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クリエイティブが作った、2万円台の“小さなピュアオーディオスピーカー”「Creative XF1」の音に驚く
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2026年7月15日 08:00
パソコン用デスクに置ける、コンパクトなアクティブスピーカーが人気だ。音楽配信が普及し、PCで再生する音楽を良い音にしたいというニーズが増加。NetflixやYouTubeなどの映像をPCで見る時や、PCゲームでもアクティブスピーカーは活躍する。
“大人が書斎で楽しむデスクトップオーディオ”であり、ミニコンポやラジカセが減った昨今、若い世代が本格的なサウンドに触れる“オーディオ趣味の入口”にもなっているのが小型アクティブスピーカー。市場が盛り上がるにつれ、製品数も増加。各社が切磋琢磨した結果、「この価格で、このサウンド!?」と驚く製品が登場している。
その代表になりそうなのが、クリエイティブメディアが7月に発売する「Creative XF1」。モダンで本格的なデザインなのは一目瞭然だが、価格はオープンで、直販価格は26,800円と、かなり手が届きやすい。
実際に、家のデスクで鳴らしてみたのだが、この価格で「もう完全にピュアオーディオじゃん」というサウンドだった。しかも、PCと直接USB接続できるUSB DAC機能、スマホと繋げるBluetooth受信、PCやスマホアプリからの音質調整まで出来てしまう。“小型で低価格なのに中身はバケモノ”のようなコストパフォーマンスの良さだ。
クリエイティブメディアとは
パソコン歴が長い読者には説明不要だと思うが、クリエイティブメディアは1981年にシンガポールで創業され、約45年の歴史を持つメーカーだ。1989年に、PCに接続するサウンドカード「Sound Blaster」を発売し、大ヒット。“パソコンのサウンドカードと言えばクリエイティブメディア”と言える存在となり、PCスピーカーも手掛けるようになる。
自身でオーディオプロセッサも開発し、音声信号処理でも高い技術力を持っているのも特徴。近年では、空間オーディオ技術の「Super X-Fi」も話題となった。
そんな“パソコンまわりの音と言えばクリエイティブメディア”という老舗だが、PCスピーカーといえば、おまんじゅうのような「Pebble」シリーズがお馴染みだろう。直販2,280円という安さながら、驚くほど音が良く、ユニットが斜め上向きに搭載されているのでPCデスクでも使いやすい定番モデルだ。
さらに、USB接続やBluetoothに対応した「Pebble X」や、サブウーファーもセットになった「Pebble X PLUS」などもラインナップされている。
そして昨年、Pebbleシリーズの最上位モデルとして、筐体全体が球形で、さらに同軸2ウェイユニットを搭載した“スピーカーの理想形”と言える「Pebble Nova」(直販41,800円)を発売。音質だけでなく、空間表現や音像の定位もバツグンで、PCスピーカーブランドとしてのクリエイティブメディアの実力を改めて示した。
そんな同社が7月に発売したのが、Pebbleシリーズとは一味違う「Creative XF1」だ。
2万円台とは思えないリッチな仕様のXF1
特徴は一目瞭然だが、球形かつ、イルミネーションなども備えた“PCスピーカー”的な雰囲気のPebbleに対して、XF1はよりピュア・オーディオライクな、落ち着いたデザインになっており、インテリアに溶け込むような佇まいだ。
XF1を詳しく見ていこう。
外形寸法は99.7×155×191mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクト。一般的なピュアオーディオ用ブックシェルフスピーカーと比べても大幅に小さいので、XF1のサイズであればデスクに設置しやすく、キーボードやマウスを置く面積も確保できるだろう。
ユニットは、高域用に0.75インチのツイーター、低域用に3インチのウーファーを搭載した2ウェイ。どちらも、ユニットが振幅した時に、どのように動くのかをコンピューターでシミュレーションする有限要素解析(FEA)を使って設計された、専用ユニットだ。ツイーターは40kHzまでを再生できる。周波数特性は55Hz~40kHzだ。コンパクトな筐体で、低音を出すために背面にバスレフポートも搭載している。
見た目はシンプルだが、中にはこだわりが詰まっている。アンプを内蔵しているのだが、ツイーターとウーファーのそれぞれに、個別のアンプを用意するバイアンプ構成を採用。各ユニット、各帯域ごとに最適な駆動ができるため、音質面でのメリットが大きい。
しかも、片方のスピーカーにだけアンプを搭載するのではなく、左右のスピーカーそれぞれにアンプを内蔵している。音質を高めたり、左右で音質差が出ないようためだが、コストもかかるので、2万円台のスピーカーでよく実現できたものだ。出力は、ツイーターが10W RMS、ウーファーが26Wとパワフルだ。
音質面でもう1つ見逃せないこだわりが、インシュレーターだ。
スピーカーは、内蔵のユニットが前後に振幅して音を出す構造上、どうしてもスピーカーの筐体も振動してしまう。デスクトップスピーカーの場合、その振動が、机にも伝わると、机まで振動する。すると、スピーカーから出た音だけ聴きたいのに、机が振動した音まで耳に入ってしまう。
それを防ぐためには、スピーカー底面の足“インシュレーター”が需要。XF1はゴム製の横長インシュレーターを備えており、振動が伝わるのを防いでいる。
さらに、XF1自体を上に乗せるコルク製のスタンドも同梱している。このスタンドは、振動を机に伝えないだけでなく、XF1自体を斜め上に向かせる効果もある。デスクトップ・オーディオでは、どうしてもリスナーの耳よりも下にスピーカーが配置されるので、斜め上に固定することで、ユニットからの音がダイレクトに耳に届くようにするわけだ。
ちなみにこのコルクスタンドは、ゴム製前後配置したゴム製インシュレーターの間に、スポッと入るようサイズになっており、斜め上に固定したXF1が、ずり下がらないようになっている。シンプルだが、よく考えられた構造だ。
操作面では、右チャンネルの前面にボリュームノブを搭載。音量調整ができるほか、押し込むことで電源ON/OFFや、入力切り替えができる。大きな音が意図せず出た時など、とっさに手を伸ばして調整できるのは便利だ。
入力端子などは右チャンネルのスピーカー背面にまとめられている。USB DAC機能を内蔵しており、パソコンとUSB接続するためのUSB-C入力を搭載。最大96kHz/24bitまでのデータに対応する。さらに、3.5mmのアナログ入力やサブウーファー出力まで搭載している。
また、Bluetooth受信も可能で、コーデックはLDAC、AAC、SBCに対応する。これもあとで試してみよう。
音楽配信で音楽を楽しむ
前置きが長くなったが、パソコンとUSB-Cで接続し、ハイレゾ音楽配信のQobuzで音楽を聴いてみよう。試聴ではQobuzアプリを使い、排他モードで再生。セッティングとしては、最初から実力をフルに聴きたかったのでコルクスタンドも使っている。
ぶっちゃけ、2万円台のアクティブスピーカーなので「音はそれなりだろう」と思っていた。だが、「グレゴリー・ポーター/When Love Was Kin」の再生ボタンを押した瞬間、静かな音場が目の前にブワッと広がり、PCディスプレイの画面を超えて、空中にグレゴリー・ポーターの歌う口が出現する。
口の開閉する動きが、目に浮かぶほど音像の定位がシャープ。声に余計な付帯音は無く、人の声の生々しさがしっかり感じられる。そして、パソコンの裏には壁があるのだが、歌声や伴奏のピアノ、ウッドベースの響きが、存在しない背後の空間へと広がっていく様子まで描写される。まるで自分の部屋が広くなったような空間表現だ。
「PCスピーカーの音じゃなくて、完全にピュアオーディオの音じゃん」と呆気にとられるクオリティ。安いからと「音はそれなりだろう」と決めつけてすみませんと謝りたい。
「手嶌葵/明日への手紙」を再生すると、囁くようなボーカルの、微細な表現までしっかりと聴き取れる。中高域のクリアさ、解像感の高さは見事だ。
もっと激しい曲をと「米津玄師/KICK BACK」を再生したが、これも、小型スピーカーと思えない迫力。エレキギター、ベース、ドラムの激しい中低域も、キレ味鋭くハイスピードに描写し、ベースラインも聴き取りやすい。そして、中低域が激しく炸裂する中でも、米津玄師のボーカルは埋もれず、クリアな声で、中央上空に定位する。
トランジェントの良いサウンドの秘密は、専用設計したツイーターとウーファーを、個別のアンプで駆動しているからだろう。アンプがユニットを上手く駆動できない場合、音がズバッと出る時の鋭さが足りなかったり、逆に、スッと音が消える場面で、ユニットを制御しきれずフラフラ動いてしまい、余計な音が出てしまう。XF1では、アンプが各ユニットをキッチリ制御できているため、これだけクリアでキレ味のあるサウンドを再生できるわけだ。
エンクロージャーの剛性も高い。KICK BACKを、大きめのボリュームで鳴らしながら筐体を触ってみたが、振動が少ない。内部に補強を入れるなどして、剛性を高めているのだろう。筐体の振動が大きく、その響きが音に乗りすぎると、音は不明瞭になっていく。小型スピーカーでは、逆に響きを活用して広がりのある音を出したりもするのだが、響き過ぎてもいけない。その塩梅が、XF1はよく出来ている。
音像の定位の良さや、音場の広さは、コルクスタンドの効果によるところも大きい。「手嶌葵/明日への手紙」を再生しながら、コルクスタンドを外してみたのだが、上空に定位していが手嶌葵の音像が、スッと下に降りてきて、音楽が広がる空間も降下し、範囲も少し小さくなる。
コルクスタンドがある状態では、机の上に広大なステージがブワッと広がり、そこに上半身を突っ込んでいるような聴こえ方だったのだが、コルクスタンドを外すと、ステージがこぢんまりとして、机の上に沈殿するような聴こえ方になる。これは絶対、コルクスタンドを使ったほうが良い。
音場が広く、定位がよく、微細な音も表現できるので、クラシックも楽しめる。モントリオール交響楽団による「死の舞踏~魔物たちの真夜中のパーティ」から「サン=サーンス:死の舞踏 作品40」を再生すると、広大な空間に、オーケストラが定位し、音圧も豊かに演奏してくれる。つくづく2万円台とは思えないスピーカーだ。
小型筐体ということもあり、バランスとしてはやや高域寄りだ。しかし、無理に低音を膨らませて迫力を演出せず、低域のキレ味や、クリアな中高域という強みを活かした音作りにしたのは英断と感じる。それがこの、ピュアオーディオライクなサウンドを生み出している。
一方で、地鳴りのような重低音を期待する人は、別途サブウーファを追加したり、最初からサブウーファーもセットのPebble X PLUSを選ぶ方が良いだろう。
NetflixやYouTubeで使ってみた
音楽再生だけに使うのはもったいない。
YouTubeではよく、旅動画を見ているのだが、見慣れた動画もXF1で音を出すと、まったく違う動画のように楽しめる。長野の安曇野を旅する動画だったが、夏の森で鳴く無数のセミの声が、自分の部屋の中にブワッと広がり、遠くから踏切の音がかすかに響く。下の方からは撮影者の靴がアスファルトを蹴る「シャリシャリ」という小さな音まで聞こえてくる。「こんな音が入っていたのか」と驚くと同時に、音の情報量が増えたことで、本当に自分が夏の長野を歩いているような気分になる。
笑ってしまったのは、YouTubeの途中で再生されたCM。よく見る、動画編集ソフトのCMで、いつものなら「あーはいはい」という感じでスキップを押すのだが、CMで使われているBGMの音が良すぎて、スキップも押さずにしばらく聴き入ってしまった。
音場の広さは、映画再生でも活きる。
Netflixで「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」を再生。冒頭の墓参りのシーンでは、屋外にある墓地を抜けていく風の音で、空間の広さが伝わる。墓が爆発するシーンでは、トランジェントの良い低音が炸裂し、何度も観たシーンなのに、驚いて思わず肩がビクッとする。
続くカーチェイスシーンでは、バイクや自動車のエンジン音が「ドロロロ」と低くうなり、銃撃音にも鋭く、重さがあり、音がしっかりと“怖い”。これは映画にとって重要なポイントだ。激しく音が乱れ飛ぶシーンでも、ボンドのセリフや、荒い呼吸は明瞭に聞こえる。映画用スピーカーとしても優秀だ。
ここで、Creative Nexusアプリを使ってみよう。
10バンドパラメトリックイコライザーで、細かな音質調整ができる。調整が苦手という人には、120種類以上のEQプリセットも用意されているので、これをいろいろ選んでみると良いだろう。
試しに「映画」を選ぶと、セリフなどの細かい音が少し強調され、爆発音や地響きなど、低い音も少し持ち上がり、迫力のある音になる。ファンク、ジャズ、ヒップホップ、メタルなど音楽ジャンルのモードも豊富。中低音を大胆に下げた「ナイトモード」は、隣の部屋に低音が響かないようになるので、深夜に再生する時に便利だ。
個人的には「プリアンプ」機能もうれしい。入力ゲインを0.1dB単位で調整できるもので、ボリュームつまみを回した時に「もうちょっとだけ音を下げて欲しい」など、絶妙にハマらないときに、このプリアンプ機能で微調整できる。
Bluetoothとテレビ、ゲームも試す
PCスピーカー、デスクトップスピーカーとして使ってきたが、XF1を机の上だけで使うのはもったいない。Bluetooth受信にも対応しているので、リビングやキッチンにも設置してみた。
ちなみに、部屋を移動する時にありがたいのは、付属のACアダプターがコンパクトなこと。片手で簡単に運べるので、「ちょっとリビングのテレビに接続しようかな」と思った時に、気軽に移動しやすい。
LDACに対応しているので、Google「Pixel 10 Pro XL」でLDAC接続し、Qobuzアプリで音楽を再生したが、音の印象はPC接続時と変わらず、「ジャック・ジョンソン/ベター・トゥゲザー」のギターが、非常にクリアで、弦の動きが目に見えるほど解像度も高い。
デスクトップよりも広い空間で鳴らすと、XF1の音場の広さが最大限に発揮され、部屋の中がステージになったような臨場感が楽しめる。ボリュームを上げていっても、音が破綻せず、解像感も低下しないのは見事だ。
AACに対応しているので、iPhoneとペアリングしてApple Musicも再生してみたが、これも良い音だ。情報量としてはLDACの方が多いが、実際に聴き比べても、ものすごく大きな違いは感じない。音のクリアさ、トランジェントの良さ、そして空間表現の広さといった強みは、AACでもしっかり味わえる。これはもう、立派な“リビング用スピーカー”と言って良いだろう。
ステレオミニのアナログ入力も備えているので、テレビのイヤフォン出力と接続。テレビスピーカーとしても使ってみたが、これも効果はバツグン。テレビの内蔵スピーカーは、どうしても音が広がりにくく、奥行きも不足しがちだが、XF1で再生すると、そうした不満が一気に解消。サスペンスドラマも、ニュースでも、バラエティ番組でも、ちょっとしたBGMの音がクリアで印象深なり、街の小さな騒音にも気が付き、芸人が大勢で喋っている場面でも、1人1人の声が聞き分けやすい。
ステレオミニ接続で、Nintendo Switch 2とも接続してみたが、ゲームの音もガラッとかわる。バトロワゲームの「Apex Legends」 をプレイしたが、「ズドドド」という銃撃音のキレ味、低音の迫力、そしてその音が広がる空間の広さは、Switch 2内蔵スピーカーとは次元の違う音になる。細かな音が聞き取りやすいので、遠くで敵が撃っている銃の音や、足音もわかりやすい。
Nintendo Switch 2の場合はBluetooth接続も可能だが、どうしても遅延は生じるので、格闘ゲームやFPSなどはステレオミニ接続の方が良いだろう。
初めてのピュアオーディオスピーカーとしてもオススメ
2週間ほどXF1を使ってみたが、使う前に抱いていた「直販26,800円のお買い得なPCスピーカー」という印象は消え去り、今では「小さなピュアオーディオ・スピーカー」という認識になった。それだけ、クリアで情報量が多く、余計な音が出ない、よく出来たスピーカーだと感じる。
手に届きやすい価格だから、デザイン的に気に入ったからと選ぶ人も多いと思われるが、家で音を出した瞬間、誰もがクオリティの高さにビックリするだろう。そういった意味で、“初めてのピュアオーディオスピーカー”としてもオススメしたい。
この価格で、バイアンプ構成、USB DAC搭載、Bluetooth受信でLDAC、AAC対応、ステレオミニ入力も装備、さらに上向きスタンドまで同梱と、スペックや付属品も含めて隙がない。この価格で利益が出ているのか心配になるくらいのコストパフォーマンスの高さだ。
広い部屋は必要ない。机の上の限られたスペースで、本格的な音で音楽をたっぷり聴き、映画やゲームも楽しみたい。それでいて、あまりギラギラ主張しない、大人っぽいスピーカーが欲しい。そんな人に、Creative XF1は間違いなくオススメだ。











































