能の高さに驚かされた。

最初に聴いたジャズ・ピアニスト、フレッド・ハーシュのトリオ形式の演奏『サラウンディング・グリーン』では、ピアノの余韻がいっそう深まり、3人の演奏が立体的に描写されるようになった。その変化量はとても大きく、これはイケると確信したのだった。

日本のソウル・バンドWONKの2024年作『Shade of』で顕著だったのは、長塚健斗のボーカルがいっそう滑らかに聴こえるようになったこと。マイクロフォンのダイヤフラムにふっと息が吹きかけられるのがまるで目に見えるかのようで、そのニュアンスの再現の高さに瞠目した。

パーヴォ・ヤルヴィ指揮エストニア祝祭管弦楽団による『アルヴォ・ペルト:CREDO』を聴いて驚かされたのは、ステージの暗騒音の再現。音になるかならないかの「気配」が漂うようになったのである。

つまり、LAN iSilencer+を加えることでネットワーク周辺のノイズ環境が劇的に改善し、音楽の背景にある情報が俄然増えることがわかった。

今回テストに用いたLANケーブルは、ノイズ対策に万全を期した3メートルで28万円というエイム電子の最高級品NAX。それでも劇的な効果が得られたわけで、もっと安価なLANケーブルだったらもっと大きな効果が得られるのではないかと思う。

LAN iSilencer+の価格は16,500円。ぼくはソッコーで一つオーダーしました。

LAN iPurifier Pro(実売約53,900円)

LAN iPurifier Pro

次に試したのが、LAN iPurifier Proである。これは入力された金属導体のLAN信号を内部で光信号に変換し、再び電気信号に戻して出力するイクイップメント。電気的な完全分離を光学的に実現するもので、接続機器間の電気的な干渉を防ぐことができるわけだ。

ぼくが愛用するEDISCREATIONのFiber Boxのサイレントパワー版と言っていいだろう。後述する13万円台のOMNI LANから光絶縁機能のみを取り出した製品という言い方もできるかもしれない。

RJ45端子の入出力を備えたシンプルな仕様だ
DELAのスイッチングハブ「S100」と接続するLANケーブルは、LAN iPurifier Proに付属するものを使った

事前の予想はできたが、本機の効果も目覚ましいものだった。ジェイミソン・ロスのジャズ・バラードではボーカル音像のにじみが少なくなり、ベースとバスドラムがいっそうタイトに響くようになった。やはり光絶縁による高音質化は著しい。

クラシック・ピアニストのアリス=紗良・オットが「ブレードランナー2049」などの映画音楽を書いたアイスランド出身の作曲家ヨハン・ヨハンソンの楽曲を弾いた新作は、ピアノの響板の下にマイクロフォンを突っ込んで録ったと思えるインティメットな音像が楽しめる作品。

LAN iPurifier Proを加えると、くぐもったピアノがより明快になり、より静謐に響くようになった。この違いも興味深い。

エベーヌ弦楽四重奏団が弾いた「ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番」は、剛直な響きに柔らかさが加わり、いっそう聴き味がよくなった。また、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロそれぞれの弦楽器の鳴りに陰影がもたらされる印象で、その変化に驚かされた次第だ。

動作中はこのようにLEDが光る

OMNI LAN(実売約132,000円)

OMNI LAN

次に試してみたのはOMNI LAN。同社では「LANコンディショナー」と呼んでいるが、基本は光接続可能なSFP端子を含む13ポート構成のスイッチングハブ。15Vのアダプター電源が付属する。

スイッチングハブとしても使用でき、光接続可能なSFP端子も備えている
付属の電源は、単品発売もされているiPower 2

光絶縁とトランスによるガルバニック(電気)絶縁機能を有し、高度なグラウンド(GND)オプションを持ち、精度の高いクロックを内蔵し、加えて10MHz BNCマスタークロック入力も装備する。つまりネットワーク信号からノイズを抑制し、安定に送り出すよう万全に設計されたハブというわけだ。

OMNI LAN

ここではぼくが愛用しているDELAのスイッチングハブS100をはずして、ルーターとネットワークプレーヤーのEversolo DMP-A10の間に、OMNI LANを挟んで、その音を聴いてみた。

ドゥービー・ブラザーズの192kHz/24bitファイルの『ドゥービー・ストリート』から、『運命の掟』を聴いてみたが、各楽器の響きがきわめて明瞭になり、音数がぐっと増えた印象。サウンドステージの立体的な広がりが得られるのも本機ならではの魅力だろう。

フランスで活躍する韓国人女性ジャズ・シンガー、ユン・サン・ナが歌う「シェナンドー」は、アカペラ(無伴奏)で歌い始められるのだが、OMNI LANを用いることでその濡れた声のニュアンスがいっそう豊かになることがわかった。これはノイズレベルが下がって、ローレベルのリニアリティが向上したからこそなのだろう。

この楽曲の再生中、接地(グラウンド)モードをRF(高周波)からISOに切り替えたところ、ボーカルの実在感がいっそう増し、音量が上がったかのような変化を示した。我が家ではISOモードが音質面でいちばん良い結果となったが、ユーザーとなった方がいろいろ試してみてほしいと思う。

ノイズ制御を最適化するため、接地モードをDC-RF、RF、ISOから選択できる
OMNI LAN
付属のスタンドで縦置きも可能だ

HDMI iSilencer 2 (HDMI用アイソレーター/実売約16,500円)

最後にLAN関連アクセサリーではないが、冒頭でご紹介したLAN iSilencer+のHDMI版であるHDMI iSilencer 2を試してみた。

HDMI iSilencer 2
HDMI入出力端子を備えている

これはアクティブノイズキャンセル機能とジッター除去機能を組み合わせたノイズアイソレーターで、今回はHDMI iSilencer 2を2基用いて、UHDブルーレイプレーヤーのパナソニック「DP-UB9000」の映像出力と音声専用出力それぞれに挿し、その変化をチェックした。

まず驚かされたのは、画質の変化だ。ダニー・ボイル監督のUHDブルーレイ『イエスタデイ』を観てみたが、主人公のシンガー・ソングライターであるインド系青年が<ビートルズが消えてしまった世界>で友人たちに前で「イエスタデイ」を歌うシーンでは、ロングショットの見通しが良くなって、俳優たちの表情がより豊かになる効果が実感できた。加えてカラフルな原色の色合いがより濃厚に感じられる効果も。これは明らかにノイズレベルが下がったからこそだろう。

坂本龍一によるピアノ・ソロ『OPUS』のブルーレイも観てみた。彼の死の数か月前にNHKの509スタジオで収録された映像作品で、全編モノクロームで仕上げられている。

HDMI iSilencer 2を加えると、その映像はより黒が沈み白ピークが伸びたかのようなハイコントラストな画調に変化した。音質向上も明らかで、ヤマハのコンサートグランドピアノの荘厳な響きがよりダイナミックに展開される印象に。なるほどHDMI伝送においてもノイズアイソレーターの効能はきわめて高いことがわかった。ぼくもさっそく映像用と音声用の2つをオーダーすることにした。

さてサイレントパワーのアクセサリー群、駆け足でご紹介したが、いかがだっただろうか。高音質ストリーミングサービスの高音質化を図りたいという方にとって、(何度も繰り返すが)ネットワーク周辺のノイズ対策こそが重要。それぞれの環境の中でぜひお試しいただきたいと思う。

山本 浩司

1958年生れ。月刊HiVi、季刊ホームシアター(ともにステレオサウンド刊)編集長を務めた後、2006年からフリーランスに。70年代ロックとブラックミュージックが大好物。最近ハマっているのは歌舞伎観劇。