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ソニー「Xperia 10 VIII」のスピーカー音質が別格に。Xperia 5シリーズを思わせる立体感

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前機種のXperia 10 VII(左)とXperia 10 VIII(右)

8月25日に発表された「Xperia 10 VIII」。リアカメラのレイアウトやアスペクト比が変更となった前回と異なり、今回はカメラセンサーやSoCも据置きと、スペック面はマイナーアップデートに留まっているのだが、1点大きく進化したポイントがある。スピーカーだ。

Xperia 10シリーズでは、3世代前の「Xperia 10 V」から、本体前面に均等に配置される「フロントステレオスピーカー」を採用し、エントリー寄りのミッドレンジモデルながら、オーディオ面でも上位機種と同じ方向性のこだわりを持っている。

iPhoneを始めとした他機種のスマートフォンの多くは、ボトムスピーカーが本体の下に向かって配置されているが、フロントステレオスピーカーを採用しているXperiaシリーズはディスプレイ側に向かってスピーカーを配置することで、横持ちした際に左右からバランスよく拡がるステレオサウンドが楽しめるようになっている。

フロントステレオスピーカーのイメージ

スピーカーのアップデート自体は、ボトム側のスピーカーユニットの主に振動板部分が刷新されて、低域のパワーが向上した、というもので、字面だけではかなり地味な変化のように見える。

だが、前機種と並べて音を再生してみると、その差は歴然。ハイエンドのXperia 5シリーズやフラッグシップのXperia 1シリーズと同じ方向を向いた音に進化している。これは、今回進化したボトム側のスピーカーが頑張っているから……という訳ではない。前機種で進化したトップ側のスピーカーと今回のボトム側のスピーカーが揃ったことによる効果だ。

前機種のXperia 10 VIIでは、トップ側のスピーカーにエンクロージャーを採用するというアップデートがあった。スピーカーユニットをエンクロージャー(箱)に入れることで、音を再生した際にスマホのボディが振動して、余計な音を出すこと防ぎ、低域をクリアに再生するのが目的だ。

ボトム側のユニットは元々エンクロージャーが採用されているので、トップ側とボトム側が両方エンクロージャーに入った形になる。この構造は上位のXperia 5シリーズ、Xperia 1シリーズでも採用されている。

だが、いくら同じエンクロージャーに入った構造を採用したとしても、スマホの場合はパーツに使える面積などの都合で、トップとボトムのスピーカーで大きさや形状が異なる。

最上位のXperia 1 VIIIでは、全く同じスピーカーユニットに揃えるという方法で音質を大幅に向上したが、本体の大きさやグレードの異なる10シリーズで同じことは現状できないので、色々調整を加えて、音がスマホの中央から聴こえるようにしているわけだ。

トップ側はどうしてもカメラなどのパーツが入る関係で、ボトム側と比べてスピーカーのパーツのサイズが小さくなる。前機種Xperia 10 VIIのときは、この小さめなトップ側がしっかりと低域を再生することで、ボトム側と足並みを揃えているという調整だったそうだ。

今回のXperia 10 VIIIでは、ボトム側のスピーカーの進化で、低域再生に余裕が生まれ、トップ側のスピーカーと足並みが揃った、10シリーズの集大成の音といった形に仕上がった。

実際に音を再生したときに感じる主な進化点が、音の前後感と、ボーカルの存在感だ。「藤井風/まつり」を再生すると、始めの方にピアノの音が回り込むような演出があるのだが、これがしっかり自分の後ろの方まで回り込むように聴こえる。

これまでの10シリーズも他機種と比較すると、スピーカー再生のクオリティは高かったのだが、1シリーズや5シリーズの立体感までは、届きそうで届かないという印象だったのだが、Xperia 10 VIIIは、その域に手が届いたようなクオリティになっている。

5シリーズの新機種が不在のままもう3年が経とうとしているので、Xperia 5 Vユーザーもそろそろ買い換えを検討し始める時期だと思う。1シリーズは価格がほぼ倍、かといって10シリーズはスペック面が大きく下がるという印象があるが、もし懸念点が音質であれば、一度Xperia 10 VIIIの音も聴いてみてほしい。

野澤佳悟