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HD DVDプレーヤー上位モデル「HD-XA2」を試す
-DVDライブラリも高画質で楽しめるHD DVD再生機


1月下旬発売

標準価格:オープンプライス


 2006年3月31日発売の初代HD DVDプレーヤー「HD-XA1」からまもなく一年。年末には低価格プレーヤー「HD-XF2」も発売され、いよいよ“次世代DVD”から、“現世代”への移行期を迎えようとしている。もちろん、BDとのフォーマット戦争は続いているが、ハイビジョンディスクの普及は2007年により一層進んでいくことだろう。

 そうした中、HD DVDプレーヤーの上位モデル「HD-XA2」も発売された。実売価格は128,000円と、HD-XF2(54,800円)よりかなり高価ではあるが、1080p対応やアルミシャーシなどで差別化を図った「フラッグシップモデル」と位置づけられている。


■ 高級感の増した本体。リモコンも新デザイン

トレーは本体左に備える

 シャーシは、アルミ押し出し材を用いた「制震型フルアーマーシャーシ」を採用。外形寸法は438×344×74.4mm(幅×奥行き×高さ)、重量は6.2kg。HD-XF2と比較すると、厚みが8.9mm増しているほか、重量は2.1kg増加しており、シャーシ構造や部材の変更により、映像/音声再生品位を向上している。

 HD DVDドライブは本体向かって左側に備え、右側にはFL表示管を装備する。基本的なレイアウトはHD-XF2と同じだが、サイドパネルや天板などの仕上げは大きく異なり、高級感はかなり向上している。

 前面の下のふたを開けると、操作ボタンやUSB端子の拡張スロットが現れる。今のところ拡張スロットの使い道はない。また、ここにMODEスイッチも備えている。MODE 1/2を切り替えできるスイッチだが、2の時はHDMIとD端子、コンポーネント出力に、1の場合はS映像、コンボジット出力となる。HD-XA2の能力をフルに活かすためには当然MODE 2を選択しておく必要がある。

本体前面。ふたを開けると操作ボタンやUSB端子が現れる。青色のLEDはリモコンのDIMMERスイッチで消灯できる MODEスイッチで出力端子を切り替える
側面の仕上げはHD-XF2とは異なっている 背面。電源端子はメガネ型 HDMIやアナログ5.1ch出力を装備する

 出力端子はHDMIとコンポーネント、S映像、コンポジット、アナログ2ch音声、アナログ5.1ch出力、光デジタル音声、同軸デジタル音声。RS-232C端子も備えている。

シアターライトリモコン

 HD-XF2との違いは、HDMIのバージョンが1.3となりDeep Colorをサポート。さらに、Silicon Optix製のスケーラチップ「Reon-VX」を内蔵し、HDMI出力時には1080p出力が可能となっている。

 電源ケーブル用のコネクタは、10万円超のプレーヤーとしては珍しく、メガネ型となっている。

 リモコンは自照式の「シアターライトリモコン」を同梱する。HD-XA1のものによく似ているが、解像度切換ボタンが無くなった代わりに、[画質設定]や[設定]などの専用ボタンが新設されるなどリファインされている。


【HD-XA2の主な仕様】
HD-XA2HD-XF2
(参考)
対応メディアHD DVD-ROM、DVDビデオ、DVD-R/RW、
音楽CD、CD-R/RW(CDDA)
最高映像
出力解像度
1080p1080i
ビデオ
DAC
12bit/297MHz12bit/148.5MHz
出力端子HDMI、コンポーネント、D4、S1映像、コンポジット、
光デジタル、アナログ音声(2ch)
アナログ
5.1ch出力
-
同軸デジタル
音声出力端子
-
リモコン自照式蓄光式
消費電力41W29W
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
438×344×74.4mm430×345×65.5mm
重量6.2kg4.1kg

下位モデルHD-XF2との比較 HD-XF2のリモコン(左)とHD-XA2のリモコン(右)
HD-XF2(上)、HD-XA2(中段)、HD-XA1(下段)


■ 設定メニューやレスポンスはHD-XF2とほぼ同じ

 電源投入後、HD DVDのロゴが出画されるまでの時間は約35秒。HD DVDディスクのローディング時間は20秒程度とHD-XF2とほぼ同じ。きびきび動くとまでは言えないが、ローディングさえ終われば、再生やメニュー表示、選択などのレスポンスに不満はない。

 DVDやCDのローディングはHD DVDより高速で、XD-XF2や既存のDVDプレーヤーとさほど変わらない。

 ファンノイズは、HD-XF2とほぼ同程度。初代のHD-XA1よりはかなり小さくなったものの皆無という訳ではない。HD DVDディスク再生時はほとんど気にならないが、静かなフローリングの部屋に置いて電源を入れると耳障りだ。特に音楽CDを聞いている場合、曲間の無音部などでファンの音を知覚できてしまう。

 設定画面はHD-XF2とほぼ同じだが、映像設定の解像度設定に「~1080p」が追加されたほか、音声のスピーカー設定で5.1ch設定が用意された。

HDMI出力の解像度設定(~480i/~480p/~720p/~1080i/~1080p)を設定できる アナログ出力時の5.1chスピーカー設定


■ 1080p対応の使いこなしがキモ。DVD画質は大幅向上

 当たり前だが、HD DVDのソースが良いこともあり、画質は良好。HD-XA2の画質面の特徴といえるのは、HDMIからの1080p出力。今回は主に37/40型の液晶テレビで視聴したということもあり、1080i出力と顕著に変わるかといえば、さほど違いを感じないことも多いが、それでも1080p出力のサポートは嬉しい。

 D端子/コンポーネント接続では、1080iまでとなる。ビデオDACはアナログデバイセズ製の12bit/297MHzとかなり奮っているが、やはりディティールの表現は、HDMI接続の方が良い。

 「ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT」の車のボディや、北米版「Charlie and The CHOCOLATE FACTORY(チャーリーとチョコレート工房)」などの鮮烈な色もHDMIで楽しみたい。一方、65mmフィルムからリマスターしたという北米版「GrandPrix」をアナログ接続で見てみるとHDMI接続時より立体感が和らいで、色調も適度に落ち着きがありリアリティがぐっと出てくる。ソースによって使い分けるても面白いだろう。

画質設定メニュー コントラストや明るさを変更できる。なおノイズリダクション関連の機能はHD DVD再生中には適用できない

 また、リモコンの[画質設定]ボタンから、コントラスト/明るさ/色の濃さ/色合い/カラー強調/エッジ強調などの画質設定が行なえる。ユーザーによる設定内容は3つまでメモリできるため、ディスクにあわせた画質設定をすぐに呼び出せる。このあたりも上位機ならではといえるだろう。

 1080p出力は画質面でのメリットもあるが、1080p対応ゆえの不満点もいくつかあった。まず1点は、HD-XA2から1080p出力している際にテレビの入力を切り替えると、最初から再生し直さなければならない点だ。

 HD-XA2の出力画面から、テレビ側の入力をテレビやレコーダに切換すると、HD-XA2側で解像度変更を検出してしまうようで、「解像度切換を行なうため、最初から再生を行ないます。決定ボタンを押してください」というメッセージが表示される。決定ボタンを押すと、ディスクの最初の画面に戻されてしまうのだ。

テレビの入力を切り替えると最初から再生させられる

 今回はHDMIの1080p入力に対応した「REGZA 37Z2000」と「BRAVIA KDL-40X2500」を接続したが、いずれでも入力を切り替えると再生を停止してしまう。また、同じくHDMI 1080p出力を行なっている松下のBDレコーダ「DMR-BW200」やPLAYSTATION 3にテレビの入力を切り替えても、やはり再生は停止してしまう。

 DMR-BW200やPLAYSTATION 3を同じテレビで1080p出力した際は、問題なく入力切換が行なえたので、HD-XA2のこの制限は少々戸惑った。

 例えば、HD-XA2にディスクを入れ、その後にテレビの電源を入れて、入力を切り替える。すると、ディスク自体は既にメニュー表示部まで再生されていたにも関わらず、「最初から再生します」とメッセージが出ているという具合だ。HD-XA2の位置づけからしても、入力切換頻度がさほど高くないプロジェクタユーザー向け、と考えることもできるが、それにしても使いづらい。

 もっとも、1080i出力の場合はこうした制限は生じない。接続機器や利用環境によって、使い分けることが必要かもしれない。

 HD-XF2との画質面での違いといえば、HD DVD時よりもDVDのスケーリング品質の方が大きい。HD-XF2のスケーラも十分な品質とはいえ、HD-XA2と比較するとかなりの違いが確認できる。例えば、DVD「パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト」のオープニングシーン。真夜中の海に浮かぶ帆船のディティールや、闇の中でも黒の微妙な階調などは顕著に差がある。

 また、原住民の化粧や肌つやなど、ディティール表現には明確な差が見える。元ソースが良いタイトルだと、字幕さえ出さなければHD DVDかと見紛うことも。このあたりはスケーラチップの「Reon-VX」の実力だろう。既存のDVDライブラリを活かしつつHD DVDを楽しみたい、といった人には確かに非常に魅力的な画質を実現できている。HD-XF2かXA2で悩んでいる、という人はこのあたりが選択の一つのポイントとなるだろう。


■ アナログ5.1ch出力も装備

 今回、HDMI音声入力対応のアンプはテストできなかったが、同軸/光デジタル音声出力の音質は良好。デノンのAVアンプ「AVC3890」に接続し、HD DVDやDVD、CDを聞いてみたが、HD-XA1と同じく力強い中低域が印象的。

 HD-XF2とはシャーシ構造が異なっているほか、HD-XA2にのみアナログ5.1ch出力も備えている。つまり、アナログ5.1ch入力を備えたアンプを利用すれば、同軸/光デジタル出力からは出力できないTrueHDの音声も楽しめる。

 ただ、同軸デジタルからの「ワイルド・スピード X3 TOKYO DRIFT」や「The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)」のドルビーデジタルプラス音声と、アナログ5.1ch出力を比べると、アナログマルチのほうが若干音声レベルが低い。スピーカー距離設定を長めに変更してみたり、アンプの音場補正機能を切ってから、設定してみたりしたが、基本的にはややレベルが低めになるようだ。

 さらに、「The Phantom of the Opera(オペラ座の怪人)」のTrueHDでは、DD+音声よりさらに出力音声のレベルが低くなり、アンプのボリュームを上げる必要がある。確かにダイナミックレンジは広く感じるがなかなか聴き比べが難しい。とはいえ、HDMI非対応のアンプでもTrueHDを楽しめる、というのは魅力的ではある。


■ 最高のHD DVDプレーヤーで高級なDVDプレーヤー

 1080pやDeepcolor対応などのスペック上の違いから、シャーシ、リモコンの高級感など「HD-XF2」との異なるポイントはいくつかあるが、単に大画面テレビを買ったので、次世代ディスクを見てみたいと言う人にとってはHD-XF2でも十分満足できるだろう。

 だが、HD DVDで最高画質/音質を求めるのであれば、HD-XA2以外の選択肢はない。また、ある程度のクラスのDVDプレーヤーを求めるのであれば、現在は移行期でオーディオ専業メーカーの力の入ったプレーヤーが選びづらい時期。そうした意味では、第2世代となり、HD DVDに加え、DVDの画質、音質など高い次元でまとめ上げたHD-XA2を選択するというのも面白いだろう。

□東芝のホームページ
http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
□「HD-XA2」製品情報
http://www3.toshiba.co.jp/hdd-dvd/products/hddvd/hd-xa2/index.html
□関連記事
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http://av.watch.impress.co.jp/docs/20061228/toshiba.htm
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【2006年11月15日】東芝、第2世代HD DVDプレーヤー「HD-XA2」
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【2006年11月22日】HD DVDの切り札「Xbox 360 HD DVDプレーヤー」を試す
-2万円でHD DVD再生。ライバルは東芝「HD-XF2」?
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【2006年4月6日】HD DVDプレーヤー「HD-XA1」を試す
-ついに発売された次世代ディスクは「買い」か「待ち」か
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20060406/hddvd.htm

( 2007年2月22日 )

[AV Watch編集部/usuda@impress.co.jp]


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